あなたの田んぼは大丈夫ですか?
- 被害と復興の様子
- 2014.06.03 Tuesday
地震被害は時間が経ってから、しつこく現れてくる
田植えもほぼヤマを越し、早い集落では1日日曜日に田休みのタケノコ狩りの会が行われたようですね。
さて、この春の田んぼ作業が進められる中で、震災被害の復旧工事をした田んぼで不具合が発生したケースを数件聞きました。中越大震災の被災者から教えられていた「田んぼは1年や2年では元に戻らないよ」という話が現実のものとなったという感じです。
田んぼAのケース
下写真の田んぼを「田んぼA」とします。
写真の右側の方で法面がへこんでいるのがお分かりいただけると思います。今春、田んぼに水を入れたところ、このあたりからかなりの水が出てきたそうです。
この田んぼAでは、復旧後の2012年の耕作時にはトラクターが田んぼにはまってしまい、非常に苦労されたそうです。
今回、耕作者Aさんからつぎのようなお話をお聞きしました。
当初の復旧工事計画では、田んぼの表土を全面的に剥ぎ、耕盤
に必要な土も入れ、転圧をかけて、クラックをすべて塞ぐとい
う方針だった。ところが、作業道が狭く、ダンプが入れないた
め、全面的な作業は不可能となり、目立ったクラックがある箇
所だけの復旧工事になった。
この経過からすると、いわゆるヘア・クラック(髪の毛のように細いクラックで、よく見ないとわからないもの)は修復されていない、そこに2〜3年、雪融け水や雨水が入り込んで次第にクラックが広がり、水が浸透するようになった、ということが考えられます。
田んぼBのケース
上の写真に見られるように、田んぼの右側に雑草が生えているところがありますが、元々は田んぼの一部だったところ。
しかし、この田んぼBでも田んぼAと同じく、法面から水が出て、畦がぬける心配があったことから、中畦をつくり、写真の草が生えている部分では耕作しないように措置されたのです。法面を全面的に工事するとなると、法面の下部に「ふとん籠工」を施すなどで300万円くらいの費用がかかるとのことからの苦渋の決断だったと聞いています。
他にも、今春になって大きなクラックが出て、今年は休耕にした田もあります。
3〜5年のタイムスパンで観察すべきではないか
田んぼAの事例説明の中でも書いたように、地震でできた小さなクラックの影響は3年、4年と経過する中で現実化、深刻化してきます。ですから、復旧工事後の(あるいは復旧工事の対象にならなかった)田んぼで地震から4年目を迎えて何らかの問題が起こっていないか、全面的に調査することが必要だと思います。
こういうケースにこそ復興基金を活用すべき
田んぼAのケースも、Bのケースも、これらの被害があきらかになった段階では、「震災被害の復旧」が適用されないのが現状です。国の災害復旧の基準のゆえです。
中越大震災・復興で、こうしたケースの農家の自己負担金を減らすために活躍したのが復興基金です。小規模圃場整備補助の制度をつくり、農家を支援したと聞いています。
そういうこともあって、私たちは震災直後から復興基金の必要性を訴え、栄村にも復興基金制度が実現しました。栄村の復興基金枠は10億円です。今回報告したようなあきらかに震災の影響で不具合が生じている田んぼを修復する場合の農家の自己負担を大幅に減らすためにこそ復興基金を活用すべきだと思います。
役場担当係でそういう知恵を発揮していただくと同時に、村理事者や議員において現場視察・積極対応を行なってほしいと思います。
田植えもほぼヤマを越し、早い集落では1日日曜日に田休みのタケノコ狩りの会が行われたようですね。
さて、この春の田んぼ作業が進められる中で、震災被害の復旧工事をした田んぼで不具合が発生したケースを数件聞きました。中越大震災の被災者から教えられていた「田んぼは1年や2年では元に戻らないよ」という話が現実のものとなったという感じです。
田んぼAのケース
下写真の田んぼを「田んぼA」とします。
写真の右側の方で法面がへこんでいるのがお分かりいただけると思います。今春、田んぼに水を入れたところ、このあたりからかなりの水が出てきたそうです。
この田んぼAでは、復旧後の2012年の耕作時にはトラクターが田んぼにはまってしまい、非常に苦労されたそうです。
今回、耕作者Aさんからつぎのようなお話をお聞きしました。
当初の復旧工事計画では、田んぼの表土を全面的に剥ぎ、耕盤
に必要な土も入れ、転圧をかけて、クラックをすべて塞ぐとい
う方針だった。ところが、作業道が狭く、ダンプが入れないた
め、全面的な作業は不可能となり、目立ったクラックがある箇
所だけの復旧工事になった。
この経過からすると、いわゆるヘア・クラック(髪の毛のように細いクラックで、よく見ないとわからないもの)は修復されていない、そこに2〜3年、雪融け水や雨水が入り込んで次第にクラックが広がり、水が浸透するようになった、ということが考えられます。
田んぼBのケース
上の写真に見られるように、田んぼの右側に雑草が生えているところがありますが、元々は田んぼの一部だったところ。
しかし、この田んぼBでも田んぼAと同じく、法面から水が出て、畦がぬける心配があったことから、中畦をつくり、写真の草が生えている部分では耕作しないように措置されたのです。法面を全面的に工事するとなると、法面の下部に「ふとん籠工」を施すなどで300万円くらいの費用がかかるとのことからの苦渋の決断だったと聞いています。
他にも、今春になって大きなクラックが出て、今年は休耕にした田もあります。
3〜5年のタイムスパンで観察すべきではないか
田んぼAの事例説明の中でも書いたように、地震でできた小さなクラックの影響は3年、4年と経過する中で現実化、深刻化してきます。ですから、復旧工事後の(あるいは復旧工事の対象にならなかった)田んぼで地震から4年目を迎えて何らかの問題が起こっていないか、全面的に調査することが必要だと思います。
こういうケースにこそ復興基金を活用すべき
田んぼAのケースも、Bのケースも、これらの被害があきらかになった段階では、「震災被害の復旧」が適用されないのが現状です。国の災害復旧の基準のゆえです。
中越大震災・復興で、こうしたケースの農家の自己負担金を減らすために活躍したのが復興基金です。小規模圃場整備補助の制度をつくり、農家を支援したと聞いています。
そういうこともあって、私たちは震災直後から復興基金の必要性を訴え、栄村にも復興基金制度が実現しました。栄村の復興基金枠は10億円です。今回報告したようなあきらかに震災の影響で不具合が生じている田んぼを修復する場合の農家の自己負担を大幅に減らすためにこそ復興基金を活用すべきだと思います。
役場担当係でそういう知恵を発揮していただくと同時に、村理事者や議員において現場視察・積極対応を行なってほしいと思います。