栄村出身作家の本のご紹介
- お薦めの1冊
- 2014.05.21 Wednesday
4月27日(日曜)のことだったと思いますが、昼休みに家に戻るとポストに大きな茶封筒が…。開けてみると、青倉出身の作家・島田武さんの『吾妻はや』という本が入っていました。島田さんが村の図書室と私に1冊ずつご贈呈下さったもので、役場の人がお届け下さったのです。島田武さんというお名前は3月にいただいた『東京栄村会創立30周年記念誌』で拝見したことがありました。
お手紙によると、この作品は「3部作の第三部」にあたるもので、第二部収録の「雪の村」という作品はある文学賞を受賞されたそうです。
私は4月29日の一日でいっきに読み通しましたが、たいへんな衝撃と深い感銘を覚えました。
『吾妻はや』
「墓標」と「吾妻はや」の2作品が収録されていますが、前者は著者の自伝的小説です。日本の敗戦2ヶ月前に旧満州国陸軍幼年学校を志望して渡満しますが、日本の敗色濃厚な中、満州に到着してみるとすでにその学校は閉鎖されており、間もなく敗戦。そこから筆舌に尽くしがたい辛苦の日々が続きます。主人公がようやく故郷に戻ることができたのは昭和22年1月のことでした。
昨今、「日本を戦争ができる国に変える」動きがさかんに見えますが、戦争がどれほど悲惨で酷(むご)いものなのか、この作品から改めて学ぶことが必要だと思います。
他方、「吾妻(あづま)はや」は究極の夫婦愛を描く作品です。タイトルは「古事記」にちなんだもので、「ああ吾(わ)が妻よ」という意味です。
この作品の後半では、認知症の初期状態の中で転倒事故から自分の居る場所さえ認識できなくなった妻と生死を共にしようとする主人公が妻とともに北信州の故郷をひそかに訪れるシーンが描写されます。読みながら、その場所と景色を想起することができます。私は作品のテーマである夫婦愛ということと同時に、故郷愛を強く感じとりました。
是非、みなさんにお薦めしたい作品です。文芸社発行で定価1200円(税別)。村の図書室にあるはずです。また私がいただいたものをお貸しすることもできます。
お手紙によると、この作品は「3部作の第三部」にあたるもので、第二部収録の「雪の村」という作品はある文学賞を受賞されたそうです。
私は4月29日の一日でいっきに読み通しましたが、たいへんな衝撃と深い感銘を覚えました。
『吾妻はや』
「墓標」と「吾妻はや」の2作品が収録されていますが、前者は著者の自伝的小説です。日本の敗戦2ヶ月前に旧満州国陸軍幼年学校を志望して渡満しますが、日本の敗色濃厚な中、満州に到着してみるとすでにその学校は閉鎖されており、間もなく敗戦。そこから筆舌に尽くしがたい辛苦の日々が続きます。主人公がようやく故郷に戻ることができたのは昭和22年1月のことでした。
昨今、「日本を戦争ができる国に変える」動きがさかんに見えますが、戦争がどれほど悲惨で酷(むご)いものなのか、この作品から改めて学ぶことが必要だと思います。
他方、「吾妻(あづま)はや」は究極の夫婦愛を描く作品です。タイトルは「古事記」にちなんだもので、「ああ吾(わ)が妻よ」という意味です。
この作品の後半では、認知症の初期状態の中で転倒事故から自分の居る場所さえ認識できなくなった妻と生死を共にしようとする主人公が妻とともに北信州の故郷をひそかに訪れるシーンが描写されます。読みながら、その場所と景色を想起することができます。私は作品のテーマである夫婦愛ということと同時に、故郷愛を強く感じとりました。
是非、みなさんにお薦めしたい作品です。文芸社発行で定価1200円(税別)。村の図書室にあるはずです。また私がいただいたものをお貸しすることもできます。