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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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お米のふるさと便り

 今日25日は、青倉米の産直発送日。米といっしょに送る「お米のふるさと便り」が、ここ1週間くらいの村の景色をお伝えするものになっているので、紹介します。



 24日午前、スキー場の中腹から青倉集落方向を望んだものです。ちょっと春霞がかかったような感じですが、芽吹きの様子がご覧いただけるかと思い、掲載しました。
 芽吹きはいいですねえ。むらの人たちは、「芽吹きは綺麗だけでなく、始まりを感じる。紅葉は綺麗だけど、雪の季節が近づいているということで物寂しい感がする」と言います。本当にそうだと思います。
 今年はGWに田起こし、続いて代掻き、5月下旬には田植えも完了というペースで進むだろうと思われます。

今年のいちばんの問題は水不足の心配です
 例年よりも約1ヶ月早く春が訪れた栄村ですが、いま、村の誰もが心配しているのが「水不足になるのでは」ということです。
栄村の米づくりの源は雪融け水。ところが、その雪が少なかったのですから、心配は募ります。
 そこで、24日午前中は青倉・西山田に水を供給する貝立水路のかけ口、22日午後はさらに大元の野々海池の様子を見に行ってきました。



 貝立水路かけ口のブナ林の様子です。
 例年ならば、この時期、まだ1〜2mの雪に覆われているところです。
 さらに、下がかけ口の様子です。



 例年は、このかけ口を覆う雪を掘って、水止め板を外して水路に水を引き込むのですが、今年は掘る必要がありません。

 水はたしかにありますが、雪融け水がもの凄い勢いで流れているというような状況ではありません。写真からわかるように、沢筋にもう雪がほとんど残っていないのです。
 例年は、5月中旬の代掻き、下旬の田植えには、野々海池の水を使わなくても、沢の雪融け水で充分なのですが、今年はそうもいかないようです。
 野々海水利組合は、例年は6月第1日曜日あたりに行う普請を5月15日に繰り上げることを決定しました。代掻き・田植えの段階から野々海池の水を使えるようにするということです。しかし、そうなると、早ければ7月にも野々海池の水が足らなくなる心配が出てきます。そうならないためには、梅雨の時期にしっかり雨が降ってくれることが必要です。ただし、中条川上流の山腹崩壊地や青倉・西山田(城ヶ館(じょうごだて))の農道斜面の崩壊地点を抱えていますので、あまりの大雨は災害の拡大をもたらします。
 「私たちは自然によって生かされているのだ」ということを強く感じます。



 22日午後の野々海池の様子です。
 池の端にはもう水が見えています。
 例年であれば5月中下旬の頃の姿です。
 野々海池への道は21、22日に除雪されたのですが、池の近くで1m強の積雪。しかし、気温の高い日がちょっと続けば、GW期間中にほとんど雪は消えるのではないかと思います。野々海も今年は雪が少ないのです。
 下写真は、ブルドーザーが野々海池手前の三叉路と野々海キャンプ場の間の雪を押し出している様子です。積雪は1.5m強あると思います。ブルがある程度雪を押し出した後、ロータリー車が入るのだと思われます。



栄村の春の景色をお楽しみください
 


 この1週ほどの間に撮った写真の中でとても気に入っているものの1枚です。
 場所は秋山郷の屋敷集落。中津川に架かる屋敷橋のすぐ近く。撮日は23日午前です。
 この2週間ほど、屋敷に行くたびに撮っていましたが、ついにヤマザクラが満開になって最高!です。



 イワウチワの花。
 3月末からイワウチワが咲くさまざまな場所に通い詰め、24日午前、スキー場の頂上でようやくきれいに咲いている花を正面から撮ることができました。
 「イワウチワ」という名の由来は、「岩の上に咲き葉の形が団扇(うちわ)に似ている」こと。したがって、非常に厳しい環境のところで咲きます。前頁の写真の撮影地点は、西入沢川という中条川の上流に面した断崖絶壁の上です。さらに次の写真をご覧ください。



 これは、極野(にての)集落と五宝木(ごほうぎ)集落を結ぶ山の中の村道の脇で撮影したものですが、左から真ん中にかけて点々と白く見えているのは群生するイワウチワです。
 この地点のすぐそばに下の写真の地点があります。



 5年前の地震で崖が崩落の危険が生じたために2014年度に法面保護の工事が開始されたのですが、予算不足で昨年2015年は工事が中断されたところです。

 私は最近、「豊かな、そして美しい自然は人間にとってとてつもなく厳しい環境と背中合わせ」ということを強く認識するようになっています。
 結論だけを短絡的に書くと誤解を招く恐れがありますが、「災害対策ということで何でもかんでも土木工事をして自然の脅威を封じ込めようとしても、それは所詮不可能なこと。人間は自らの力の限界を知って、自然といかに折り合いをつけながら暮らしていくかの知恵を身につけなければならない」ということを強く思っています。



 素敵でしょう。
 五宝木の村営牧場跡地で撮影しました。
 写っている人は阿部広文さん。五宝木の人。道路除雪ができない五宝木の人たちは冬の間、森集落の村営住宅に移られます。
 撮影は23日午前ですが、まさか人に出会うとは思わず、雪も残るガタガタ道を進んで行った終着点でまず猟犬に出会い、つぎに発電機のモーター音で人の存在に気づきました。
 昨年の秋に伐ったサワグルミの木にドリルで穴を開け、そこにナメコの菌を入れる作業(駒うち)をされているところでした。阿部さんも、「まさか人が来るとは思わなかった」と言われ、互いに笑い合いました。
 奥に白く見える山は鳥甲連峰です。

 この春、いろんなところで出会って感嘆したのがヤマザクラの美しさ。「こんなところに、こんな素敵な桜が…」と感心しています。



 これは五宝木〜極野間の村道から見えるもので、本当に断崖絶壁というようなところです。
 写真としてはさほどいい出来のものではないのですが、あえてこれを選びました。

青倉の田んぼをめぐる2つのこと



 青倉集落の田んぼ(田原(たばら))の中を通る農道で23日に撮影したもの。
 赤白のポールが立っています。冬の道路脇には除雪の目印として同じポールが立ちますが、これは除雪の標識ではありません。
今年行われる圃場整備のための標識です。
 今年度は田原で実施され、西山田は来年度になると思われます。



 昨春の融雪時に崩壊した青倉・西山田(城ヶ館)の農道斜面の崩壊地点。
 昨年暮れ、積雪が始まる前に確認した状況よりも崩壊が進んでいます。
 これは下の川(横倉沢川)のところから堤を積み上げていくような形で対策しないと、何度も崩壊を繰り返すと思われますが、昨年、県の関係者から聞いたところでは、「農道の補修にとどまる」とのこと。先日、村役場の担当係に尋ねると、「地元負担金も発生するので、あまり大掛かりなこともやりづらい」と言って
いました。
 いま、熊本地震で災害復旧工事の国の負担率がニュースになっていますが、通常災害だと国は6〜7割しか出しません。この農道斜面の崩壊は5年前の地震の影響なのですが、地震から年数が経つと、通常災害扱いされます。難しい問題です。知恵を絞ってみたいと思っています。

最後に、山菜を紹介しておきます。



 ゼンマイを干している様子です。
 例年であればGW過ぎの光景ですが、雪が少なかった今年は早いです。
 直売所かたくりにも、コゴミ、タラの芽、木の芽、さらに早くもタケノコが並んでいます。今年は4月下旬から5月半ばあたりが山
菜の食べ頃ですね。


 

秋晴れの下での稲刈りと秋の恵み

 青倉米の産直で毎月、「お米のふるさと便り」というものを発行していますが、その9月25日号の内容をご紹介します。





 大型連休4日目の22日、この秋一番の快晴。青倉をはじめ、村内各所で稲刈りが本格化しました。
 写真は、青倉の島田和(かず)愛(よし)さんと娘さんご夫婦。娘さんの来援で80歳を超える和愛さん、稲刈りがとても楽しそうです。

稲刈りの様子あれこれ
 
 8月後半から9月中旬にかけて、天気の悪い日が多く、稲刈りはやや遅めの開始。大型連休の後半でようやく本格化しました。その様子を村内のあちこちで撮ってみました。
 
写真中央は極野(にての)集落の藤木八十治(やそはる)さん。奥さんの実家(極野の隣の中野集落)の田の稲刈り。小さなお子さんは、奥さんのご兄弟のお孫さんだそうです(23日昼すぎ)。
 
柳在家集落の斎藤吉卯さん一家の稲刈り(20日午前)。
 吉卯さんは90歳を超え、「おれは家にいるさ」と。田んぼには奥さん(80歳代後半、写真真ん中で腰を屈めている人)と娘さん(東京在住)ご夫婦など。
 この田んぼは手植えで、稲刈りはバインダー使用。この後、はぜ掛けされる。
 
白鳥集落にて(23日午前)。
 山の上ではなく集落の中にある田んぼだが、川のそばのくぼ地で、大型機械を入れる道はない。2条刈りのバインダーで刈り、はぜ掛けされる。ご兄弟3人で作業されていた。
 
青倉集落のあるご夫婦の稲刈り姿(22日午前)。
 奥さまはじつは認知症を患っておられる。でも、おとうさんはこのように一緒に農作業をされ、奥さまができるだけ普通に暮らせるように努めておられる。近所の人たちも温かく見守り、力添えをされている。
 この日は息子さんも帰って来られ、お二人のそばで作業されていました。

次々と登場する秋の恵み

 「春の山菜、秋のキノコ」。これこそ、栄村の豊かな自然の恵みですが、もう“なめこ”が出始めています。直売所かたくりの様子とともに、山と畑の秋の恵みをご紹介します。


 
 23日昼、直売所かたくりに「なめこ」を出荷されている藤木幸江さんをお訪ねし、なめこを原木栽培されている場所をお聞きしました。
 教えていただいたのは深い山の中。なかなか見つけられませんでしたが、ようやく“ほだ木”が並ぶ場所を見つけました。
 下の写真のような渓流沿いにほだ木が並べられていました。






 山の栗です。写真は直売所かたくりでディスプレイされているもの。
 「栽培されたもの」というよりも山の恵みというほうが正しいでしょうね。





ミョウガ。
 村では、薬味にも使いますが、ミョウガを三杯酢で漬けたものなどをいただきます。


 
小豆。
 写真下は見慣れた小豆ですが、上は黒小豆。茹でると赤みを帯びるそうです。
 

 
花豆。
 「高原豆」とも呼ばれ、標高の高い冷涼な気候のところでしか、うまく育ちません。秋山郷・五宝木集落の山田政治(まさじ)・せきさんご夫妻が丹精されたもの。
 信州産は「紫花豆」と呼ばれ、最近はなかなか手に入らないものになってきています。
 栽培が難しいと同時に、煮るのに熟練技が必要。せきさんは花豆を煮る名人の一人。栄村を訪れられる方は「吉楽旅館」の大女将の煮る花豆を是非、ご賞味ください。


 
栃(とち)の実。
 いま、村内を廻っていると、多くの家の前で、栃の実を水に浸けている様子や、その後に栃の実を乾している様子を見ます。
 乾すのに1週間ほど、その後、皮を?いて取り出した実をまた水に何日もさらす。非常に手間のかかる作業です。
 そうして得られた栃の実を使った栃餅。黄な粉をつけて食べると、なんともいえない美味しさ。
 「栃餅を食べてみたいな」という方、メールまたはお電話でご相談ください。ご依頼があれば、村のかあちゃんたちに掛け合ってみます。
 あまり多くは入手できませんが、販売用ではなく、お家で食べるために作られるものを分けていただけるよう、お願いしてみます。10月初旬までにご連絡いただければ、かあちゃんたちへの声かけをします。
 
 
 
紅葉が始まっています
 
 
 いずれも9月20日午後撮影。
 1枚目は野々海峠から新潟県旧大島村の棚田を望んだもの。2枚目は野々海の湿地・東窓。


 
 紅葉とともに、穂をひらいたススキの姿も美しい。
 背景に見える山は苗場山(左)と高倉山。高倉山は江戸時代、御巣鷹山の一つでした。

 

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