松尾まことの議員活動報告 第2号(6月1日)
- 村議会
- 2016.06.08 Wednesday
全員協議会という「不思議な存在」のあり方が少しずつわかってきました
5月1日号で「地方自治法第100条で定められた正式の会議のあり方」と紹介しましたので、「不思議な存在」などと書くと、「不謹慎だ」というお叱りを受けるかもしれませんが、マスコミ関係の方でも「よくわからない」と言われるくらいですので、議会関係者以外にとってはまあ妥当な表現ではないかと思います。
5月26日午前10時〜正午の2時間、5月の定例的な全員協議会が開かれました。定例議会や臨時議会とは関係なく、全員協議会のみの開催です。それだけに“全員協議会”というものの内容・性格がよくわかったように思います。
「全協(議長提出)」と「全協(村長提出)」という2種類の会議の存在
4月28日の全員協議会で、「5月26日午前に全員協議会を開催する」ことが決まった段階では、議員が集まって種々の協議を行うことになっていました。現に5月16日付の議長名の「通知」では、
「議員各位からの忌憚のないご発言をお願いいたします。」
と記されていました。
しかし、その後、森川新村長から議会宛に協議を望む「案件」がある旨の申し出があり、5月26日の全員協議会は、「全協(村長提出)」という会議から始まることになりました。
そこで、「全協(村長提出)」とは何なのか、『議員必携』での説明を紹介します。(5月26日の「全協(村長提出)」の内容は『栄村復興への歩み』No.286で紹介します)
「全協(村長提出)」とは
「町村長の依頼を受けて、議長が招集するものの、目的は、
町村長が、議会に提案予定の案件についての事前説明を
行う場合もあれば、行政運営上の重要問題、企業誘致や
開発行政に関連した対外折衝関連事項について意見を求
める場合もある。」
これが『議員必携』(180-1頁)の説明ですが、但し書きがあります。
「議員にとって、行政内容あるいは提出議案について、理
解を深める機会にもなっているが、本会議や委員会と同
様の実質審議となることがないよう、節度をもって運用す
べきである。」(傍線は松尾)
これは重要なポイントです。
この但し書きの意味は、全員協議会を首長・理事者が予算等の議案を議員に対して根回しする場にしてはならない、という意味だと解されます。
私が一村民として傍聴した経験からいうと、栄村の場合、「全協(村長提出)」がまさに「根回し」の場とされた事例があります。本会議での質疑で、課長クラスが「その点は全協で説明したとおりです」と答弁していたのです。
問題点は?
何が問題なのでしょうか?
全協では、〈議論の録音→議事録の作成〉が行われません。議会事務局長が「議事要旨」のメモを作成するのみです(『議員必携』では全協も議事録を作成すべきだとしていますが)。議事録がないということは、住民が議論の内容を詳しく知ることができません。これが問題点の第1です。
第2は、議会の形骸化につながることです。
首長(理事者)は一般的に自らが提案する予算案等の議案が否決されたり、修正されたりすることを極度に嫌います。そこで、議事録の残らない「全協」で異論のある議員とやりとりし、本会議の時に議案が無修正で可決されるようにするのです。
しかし、そうすると、議案を正式に審議する本会議は審議の形だけを整え、実質的な審議なしで、理事者の提案を可決するだけの場になってしまいます。
本当に住民の役に立つ行政は、議案を提案した理事者と、住民の信認を受けた議員の間の真剣な議論が住民にオープンな形で行われ(本会議及び委員会での審議)、政策決定過程が透明であることによってこそ保証されます。
私は、島田村政時代の議会をめぐっては、こういう問題があきらかに存在したと見ています。震災をめぐって、「議員は何をしているんだ?」という声が村民の中に多数あった背景には、こういう問題があったのだと思います。
森川村政に変わり、議会のあり方も変わることが求められています。しかし、6月17日開会の定例議会において、もし、今回の全協で議論された案件が実質的な審議なしに処理されるようなことがあれば、森川村政でも議会のあり方が変わっていないことになります。6月議会は、議会の一つの正念場となります。
5月26日の「全協(議長提出)」、議会の一面が見え、興味深かった
10時開会の全協は10時40分ころまで「村長提出の協議事項」を協議した後、休憩を挟んで、正午まで議員のみの「全協(議長提出)」となりました。「全協(村長提出)」の時には議場内にいた村長、課長等は退席し、出席者は議員と議会事務局長のみです。 協議事項は以下のとおりです。
(1)6月議会定例会の日程(案)について
(2)議員研修について
(3)その他
・一般質問締め切り 6月3日(金)、午後1時(厳守)
・議案提出日 6月8日(水)
・議会運営委員会 6月10日(金)、午前11時から
・議案配布 6月10日(金)、午後から
・議員独自の研修に伴う旅費について(自己負担)
・ジオパーク協議会関係議員交流会について
妻有新聞社の記者が傍聴・取材
今回の全協で興味深かったことの1つは、「全協(村長提出)」も含め、全協の全プロセスを妻有新聞の記者が傍聴し、取材したことです。
妻有新聞に限らず、信濃毎日新聞を含め、マスコミは「全協は非公開」という認識を有していて、たとえば、4月28日の臨時議会に先立って開催された全員協議会(1時半〜2時半)は議場外で待機していました。ある時期に、「全協への取材はお断り」とされたという経緯があるためです。
今回の全協に先立ち、妻有新聞社が全協の傍聴・取材を申し入れ、議長から「特に問題なし」として傍聴・取材を認められたようです。
『議員必携』においては、全協についても、議会と同様に、傍聴を認めるべきだとしていますが、栄村では全協の傍聴に関する明示の規定はないようです。
村民のみなさんの傍聴も認められるはずです
ところで、村民のみなさんは、5月26日に全員協議会が開催されることをご存知でしたか? よほど親しい議員さんがおられる方を除いては、ご存じなかったことと思います。というのも、定例議会や臨時議会の時は、村内告知放送で「〇日に議会が開かれます。傍聴してみませんか」という放送が流されますが、全員協議会の時はそういう放送はないからです。
全員協議会は議会が開催されない月も毎月1回は開かれています。
みなさん、一度、傍聴されてみてはいかがですか。
一部の識者からは「学芸会」と揶揄(やゆ)されることもある議会一般質問よりも、よほど議会の内実がよくわかる機会だと思います。
「一般質問締め切り」とは
6月定例会は17日から23日まで(ただし、18、19日は休会、23日は予備日)で、20日と21日が一般質問の日になっています。
一般質問をしようと思う議員は、「一般質問をします」という通知だけでなく、「質問項目」と「質問要旨」を1質問につきA4判1枚の「通告書」で6月3日午後1時までに提出しなければなりません(「一般質問要旨通告書」と呼ばれています)。
何故でしょう?
議会事務局から配布された6月の「諸行事予定表」というのを見ると、
14日(火) 課長会議(一般質問検討会) 理事者・各課長等
というのがあります。私はこの種の会議の存在を初めて知りました。
3日は金曜日ですので、議会事務局が「一般質問要旨通告書」を整理し、理事者や役場各課(長)に伝えるのは早くても7日(火)になるでしょう。ここから土日を除く4〜5日間に質問事項に関係する係長などが答弁の原案を作成するのでしょう。
そして、それらを集約して、14日に課長会議が開催されるのだと思います。
国会の場合、各省庁の役人が国会議員の間を駆け回り、「質問(大臣に対するもの)集め」を行ない、役所の課長補佐クラスが大臣の答弁を書きます。その答弁書きは時に深夜・早朝にまで及び、朝、国会に向かう大臣の車に一緒に乗り込んで、役人が大臣に答弁内容をレクチャする(=教える)ということも珍しくないと言われます。
そういうものの「ミニチュア版」が村にもあるわけです。
議員が平素から役場職員への質問・調査をしていれば、「質問要旨通告」はほとんど不要のはず
各課長などをいささか擁護する言い方になるかもしれませんが、質問と答弁についての検討会が必要になる1つの要因は、係長クラスのみが熟知している事項を議員が細かに質問することにあるようです。
だが、そういう質問は、第三者からは、「そんなこと、平素から議員が役場で職員に質問していれば、すぐに分かることで、わざわざ一般質問で尋ねるようなものではない」と批判されています。
私も傍聴席から一般質問を聞いていて、そのように思ったことがあります。
議会は村の政策の基本や議案をめぐって徹底質疑する場であるべきで、議員は上記のような点は改めるべきでしょう。また、理事者・課長は「一般質問の質疑で細かなことが答えられず、恥をかきたくない。言葉尻をとらえられないように答弁をあらかじめ用意しておこう」などと考えず、議員と正面から向き合って堂々と議論されればよいと思います。
「台本の決まった議会」は面白くありませんし、望ましいものでもありません。
私は、6月議会をめぐって、既存の「ルール」は守りつつ、ここまでに記した問題点の克服をめざしたいと思います。
「議員独自の研修に伴う旅費について(自己負担)」とは?
「全協(議長提出)」の「協議事項」にこんな項目がありました。当初、「?」と思いましたが、すぐに私に関わることだと気づきました。
役場2階の議会事務局にメールボックスというものがあって、1週に2度ほど、何か入っていないか、チェックします。自治体議員を対象とする研修講座の広告チラシが入っていることが多いですね。
その中の1枚に、公益財団法人・全国市町村研修財団による「市町村議員研修・自治体予算を考える」(7月21〜22日、全国市町村国際文化研修所、滋賀県)というのがありました。1泊2日で受講・宿泊経費はわずか7,300円。旅費は別途3万円程度かかりますが。
同様の内容の講座が東京でもありますが、そちらは民間主催で受講料のみで6万円。
私は7月21〜22日のものを、議会事務局を通じて申し込みました(議会事務局を通じないと申し込めません)。一度、こういう講座で勉強しないと、率直なところ、予算書などを本当に理解することは困難です。
申込数が多いようで、受講できるかどうかは6月中旬に抽選で決まるようです。
私は自分で参加しようと思ったものなので、参加費・旅費共に自弁のつもりでしたが、事務局長は「予算がないので、自費でお願いできますか」と申し訳なさそうに言われました。そして、このことを全協でも確認されたわけです。
私はこれまで一民間人として、各種研修会などに自費で参加してきましたので、自費が当然だと思っていたのですが、しかし、議員が議員としての職務を遂行するうえで不可欠な研修等を受ける費用をつねに自費で賄わなければならないとなれば、たしかに議員活動が不活性化する怖れはありますね。
「ジオパーク協議会関係議員交流会」とは?
みなさん、「苗場山麓ジオパーク」という名称はご存知ですね。栄村はお隣の津南町と「苗場山麓ジオパーク振興協議会」というものをつくっています。
7月27〜29日、新潟市などで「ジオパーク新潟国際フォーラム」というものが開催されます。新潟県には、苗場山麓の他に、糸魚川、佐渡の2ヶ所がジオパークとして認定されています。
糸魚川市から3地域の「関係議会議員の交流会をしてはどうか」という提案があったそうです。交流会は「新潟フォーラム」への参加を前提としていますから、随分と経費を要します。予算もまったくないのに、どうやって交流会を行なうのか。私は「無理でしょう」と発言しました。
そのうえで、かねて「よくわからないなあ」と思っているジオパーク関係の諸会議、28日の「開会式・基調講演・事例報告・パネルディスカッション」だけでも聴きに行ってこようかなと思っています。
北信州植樹祭への参加
5月21日に飯山市菜の花公園で開催され、4月27日の震災祈念館の開館式と同様、議員としての公務として参加してきました。
10時から約1時間の式典の後、菜の花公園と「上野の森」(国道117沿い、常盤橋近くの「どさん子ラーメン」店の横です)の2ヶ所に分かれて植樹。関係市町村議員は「上野の森」での植樹で、菜の花公園との間をシャトルバスで往復しました。
率直に言って、この植樹祭にどれだけの意味があるのか、疑問です。国、県ともに、林務行政の不可侵の領域として続けているだけではないかと、私は思います。本当に「森を守る」「緑を守る」という意識の啓発に取り組むというのなら、間伐等がされていない荒れた山の手入れ作業の体験会のようなことをやる方がよほど意義あるものになるのではないかと思います。
村議会議長も、村長も、参加されましたが、式典の際に演壇上に座ることが求められたこと。村長については紹介もなし。議長も村長も超過密スケジュール。お二人とも「式典要員」ではありません。この種の「公務」を減らすようにすべきだと強く思います。もちろん、議員だって暇ではありません。
議員活動日誌5月
・6日(金) 商工観光課(4月28日臨時議会提出補正予算内訳)、産業建設課
(森水道問題)に、質問及び問い合わせを提出
・8日(日) 保育所視察について北信保育園長に問い合わせ(6月にやりたいと
考えている)
・11日(水) 5月後半日程、夏服に関する通知受領
・16日(月) 村長就任式
商工観光課からの回答受け取り
産業建設課の回答準備状況問い合わせ
議会5月全協及び6月定例会予定に関する通知受領
・17日(火) 村内告知放送並びにデマンド交通について、村民からの問い合わ
せ・要望について、役場に問い合わせ
市町村議会議員研修「自治体予算を考える」(7月21〜22日、全国市町
村研修財団主催)への参加申し込みを議会事務局に依頼(議会事務局を
通じてのみ申込可能)
・19日(木) 6月定例会での一般質問に関する通知を受領
・20日(金) 「栄村復興への歩み」の取材で森川村長にインタビューした後、
議会と村長の関係のあり方、当面の村政運営などについて村長の考えを
聞く。
産業建設課に質問への回答準備状況を聞く。来週早々に回答とのこと。
16日に受領した商工観光課からの回答の内容の関係で、地方創生加速化
交付金に関する内閣府地方創生推進室の発表文書(全104頁)をネット
で入手し、検討。同交付金に関する検討論文も読む。
・21日(土) 北信州植樹祭(於:飯山市菜の花公園)に参加。関係市町村議員は
参加するものとなっていて、会場では「市町村議会議員」というプラ
カードの下に並び、行動する。式典、植樹、昼食(代金は自費)の後、
午後1時頃解散。
帰路、飯山の書店で、片山善博氏の『自治体自立塾』という本を購入。
就寝までに読了。自治体議会・議員の活動について厳しい指摘が多々
あり、とても勉強になるとともに、気が引き締まる思いを抱く。
・23日(月) 夜、議員有志で勉強会。
・24日(火) 夕刻、産業建設課から森集落の水道問題についての質問への
回答書が出た旨の連絡を受ける。
・25日(水) 朝一番で上記の「回答」を議会事務局のメールボックスで受領。
すぐに森集落向けの「議員活動報告」号外を作成。25、26日で集落全戸
に配布。
・26日(木) 午前10時〜12時、議会の全員協議会。
森水道の改善のための財源問題の解決のための方策を考え、「森の水道
問題についての提案(その1)」を作成。森の関係者、役場関係者に配
布の予定。
・28日(土) 東京神田神保町のすずらん祭り会場にて、東京・千代田区の区議
会議員の人と交流。区財政、議員報酬・政務活動費の現状などをお聞き
する。
自治体財政に関する本など3冊を購入。帰りの車中で5分の1ほど読んだ
が、自治体予算の仕組みなどについて理解が少し深まった。
・29日(日) 午前中、2時間ほど、メディア関係者と村政について意見交換。
・30日(月) 28日購入の書籍のうち、自治体議員に関する本を読み進める。
・31日(火) 栄村の「人口ビジョン」(H27年11月策定)の検討。
5月1日号で「地方自治法第100条で定められた正式の会議のあり方」と紹介しましたので、「不思議な存在」などと書くと、「不謹慎だ」というお叱りを受けるかもしれませんが、マスコミ関係の方でも「よくわからない」と言われるくらいですので、議会関係者以外にとってはまあ妥当な表現ではないかと思います。
5月26日午前10時〜正午の2時間、5月の定例的な全員協議会が開かれました。定例議会や臨時議会とは関係なく、全員協議会のみの開催です。それだけに“全員協議会”というものの内容・性格がよくわかったように思います。
「全協(議長提出)」と「全協(村長提出)」という2種類の会議の存在
4月28日の全員協議会で、「5月26日午前に全員協議会を開催する」ことが決まった段階では、議員が集まって種々の協議を行うことになっていました。現に5月16日付の議長名の「通知」では、
「議員各位からの忌憚のないご発言をお願いいたします。」
と記されていました。
しかし、その後、森川新村長から議会宛に協議を望む「案件」がある旨の申し出があり、5月26日の全員協議会は、「全協(村長提出)」という会議から始まることになりました。
そこで、「全協(村長提出)」とは何なのか、『議員必携』での説明を紹介します。(5月26日の「全協(村長提出)」の内容は『栄村復興への歩み』No.286で紹介します)
「全協(村長提出)」とは
「町村長の依頼を受けて、議長が招集するものの、目的は、
町村長が、議会に提案予定の案件についての事前説明を
行う場合もあれば、行政運営上の重要問題、企業誘致や
開発行政に関連した対外折衝関連事項について意見を求
める場合もある。」
これが『議員必携』(180-1頁)の説明ですが、但し書きがあります。
「議員にとって、行政内容あるいは提出議案について、理
解を深める機会にもなっているが、本会議や委員会と同
様の実質審議となることがないよう、節度をもって運用す
べきである。」(傍線は松尾)
これは重要なポイントです。
この但し書きの意味は、全員協議会を首長・理事者が予算等の議案を議員に対して根回しする場にしてはならない、という意味だと解されます。
私が一村民として傍聴した経験からいうと、栄村の場合、「全協(村長提出)」がまさに「根回し」の場とされた事例があります。本会議での質疑で、課長クラスが「その点は全協で説明したとおりです」と答弁していたのです。
問題点は?
何が問題なのでしょうか?
全協では、〈議論の録音→議事録の作成〉が行われません。議会事務局長が「議事要旨」のメモを作成するのみです(『議員必携』では全協も議事録を作成すべきだとしていますが)。議事録がないということは、住民が議論の内容を詳しく知ることができません。これが問題点の第1です。
第2は、議会の形骸化につながることです。
首長(理事者)は一般的に自らが提案する予算案等の議案が否決されたり、修正されたりすることを極度に嫌います。そこで、議事録の残らない「全協」で異論のある議員とやりとりし、本会議の時に議案が無修正で可決されるようにするのです。
しかし、そうすると、議案を正式に審議する本会議は審議の形だけを整え、実質的な審議なしで、理事者の提案を可決するだけの場になってしまいます。
本当に住民の役に立つ行政は、議案を提案した理事者と、住民の信認を受けた議員の間の真剣な議論が住民にオープンな形で行われ(本会議及び委員会での審議)、政策決定過程が透明であることによってこそ保証されます。
私は、島田村政時代の議会をめぐっては、こういう問題があきらかに存在したと見ています。震災をめぐって、「議員は何をしているんだ?」という声が村民の中に多数あった背景には、こういう問題があったのだと思います。
森川村政に変わり、議会のあり方も変わることが求められています。しかし、6月17日開会の定例議会において、もし、今回の全協で議論された案件が実質的な審議なしに処理されるようなことがあれば、森川村政でも議会のあり方が変わっていないことになります。6月議会は、議会の一つの正念場となります。
5月26日の「全協(議長提出)」、議会の一面が見え、興味深かった
10時開会の全協は10時40分ころまで「村長提出の協議事項」を協議した後、休憩を挟んで、正午まで議員のみの「全協(議長提出)」となりました。「全協(村長提出)」の時には議場内にいた村長、課長等は退席し、出席者は議員と議会事務局長のみです。 協議事項は以下のとおりです。
(1)6月議会定例会の日程(案)について
(2)議員研修について
(3)その他
・一般質問締め切り 6月3日(金)、午後1時(厳守)
・議案提出日 6月8日(水)
・議会運営委員会 6月10日(金)、午前11時から
・議案配布 6月10日(金)、午後から
・議員独自の研修に伴う旅費について(自己負担)
・ジオパーク協議会関係議員交流会について
妻有新聞社の記者が傍聴・取材
今回の全協で興味深かったことの1つは、「全協(村長提出)」も含め、全協の全プロセスを妻有新聞の記者が傍聴し、取材したことです。
妻有新聞に限らず、信濃毎日新聞を含め、マスコミは「全協は非公開」という認識を有していて、たとえば、4月28日の臨時議会に先立って開催された全員協議会(1時半〜2時半)は議場外で待機していました。ある時期に、「全協への取材はお断り」とされたという経緯があるためです。
今回の全協に先立ち、妻有新聞社が全協の傍聴・取材を申し入れ、議長から「特に問題なし」として傍聴・取材を認められたようです。
『議員必携』においては、全協についても、議会と同様に、傍聴を認めるべきだとしていますが、栄村では全協の傍聴に関する明示の規定はないようです。
村民のみなさんの傍聴も認められるはずです
ところで、村民のみなさんは、5月26日に全員協議会が開催されることをご存知でしたか? よほど親しい議員さんがおられる方を除いては、ご存じなかったことと思います。というのも、定例議会や臨時議会の時は、村内告知放送で「〇日に議会が開かれます。傍聴してみませんか」という放送が流されますが、全員協議会の時はそういう放送はないからです。
全員協議会は議会が開催されない月も毎月1回は開かれています。
みなさん、一度、傍聴されてみてはいかがですか。
一部の識者からは「学芸会」と揶揄(やゆ)されることもある議会一般質問よりも、よほど議会の内実がよくわかる機会だと思います。
「一般質問締め切り」とは
6月定例会は17日から23日まで(ただし、18、19日は休会、23日は予備日)で、20日と21日が一般質問の日になっています。
一般質問をしようと思う議員は、「一般質問をします」という通知だけでなく、「質問項目」と「質問要旨」を1質問につきA4判1枚の「通告書」で6月3日午後1時までに提出しなければなりません(「一般質問要旨通告書」と呼ばれています)。
何故でしょう?
議会事務局から配布された6月の「諸行事予定表」というのを見ると、
14日(火) 課長会議(一般質問検討会) 理事者・各課長等
というのがあります。私はこの種の会議の存在を初めて知りました。
3日は金曜日ですので、議会事務局が「一般質問要旨通告書」を整理し、理事者や役場各課(長)に伝えるのは早くても7日(火)になるでしょう。ここから土日を除く4〜5日間に質問事項に関係する係長などが答弁の原案を作成するのでしょう。
そして、それらを集約して、14日に課長会議が開催されるのだと思います。
国会の場合、各省庁の役人が国会議員の間を駆け回り、「質問(大臣に対するもの)集め」を行ない、役所の課長補佐クラスが大臣の答弁を書きます。その答弁書きは時に深夜・早朝にまで及び、朝、国会に向かう大臣の車に一緒に乗り込んで、役人が大臣に答弁内容をレクチャする(=教える)ということも珍しくないと言われます。
そういうものの「ミニチュア版」が村にもあるわけです。
議員が平素から役場職員への質問・調査をしていれば、「質問要旨通告」はほとんど不要のはず
各課長などをいささか擁護する言い方になるかもしれませんが、質問と答弁についての検討会が必要になる1つの要因は、係長クラスのみが熟知している事項を議員が細かに質問することにあるようです。
だが、そういう質問は、第三者からは、「そんなこと、平素から議員が役場で職員に質問していれば、すぐに分かることで、わざわざ一般質問で尋ねるようなものではない」と批判されています。
私も傍聴席から一般質問を聞いていて、そのように思ったことがあります。
議会は村の政策の基本や議案をめぐって徹底質疑する場であるべきで、議員は上記のような点は改めるべきでしょう。また、理事者・課長は「一般質問の質疑で細かなことが答えられず、恥をかきたくない。言葉尻をとらえられないように答弁をあらかじめ用意しておこう」などと考えず、議員と正面から向き合って堂々と議論されればよいと思います。
「台本の決まった議会」は面白くありませんし、望ましいものでもありません。
私は、6月議会をめぐって、既存の「ルール」は守りつつ、ここまでに記した問題点の克服をめざしたいと思います。
「議員独自の研修に伴う旅費について(自己負担)」とは?
「全協(議長提出)」の「協議事項」にこんな項目がありました。当初、「?」と思いましたが、すぐに私に関わることだと気づきました。
役場2階の議会事務局にメールボックスというものがあって、1週に2度ほど、何か入っていないか、チェックします。自治体議員を対象とする研修講座の広告チラシが入っていることが多いですね。
その中の1枚に、公益財団法人・全国市町村研修財団による「市町村議員研修・自治体予算を考える」(7月21〜22日、全国市町村国際文化研修所、滋賀県)というのがありました。1泊2日で受講・宿泊経費はわずか7,300円。旅費は別途3万円程度かかりますが。
同様の内容の講座が東京でもありますが、そちらは民間主催で受講料のみで6万円。
私は7月21〜22日のものを、議会事務局を通じて申し込みました(議会事務局を通じないと申し込めません)。一度、こういう講座で勉強しないと、率直なところ、予算書などを本当に理解することは困難です。
申込数が多いようで、受講できるかどうかは6月中旬に抽選で決まるようです。
私は自分で参加しようと思ったものなので、参加費・旅費共に自弁のつもりでしたが、事務局長は「予算がないので、自費でお願いできますか」と申し訳なさそうに言われました。そして、このことを全協でも確認されたわけです。
私はこれまで一民間人として、各種研修会などに自費で参加してきましたので、自費が当然だと思っていたのですが、しかし、議員が議員としての職務を遂行するうえで不可欠な研修等を受ける費用をつねに自費で賄わなければならないとなれば、たしかに議員活動が不活性化する怖れはありますね。
「ジオパーク協議会関係議員交流会」とは?
みなさん、「苗場山麓ジオパーク」という名称はご存知ですね。栄村はお隣の津南町と「苗場山麓ジオパーク振興協議会」というものをつくっています。
7月27〜29日、新潟市などで「ジオパーク新潟国際フォーラム」というものが開催されます。新潟県には、苗場山麓の他に、糸魚川、佐渡の2ヶ所がジオパークとして認定されています。
糸魚川市から3地域の「関係議会議員の交流会をしてはどうか」という提案があったそうです。交流会は「新潟フォーラム」への参加を前提としていますから、随分と経費を要します。予算もまったくないのに、どうやって交流会を行なうのか。私は「無理でしょう」と発言しました。
そのうえで、かねて「よくわからないなあ」と思っているジオパーク関係の諸会議、28日の「開会式・基調講演・事例報告・パネルディスカッション」だけでも聴きに行ってこようかなと思っています。
北信州植樹祭への参加
5月21日に飯山市菜の花公園で開催され、4月27日の震災祈念館の開館式と同様、議員としての公務として参加してきました。
10時から約1時間の式典の後、菜の花公園と「上野の森」(国道117沿い、常盤橋近くの「どさん子ラーメン」店の横です)の2ヶ所に分かれて植樹。関係市町村議員は「上野の森」での植樹で、菜の花公園との間をシャトルバスで往復しました。
率直に言って、この植樹祭にどれだけの意味があるのか、疑問です。国、県ともに、林務行政の不可侵の領域として続けているだけではないかと、私は思います。本当に「森を守る」「緑を守る」という意識の啓発に取り組むというのなら、間伐等がされていない荒れた山の手入れ作業の体験会のようなことをやる方がよほど意義あるものになるのではないかと思います。
村議会議長も、村長も、参加されましたが、式典の際に演壇上に座ることが求められたこと。村長については紹介もなし。議長も村長も超過密スケジュール。お二人とも「式典要員」ではありません。この種の「公務」を減らすようにすべきだと強く思います。もちろん、議員だって暇ではありません。
議員活動日誌5月
・6日(金) 商工観光課(4月28日臨時議会提出補正予算内訳)、産業建設課
(森水道問題)に、質問及び問い合わせを提出
・8日(日) 保育所視察について北信保育園長に問い合わせ(6月にやりたいと
考えている)
・11日(水) 5月後半日程、夏服に関する通知受領
・16日(月) 村長就任式
商工観光課からの回答受け取り
産業建設課の回答準備状況問い合わせ
議会5月全協及び6月定例会予定に関する通知受領
・17日(火) 村内告知放送並びにデマンド交通について、村民からの問い合わ
せ・要望について、役場に問い合わせ
市町村議会議員研修「自治体予算を考える」(7月21〜22日、全国市町
村研修財団主催)への参加申し込みを議会事務局に依頼(議会事務局を
通じてのみ申込可能)
・19日(木) 6月定例会での一般質問に関する通知を受領
・20日(金) 「栄村復興への歩み」の取材で森川村長にインタビューした後、
議会と村長の関係のあり方、当面の村政運営などについて村長の考えを
聞く。
産業建設課に質問への回答準備状況を聞く。来週早々に回答とのこと。
16日に受領した商工観光課からの回答の内容の関係で、地方創生加速化
交付金に関する内閣府地方創生推進室の発表文書(全104頁)をネット
で入手し、検討。同交付金に関する検討論文も読む。
・21日(土) 北信州植樹祭(於:飯山市菜の花公園)に参加。関係市町村議員は
参加するものとなっていて、会場では「市町村議会議員」というプラ
カードの下に並び、行動する。式典、植樹、昼食(代金は自費)の後、
午後1時頃解散。
帰路、飯山の書店で、片山善博氏の『自治体自立塾』という本を購入。
就寝までに読了。自治体議会・議員の活動について厳しい指摘が多々
あり、とても勉強になるとともに、気が引き締まる思いを抱く。
・23日(月) 夜、議員有志で勉強会。
・24日(火) 夕刻、産業建設課から森集落の水道問題についての質問への
回答書が出た旨の連絡を受ける。
・25日(水) 朝一番で上記の「回答」を議会事務局のメールボックスで受領。
すぐに森集落向けの「議員活動報告」号外を作成。25、26日で集落全戸
に配布。
・26日(木) 午前10時〜12時、議会の全員協議会。
森水道の改善のための財源問題の解決のための方策を考え、「森の水道
問題についての提案(その1)」を作成。森の関係者、役場関係者に配
布の予定。
・28日(土) 東京神田神保町のすずらん祭り会場にて、東京・千代田区の区議
会議員の人と交流。区財政、議員報酬・政務活動費の現状などをお聞き
する。
自治体財政に関する本など3冊を購入。帰りの車中で5分の1ほど読んだ
が、自治体予算の仕組みなどについて理解が少し深まった。
・29日(日) 午前中、2時間ほど、メディア関係者と村政について意見交換。
・30日(月) 28日購入の書籍のうち、自治体議員に関する本を読み進める。
・31日(火) 栄村の「人口ビジョン」(H27年11月策定)の検討。