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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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秋山郷で暮らす

 

 5月20日午前、「復興への歩み」などの配達で屋敷集落を廻っていた時、田掻きをしている人が目に飛び込んできました。オレンジ色の作業着に見覚えがありました。「坪内さんかな」と思って、田んぼに行くと、坪内さんの奥さんが耕運機で田掻きの真っ最中。坪内さんの了解を得て、写真を撮らせていただきました。
 坪内さんはこの3月末まで地域おこし協力隊員(3年間)。現在は屋敷集落に住み、役場産業建設課の臨時職員として道路維持管理などの業務を担っておられます。昨春、結婚され、奥さまの恵理子さんも都会から移住して来られました。
 この日の午後に開催されたシンポジウムで初めて知ったのですが、坪内夫妻が作業されていた田んぼが、屋敷集落で耕作されている唯一の田んぼだそうです。

 

● 「秋山郷新歩時生(しんぽじうむ)」
 5月20日午後、小赤沢の「とねんぼ」で信越秋山郷会主催のシンポジウムがありました。
 「今できることを、今いる人たちで、今やる」という趣旨で、そのことを「新歩時生」という文字表記が表しています。
シンポジウムでは、史料保全有志の会代表の白水(しろうず)智氏が基調講演、小林幸一(津南町観光協会)、山田克也(秋山区長会長)、杉森奈那子(地域おこし協力隊)、坪内大地の4氏が意見発表されました。

 

秋山の暮らしの風景 5月6日撮影ですが、春が来るとすぐに、

秋山の多くの家で花豆(高原豆)の畑作りが始まる。

 

秋山の暮らしの風景 ほとんどの家で薪がつくられている

 

● 秋山郷での暮らしをいかに持続可能にしていくか
 有益なお話をたくさん聴くことができましたが、なかでも坪内さんのお話に強く共感を覚えました。
 彼は、秋山郷の現在、2〜30年後、さらにその2〜30年後についての予測を提起しました。「現在は60〜70歳代が世帯主」。「2〜30年後は、いまは都会で暮らす子どものかなりの部分、定年後Uターンで秋山郷に戻って来るのではないか」。「その子どもの子供、つまり現世帯主の孫は、秋山郷を『ふるさと』と思い、お盆や正月に帰省するが、Uターンは期待できないのではないか」。「すると、秋山郷の将来はIターン者にかなり依存することになる」。坪内さんの言葉を正確に再現できているわけではありませんが、こういう趣旨だったと思います。私も坪内さんと同じように思います。 続いて、坪内さんは、「でも、2つ、問
題がある」と言われました。1つは、「Iターン者が住む家がない」ということです。
 坪内さんの体験をふまえた問題の提起です。「家財(仏壇)がある」、「お盆に帰って来る」等の理由で家を貸してもらえないというのです。そこで提案されたのは、「1棟貸し」ではなく、「貸すのは1階のみ。2階には家主の家財を置く」という方式。坪内さんご自身、この方式で現在のお住まいを借りておられるそうです。この方式だと、家の管理、除雪を借家人にやってもらえるうえに家賃も入るので家主にとってとてもお得となります。「なるほど!」と思う
提案でした。
 2つ目は、秋山の保育所の問題です。
 坪内さんは「秋山郷はいま結婚ブーム」と言われました。たしかに、ここ2年で4組のカップルが成婚されています。そして、小さなお子さんがおられるIターン者ご夫婦も秋山郷にお住まいです。でも、現在は秋山の保育所は休園になっています。津南町の秋山郷・結東には双子の幼児がおられるそうです。坪内さんは、「今日は議員さんも来ておられるので、栄村と津南町が共同で保育所を開設するように努力してほしい」と話されました。

 じつに重要な問題提起だと思います。秋山郷に引き継がれてきた山の暮らし、本当に素晴らしいと思います。だからこそ、この問題提起にどうこたえていくか、みんなで真剣に考えなければならないと思います。


振興公社をどうすればよいか 〜現場で働く仲間を大事にし、お客さまとのつながりをより深く〜

 3月29日に村と振興公社の間の指定管理契約が議会で議決され、4月1日には新年度がスタートしました。1頁で紹介したように、素晴らしい春の訪れの中で、栄村・秋山郷を訪ねたいというお客さまからの予約問い合わせも入ってきているようです。
 しかし、残念なことに、振興公社の現場は満身創痍の状況で、もがき苦しんでいます。現場でお客さまをもてなす職員スタッフが絶対的に不足しています。また、浴室に不具合が発生して温泉営業を停止している北野天満温泉をめぐっては、村の対策検討の会議が4月13日に開催されるという対応の遅さで、現場は困惑しています。
 どうすればよいのか。現場を廻り、スタッフの声を聞く、また、村民のみなさんの意見や、栄村を訪れ公社施設を利用してきた村外の人たちの声も聞いてきました。
 以下、現時点で大事だと思うことを私なりに提案していきたいと思います。

 

● 経験を積み重ねてきた職員の確保がいちばん大事
 秋山郷には公社指定管理の施設が雄川閣、「のよさの里」の2つあります。
 4月1日スタートの新年度の体制では2施設合わせて職員の配置はわずか4名。しかも、秋山郷の施設での経験があるのは雄川閣の板前さん1名のみ。この体制には2つの大きな問題があります。
 1つは、「2施設で4名」ではとても管理運営できないということ。2つは、板前さん1名を除いて他の3名は秋山未経験というのでは施設の管理ポイントもよくわからないし、お客さまに秋山郷についてご案内することも充分にはできないことです。

(以下、この記事で掲載する写真は本文内容と直接には関係しないものを含みます)

 

のよさの里での雪囲い外し作業

本家と分家を結ぶ渡り廊下の雪囲いを外すには3日間かかるそうです。

設置の時は1週間かかります。10日午後撮影。

 

■ やる気でいてくれる経験者がいます
 まず、2つめの点が取り上げます。
 じつは、秋山郷の2施設で経験豊かな人材が不足しているのは、過去2年間の高橋(前)理事長体制下で不本意ながら退職に追い込まれた職員が複数名いるからです。施設の運営をめぐって「理事長」からの指示がクルクル変わる、それに物申すと最終的には仕事から外される等のことがあり、経験豊かな職員が辞めざるをえなくなったのです。
 これらの人は「秋山郷の施設を守りたい」という気持ちを今も持ち続けてくれているようです。まず、これらの人たちに振興公社に復帰していただくことが事態打開の大きなカギだと思います。
 もちろん、これらの人たちが超優秀で、何の欠点もないとは言いません。これまでの経験とあわせて、もっともっと研鑽と工夫を重ねてもらわなければならないと思いますが、それもまずは現場に復帰してもらって初めて言えることです。

 

白沢からの眺望

右奥は苗場山。その手前には上野原集落。

 

■ 「人手の確保が先か、営業収入の増大確保が先か」という問題
 つぎに、「2施設あわせて職員わずか4名」という問題を考えます。
 これも前理事長が「経費削減による赤字削減」という主張で、どんどん人員カットを重ねてきた結果です。「職員を切る一方で、理事報酬を得ているのはおかしい」という問題も指摘されていますが、ここでは「人手」「職員数」について考えます。
 人手を充分に確保することは人件費の増大を意味します。公社の現状からいえば、赤字額のさらなる増大の危険性を生み出しかねない要因です。
 しかし、人手が足らないことによって、どんな事態が生まれているかを直視しなければなりません。
 公社理事会の「新年度営業方針」では、雄川閣の宿泊受け入れは金・土とGWや秋の繁忙期のみ。のよさの里はコッテージ貸出(素泊まり営業)のみです。
 先日、偶々ですが、訪ねた先の公社施設で、職員が予約電話に対応しているところに出くわしました。「申し訳ありません。その日は営業しておりません」。予約申し込みが金・土以外の日だったのです。
 しかし、いま、観光客の主流のひとつは60〜70歳代のリタイア組です。平日か土日か、関係ありません。いや、むしろ、混雑を避けて平日をお選びになるでしょう。
 「金・土以外は宿泊営業しない」ことによって、せっかくのお客さまを逃してしまっているのです。
 たしかに、金・土以外の日に宿泊客を1組確保したからといって、全日営業するのに充分な人数の職員の人件費を稼げるわけではありません。しかし、「だから、職員数を減らして、金・土のみ宿泊営業」という方針にすることが正しいでしょうか。否、ですね。
 やはり、充分な職員を配置し、徹底的な営業で連日の宿泊客を獲得し、人件費をカバーして余りある営業収入を得る方を選択すべきだと私は考えます。

 

清冽な雪融け水とワサビ葉

撮影場所は下の写真のところ。秋山林道沿いの

不動滝の近くです。

 

 

● 営業拡大に求められること
 「徹底的な営業で連日の宿泊客を獲得…」と書きましたが、これが最重要の課題ですね。
 この課題の打開にむけて色んなことを考えなければならないと思いますが、〈人は何を求めて旅をするのか〉を考えてみましょう。
 自分自身にひきつけて考えれば、〈素敵な景色、美味しい食べもの、人との出会い〉、これが3大要素ではないでしょうか。
 栄村には、このうち少なくとも2つはありますね。素敵な景色と美味しい食べものです。ただし、私たち村民、とくに観光営業に携わる村の人に、その認識が十分にあるかといえば、「?」マークがつきます。

 

■ 素敵な景色への意識性
 「のよさの里」から見える鳥甲山の雄姿については、振興公社の職員も「素晴らしいですよ」と自慢しますが、「トマトの国」の前面に広がる素晴らしい景色については職員にそういう意識はあまりないようです。4月12日午後に撮った写真を掲載します。素晴らしいですよね。

 


 最近、公社のスタッフとそんな話をしましたが、「あまり見慣れていて、格別には意識しない」というのが直接的な原因のようです。しかし、観光の仕事に携わる者としては、それではダメです。「素敵な景色を売り込もう」という目的意識を抱いて、つねにフレッシュな目線で村のあちこちを見つめる。そういう意識性が求められます。
 12日午後、西大滝のサクラの様子を見に行った時、観光協会のスタッフと出会いました。「サクラの開花状況を見に来た」と言い、写真を撮っておられましたが、そういう動きを公社や観光協会等々が一体となってガンガンやっていくことが大事ですね。
 「トマトの国」の前面に広がる素晴らしい景色に話を戻すと、ひんご遺跡の発掘調査で「トマトの国」に宿泊されていた県埋蔵文化センターの人が、「朝、出かける前に『トマトの国』からの景色を眺めて鋭気を養い、現場に向かう」と言っておられたことを思い出します。

 

■ お客さまに声をかけ、お話をしてもてなす
   ――〈人との出会い〉の鍵

 

 今回は詳しくは書きませんが、〈美味しい食べもの〉も栄村にはたくさんあります。
 いちばんの課題は、〈人との出会い〉にあるのではないでしょうか。
 「むらのばあちゃんとお茶のみして楽しかった」というようなことがどんどん実現されれば、それに越したことはありませんが、観光の営業の拡大にとって真っ先に求められる〈人との出会い〉はそれではないと思います。観光に訪れた人たちにとっての〈人との出会い〉の最前線に立つのは旅館等の宿泊施設のスタッフです。
 その点をめぐって公社が運営する宿泊施設の現状はどうか?と言えば、課題は多いと言わねばならないのではないでしょうか。ネット上での「口コミ評価」を見ると、雄川閣への高い評価が見られますが、今号で取り上げたスタッフの異動の中で、高い評価を維持できるかどうか、心配です。
 〈お客さまに満足していただける人との出会い〉を実現していくには、2つの課題の打開が必要だと思います。
 1つは、スタッフ数を十分に確保し、スタッフがお客さまとお話したりする時間を確保できるようにすることです。たとえば、今回記しているように雄川閣へのスタッフの配置が2名程度にとどまるならば、スタッフ自身にはどんなに意欲があっても、お客さまと話す時間を確保できません。
 2つは、スタッフがお客さまへの関心を高め、お客さまの気持ちや関心を知ることと、それに応える話のネタを豊富に用意しておくことです。これには個々のスタッフの意識性が求められると同時に、スタッフの間でのミーティングやお客さまおもてなしに関するワークショップなどを頻繁に行うことが大事だと思われます。

 

何の花でしょうか?

秋山林道・不動滝のそばに賑やかに咲き誇って

いました。そばにマンサクの花も咲いていまし

たが、それとは異なるものです。

 

 

 〈振興公社をどうすればよいか〉というテーマで書いてきましたが、ここで議論してきたことは、振興公社関係者にどういう取り組みが求められているかということに尽きることではありません。私たち村民全体がどういう問題意識を持ち、公社の職員スタッフと共に力を合わせて、こういうことに取り込んでいこう!という呼びかけです。是非、みんなで考えてみましょう。

 

白沢から白瑤瞭を望む

 

 

 


栄村復興への歩みNo.331(4月7日付)

 

 

発想法を大転換して、栄村の力強い成長へ

 最近、「日本一不安な村」なんて言葉が聞こえてきます。とても残念なことですが、不適切発言をしながら、撤回もせず、村民に不安感を与える人がいるのだから、やむを得ないかもしれません。
ここらで、村民が主役となって、新しい動きを進めていくことが必要だと思います。そこで大事になるのが発想法の大転換。
 〈栄村は痩せ細っていく一方〉というイメージ(高齢化、子どもの減少、人口の際限なき減少などから出てくるイメージ)がありますが、これを払拭し、〈栄村が夢のある村へ、力強く成長する可能性〉という確信を広げていくことです。
 まだ充分には取材できていませんが、今後、そういう発想法で記事を編成していきたいと思います。

 

(本頁の写真は森集落開田上の旧村営グラウンド先です。4月2日撮影)


やる気のある人”が存分に活躍できる栄村にしたいですね

 本号のTOPに布岩山と屋敷山の写真を掲げました。とても綺麗ですね。12月27日、28日と大雪が続き、大変でしたが、その後、29日に青空が見え、太陽の光に白銀が輝く素晴らしい景色が広がりました。
 昨秋は布岩の紅葉の絶景がJRのキャンペーンで取り上げられました。2017年の栄村の十大ニュースの一つに数えても大げさではない特筆すべき出来事でした。ただし、JRのキャンペーンの効果をまだ十分に活かすことができているわけではありません。多くの人びとを栄村・秋山郷に呼び込むために、もっともっと工夫と努力が必要です。

 

● 元旦。直売所かたくりがお店を開いていました!
 前号にも書きましたが、“人”が鍵ですね。
 大活躍してほしい人がたくさんおられます。そういう人たちは“やる気”、そして創意工夫をもっておられます。
 このお正月に感心したことがあります。
 じつは私、95歳になる母が体調を悪くしていたため、年末の30日に京都へ行き、1日の午後3時頃に村に帰って来たのですが、国道を走っていた時、道の駅の直売所かたくりが店を開いていることに気づき、ちょっと立ち寄りました。「かたくり」がオープンしているだけでなく、厨房も開いていて、月岡の南雲茂さんご夫婦がネギ汁を出しておられました。私が行ったのが遅い時間だったので、ちょうど片づけをされているところだったのですが、「明日もやる」とのことで、2日午前、食べに行きました。ネギがたっぷり入っていて、とても温まる一杯でした(下写真)。「ネギを直売所に出させてもらっているので、こんなことをやってみた」とのことでした。

 


 「かたくり」はと言えば、雪が降る中、お客さんが多かったわけではありませんが、それでも大晦日と元旦の2日間で10万円をこえる売上げがあったとのことです。
 お客さんは、そりゃ、嬉しいですよね。雪道をずっと走ってきたら、最も雪深い栄村の道の駅で暖かいスペースに入れて、体の芯から温まるネギ汁を食べられる。こんな嬉しいことはありません。

 

雪道ドライブの若者と出会う
 2日午前、所沢ナンバーと多摩ナンバーの若者がネギ汁と塩にぎりを食べていました。声をかけると、雪道ドライブに来たとのこと。馬曲温泉(木島平村)などに立ち寄ってきたようですが、栄村内の道はよくわからない様子。「案内しましょうか?」、「お願いします」。百合居橋を渡り、貝廻坂を上がり、途中、妹木の牛舎にちょっと立ち寄り、大久保〜天地〜野口〜天代と進み、北野天満温泉へ。「ここ、温泉ですよ」、「あっ、地図に載っていたところですね。浸かってきます」。ここでお別れしました。
 ネギ汁と塩むすびで600円、北野の温泉で1,000円、少なくとも計1,600円は確実に栄村に落としていってくれたわけです。
これを、「なんだ、たった1,600円か」と思うか、「おお、1,600円」と思うか。人それぞれだと思いますが、「おお、1,600円」と思うほうが正解だと私は思います。

 

北野天満温泉そばの天代川

4日午前、一瞬太陽が出た時に撮影

 

「ネギ汁、食べに行こう!」という大阪から来た若者
 さらに付け加えれば、上記の若者二人と別れて森集落に戻ってきた私はYショップの前で、「大学生かな」と思われる男性1名、女性2名の若者に出会いました。あきらかに村の若者ではないと思われたので、「どこから来たの?」と声をかけました。
「大阪です。列車(飯山線)で来ました。長野まで戻るのですが、列車まで時間があるので、何かないかなと探しています。店(Yショップ)のおばちゃんに道の駅があると聞きました。」、「ああ、そこに行けば、ネギ汁をやっているよ」、「わあ、行こう!」。こんな会話になりました。
 やっぱりお店を開いていると色んな人がやって来るものです。

 

● やる気のある人が活躍できる栄村に
 直売所だけではありませんね。
 栄村のいろんなところに、色んな“やる気のある人”がいます。
 でも、そういう人たちが思いっきり活躍できる環境が不足しているように感じられてなりません。なんだかんだと制約を課せられて、思いのままに活躍することに困難を感じている人たちがおられるようです。何かすっきりしない空気を感じるのは私だけでしょうか。
 もやもやがあっては、村は明るくなりません。
 栄村を明るい雰囲気にしたい! これが今年の私の願い、目標です。
 みなさん、力を合わせていきましょう!


栄村復興への歩みNo.313

 

村民の力と技で、栄村の振興を進める
 写真は「トマトの国」の前の広場で愛湯会のみなさんが草刈りをする様子です。
 この写真に写っているのは7名だけですが、前号でも一言ご紹介したとおり、10名で午前8時半から約2時間半、広場をいっきにきれいにしました。撮影は草刈り終盤で、反対側から撮ると、下のような様子です。

 


 北野天満温泉では、やはり7月上旬、温泉の前の春にカタクリが群生する斜面がきれいに草刈りされました(下に写真)。北野集落の斉藤幸一さんにお聞きすると、こちらも10名前後の人たちが参加されたそうです。

 

 

下の写真は昨年4月のカタクリ開花期に北野天満温泉前の斜面で撮影したもの。

 


 この斜面の草を伸び放題にしておくと、カタクリは咲かなくなってしまいます。地元住民の草刈りあればこそのカタクリ群生なのです。


 7月に入ると草が勢いよく伸び、素敵な風景が台無しになるところがたくさんあります。
 草刈りをすると、栄村の景観資源が見事に蘇り、栄村の魅力が高まります。

 北野天満温泉に集う人たちは秋にもう一回、草刈りをされる予定だとお聞きしました。

 

もう一つの事例
 7月31日、野々海から貝立山麓を通り、スキー場に下ってきた時、ある箇所の変化に気づきました(下写真、松尾が31日午前11時すぎに撮影)。

 


 スキー場中段のリフト乗り換え地点のそばに今春、景観説明看板が設置されたところです。
 私は7月26日から毎日のようにスキー場の頂上まで通っていますが、この場所が草とボヤに覆われてしまっているのを見て、「これでは看板を設置した意味がなくなる」と危機感を抱いていました。
 31日夜、秋山の地域おこし協力隊員の坪内大地さんがフェイスブックで「展望台をチェーンソーでボヤ切りしてきました」と写真付きで紹介され、「えっ!坪内さんがやってくれたんだ」と喜びました。

 

私の挑戦

 

 

 上の写真は今年5月8日、まだ雪が残るゲレンデを登って、スキー場頂上で撮影したカタクリの群生の様子です。
 薄紫色やピンク色の花が残雪とのコントラストも鮮やかに咲き誇っています。観光協会には「スキー場のカタクリはもう見られますか?」という問い合わせ電話がかなり来るそうです。
 ただ、この写真に見られるカタクリ開花の様子、よく見ると、ひとつ難点があります。
 「かぶつ」(ススキや低木類の切り株)が目立ち、カタクリの花が見えづらいのです。写真を見た村外の人からの指摘で、私も意識するようになりました。
 5月12日にはカタクリに覆いかぶさる枯葉などを取り除いて撮影してみましたが、やはりダメです。下の写真ですが、「かぶつ」が凄すぎます。

 


 そこで、「7月頃に切り株を残さない草刈りをし、さらに秋にも草刈りして、来春、カタクリの花々が浮き上がるように見えるかどうか、試してみたい」と思うに至りました。
 スキー場係の許可を得て、7月27日からスキー場頂上の草刈りに挑戦しています。29日には友人の応援を得て、いっきに進みましたが、1日に2時間程度の作業ですので、まだ全体の半分程度です。
 いま繁っているススキなどを刈るだけでなく、古い“かぶつ”も強引に切り取っていきますので、草刈り機は悲鳴をあげ、私も疲れますが、やり遂げたいと決意しています。来春、どんな結果が見られるか。それを楽しみに頑張ります。草刈り現場の様子は次の写真をご覧ください。

 


7月26日の様子

 

7月31日午前の様子

 

振興公社の再建や、村の観光振興の方向性が見えてくる
 村はこの半年余り、振興公社の問題に揺れています。「森川村長の村政で栄村はどうなるのか?」という不安感も聞こえてきます。
 先日、「振興公社への出捐金5千万円を議会が否決したため、公社の先行きに不安を抱いた職員が次々とやめてしまった。なのに、議員からは反省の声も聞こえてこない」という発言を聞きました。しかし、この発言はおかしい。「公社が欲しいと言うおカネを黙って出すのが議会の仕事」なんてはずがありません。
 他方、森川氏は、6月議会での答弁を聞くと、「昨年の時点では公社には不要な人材が多かった。辞めた人等で赤字が削減できた」という認識を持っているようです。
 森川氏支持の人が公社職員の減少をめぐって議員を非難すると思いきや、森川氏は職員数減少を高く評価する。なにか混乱していますね。
 こういう混乱の底には、振興公社の問題を考え、議論する軸が定まっていないという問題があると思われます。

 どう考えたら、いいのでしょうか。
 いくら赤字が減っても職員数が激減し、職員が過重労働状態になるようでは、公社はよくなりません。また、議員は一般の村民のみなさんよりも情報に接する機会が多いですが、その議員でさえも、公社の経営状況を詳しく知ることができません。多くの村民が共通入浴券問題を一つの焦点としながら、公社の行く末を案じています。
 前号でも少し提案しましたが、情報を徹底的にオープンにし、村民と公社職員が一緒になって、ワイワイガヤガヤ、公社のあり方を議論するのがいちばんいいのだと思います。1頁で紹介した「トマトの国」や北野天満温泉の草刈りは、温泉(公社)を愛する村民と公社職員が率直に声を掛け合う中で出来たことです。
 公社の運営体制としては、理事などが村民の知らないところで非常に偏った構成で選ばれるのではなく、村民と公社(職員)が協働する中で、「あんた、この施設の運営にみんなの声が反映するようにしてくれや」ということで、地域の住民を代表するような人が理事会に送り込まれることが最も望ましいと思います。
 村民にはさまざまな力、技があります。今号のここまでに紹介してきた事例からもそのことが分かります。観光資源としての景観も村民の力と技で磨かれていきます。
 村民の力と技で栄村の振興を進める。それがいまいちばん大事なことなのだと思います。

 


「観光の振興」とは言うけれど・・・ その具体的な目標は、そして方法は何なのか?

 村づくり、産業づくり、雇用の場づくりという話になると、決まって登場するのが「観光の振興」です。
 でも、ある人から、
      「『観光の振興』って言うけれど、どういうこと? わかるかい?
       たとえば『民宿』って言ったって、もう高齢でできなくなって
       いる人も多いでしょう」
と質(ただ)されました。
 「まったくその通りです」とお答えするしかないですね。
 しかし、「わからない」では済まないので、何点か、大事だと思われることを書きます。一緒にお考えください。

“観光する人の願い”と、“村の側の願い”
 当たり前のことなのですが、“観光する人の願い”と“村の側の願い”は一致するところもありますが、異なっている点が多いことも事実です。
 “村の側の願い”は一言でいえば、「栄村を観光に訪れる人が増え、村にたくさんのおカネを落としてほしい」ということに尽きると言ってよいでしょう。
 しかし、それもこれも、観光客というお客さまの存在があってこそのことです。
 〈観光する人は栄村に何を望み、どんな不満を持っておられるか?〉―― このことを栄村は真剣に考えたことはあるでしょうか? 意外と(?)ほとんどないのではないでしょうか。

「“ちょっと休憩”で、お茶を飲むところがない」、「情報がない」・・・
 みなさんは、どこかへ観光に出かける時、お弁当やお茶などをあらかじめ作ってお出かけになりますか?
 〈眺めのいいところで手作りのお弁当を家族で広げて〉っていうのも素敵ですね。
 でも、とくに泊りがけの旅だと、「昼食はどこかのお店で」ということになる場合が多いですね。また、車の運転を担当する人は、「2〜3時間走ったら、ちょっとひと休憩。喫茶店のようなところでコーヒーを一杯飲みたいなあ」なんて思いますよね。
 さて、〈栄村の観光ポイント・秘境の秋山郷〉へ観光客として出かけてみます。
昼食を食べられるお店はどこにあるのでしょうか?
 基本的には「ない」と言わざるをえません。
 「秋山に行ってきたけれど、食べるところ、お茶を飲めるところがなかった。もう二度と行きたくない」――宿泊客からこう言われたという宿泊施設関係者の話を何件も私は聞いています。いや、そもそも、私自身が「復興への歩み」の配達で秋山に出かける日は、弁当を持ち、休憩時のおやつ・飲み物を「下(しも)」で用意してから秋山に向かいます。昨春、秋山での配達を始めた頃、丸一日、秋山を走り回り、夕刻に「小腹が空いたなあ」と感じ、「菓子パンでもあれば食べたいなあ」と思って一軒だけあるお店に入りましたが、その類のものはなく、かろうじてあった「ナビスコ・リッツ」を購入し、半箱ほど食べたという苦い経験があるからです。
  (記事をあまり長くしないため、今回は「情報がない」という点は省略します。)

村の側からみたら、この不満への対処はどういう問題を突き出すか?
 昨年秋の観光シーズンにこういう観光客の不満に対処する動きが2つ、出てきました。
 いずれも「復興への歩み」で紹介しましたが、1つは小赤沢集落の福原秀樹さんが、「ドライブイン苗場」を「お休み処苗場」としてリニューアル・オープンされたこと。もう1つは、地域おこし協力隊の木村敦子さんがその「苗場」の隣りの施設を借り受けて、お茶を無料サービスする「じょんのびお茶の間」を約2ヶ月間、開設されたことです(下写真)。



 とても画期的な取り組みです。
 しかし、残念ながら、いずれも経営(ビジネス)として成り立つものにはなっていません。
 福原秀樹さんの場合は、もう歳が高くなっておられていて、そんなに多額の稼ぎを必要とされていないこと、冬は除雪の仕事で少々稼げるということで、はじめてチャレンジできたというのが真相だと思います。
 木村敦子さんの場合は、「地域おこし協力隊員」として給料が支払われています。また、諸経費も「地域おこし協力隊」経費として村から支出してもらえます(その財源は国から交付されています)。
 木村さんは、もともと、2シーズン、雄川閣でアルバイトしたことが秋山移住のきっかけで、「秋山でカフェみたいなものをやりたい」と考えられて来られたようです。
 では、木村さんが「協力隊」の任期・最大3年を終えられた時、ご自分の生計が成り立つ形でこういうことをできるかと言えば、現状ではきわめて難しいでしょう。

打開すべき課題が見えてくる
 「やっぱり、観光振興なんて言ったって、難しいよ」ということでしょうか?
 私はそうは思いません。
 勝手ですが、木村さんの場合を1つの試論対象として考えさせていただきます。最終的には、「カフェ」を開業し、年間を通して顧客を確保し、1個のビジネスとして成り立つようにすることを目標とします。そういうことが可能でなければ、若者が秋山で暮らし、子育てするということは成り立ちません。
 しかし、一朝一夕(いっちょういっせき)にできることではありません。
 〈段階を踏む〉ということと、〈秋山流の独特の経営法を編み出す〉ということ、この2つのことが必要だと思います。

〈段階を踏む〉
 3〜5年計画が必要でしょうね。
 幸いなことに木村さんの場合、今年を含めてあと2年間、「地域おこし協力隊」として生計面の支えがあります。村には、木村さんが「カフェ」の準備・運営に最大限のエネルギーを注ぎ込むことを認めていただきたいと思います。
 木村さんご自身だけの努力だけでは、どうにもならないこともあります。
 たとえば、栄村を観光しようと思う人が、栄村の公式ホームページ、あるいは栄村秋山郷観光協会のホームページを開いたとします。すると、真っ先に「秋山郷で24歳の女性がカフェを開業中」という記事が目に飛び込んでくる。そういうふうになっていれば、木村さんのカフェへの入り込み客数はいっきに増えますね。
 ところが、「公平性」を重んじる栄村ホームページはこういう特定の個人(の事業)をクローズアップするような記事を掲載していません。村民のみなさんにお尋ねします。そういう記事が村のホームページに掲載されたら、あなたは「不公平だ」と言って怒りますか? そんな偏狭な心の持ち主はおられないと私は確信します。
 こういう支援は、ほとんどおカネを必要としません。発想法・考え方が大事なのです。

「秋山流の独特の経営法」とは
 秋山は冬の観光も充分に可能です。村の側からの情報の提示のしかた次第です。
 とは言っても、やはり秋の紅葉期と比べれば、冬は少ないでしょうね。
 男性の場合、「冬は除雪で稼ぐ」という道もありますが、女性の木村さんには厳しいですね。しかし、今冬、木村さんは五宝木の福原勇一さんから藁草履作りを習われたとか。「藁草履作って、いくら稼げるん?」と思う人もおられるかもしれませんが、そういうものが人気を呼ぶのがいまの時代なんです。
 これはほんの一例。小赤沢の保存民家で、冬、〈地炉で火を起こして暖まる〉なんてことを望む観光客もきっとおられますね。予約が入れば、木村さんにそのお世話をしてもらう契約を村(管理部署の教育委員会)が木村さんと結ぶ。そういうのもありだと思います。
 〈百姓〉という言葉があるように、〈百の仕事に取り組む〉ことが「秋山流の独特の経営法」です。そういう事例は全国各地をみれば、いろいろと参考になるものがあります。

一人ひとりの想いを活かし、観光振興の計画へ
 木村敦子さん。ここまで勝手に話題にしてご免なさい。
 私は〈観光振興〉というのは、こういうことを考え、具体化・実践していくことだと思うのです。秀樹さんや木村さんのように「こういうことに取り組むぞ」という人がいたら、村が全力で支援する。そして、一つひとつは小さな試みの実践と固く結びつけたところで、秋山郷だったら秋山郷の年間(及び季節別)の入り込み客数の目標値を具体的に考え、その実現にむかって村の観光振興の年次計画をつくっていくのです。
 こういうことをみんなでワーワー議論し合っていけば、力が湧き出てくると思います。

<後記>
 7〜8頁は写真もなく、文章の多い号になりましたが、議論が大事。ご容赦ください。
 

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