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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告No.38

村政の転換が必要です
〜12月定例会の報告と私の考え〜

 

 12月3日(火)〜6日(金)、村議会の12月定例会が開催されました。
 議案では、台風19号被害対策の補正予算が最重要議題でした。その中で村財政の抱える問題も浮かび上がってきました。また、「会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例」という聞き慣れない名称ながら、とても重要な条例案もありました。
 一般質問では、「目安箱」の実態が全面的に解明されました。解散した(一財)栄村振興公社への出捐金の処理の不明点の解明も進みました。さらに、台風19号での百合居地区での浸水の原因をめぐって新たな事実が判明しました(この点は別の機会に詳報)。
 総じて、森川村政の問題点が抜き差しならない形であきらかになってきました。村政の根本的な転換が必要になっています。方向性を共にする人びとと力を合わせて村政転換へ頑張っていきたいと思います。

 

◇  目安箱をめぐる一般質問の詳報
 「目安箱」をめぐる一般質問の結果について、12月7日付の「速報」で報告しましたが、より詳しい報告記録が出来ましたので、以下に掲載します。

 

松尾 一つ目。目安箱はどういう法令上、制度上の設置根拠に基づいて置かれているのか。公約に書かれたものでも施策として実施に移すには法令的制度的根拠があるだろう。設置の目的と併せて答えを。
2点目。目安箱が村の施設設備の一環であれば何らかの部署によって管理されているだろう。どの部署か。管理規則はあるのか。新聞報道では目安箱の鍵は村長のみが持ち、役場職員は管理職も含め管理に介在していないという。事実か。事実だとすれば投書があったという事実の客観的証明は不可能なのではないか。
3点目。目安箱による村政、村行政の改善事例があれば聞かせていただきたい。各課長から答弁いただきたい。」
村長 目安箱の法令上、制度上(の根拠は)無い。調べると8代将軍吉宗、享保の改革の一環として出てくる。
公約から所信表明において、「開かれた村政」がキーポイント。村民の皆さんからのご意見ご要望を受ける窓口の新設。目安箱は開かれた村政をするため。
目安箱の鍵の管理からすべて私が管理する。私のみが現物を直接見て、私のみしか分からない取り扱い。課長等においては(行政改善の指示のうち)どれが目安箱から来たものかはわからない。
松尾 答弁が漏れている点を聞く。村長のみが見ているのだとしたら、投書があったという事実の客観的証明が不可能なのではないかと聞いているが。
村長 今の聞き方は、投書があったのは私だけしか見ていないので、それが本物か嘘物か分からないという解釈でよいか。
松尾 本物か嘘物かというよりも、本当にあったのかどうかということ。
村長 私が嘘をついている、ついていないかという回答でよいのか。
松尾 それは村長の受け止め方次第ではないか。
村長 では、証明については私以外には出来ません
松尾 為政者が施政に臨む際の姿勢として享保の改革の目安箱を思い起こすのは結構だが、享保の改革は江戸時代の話、将軍がすべての権力を持っている。近現代は行政と立法が権力が分立していて、市町村においては二元代表制がとられている。
 目安箱の法令的根拠は無いという答弁は非常に不満足。
 村長は地方自治法149条で規定された権限に基づいてのみ行政の長として職務を執行する。答弁の中に地方自治法149条への言及があってしかるべき。(目安箱は)149条の1項から8項には該当しない。おそらく9項の「前各号に定めるものを除くほか、当該普通地方公共団体の事務を執行すること」を根拠として目安箱が設置管理されているのだろう。
 目安箱の設置費用は村の行政経費で賄われているから村の行政の設備の一つとして適正に管理されて然るべきだ。
 2回目の質問になるが、目安箱に入った投書は村長宛だけでなく他の人宛のものも村長しか見ないのか。
 投書内容にしかるべき対応をする際に、その投書内容について一般民間人に相談することはあるのか。
 投書内容の真偽が定かでない段階で、村長が投書内容を巡って特定の村民を処罰してほしいということで警察に相談する事例はあるのか。
村長 私宛ではないものはその方に直接渡す。事業で「こうしていただきたい」というものは、現地が分かれば現地へ行って状況を把握。投書した方の名前が書いてあれば、「ちょっと教えていただきたい」という照会は私がします。
 警察関係の投書、「警察を呼んでください」というのはまだ入ったことはない。
松尾 村長以外の人に宛てたものは宛先になっている人に渡すという答えだが、議会では正反対の説明を受けている。村長、議会議長、議会事務局長、3人宛の投書について、議会関係者は原本を見ていないと言っている。どちらが本当なのか。
 私が議員職にある者として渡された書類に次のような趣旨の村長の発言が記録されている。
    『ある日、投書があった。その中にある集落の、ある職業歴

     のある方のことが書いてある。この方を村長は仮にBさんと

     いう方だと思った。ところが自分がBさんを訪ねて行って人

     違いだということになれば、これは困ったことになるので、

     Cさんという方をたてて、Cさんに間を取り持ってもらい、

     Bさんに村長室に来ていただいた。仮に村長がBさんと見当

     をつけた人が間違いだったとすれば、それはCが間違ったと

     いうことでCの責任にしてしまえばいい、自分は関係ないと

     扱うつもりだった。』
 こういう発言を村長がしたという記録が残っている。
 「警察に相談したか」という点でも、「そういうことは今まで無い」との答弁だが、村長発言の公的記録に、「警察にいってもみなグレーと言うんです。だから別の形で処置してください」とはっきり残っている。しかも、投書内容が本当なのかどうかの事実確認をしている当日のその現場でこういう発言をしている。つまり、村長自身が投書内容の真偽を確かめていない段階で警察に相談している。私は不思議でならない。
村長 3者(村長、議会議長、議会事務局長のこと)において、私しか鍵はもっていない。その中で「匿名にしていただきたい、この分については消して渡していただきたい」と書いてあったので、消してある。それを私が打ち直す。
 私は警察に行ったのではなく、あくまで弁護士さんと通じた。直接私が警察に行って「よろしくお願いします」というのは、私はまだやったことはありません。
松尾 一つ答弁が抜けている。民間人に相談しているのか。
村長 有る。どこの自宅の水路どうのこうの…
松尾 いやいや…、先ほど言ったではないか。ある投書の人物、それがBさんだと村長は推測してが、間違っていたら困るからCさんという人に間を取り持ってもらった、間違っていたらCさんの責任にするという発言が記録されているが、そういうことはあるのかと聞いている。
村長 その記憶は私はありません。以上です。
松尾 (私が取り上げた文書は)議会で「あなたが読まないとこれ以上議論が進まない」ということで10月16日に渡された文書。その文書が「私に読ませれば副作用がありますよ」と私が言ったところ、村長が傍聴席から「警察介入お願いします」と発言した時の文書です。
(村長から正規の答弁ではない「警察と言っていない。ボディーガードだ」という発言)
松尾 ボディーガードでしたら、ボディーガードで結構。警察という言葉が出たことは事実です。

 

● 「村長だけが知る」というのは民主主義に反する。「開かれた村政」の実現は森川氏では出来ない
 「目安箱」を以上のめぐる質疑であきらかになったのは、「目安箱」について知っているのは森川氏ただ一人だということ。これでは村民は議員を含めて誰一人、本当のことを知ることができません。
 森川氏は「開かれた村政をめざす」と言ってきましたが、「目安箱」の扱いを見れば、森川氏の手では「開かれた村政」は実現不可能だということがはっきりしました。
 栄村は、森川村政下で、じつに深刻な状態になっています。独裁国家のようなあり方を容認することはできません。
 村政の根本的な転換が必要です。


◇  台風19号被害対策の事業費は約11億6千万円
 12月定例会には台風19号被害対策に関する専決処分の承認案件と補正予算案が提出されました。
 台風19号被害対策の専決処分は10月25日付のもので、主たる内容は国庫補助の対象となる公共土木施設災害復旧事業で、国への補助事業申請期限との関係で10月25日までに予算を決定する必要があったものです。総額は5億3,126万円。激甚災害の指定を受けたので国庫補助率が83%に引き上げられています。
 国庫補助事業となったのは、村道天代坪野線(天代地区、坪野地区の2ヶ所)、村道野口坪野線(2ヶ所)、村道鳥甲線(極野)、村道極野線(2ヶ所)で、事業規模は計3億7,922万円。村単での公共土木災害復旧は計4,550万円です。
 もう一方、12月定例会に一般会計補正予算第8号が提出され、ここには農地・農業施設の台風19号被害復旧事業として、国庫補助事業6億4,500万円と村単事業750万円が計上されています。また、林道3ヶ所の国庫補助による災害復旧事業1,220万円も計上されています。

 

● 工事着手の見通しについて
 これらの災害復旧事業の予算額は急を要するために概算額で算出されています。そして、工事の着工はすでに応急復旧が行われているもの(たとえば村道天代坪野線)もありますが、農地の場合などは多くが「来春作付前」とされています。
 この「議員活動報告」のスペースの関係で、個々の被災箇所について細かに記すことができませんので、「私の地区の被災箇所はどうなっているの?」という点については役場担当課にお問い合わせください。それでも不明な点があり、さらに詳しく知りたいという場合は私にご連絡ください。不明点の解明に努めます。

 

● 村の財政調整基金が7億円を切りました。財政再建の課題に取り組む必要があります
 タイトルに書いたとおり台風19号被害復旧事業の総額は11億6千万円という巨額にのぼりました。村の今年度当初予算総額が32億1,900万円であることを考えると、その大きさは一目瞭然です。
 ここで注目しなければならないのが村の財政調整基金(一般家庭での貯金に当たるもの)です。10月25日専決処分と12月定例会提出の補正予算で約1億7,700万円の財調基金が取り崩されています。復旧事業総額11億6千万円からすると少ない財調基金取り崩しで済んでいます。今回の災害が激甚災害の指定を受け、国庫補助率が大きく引き上げられたからです。激甚指定がなければ復旧事業費のほぼ半分を村で出費しなければならないことになります。ですから、大規模災害等の非常時に備えて、村は一定額以上の財政調整基金を確保しておかなければなりません。
 ところが、村の財政調整基金がここ2年の間に急激に減少しています。
 H29年度末の財調残高は約13億4,400万円であったのに対して、H30年度末は約9億8,300万円で、H30年度の取崩し額は約4億600万円。また、今年度の取崩し額もすでに2億6,400万円を越えていて、残高は6億7,100万円しかありません。2年前の半額に落ち込んでいるのです。
 これでは何かあった時に対応できません。気候変動によって大規模災害が続く昨今、財政面でも災害への備えが必要です。
栄村の財政は大きな危機に直面しています。行政に精通する人たちからは「これでは数年しかもたない」という声が聞こえてきています。村の財政再建は待ったなしの状況です。
 財政の面からも村政の転換が必要になっています。


◇ 出捐金問題で真相が見えてきました
 私は一般質問で、9月定例会に続き、(一財)栄村振興公社への出捐金の処理に関して質しました。
 「出捐金の処理について、村と一般財団法人栄村振興公社の間でどのような協議の経過があったのか」という質問に対して、商工観光課長から次のような答弁がありました。
   「公社より平成31年1月25日付で「法人解散に伴う課題、懸念

    事項についての対応依頼」という文書で「出捐金8千万円につ

    いて、運営費に充てて残額が無いため免除願いたい」という文

    書をいただいております。対して村長からは、平成31年2月15

    日付で、「出捐金の残額があれば清算に伴う経費不足に充当す

    るよう」通知してございます。」
 出捐金8千万円の扱いについて、やはり公社と村長の間でやりとりがあったのです。公社側が「出捐金(の返還を)免除してほしい」と村長にお願いし、それに対して村長は出捐金8千万円のうち約6,800万円について「清算に伴う経費不足に充当=公社の累積赤字の処理に使ってよい」という指示をしていたのです。この6,800万円は村の財産であり、これを公社の累積赤字処理に使うことを認めるのは村の財産権利を放棄するということです。
 地方自治法で自治体の権利放棄は議会の承認が必要だと規定されています。ところが、森川村長は議会に諮ることなく、村長の一存で村の財産を処分してしまったのです。これは明白な地方自治法違反です。
 村の財産は森川村長の私物ではありません。村民の財産です。それを勝手に処分することは絶対に許されることではありません。私はさらに追及していきたいと思います。


◇ 「会計年度任用職員」という聞き慣れない用語と村の臨時職員への対応について
 12月定例会には「栄村会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定について」という議案が提出されました。
 「会計年度任用職員」という用語、議員も初めて耳にするものです。私は定例会前に調べてみました。「会計年度任用職員」とは臨時職員のことです。今春、国において地方公務員法の改正があり、それに対応して各自治体において法改正に対応する条例の制定が求められたのです。
 この地方公務員法改正は、非正規雇用である臨時職員制度を改善するよりも、むしろその非正規雇用を固定する面の方が強いと私は見ています。ただし、この「会計年度任用職員」という制度そのものは国政レベルのことですから、村レベルで対応できることではありません。
 問題は、栄村がこの「会計年度任用職員」制度の中で、どういう対応をするのか、です。
 「会計年度任用職員」には、「フルタイム会計年度任用職員」と「パートタイム会計年度任用職員」の2種があります。栄村役場には正職員と同一時間働いている臨時職員が24名おられますが、この24名については「フルタイム会計年度任用職員」として雇用されるものだと私は思っていました。
 ところが、村の答弁は、「24名はパートタイム会計年度任用職員とする」と言うのです。私が「どうしてフルタイムではなく、パートタイムなのか?」と問うと、「勤務時間をフルタイムよりも15分短くする」という答弁。これには驚きました。「フルタイム」にすると正職員と同じ諸手当の支払いが求められることから、こんな姑息な方便を考え出したのでしょうが、許されるものではありません。
 私はこの条例案の採決では反対しました。諸方面と協力して、この臨時職員への不当な扱いをやめさせるためにさらに頑張りたいと思います。


◇ 「商工観光業者経営資金貸付基金」は疑問が大きい
 災害で経営が苦しくなった個人自営業者への支援制度として「商工観光業者経営資金貸付基金」を設けるという条例案が提出されました。
 1事業者あたり最大300万円を貸し付け、返済は1年据え置きで、2年目に全額返済というものです。事業者であれば、「2年目に全額返済」が極めて困難であることは明白です。質疑でその点を徹底的に議論しましたが、村は提案を変えませんでした。そのため、私は本議案には反対しました。

 

◇  消費税増税に伴う水道料等の値上げについて
 消費税増税に伴い、村の簡易水道、浄化槽使用料、農集使用料、ケーブルTV使用料を値上げする条例案が提出されました。
 10月の全協(村長提出)で協議があった時、消費税増額分=2%アップを計算する際に10円未満の端数を切上げて料金設定するという村の案に反対しました。12月定例会での村の提案はその点が改まっていなかったので、改めて質問しました。村は「国の指導で数年後に簡易水道等について公営企業会計に変更しなければならない。それに対応して少しでも赤字額を減らすために、10円未満の端数を切り上げさせていただきたい」という答弁でした。
 公営企業会計への移行とは、一言でいえば、民間企業会計と同じ扱いをするということです。住民の暮らしに不可欠な水道事業等でこういう制度変更を行うことに私は疑問を抱いています。さらに研究を深めたいと思います。
 ただ、今回の値上げに関して、村の簡易水道特別会計等が苦しい状況にあることを鑑みて、私は採決で賛成の立場をとりました。苦渋の判断です。みんなの暮らしを守るために村政においてどのような工夫をしていくか。考えなければならない課題が山積しています。

 

 12月定例会の報告は以上ですが、村政が重大な局面を迎えていることは明白です。森川村政からの転換が必要です。そのために全力で頑張っていきたいと思います。

 


松尾まことの議員活動報告号外(12月7日付)

「目安箱」をめぐる一般質問の結果について

 

 議会12月定例会の3日目(5日)の一般質問に際しては、多くの方々に傍聴にお越しいただき、有難うございました。
 質疑内容の詳細については、議事録が出てくるのを待って精査し、改めて詳しくご報告申し上げたいと考えていますが、ひとまず速報的に何が核心であったかについて私の総括を報告させていただきます。

 

◎ 「原本は私だけが見る」という村長答弁の重大性
 今回の質疑の最大のポイントは、森川氏は「鍵を持っているのは私だけ」、「投書の原本は私だけが見る」と答弁し、「村長しか見ていないというのであれば、投書が本当にあるという客観的証明はどのようにして出来るのか?」という問いに対して、「私が嘘をついていると言うのか」と発言したことです。
 これは村長という地方自治法に基づく公職にある人が言っていいことではありません。
行政というものは、法令に基づいて運営・執行されるものです。「法令に基づく」ということは、投書ひとつをとっても、村役場という行政組織の中のなんらかの組織・職員が受領印を押して、公文書として扱う、そして唯一人きりの職員の手で管理するのではなく、必ずなんらかのチェックシステムが存在することによって、特定の人物による恣意的な扱いができないようにして、客観性や公正性を担保するということです。
 しかし、森川氏はそういう行政の運営・執行の原則を完全に否定しているのです。
 じつに重大かつ由々しいことです。

 

◎ 「開かれた村政」どころか、前近代の幕府体制のような「閉ざされた村政」ではないか
 森川氏は「目安箱」設置の意図について、「開かれた村政を実現するため」と言いました。「開かれた村政」、誰もが望むところです。
 ですが、森川村政は本当に「開かれた村政」になっているのでしょうか。
 いや、5日の答弁を聞く限り、逆に「閉ざされた村政」になっていると言わざるをえません。
 森川氏は、「目安箱」を思い立った経緯として、徳川幕府の享保の改革における目安箱の設置を挙げました。日本で義務教育を受けた人であれば、誰もが享保の改革の目安箱を知っています。着想のヒントを享保の改革から得るのは結構です。
 でも、いまは江戸時代ではなく、近代社会なのですから、栄村での「目安箱」は憲法や地方自治法等に基づいて設置・管理される必要があります。「目安箱」に入れられたという投書の原本を村長以外は誰も見ることができないというのであれば、村長に無限の権力を与えるのと同じです。江戸時代であれば、それも許されたでしょうが、現代においてそんなことは許されるはずもありません。
 「村長、そういう投書が本当にあったのですか? その証拠を示してください」と言うと、「お前は俺が嘘をついていると言うのか」と開き直る。これでは、「俺が本当だと言っているのだから本当なんだ。村長が言うことに異議を唱えるとはけしからん」と言っているのと同じです。どこが「開かれた村政」なのでしょうか。「開かれた村政」とは真逆の「閉ざされた村政」と言わざるをえません。
 武士の時代、殿様に諫言(かんげん)するには切腹の覚悟が必要だったようです。
 栄村を「刺し違え」の覚悟をもたないと村長にむかって自由に意見も言えないような村にしてはならないと私は思います。

 

◎ 議会は毅然としなければならない
 みなさんがすでにその存在をご存じの「議員倫理規程」をめぐる問題、現在は議長、副議長、議会運営委員会委員長、総務文教常任委員会委員長の四者協議に委ねられています。
 「目安箱」に入れられたという投書が発端になっていますが、5日の村長答弁によれば、その投書の原本を議会関係者は誰一人として見ることができないという状態で、議会は何を議論できるのでしょうか。議会は村長に従属する機関ではありません。地方自治体は首長と議会議員がともに住民の直接投票で選出される二元代表制になっています。議会は自らが確認できる客観的な事実に基づいてしか議論も決定もできません。単なる二次情報や憶測で議論したり決定を行ったりすることは議会の自殺行為だと言わざるをえません。
 すべての関係者がこの二元代表制の原理に則って対処されることを望むところです。

 


松尾まことの議員活動報告No.37(11月13日付)

「議会はなに馬鹿なことやってんだ。もっと他に大事なことがあるだろう」というお叱り。
その通りだと思います。

 

 久しぶりの議員活動報告になります。
 議会の中で私に対する「議員倫理規程違反の疑惑」が延々と検討されている状況が続き、その問題を抜きにして「活動報告」を書くわけにいかない。しかし、その問題は「非公開」扱いの問題、いわば「密室」の議論となっているので、なかなか書きづらい。そんな状況でした。
 しかし、議会全員協議会の場で、議長から「この問題はもはや公になっている。対象議員は松尾議員」と発言があり、11月6日の全員協議会には多くの村民が傍聴に来られている中で問題の議論が行われました。そこで私は全文公表を前提として私の考えを述べた文章を読み上げています。
 問題に決着がついたわけではありませんが、以上のような次第ですので、私の「議員活動報告」を書くことにしました。

 

 「議員倫理規程問題」及び森川村長の傍聴席からの不規則発言(野次)が『妻有新聞』11月9日号で報道されたこと、また多くの村民が11月6日の全協を傍聴されたことで、ここ4〜5日、会う人、会う人から、上に記したような文言で議会に対するお叱りを受けます。また、「松尾さん、負けたらいかんよ」との励ましの言葉もいただきます。
 私が11月6日の全協で読み上げた「私の思い」の全文は別紙にてご紹介させていただきます。本紙では、それをふまえて、議会と村政の現状とその打開について私の考えを述べさせていただきます。

 

◎ 村の抜本的立て直しが急務です
 私は、村はいま、大きな危機に直面していると思っています。2つの意味においてです。
 1つは、みなさんから厳しいご批判をいただいている議会の現状に象徴される、〈訳の分からない村政〉の現実です。
 私に対する「議員倫理規程疑惑」は3月以来、7カ月余にわたって“熱心”に延々とやられています。他方、栄村でも大きな被害をもたらした台風19号について、10月18日の全員協議会(村長提出)で、村から被害状況の報告がありましたが、それをめぐる質疑は、私などが質疑した以外は率直に言ってきわめて低調でした。
 「議会が議会らしい仕事をしていない」と批判されても返す言葉がないと思います。
 私は台風19号の直後から様々な災害現場に赴き、被害の実態を写真撮影するなどして、「栄村復興の歩み」の号外を発行して、村内外に発信していますが、その際、どの災害を公表するかについて村幹部の事前了解を得なければならないという制約を受けています。何かおかしくはありませんか。
 この後に報告するように、議会には議論しなければならない深刻な問題が多々あると思うのですが…。

 

 2つは、子どもたちの世代、孫たちの世代が暮らしていける栄村の未来像を描き出せる村政が求められていると思うのですが、そういう村政になっていないということです。村民のみなさんとお話しすると、閉塞(へいそく)感が痛いほどに伝わってきます。それを打開するのが村政と議会の役割だと思います。
 今月配布されている「公民館報さかえ」第331号に「一石を投じる」という2頁にわたる文章が掲載されています。私は深く共感しました。ここまで真剣に、そしてしっかりした考えを持って公民館活動に尽力して下さっている方がおられるのに、議会は、村政は、応えているのか? 本当に恥ずかしく、責任の重大さを痛感します。

 

 

◎ 自然災害にどう対処するか ―― 里山・流域ルネサンスを!
 台風19号は本村にも多大な被害をもたらしました。とくに百合居での千曲川の氾濫と並んで、天代川流域での被害は凄まじいものです。8年前の地震は未曾有の大災害でしたが、今回の天代川流域の災害はある面では8年前の震災をも超える深刻さを有する大災害だと私は考えています。
 去る11月5日、私は坪野集落に車を残し、坪野集落から約2卆茲泙芭啼擦鯤發い鴇紊蝓∪遒販啼察∋海虜匈仮況を見てきました(これは私のジャーナリストとしての活動ですが、同時に村の議員としての調査活動でもあります)。往復3時間を要しましたが、行けたのは本来めざした距離からすれば、まだ半分にも達しない程度です。
その調査結果の概要は「栄村復興への歩み」No.369(11月7日付)で報告しています。是非、そちらをご覧ください。
  *「栄村復興への歩み」は発行経費の膨大化に対処するために印刷版は現

   在、有料化させていただいています。ネットでは無料閲覧できます。

   No.369に限り、定期購読ご希望でなくても、ご要望があれば印刷版を

   お届けします。電話でご連絡ください。

 

■ 山が荒れている
 坪野集落から上流の天代川とその流域の山、現在では、年2回の坪野堰の普請でかけ口に人が行くのと、釣り人が入っているであろうと思われる(最近ではめっきり少なくなりましたが)のを除けば、ほとんど人が入らなくなっています。
 その結果、どういうことが起こっているでしょうか。

 

● 山・森から流れ落ちる雨水が川に入らず、林道に流れ落ち、林道が通行不能になる
 雨が山に、森に降ります。その雨水は山肌を流れ落ちます。
 人が入っていた時は、その雨水が天代川に流れ落ちるように林道に溝を切るなどの作業が丁寧に行われていました。
 しかし、今はそんな作業をする人もいないので、溝はなくなり、山・森から流れ落ちて来る雨水は天代川に流れ込むのではなく、林道を流れます。その結果、林道が川のようになっていきます。
 すると、林道は四駆の軽トラでも走れないような状態になります。2〜3年前はそれでも、今回私が歩いて到達した地点あたりまで軽トラで行けました。今はもう無理です。だから、今回、私は集落を出たところから歩くことにしたのです。

 

● 人の入らない山は下草が繁り、雨水が土に浸み込むことを妨げます。人工植林の杉林は下草もあまり生えず、雨水をどんどん下へ流します
 人が入らなくなった山・森は下草刈りが行われていません。下草が繁っていると、雨水はその上を滑るように流れ、森の土壌に浸み込む(=保水される)ことがなくなっていきます。台風19号はたしかに前例がない大雨でしたが、数時間前〜半日・1日前に山で降った大量の雨が下流にまっすぐ下ってきて、下流で大洪水・氾濫を引き起こす。これは山の保水量が低下しているからこその事態だと思います。
 また、杉林から大量の土砂が流れ出ている状況を11月5日、天代川の中流で目撃しました。

 

■ 自然の川って、どんなものなのだろう
 今回、車ではなく歩いて天代川沿いを上ったので、じっくりと川の様子を見ることができました。
 驚いたことがあります。
 天代川の川幅というのは頻繁に変化するのですね。広いところもあれば、狭いところもあります。そして、林道から容易に近づけるところもあれば、林道と川の間が急峻な崖になっていて近づき難いところもあります。
 川の流れ、川の幅は、素人なりに考えるに、流水量・流速と川が侵食する岩・土壌の硬度との関係の中で自然に決まっていくのでしょう。

 

● 人間が人工的に調整してきたものを放棄すると、何が起こるか
 人間は、里(人が暮らすところ)では、そういう川の流れや幅を人工的に制御(コントロール)しようとしてきました。護岸工事や砂防ダムの建設などです。天代川でも人が暮らす坪野〜天代〜県道のゾーンでは護岸工事が行われ、その横に車が走れる道路がつくられてきました。さらに、集落よりも奥には3つの砂防ダムが建設されました。
 しかし、砂防ダムの維持管理作業は行われていないようです。少なくとも下流に近い方から1つ目と2つ目のダムは土砂で完全に埋まってしまっています。今回の台風19号で埋まったのではありません。それ以前から埋まっていたのです。その結果、上流から流れ下ってきた倒木や大きな岩などを止めるどころか、逆に、一定の高さ(堰堤の高さ)から落下エネルギーによって勢いをつけさせながら、下流へいっきに流していったのではないでしょうか。実際、私が視認したかぎり、下流部の方が上流から一気に流されてきたと思われる大きな流木や岩が多かったです。そして、そういうものが護岸工事既設箇所に襲いかかってきた。それが今回の多数の護岸崩壊の原因なのではないでしょうか。
 この事態に対して、下流部で護岸を再建する(たとえ従来よりも強度を上げたとしても)だけでは、今後いっそう強まると思われる“自然災害”の猛威に対抗することは困難なのではないかと思います。

 

■ 「奥山・里山・里」の区分を再構築する必要がある
 クマ・イノシシなどの獣害をめぐって、「奥山」(自然動物の領域)、「里山」(人間が活動し、自然動物と人間の境界線となる)、「里」(人間が平穏に暮らす・暮らせる領域)の区分(棲み分け)が崩れていることが原因だと、多くの専門家によって指摘されています。この指摘が正しいことは、村民のみなさんが自らの体験から認識されているところでしょう。
 同じことが水害をめぐっても言えるのではないかと私は考えます。
 天代川の源流部は野沢温泉村の毛無山(標高1649.8m)の北側の山腹にあります。現在は野沢のスキー場や県道奥志賀高原栄線が走るゾーンに近いところですが、昔は人がほとんど近づかない(近づけない)奥山だったと思われます。

 

●戦時中・戦後初期の山の伐採
 戦時中から戦後初期にかけて天代川流域の山林はつぎつぎと伐採されました。戦時中の伐採は木製戦闘機の材料確保、戦後初期は住宅復興のための合板用資材の確保が目的だったようです。この伐採作業のために多くの人たちが青森県などから出稼ぎに来て、坪野集落は人で溢れていたそうです。天代川流域の山を伐り尽くすと、次は北野川流域に伐採場所が移って行ったと聞きます。
 天代川の伐採箇所はその後、どのように措置されたのでしょうか。私は現時点ではよくわかりません。天代川上流へ歩を進めて見える山は広葉落葉樹林が多いように見えますので、ひょっとすると自然の再生力にまかせたのでしょうか。

 

● 〈人が里山に入る〉ことの代わりを砂防ダムはできるのか?
 奥山から里(坪野集落)にむかって下ると、一定のところは里山になっていたはずです。つまり比較的最近まで人が入る山であったはずです。北野の山ではかなり最近まで森林組合の手で下草刈りが行われていたと聞いています。おそらく坪野の里山でも下草刈りや山菜採り、薪(たきぎ)取り等で人が入っていたと思います。
 坪野堰の取入れ口は坪野集落から2劼曚評緡の天代川左岸の崖の上にあります。少なくともその辺りまではほぼ日常的に人が入っていたと思われます。右岸側でもその辺りまでは入っていたのではないでしょうか。
 その辺りが里山として管理されていれば、山に降った雨は現在のように一気に川に流れ込むことなく、一定程度、山で保水されるのではないかと思います。
 この里山ゾーンと考えられるところに3基の砂防ダムがあります。里山に人が入り、自然との共生関係を実現することができなくなり、その代わりの治山・治水事業として建設されたと捉え返すことができます。しかし、先に書いたように現在は維持管理作業が行われている形跡がありません。
 やはり人が山(里山)を管理することをせずに、近代技術による人工的構築物の設置で代替にすることは万能ではないのです。昔より省力化するとしても、たとえば砂防ダムのポケット部分に堆積する土砂等を搬出する作業の実施など、ある程度は人が入らないと山と川は奥山化し、自然の脅威が直接に里に襲いかかってきてしまいます。それが今回の台風19号被害なのだと思います。
 このことは天代川だけのことではないと思います。台風19号では各地で小さな河川が氾濫し、被害を大きなものにしました。全国的な過疎化の一層の深刻化によって、人が入らない山と川が全国各地に大量に生まれているのだと考えるのが妥当でしょう。

 

■ 里山・流域ルネサンスとは
 さて、2頁の見出しに書いた「里山・流域ルネサンス」とは何ぞや、です。
 “ルネサンス”という言葉は学校の教科書に出てきます。一般的には「古典古代(ギリシア、ローマ)の文化を復興しようとする文化運動であり、14世紀にイタリアで始まり、やがて西欧各国に広まった」と説明されます。そして、何かを復興・再生させようという場合に「○○ルネサンス」という表現法がとられるケースが多く見られます。私はそれに倣(なら)って「里山・流域ルネサンス」という表現を考えました。

 

● まずは、人が入ることから始める
 最終目標は、天代川流域に人が入り、里山活用が適切な質・頻度で行われることです。樹林の下草刈り・間伐、伐材の搬出と活用、山菜や茸の採取、釣り、川遊び等々の人間活動を蘇らせるのです。もちろん、これには人手と資金が必要ですし、そういう活動を持続させるには、その活動が稼ぎにつながることが必要です。
 いま、そういうことを即座に実現することはできません。だからこそ、山が荒れているのです。でも、「だから、ルネサンスなんて言ったって無理」と言ってしまえば、山は荒れ、災害は増える一方となります。
 まずは、生業化できるかどうかはともかく、関心を抱く人たちが山に入ることからスタートさせることが肝要です。村政レベルでは、そういう諸個人ないしグループの活動を積極的に奨励することで支援姿勢を示すことが求められるでしょう。

 

● 坪野の人たちから話を聴こう
 坪野集落の現住世帯(住民票がある)は2世帯です。しかし、春から秋は坪野で暮らす、かなりの頻度で坪野に帰り、米作りや山菜採りなどを行う人が少なくとも4世帯。
 相当の高齢に達している方が多いですが、まだまだお元気で、お話を聞くことができます。2〜30年前、50年前、70年前、坪野の人たちがどんな暮らしを営んでいたのか。山に入り、川と付き合うのに、どんな技や知識を有しているのか。
こういうお話は関心さえあれば、私のような素人でも十分にお聴きすることができるでしょう。
 と同時に、専門家にも少し入ってもらうと、さらにいいですね。今流の機械化・効率化された林業ではなく、山や森の自然遷移などに詳しい専門家などです。坪野の人たちが有する経験・知識と、専門家の知識を融合させると、山や川との付き合い方がだんだんわかるようになるはずです。

 

● 坪野への移住者を募る
 こういうルネサンスへの第一歩となる活動を進めていくうえで、坪野に若い人が住んでくれると坪野に活気が戻り、ルネサンスへの拠点が生まれます。「若い」といっても20〜30歳代に限られるわけではありません。40〜50歳代の人でもよいと思います。ご夫婦が理想的ですね。
 先日も、坪野集落を念頭に置きながら、移住候補地の1つとして栄村に滞在されたご夫婦がおられたとのことですので、けっして荒唐無稽な夢物語ではないと思います。
そして、ここは行政の出番です。地域おこし協力隊制度などを活用して、移住支援の体制を確保することです。ただし、地域おこし協力隊員を役場等の臨時職員として扱うのではその人の創造性の発揮を妨げることになります。役場は「カネは出すが、口は出さない」というのがいいですね。また、坪野の冬(雪)は厳しいですから、雪害救助員制度の特例措置を行うとか、とりあえず2〜3年は、住家は村の中心部に近いところに確保し、坪野には毎日通うという形でスタートしてもいいと思います。

 

● 全国的に類例がないような取り組みを行政が位置づけ、支援を惜しまず、全国に発信する
 ここまでに書いてきたことを、じつは、私は震災以降ずっと考えてきました。なかなか踏み出せなかったのですが、今回の台風19号被害が、「いまが踏み出さなければいけない時だよ。最後のチャンスだよ」と教えてくれました。
 坪野−天代川と同じような問題を抱えている地域は全国各地にそれこそ無数にあるでしょう。「田直し」「道直し」で全国的に著名になった栄村だからこそ、先進的実験に踏み出すのにふさわしいと思います。
行政にはそういう考え(構想)を支持し、さまざまな支援を行い、全国に発信していくことが求められます。

 

●「村を元気にする仕事」
最後に、2頁で紹介した「公民館報」の一説を引用させていただきます。


    働き口があるから、仕事があるから、村に居る。栄村が好きで住み続

   けたいけど、仕事がないから居ない。そのような考え方で村に人は残っ

   ていくのでしょうか。
    様々な仕事をしながら暮らしや文化を楽しむことができ、地域に貢献

   する生き方。確かに漠然としていて「職業」として確立できるのかとい

   う指摘も当てはまりますが、生き方自体が働き方だと考えれば、どうで

   しょうか。…

 

 全く同感です。
 紙数が尽きました。
 次回は、来年春スタートの中山間地域等直接支払制度の第5期をめぐって、求められる「集落10ヶ年計画」について、何が求められているのか、どう取り組めばよいのか、議会は・行政は何をなすべきか、などを考えて提案していきたいと思っています。


松尾まことの議員活動報告No.36(7月31日付)

消えた出捐金約6800万円
村はどう説明し、処理するのか?!

 

 7月23日、議会全員協議会(全協)が開かれました。村長提出の全協は午前11時から。
解散した一般財団法人栄村振興公社の清算手続き終了をうけて、公社幹部が参考人として出席しましたが、最大の焦点は
  村の財産である出捐金(しゅつえんきん)8千万円の扱い
です。
 この件に関する何らかの議案を村が9月定例会に提出する用意が示されるものと私は思っていましたが、まったく意外なことに、「8月に区長配布文書で全世帯に配布する村長名の文書案」というものが示されてきました。
 私は、この問題、9月定例会での村の正式対応の提示を待って、村民のみなさんへの報告を書こうと思っていましたが、信毎や妻有新聞に記事が出たこともあり、急遽、本号で報告させていただくことにしました。

 

「6,800万円余は管理運営費に使われた」
  ――これでは村の財産消失の理由にはならない
 振興公社は最後に残ったお金1,190万円余(正確には1,190万5,047円)を村に寄付したとしていますが、これは裏を返せば、村が公社に出した出捐金8千万円のうち6,800万円余(じつに8割5分)は消えてしまったということです。
 村は公社への出捐金について、村の財産として8千万円分の「出捐証書」というものを保管しています。この財産をどう処理するのでしょうか?「なくなってしまった」で済む問題ではありません。
 以下、出捐金とは何か、それはどうして減失(げんしつ)してしまったのか、をみていきます。


1. 村と公社の関係
 村は一般財団法人栄村振興公社に総計8千万円の出捐金を出してきました。
    平成25年4月の一般財団設立時に3千万円
    平成29年2月に2,100万円
    平成29年3月の2,900万円
です。
 一般財団法人というものは、一定の額の財産を保有していることを根拠として法人格を認められるものです。
平成25年4月、栄村振興公社を設立しようとした時、関係者の元には「一定の額の財産」はありませんでした。そこで、村が3千万円を供出することで栄村振興公社を設立し、法人格を取得したのです。
 ただ、村(役場)は自ら経営する立場にはたたず、一般財団法人に事業運営を委ねたのだと解することができます。いわば「公設民営」の組織だと言ってもいいでしょう。しかし、〈まったくの民間任せ〉にしたわけではありません。平成28年春までは公社理事長に副村長が就任し、事務局長に役場職員を派遣しました。また、平成28年以降は、公社の最高意思決定機関である評議員会に村長(後に副村長)が入り、また村議会議長も評議員になってきました。

 

2. 出捐金とは何か?
 ここでどうしても把握しておかなければならない問題があります。
 「出捐金とは何ぞや?」という問題です。
 出捐金というのは一般にはあまり耳にしない用語です。

 

● 村の言う定義(説明)は充分かつ正しいか?
 村は7月23日の全協で示した文案の中で、
   「出捐金とは、例えば財団法人設立のために一定の

    財産を提供すること等を言い、返済の義務はあり

    ません」
と書いています。文の前半(「財団法人設立のために一定の財産を提供」)は正しいでしょうが、後半部の「返済の義務はありません」は正確ではなく、誤った理解や措置を生みかねない表現です。
 出捐金は、受け取った財団法人の財産(資金)的な土台となるもので、「指定正味財産」というものとして取り扱われます。一般の会社でいえば資本金にあたるものです。
 資本金というものは、会社の経営のプロセスである程度運転資金等に利用されてもいいのですが、やはり会社の財産的基礎(土台)になるものですから、年度末には満額を財産として確保できている状態に戻すようにするものです。
 村は、7月23日の全協での質疑の中で出捐金を「寄付金のようなもの」とも言いましたが、これも正確ではありません。
 出捐金は寄付金ではなく、出資金に近いものです。ただ、利益の配当を求めない、出資証券を売るなどして資金を取り戻す(=実質的には「返済」と同じことになる)ことはしないという点で、出資金とは異なるということです。
 「(出捐金の)返済を求めない」のは、出捐金で設立された財団法人が健全な経営・運営の財産的土台を村が提供し続けるという意味に解するのが最も妥当かつ適切な理解です。

 

3. 平成25年設立時の出捐金3千万円は、早くも平成27・28年度で消失している。
 一般財団法人栄村振興公社は毎年4月1日から翌年3月31日までを会計年度とし、会計年度末に決算を行って、貸借対照表(バランスシート)を作成・公表してきました。
 平成25年度の貸借対照表を見ると、
   指定正味財産 30,000,000円 一般正味財産 9,514,609円
   正味財産合計 39,514,609円
    *一般正味財産とは、その年度の純利益を財産として

     積んだものです。
となっています。
 また、平成26年度は
   指定正味財産 30,000,000円 一般正味財産 6,255,820円
   正味財産合計 36,255,820円
です。
 しかし、平成27年度の貸借対照表では、
   指定正味財産 30,000,000円 一般正味財産 225,380円
   正味財産合計 30,225,380円
 さらに、平成28年度貸借対照表では、
   指定正味財産 80,000,000円 一般正味財産 △29,261,601円
   正味財産合計 50,738,399円
となります。

 

 以上から明らかなことは、平成27年度で純利益がほとんど確保できなくなり、ついに平成28年度、当初の指定正味財産3千万円を食い潰すこととなったということです。上記の平成28年度貸借対照表で、指定正味財産は8千万円となっているにもかかわらず、正味財産合計が約5千万円しかないというのは、そのことを明瞭に示しています。

 

4. 平成27〜28年度に何が起きていたのか?
 財団設立時の村の出捐金(⇒公社の指定正味財産)3千万円が消失した。それは何故なのか。これはやはりきちんと解明・説明されなければなりません。
 ここで着目しなければならないのが、平成25年度〜27年度上半期にかけて、いわゆる3億円事業(震災復興緊急雇用創出交付金事業)が村から公社に委託されていたことです。

 

《3億円事業の概要》
  平成24年度 総事業費4千853万6,648円 うち人件費2千145万8,733円
  平成25年度 総事業費9千228万0,090円 うち人件費4千824万5,320円
  平成26年度 総事業費9千290万3,827円 うち人件費5千710万8,322円
  平成27年度 総事業費4千560万0,259円 うち人件費2千854万3,700円
       (平成24年度と平成27年度はそれぞれ半年間)

 

 3億円(事業)は振興公社に対して支払われた補助金ではなく、事業の委託(公社側からいえば受託)です。したがって、3億円事業で村から公社に支払われたお金については、振興公社の一般会計とは区別された受託事業特別会計として独自に会計処理される必要があります。
 ところが、そういう適切な会計処理が行われていませんでした。そのことは平成27年度の監査で指摘されます。
 すなわち、平成25、26年度の決算書では上記の9千228万0,090円、9千290万3,827円を振興公社は「地方公共団体補助金」として扱っていました。平成27年度決算の監査でこの点の誤りを指摘されます。そこで、公社は平成27年度の「3億円事業」の入金の費目名を「地方公共団体受託金」と書き換えます。しかし、書き換えたのは費目名のみで、公社の一般会計と受託事業会計を分けて決算することはしませんでした。
 その結果、恐ろしいことが起こりました。
 平成27年度上半期には「3億円事業」受託金で賃金を支払っていた公社職員(正職・臨職を問わず)の雇用が基本的には平成27年度下半期も継続しているにもかかわらず、それらの職員に支払う賃金の原資が確保できなくなったのです。
 「3億円事業」の本来の趣旨からすれば、「3億円事業」実施期間中に振興公社の営業力を高め、売上・営業利益を大きく増大させて、平成27年度下半期以降の雇用を確保できるようにすることが求められていたのです。しかし、そうはなっていなかった。
 このため、平成27年度下半期から賃金支払のために基本財産を食い潰す過程が始まったと見ることができます。そして、平成28年度もそういう事態が続きます。
 平成28年度決算で一般正味財産の赤字が2千926万1,601円にものぼり、公社設立時の指定正味財産(=村の出捐金)3千万円がほぼ全額消失したことの原因と意味が、以上で基本的に明らかになると思います。

 

5. 平成29年初頭の2,100万円、2,900万円の出捐金(計5千万円)のほとんどは何故、消えたのか?
 平成28年度、5月下旬に振興公社の新理事会が発足します。
 新理事長が就任直後に発出された挨拶状には「振興公社は本当は赤字」という趣旨のことが書かれていました。公社の財政状況についてそれなりの認識をお持ちだったのだと思います。そして、平成28年9月、トマトジュースの仕入れ金が支払えないという形で問題の深刻さが表面化します。それへの村の対処が平成29年2月の2,100万円、3月の2,900万円、計5千万円の出捐金拠出です。
 最初の2,100万円は「2月、3月の給料支払等が出来ない」ということで議会も認めたものですから、ひとまず運転資金として使われたのは出捐金の趣旨に反しないと思われますが、平成29年度以降の営業で利益をあげ、2,100万円の指定正味財産を回復させるのが本来的なあり方です。
 次の2,900万円については、「定期預金とし、それを担保として運転資金を金融機関から借り入れる」とされていました。
 昨年(平成30年)6月に議会に示された平成29年度決算書では、たしかに「資産の部」に2,900万円の定期預金がありました。しかし、同時に「負債の部」に「短期借入金2,500万円」という項目がありました。「定期を担保に運転資金を借入する」という趣旨に合致しているかに見えますが、同時期に示された公社の平成30年度収支計画には短期借入金の返済計画がまったくありませんでした。返済がないと、定期預金のうち少なくとも2,500万円は消えてなくなります。
 私を含む議員が昨年6月の定例議会において、「振興公社は経営破綻している。公社を解散し、村の観光施設を運営する新会社を設立すべきだ」と述べたのは、それゆえです。
 いちばん大事な点は、短期借入金はどういう返済計画の下で借入されたのか、返済の目途もなく「指定正味財産たる定期預金を食い潰す」ものとして行われたのか、ということです。
 村は公社の解散・清算をめぐって、この点をしっかり精査して、そのうえで、平成28年度の出捐金5千万円の最終処理を判断することが求められます。

 

6. 「管理運営費に使われました」という説明は認められません
 7月23日の全協で村が示した文案では、出捐金総額8千万円に対して、公社の村への寄付金は1千905万円余にとどまることから、「差し引いた68,094,926円は、出捐当時から解散までの公社の管理運営費に使われました」と記しています。
これは認められる説明ではありません。
 すでに説明したとおり、出捐金は財団法人のいわば資本金となるものを村が提供するというものです。管理運営費で費消してしまっていいものではありません。
 たしかに振興公社は膨大な赤字の累積で経営を続けることができなくなりました。
 ですから、解散を決めて清算を行えば、累積赤字の処理が課題となります。その累積赤字額が68,094,926円ということになると思いますが、その累積赤字を清算するために指定正味財産を取り潰すことを決定し、利害関係者全員の同意を得る、というのが正しい処理の仕方なのではないでしょうか。

 

 問題が解明されればお金が戻ってくるというわけではありませんが、村の財政の規律、倫理を明確にするために、きちんとした議論が必要です。

 

 

 

私・松尾は全協で議場からの退席を求められました
何が起こっているのでしょうか?

 

 7月23日は全協(村長提出)に先立って午前9時から全協(議長提出)が開催されました。
 ですが、私はこの全協(議長提出)の協議内容の重要部分を知りません。全協開会早々に議長から「松尾議員は退席を求めます」と言われ、議場から退出せざるをえなかったからです。
 退席を求める理由として言われたことは、「松尾議員に関することを議論するので、本人がいると他の議員が発言しづらいから」ということだけです。1時間以上が経ってから、議会事務局で待機する私に事務局長から「お待たせしました。お戻りください」と告げられ、全協の議席に戻りましたが、何が議論されたのか、私に対して何か決められたのか、何も説明はありませんでした。今日に至るも説明はありません。不可解です。

 

■「目安箱」への投書で指摘された事実はなかった
 私は、3月13日の3月定例会が終わった後の議長の私へのお話(これは一般的な話ではなく、「議長から松尾議員への指導」という一種の訓戒的なものです)、さらに4月25日の全協(議長提出)で議長から報告された話から、私をめぐって何が問題にされているのかは理解できます。
 村長が設置する「目安箱」に、「松尾議員が(当時の公社職員の一人に)解雇通告をした。議員としてあるまじき行為である。松尾議員を処分すべきだ」という趣旨の投書があったということです。
 4月25日の全協では私も議席にいる中で議論されたのですが、7月23日は私を退席させて議論が行われたのです。
 私が間接的に聞くかぎりでは、議会等が関係者に対する聞き取り調査を行った結果、上記の公社職員と私・松尾が会った事実は認められるが、「解雇通告をした」というような事実はなかったとのことです。
 私は3月13日の時点で、議長にあるがままの事実をお話し、「解雇通告」云々のような事実がないことは議長も確認されているのですが。

 

■ 私は選挙公約でお約束したとおり、情報公開の活動をしっかりやり続けます
 どうも、私をめぐって2つのことが問題にされているようです。
 1つは、企業組合ぬくもりに関わっていることです。
しかし、「企業組合を設立しよう」というのは昨年の夏、議会全協で議論したことですし、3月13日の議長との話でも「企業組合に関わること自体は問題ない。自分も指定管理者になっている苗場山観光の役員」だと言われています。さらに、企業組合を応援する議員は他にもいます。
 2つは、私の「議員活動報告」や「栄村復興への歩み」の執筆・配達・ネットでの公表です。
 「あまり書くな」とか、「注意したのに、また同じようなことを書く」などと一部の議員から言われます。また、「ネットで世界中に村の恥をさらすな」と言われた記憶もあります。
 でも、多くの村民の方から、「負けちゃいけないよ。あなたが知らせてくれることが、私たちが村の現状を知る唯一の手掛かりなのだから」と言っていただきます。
 私は2017年の村議選に立候補した時、「情報公開をやります」ということを最大公約に掲げました。それへの期待から当選させていただいたと思っています。
 ですから、「松尾まことの議員活動報告」は私の議員としての務めであると確信しています。また、私は選挙立候補の際、「職業 ジャーナリスト」と明記しました。
 新聞社の方々からは、「ジャーナリストというのは字数が多くて困る。文筆業や編集者というのではだめか」と尋ねられました。私はあくまでもジャーナリストと明記することにこだわりました。「文筆業」というのは「書きものをして収入を得る」という職業です。注文に合わせて文を書くこともありえる職業です。それに対して、ジャーナリストとはジャーナリズムの担い手を指しますが、著名なジャーナリスト立花隆さんは「ジャーナリズムの最も本質的な部分というのは、『フリーダム・オブ・スピーチ』と『フリーダム・オブ・プレス』にある」と言っておられます。言論の自由・出版の自由です。その自由というのは、「何を書いてもいいよ」という意味ではなく、「国家権力から国民の基本的人権を守るために書いたり、話したりする自由」ということです。
 私はそういう意味で、ジャーナリストとしての矜持(きょうじ)を守り、いろんな圧力には負けないで頑張っていきたいと思っています。
 今後とも、ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 


松尾まことの議員活動報告No.35

ふるさと納税−お米加算金をめぐる問題
〜6月定例会の質疑から〜

 

松尾:「これは一種の災害であり、財政出動してでも、今年度に限

   り、農家に昨年と同じ所得が保障されるように村が責任もっ

   て対処すべきだ」
村長:「今年度に限り、作付が終わったものについては保障。仮渡金
   の支払を農家が不安に陥らないように対応する。」

 

 

 6月17日から20日までの定例議会は、一般会計補正予算審議など多くの案件を扱いましたが、最大の関心は、直前に村のチラシで明らかになった「ふるさと納税問題」、すなわち「昨年度のような上乗せ金はできない」という問題でした。そのため、一般質問が平素以上に重要な意味をもつことになり、8名の議員中3名(保坂良徳、松尾、上倉敏夫)が一般質問で「ふるさと納税問題」を取り上げました。一般質問1日目(18日)に保坂議員の質問で村の対応方針の概要があきらかにされたことをうけて、私は2日目(19日)、村長に重要な決断を求めました。その核心部分が上に大文字で示したものです。
 今年度産米について、昨年度の「栄村概算金額16,200円(内共計概算金13,372円、ふるさと納税上乗せ2,828円)」(JA通知書より)を絶対に保障することを村に約束してもらうことが質問の狙いでした。森川村長の答弁はこの求めに真正面から答えてくれたものと評価します。金額の詰め等、具体化作業にもう少し時間を要しますが、基本方針は明確になったと思います。

 

 以下、本号では、「ふるさと納税の制度変更」と言われているものの具体的内容、今年度、稲作農家に昨年同様の支払を保障するための具体的方策などについて記していきます。


◎ そもそも「ふるさと納税」とは何か?
 「返礼品が高価すぎる」、「返礼品競争が過熱化」、あるいは「寄付する人はわずか2千円の負担で高価な商品を得られる」というようなことばかりがマスコミで伝えられていますが、そういう「報道」はふるさと納税制度の正しい理解と発展を妨げる、歪んだ「報道」だと言わねばなりません。正しくは、どういう制度なのでしょうか。

 

■ 納税者が納税先を自由に選べるシステム
 国民には納税義務があり、所得税、住民税を納めることが求められます。しかし、「同じ税金を納めるのならば、自分が育った故郷に納めたい。あるいは、お世話になった自治体に納めたい」と思う人もいます。その思いを叶えるのがふるさと納税制度なのです。
 たとえば、都会で暮らす給与収入が500万円のサラリーマンで「夫婦+子2人」の場合、3万円のふるさと納税をすると、「所得控除による軽減5,600円」、「住民税の税額控除で2,800円」、「住民税の税額控除(特例分)で19,600円」の計28,000円を税控除されます。
 これは、その人の税金納入額が28,000円少なくなったということではありません。28,000円を自分が現に暮らす場所で納めるのではなく、自分の故郷ないし世話になった自治体に納めるという納税先の変更なのです。ふるさと納税者は、28,000円を現に暮らす自治体ではなく、ふるさと等に納税しているのです。受け取る側の「ふるさと」の方では「寄付金をいただいた」と言いますが、その本当の内容は都会などで暮らす人たちから税金を納めていただいたということなのです。
 国民が納める税金が国や大都市に集まりやすく、地方の自治体は慢性的に財源不足に困っているという現実を変えていく第一歩としてふるさと納税制度は考案されたのです。ここが肝(きも)です。
 その後、返礼品がクローズアップされるようになり、テレビ番組などで「ふるさと納税を活用すると、たった2千円(上記の税額控除方法で、「ふるさと納税3万円−控除額計2万8千円=2千円」)で高級品を手に入れられる」と喧伝(けんでん)されたため、ふるさと納税制度の趣旨が大きく誤解される事態が生まれました。
 しかし、「財政格差を縮めるためのふるさと納税」という本来の趣旨は何も変わっていません。
 以上のことをしっかり押さえたうえで、今回、国・総務省が打ち出した「ふるさと納税の制度変更」の内容をみていきます。


◎ 総務省による制度変更の4つのポイント
 6月1日からふるさと納税制度が大きく変わりました。

 

■ 指定団体
 制度変更の第1のポイントは「指定団体」制の導入です。
 国・総務省に認められた自治体でなければふるさと納税制度を活用できないのです。この変更点はテレビのニュース等では「泉佐野市(大阪府)など4自治体は指定外」ということで伝えられています。「指定外」になると、そこにふるさと納税しても、前頁で説明した「税額控除」が認められないのです。
 わが栄村は本年5月15日付の総務省告示で「指定団体」として認められましたが、本年6月1日から令和2年9月30日までの間について認められたということで、令和2年10月1日以降については改めて申出書を提出して総務省の「審査」を受けなければなりません。本年6月以降来年9月までの期間に、この後に紹介する3つの「基準」に栄村が違反すると「指定団体」となれない事態が発生する危険があるのです。
 20世紀末の地方制度改革を経て、「国と自治体は対等」という原則が確立されていますから、国が一方的に基準を設け、それに基づいて自治体を選別する「指定団体」制度にはじつに大きな問題があります。

 

■ 3つの基準:「募集経費5割以下基準」、「返礼品3割以下基準」、「地場産品基準」
 「指定団体」制以外の制度変更点は、上のタイトルに記した3つの「基準」です。ニュースでは「返礼品3割以下基準」のみがクローズアップされていますが、より深刻なのは「募集経費5割以下基準」というものです。
 まず、「返礼品3割以下基準」を簡潔に説明したうえで、「募集経費5割以下基準」を説明します。
 「返礼品3割以下」というのは、栄村が特A米を返礼する場合、栄村がその特A米を手に入れるために現に支払った金額(消費税を含む)が「3割以下に収まっている」ことが求められるということです。もっと具体的に言うと、JAが精米し、「こころづかい」の名称が入った袋にお米を入れ、何処ででも売り出せる状態にしたものを栄村が手に入れるのにいくらのお金を支払わなければならないかということです。村がJAに求めた見積額から判断すると、昨年度までのように「寄付金1万円に対して特A米15kg」は「3割」を大きく超える、「特A米5圈廚ギリギリだというのが村の見解です。(私は工夫をすれば9〜10圓諒嵶蕕可能だと試算していますが)
 さて、「募集経費5割以下」という基準です。「募集経費」というのは、「返礼品に要する経費」も含め、「栄村はふるさと納税を募集しています」という告知、ふるさと納税して下さった人への領収書や証明書の発行・郵送、返礼品の箱詰作業、宅急便で送るための送料などの経費すべてを合計したものです。
 寄付金1万円の場合、返礼品で約3千円、送料で千円強、もうこの2つの費目だけで4割を超えます。「5割以下は無理だ」という悲鳴が多くの自治体からあがっています。場合によっては返礼品率を2割レベルに下げることで「経費5割以下基準」をクリアするという苦渋の選択をせざるをえない場合もあります。
 また、寄付金の多少にかかわらず要する経費(たとえば、ふるさと納税の情報入手と手続きが簡単にできるインターネット上のポータルサイトへの委託料)が寄付金に占める割合は、寄付金総額が少ないと高くなります。私の一般質問への答弁では「少なくとも寄付が1千万円集まると、経費率を5割に抑えられる」とのことでした。
 「地場産基準」については、栄村は栄村産特A米を返礼品にしていますので、クリアしています。そのため、ここでは詳しく記しません。

 

◎ 栄村は何を考え、何を工夫しなければならないか
 国・総務省による制度変更の結果、全国的に見て、ふるさと納税が大きく後退するのか、これまでの水準を維持できるのか。これはまだ見通せません。しかし、栄村が使っている「ふるさとチョイス」というサイトを含むふるさと納税ポータルサイトを見ると、多くの自治体は総務省の規制をなんとかクリアしながら、6月1日以降、積極的なキャンペーンを展開しています。率直に言って、栄村の対応は立ち遅れていると思います。
 では、栄村は、何を考え、何を工夫しなければならないか。そこを考えたいと思います。
 第1は、ここ数年のふるさと納税額=1億2千万円〜1億5千万円という水準を簡単に諦めず、本年度もその水準の実現をめざす姿勢を明確にすることです。「戦う前から戦意喪失」では話になりません。
 第2は、,佞襪気版疾任鬚靴堂爾気訖佑咾箸紡个垢訛爾隆脅佞竜せちのお伝えの仕方・内容、また、頂いたふるさと納税が栄村の農業の振興にどのように活用されているのかのお知らせ、これらにおいて根本的な改善を図ることです。
 私はふるさと納税で頂いたお金の農業振興への活用のしかたが、「返礼品に特A米を使い、その特A米の元となる玄米をJAに出荷した農家への支払金に上乗せ金する」という方法が最適の活用法だとは思いません。もっと良い方法があると思います。しかし、そのことをおさえたうえで、現在の「米価上乗せ金」方式で稲作農家の耕作継続にとって、どれほどに大きな意味を有しているか、したがって、ふるさと納税が栄村の農家にとってどんなに有難いものであるかを、ふるさと納税して下さった人たちに具体的にお伝えすることが必要です。
 都市で暮らす人たちは、お米を作るのに、どれほどの多額の経費がかかるか、基本的にご存じありません。だから、ふるさと納税のおかげで、なんとか赤字に陥らずに、農業を続け、栄村の田んぼと豊かな自然環境を守ることができていることを、もっと具体的にお伝えする必要、いや義務があります。
 でも、栄村のHP(ホームページ)等を見ても、そういうお知らせ(記事)は見当たりません。ちなみに、お隣の津南町では、米作りの様子や津南の暮らし・食文化などをわかりやすく、しかもかなり良いデザインでお伝えする冊子を作成し、ふるさと納税をして下さった人たちに送っています。
 第3は、ふるさと納税の恩恵を受けている村民一人ひとりが、ふるさと納税を維持する仕組みに積極的に関わるようにすることです。
 現状では、農家はお米を栽培し、刈り取り、ライスセンターに運び入れるところまでの関わりです。《乾燥したお米の調整(籾摺り)、玄米の保管、精米、袋詰め→箱詰→発送》――これらのプロセスはすべてJAへの委託です。ありていに言えば、JAへの丸投げです。
 これではダメですね。
 返礼品のお米は農家自身が自ら精米し、袋詰めし、宅急便に出すまでを自らやるようにするのが本来ではないでしょうか。このことを実際に実現するには、仕組みの制度設計等、議論を重ねなければなりませんが、不可能なことではありません。現に、集落営農団体からそういう取り組みをしようという声があがっています。
 とにかく、もっと工夫と努力が必要です。栄村の明日を考えて、みんなでズクを出し合いましょう!

 

◎ 「財政出動で農家への保障を」とは
 さて、以上のことをふまえて、農家のみなさんの関心がいちばん高いと思われる、1頁の冒頭に記した「財政出動を」、「農家に昨年度と同じ所得の保障を」ということをもう少し具体的に説明します。
 6月初め、村からの通知文書だけでなく、米出荷者にはJAからも通知文書が送られてきました。JAの通知は、端的にいえば、昨年の「栄村概算金額16,200円(内共計概算金13,372円、ふるさと納税上乗せ2,828円)」のうち、「2,828円の上乗せ」はほとんど出来ないということですね。さらには、ふるさと納税返礼品量が減った場合の、栄村産米の販売先の確保が大変だということも言っています。
 こんなことを通知されたら、誰しも不安になります。生産意欲が萎(な)えてしまいます。

 

 そこで、私は一般質問の最後に村長に提案したのです。
 「財政出動」とは、村が非常の際の資金として積み立てている財政調整基金を取り崩してでも資金を確保し、農家の米所得が昨年度並みに確保されるように村が支援するということです。今年度に限ってのことです。課長答弁では、寄付金で賄えるのは最大500万円ということなので、昨年並みの支援規模(2千万円を超える)を確保するために村の財政資金を使うということです。
 村長の答弁の冒頭の言葉は、「応援の言葉を頂いて有難うございます」というものでした。その言葉を聞いた時、私は「?」と思いましたが、村長の答弁はつぎのように続きました。「令和元年度に限ってですが」(これは当然の限定だと思います)、「作付が終わったものについては保障。仮渡金の支払を農家が不安に陥(おちい)らないように対応する」。村民が望む回答を得ることができたと思いました。
 財政出動の規模は質問の中でも言いましたが、かなり大きな規模になります。もちろん、ふるさと納税による寄付金が増えれば、財政出動必要額は少なくなります。ですから、どういう規模の補正予算を組むかの最終調整には今少し時間を要しますが、大事なのは、村の農家のみなさんに対するメッセージです。村長の答弁はそのメッセージだと私は信じます。
 みなさんも、リピート放送で私と村長のやりとりを聴いてみてください。私の質問時間は約1時間に及びましたが(質問順番は6番目)、この重要なやりとりは、私の質問開始から40分30秒後から44分30秒頃までの約4分間です。是非、お聴き取りいただき、これを全村民が共有する栄村の政策にしていければと願うものです。

 

 

6月定例会、あと3つの重要論点
 6月定例会には、専決処分の承認を求める案件6件、補正予算6件(最終日の追加1件を含む)、条例改正案4件など、計14件の議案が提出されました(うち、2件は請願・陳情をうけての議員提出の意見書案)。
 これらの議案審議で浮かび上がった重要な論点が3つあります。

 

■ 専決処分が許されるのは、どういう場合か
 今回は専決処分の承認を求める案件が6つもありました。通常はあまり見られない多さです。
 問題になったのは、専決処分第3号=「平成31年度一般会計補正予算(第2号)」です。
 内容は、のよさの里への692万円、雄川閣への756万円の投入、災害復旧費550万円などです。
 専決処分とは、本来、議会での審議と採決を要することを、議会を開かないで村長が決めることです。地方自治法第179条第1項で認められているのですが、その179条1項には専決処分を許す条件が書かれています。すなわち、「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」です。専決処分3号はこの要件に合致していません。というのも、専決処分がなされた4月26日の前日=4月25日に議会全員協議会(村長の要請によるもの)が開催されていて、「議会を招集する時間的余裕がない」とは正反対の状況だったからです。
 採決の結果、専決処分第3号は「賛成多数」で承認されましたが、私はこの専決処分は許されるものではないと今でも確信しています。

 

■ のよさの里をどうするのか
 補正予算審議で、そして一般質問で最も盛んに議論された問題です。
 上に記した4月26日村長専決の補正で、のよさの里を村直営するのに必要な人件費、物件費などで692万2千円、さらに6月定例会提出の「令和元年度一般会計補正予算(第3号)」でのよさの里の修繕費等に294万5千円、計986万7千円です。
 こんなことをしていたら、「振興公社への指定管理料が不要になり5千万円が浮いた」(3月議会での村長発言の趣旨)という5千万円はあっという間に消えてなくなります。
 補正予算審議、一般質問を通して明らかになったことが2つあります。
 第1は、「村の直営」と言いながら、本年度の「のよさの里事業計画」というものが無いということです。本年度、のよさの里の管理を担当するという秋山振興課の福原洋一課長がそのように答弁しました。信じられないことです。予算を使う前提はしっかりした事業計画の策定です。「お金だけ使う」は許されません。
 第2は、村による観光施設管理の杜撰(ずさん)さです。
 6月定例会提出の「のよさ」関係の補正予算では「源泉配管」や「給湯設備修繕」が目立ちます。担当課長は、「施設開設から30年、配管の中をまったく点検していなかった」という趣旨の答弁をしています。とんでもないことです。
 同様のことは昨年の北野天満温泉の天井・屋根の破損でも問題となっていますし、トマトの国の浴槽をめぐる問題も同様の性格を有する問題だと思います。指定管理者にしっかり管理してもらうと同時に、施設所有者として村が定期的に施設の状況をしっかり点検・把握することが求められます。
 のよさの里の今後のあり方について、村長は「まず秋山郷の旅館や民宿の経営者の意見を聴くことから始める」と答弁していますが、ちょっと違うと思います。のよさの里は秋山郷観光にとって戦略的なポイントとなる施設です。
 村は秋山郷観光をどういう方向にもっていくのか、のよさの里でどういう事業を柱にすえ、どういう施策を展開するのか。村の方針の明確化こそが、いま、求められているのです。
 私は、のよさの里の活用方法・運営方針、さらには秋山郷観光の方向性について議会主導の議論に踏み出す必要があると考えます。

 

 

村民が希望を持てる村政へ
 「2020年4月」を意識した話がいろんなところから聞こえてきます。
 私は、ふるさと納税問題−米農家所得保障の問題での積極的政策提案、専決処分第3号やのよさの里補正予算をめぐる現村政への厳しいチェック・批判、その両方を同時に進めながら、村政をめぐる議論を村民総ぐるみで深め、村民が納得のいく選択をできる環境づくりに努めていきたいと考えています。村民のみなさんの議論がさらに活発になることを期待して、今号の筆をおきます。 (了)

 


松尾まことの議員活動報告第34号

 3月議会(3月5日〜13日)が終わって約20日。ただし、予算審議の「結着」がついたのが3月25日の臨時議会でしたので、報告が4月にずれこみました。
 3月議会は予算議会。新年度の予算が決まりました。予算の骨格は「広報さかえ」や一般の新聞でも報じられますので、私の報告では新年度予算から見える村財政の現状、予算修正をめぐる一連の事態などについて、お知らせしたいと思います。

 

◎ 一般会計予算は前年比86.8%、約4億9千万円減。なぜか?
 新年度予算は一般会計で総額32億1,900万円で、平成30年度の37億1千万円よりも約4億9千万円少なくなっています。これは注目すべき大きな変化です。「なぜ減少なのか?」、しっかり読み取ることが必要です。
 予算規模が前年までよりもかなりの減額となった場合、他市町村の予算をめぐる報道などでは、イ)大規模事業が前年度までで終了したため、ロ)歳入額が減少するなど財政難が生じているため、などの要因が挙げられます。
 本村の新年度の予算規模縮小は、その2つの要因が共に働いていると見られますが、とくに重要なのはロ)の要因にあると言えます。そのことは歳入予算から明らかになります。
 村の財源の中で47.4%を占める地方交付税交付金は前年比97.9%でさほどの減少ではありません。大きく減少している主な財源が3つあります。1つは国庫支出金で前年比61.9%(金額で約2億3千万円が約1億4千万円に減少)、2つは繰入金で前年比67.2%(金額で約7億9千万円が約5億3千万円に減少)、3つは村債で前年比66.%(金額で約4億3千万円が約2億8千万円に減少)です。

 

■「復興期の終了」による国から入る税源の減少
 上に挙げた3つの財源減少の要因のうち、国庫支出金の減少は8年前の震災からの復旧・復興に関わる事業がほとんど終了したことによるものです。言葉の真の意味での震災復興ができているのかといえば、けっして「復興終了」とは言えませんが、国が支出する復旧・復興事業がほぼ完了したことは事実です。
 その意味で、震災によって大きく膨らんだ村の予算規模が縮小することは正常なことだと言えます。
 ただ、森川村長が「栄村の予算の適正規模は30〜35億円」と言っていることには疑問符がつきます。村財政に精通している人たちの中では「適正規模は25億円程度ではないか」という見方が多くあります。震災前の村予算の規模を想起すれば肯(うなず)ける見方だと思います。

 

■ 財政調整基金からの繰入額と村債発行額の減少に注目
 私がより注目するのは「繰入金」の減少と村債発行額の減少です。
 「繰入金」とは、家計で言えば貯金に当たる「基金」を取り崩すことです。さまざまな基金がありますが、いちばん重要なのは財政調整基金というものです。平成29年度決算では13億4千万余円ありました。かなり多いと思われるかもしれませんが、けっして多くはありません。現在の栄村の年間予算規模からみれば、その4割余に当たる金額に過ぎませんから、緊急事態があって歳出が増えれば、1年で消えてしまう可能性があります。
 私を含む複数議員はこの1年間、森川村政による財政調整基金からの繰入(取り崩し)が多すぎると警鐘を鳴らしてきました。
 新年度予算では財政調整基金からの繰入金が前年度の4億8千万円から2億2,900万円に減少しています。約2億5千万円の減額で、あたかも私たちの「財調取り崩しが多すぎる」という批判を受け入れたかに見えますが、実際はけっしてそういうことではないと思います。本当のところは「無い袖は振れない」、つまり財政調整基金をもうそんなに取り崩せないところにきているということだと思われます。
 このこととの関係で目を向けるべきものがあります。村債発行残高と公債費です。つまり、村にどれだけの借金残高があり、その返済に新年度にどれだけのお金が必要になっているかということです。

 

■ 村債発行残高と公債費
 新年度の公債元金の返済額は2億8,839万円、利子支払額が1,059万6千円。他方、新年度の村債発行額は2億8,230万円。返済額と新たな借入額がほぼ同じです。
 もう少し見てみましょう。H29年度末の公債残高は約28億9千万円、そしてH30年度末残高見込額は約29億5,600万円。H30年度も元金返済をしていますが、その返済額よりも多くの新たな借金をしたことになります。
 でも、さすがに公債残高をこれ以上増やすことができず、新年度は村債発行額を前年度よりも減らしたということでしょう。

 

 以上に述べたことから、村の財政の厳しさを直視しなければならないことがあきらかになったと思います。
森川村長は3月議会冒頭の「平成31年度予算編成の施政方針」の最後の部分で「中長期的な財政見通し」、「安定した財政基盤の構築」という言葉を出していますが、その具体的な内容はあきらかではありません。今後、村の財政見通しをめぐる議論をさらに深めていくことが必要です。

 

 

◎ 私たちはなぜ、予算の減額修正をしたのか
 報道等ですでにご存じのことと思いますが、私を含む5名の議員(相澤博文、斎藤康夫、保坂良徳、阿部伸治の各氏)は連名で「平成31年度一般会計予算修正動議」を提出し、採決の結果、賛成多数(5対4)で修正動議が可決されました。
 私たちの修正案は4つの内容から成ります。

 

■ 特命課臨時職員の賃金をめぐる問題
 第1点は、特命課の臨時職員賃金を351万1千円減額することです。
 これは、2016年7月に採用された特命課の嘱託職員の任期が最大3年間となっているため(新年度の6月ないし7月に満3年になります)、予算案に計上されていた8月〜来年3月分を削減したものです。「2名が任期切れとなった後、どうしても臨時職員が2名必要だという場合は、その必要性を明示して補正予算を提出すれば、審議します」という説明を付しての動議提出です。
 森川村長は就任直後の2016年5月の全協と6月定例議会で「特命課の嘱託職員は1年契約で2回まで更新可能。最大任期は3年」と明言しています。私たちの修正動議は村長が議会で発言したことを守るように求めたもので、至極当然の修正です。

 

■ 突然出てきた「わさび田栽培試験事業」
 第2点は、「わさび栽培試験事業」というものに関するもので、予算額281万5千円に対して、137万5千円を減額するというものです。
 この事業は「小赤沢の荒廃農地を利用し畳石式わさび田を造成、わさび栽培試験を行い、生育状況や費用対効果を記録し、栄村の特産となるか検証する」というものですが、2月14日の全協(村長提出)で唐突に出てきたもので*、疑問点が非常に多いものです。イ)3月議会での質疑で明らかになったことですが、この事業について担当課長よりも森川村長がいやに詳しく知っていること、ロ)「試験」と言うにはあまりに規模が大きいこと(わさび田の造成面積、予算額)、ハ)試験栽培がうまくいった場合、次年度以降の事業者がすでに決まっていて、特定の事業体への補助に近いと思われること、さらに、ニ)他方で、多くの集落が期待している「集落営農組織育成補助事業」が新年度予算ではまったく計上されていない事実があり、そのこととわさび田栽培試験事業への多額予算の投入がバランスを欠いていること、などから、事業の開始は認めるものの、予算規模を縮小し、より踏み込んだ検討の時間を確保するために、減額修正を求めたものです。これも、今後、充分に納得のいく説明があれば補正予算での計上は可という趣旨を動議提案理由で明示しています。
   *新年度予算の編成作業は昨年12月段階でほぼ終わっています。

    この事業のようにまったく新たな事業は遅くとも12月段階で議

    会との協議を行うべきものです。

 

■開発商品の販売事業は事業自身の収入で賄うべき
 第3点は「食の高付加価値化プロジェクト」のイベント等での開発品販売の経費を75万8千円減額する、そして第4点は「特産品開発事業」関連の「特産品試験販売」の経費を33万6千円減額するものです。
 この2つに共通することは、開発した新商品を販売するとしながら、その経費が売上額を大幅に上回っていることです。こんなおかしな話はありません。民間会社が新商品を作って販売するという場合、商品の売上で商品製造と販売に要する経費を賄えるようにするのは当たり前です。
 行政が関わる「試験事業」では、「補助金が出るから試験事業(販売)をする」→「補助金が出なくなると、その事業は立ち消えになる」というケースがあまりにも多すぎます。
 今回の減額修正は、事業関係者にとっては厳しい措置だと感じられるかと思いますが、上に指摘したような「補助金頼り」(→厳しく言えば「補助金の食い潰し」)を無くしていくための踏み込みです。

 

以上の予算減額修正、1頁から3頁にかけて詳しく報告した村の財政の状況からすれば当然のものだと私は考えています。

 

 

◎ 「再議」とは何でしょうか? そして、「義務費」とは?
 信濃毎日新聞のニュースなどですでにご存じの方もおられることと思いますが、3月定例議会が終わって10日あまりの3月25日に臨時議会が招集され(議会招集権は村長にあります)、森川村長から、
   「平成31年第1回栄村議会(3月)定例会において、3月13日修正

   議決された「議案第21号平成31年度栄村一般会計予算について」

   の一部について異議があるため、地方自治法第177条第1項の規定

   に基づき、再議に付する。」
という「再議書」が提出されました(この場合、「再議書」が通常の「議案」に当たります)。具体的には、私たちが新年度予算案に対して行った修正のうち、特命課の臨時職員賃金を353万1千円減額したのに対して、この修正を取り消し、村長提出原案の830万4千円に戻すということです。
 議会はこの再議案について審議し、主に森川村長と質疑しましたが、村長の再議案は理に適(かな)っていないと判断し、賛成3、反対4で否決しました。

 

■ 再議とは
 村など地方自治体の行政や議会のしくみの基本事項を定めているのが地方自治法という法律です。「再議」に関わる規定は、この地方自治法の第176条と第177条にあります。
 第176条では2つのケースが規定されています。第1のケースは、「議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は……その議決の日から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる」というものです。要は首長が議会の議決を受け入れられないとするわけですから、首長の拒否権とも言われます。上に挙げたケースは一般的拒否権とも呼ばれます。
 これに対して、地方自治法第176条の第2のケースは、「議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない」としています。また、地方自治法第177条では、予算案に計上された特定の経費をめぐって、「議会において次に掲げる経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入について、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない」としています。
 この176条の第2のケースと177条の場合は、首長に対して再議に付すことを義務づけているといえます。これらについては特別拒否権とも呼ばれ、176条の第1のケースのように再議に付する期間について「(議決から)十日以内」という制限をつけていません。
森川村長は、上記の再議に付す権限(拒否権)のうち、177条に規定する再議権を行使したわけです。
 そこで、問題になるのは、地方自治法177条で首長が再議権を発動できるとしている「経費」とは、どういう「経費」なのかということです。地方自治法177条をさらに詳しく見ていきましょう。

 

■ 義務費とは
 177条で再議の対象とされている「経費」は次の2種類です。
   法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の

   職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に関

   する経費
   非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経

   費又は感染症予防のために必要な経費
 今回、栄村で問題になっているのは,離院璽垢如⊃浩鄲篠垢脇談寝殞彁職員の賃金(8月〜来年3月分)が177条に言う「義務に関する経費」(義務費)に当たると主張しているわけです。
 私たちは「義務費に当たらない」という見解です。
 私たちの見解と森川氏の見解は正反対で、両者の見解を見比べているだけでは議論は平行線のままになります。そこで、もう一歩踏み込んで、〈義務費〉に関する専門家による解釈を見てみましょう。
 その編集に専門家が深く関わっている全国町村議長会編の『議員必携』を参照します。それによると、義務費というのは
   「職員の給与費のように、法律又は条令で町村が負担するこ

    とを定められている経費」
だと解説されています。
 村の予算書と見ると、同じ人件費であっても、「給料」というものと「賃金」というものが区別して計上されています。特命課の場合、平成31年度予算では「給料」12,006(千円)と「賃金」8,506(千円)が区別して計上されています。「給料」は、条例で定められた役場職員の定員の範囲内で採用されている職員に支払われるものです。その給料も条例で定められています。他方、「賃金」は必要に応じ、期間を限って採用される臨時職員に支払われるものです。職員の給料、そして臨時職員の採用期間の賃金が、先に見た「条例で町村が負担することを定められている経費」に当たることは明白です。
現在、特命課には3名の臨時職員が採用されていますが、うち2名は「最大3年間」という期限を区切って3年前の7月に採用された(=今年6月ないし7月で任期満了)の方々です。もう1名は昨秋に採用された人です。
 したがって、平成31年度当初予算で義務費となるのは、H28年7月採用の2名の4〜7月の賃金と昨秋採用の1名の4月〜来年3月の賃金です。
 以上のことから、私たち議員が修正動議で減額した351万1千円は義務費には当たりません。
 新聞報道等によれば、森川氏はこれをあくまでも「義務費」であるとして村長の権限で支出する意向のようです。しかし、それは妥当でない措置だと言わなければなりません。森川氏は「村長の執行権、人事権、予算編成権」を強調しますが、法律は村長に無制約の執行権を付与しているものではありません。
 森川村長が「特命課には臨時職員がどうしても3名必要だ」と言うのであれば、「(H28年7月採用の臨時職員は)嘱託職員として最大3年の任期」としたH27年5〜6月議会での公式の発言をふまえ、新規の公募手続と予算措置をとる必要があります。
 私たちは、今回の予算修正において、格段に特別なことをやっているわけではなく、〈行政に対する監視とチェック〉という議会に課せられた使命をきちんと果たしているだけです。私たち議員は議会の果たすべき役割をしっかり全(まっと)うしていきたいと思います。

 

 

◎ 農業施策をめぐる質疑
 3月議会での予算審議をめぐって報告しなければならないもう1つ重要なポイントがあります。農業施策をめぐる質疑が相当の時間を費やして行われたことです。
 直接に議論になったのは3つの農業施策です。第1は「米農家支援事業」です。新規事業ですが、予算はわずか100万円で、これを村内約170haの田んぼを対象に配分するというのです。1反歩当たり580円?! 「1反580円で何の意味があるのか? しかも、これを配分する事務経費だけで、予算額を超える費用が必要になるだろう」というのが議員の過半から沸き起こった疑問と批判の声です。
 第2は、「ふるさと納税」(農業支援目的寄付金)をめぐる問題です。H31年度予算では1億2千万円が計上されていますが、その支出を見ると、JAへの委託料(返礼米の精米、発送等)7,932万9千円、消耗品費3,602万2千円(この中に返礼用特A米の購入費が含まれる)、印刷製本費(米袋作成代等)230万8千円、通信運搬費90万1千円となっています。つまり、1億2千万円にも及ぶ農業支援目的の寄付金のうち農家・農業支援に使われているのは最大に見積もっても3割にしかならないということです。
 「こんな使い方でよいのか」――議論は始まったばかりで、まだ圧倒的に不足していますが、重要な議論が始まったと言えます。
 第3は、第2の点と深く関連しますが、昨年度までふるさと納税を原資とする農業振興基金から700万円が支出されていた〈集落営農組織育成補助金事業〉がH31年度予算でまったく消えていることです。
 村側は「返礼米発送経費が高くなり、700万円を捻出できなくなった」と言っていますが、栄村農業にとって重要な施策を放棄する理由にはなりません。私たちは先に説明した予算の減額修正で確保された600万円をこの集落営農組織育成補助金の復活に充てたいと考えましたが、「村長提出の予算書に存在しない事業に予算をつけることは村長の予算編成権を侵害することになる」とされ、実現できませんでした。しかし、今後、この集落営農に対する支援金の復活にむけてさらに努力する考えです。
 「農業は栄村の基幹産業」と言われているにもかかわらず、20〜50歳代の生産年齢世代が農業で生きていける状況を創り出すための積極的施策がないというのが栄村の農業施策の現状です。この状況は何としても変えていかなければなりません。私たち議員も頑張りますが、多くの村民の方からさまざまな意見を出していただいて、栄村の農業を守り、発展させることができるようにしていきたいと思います。上で見た「ふるさと納税」のあり方の見直しを含めて、今後、農業施策議論の場を積極的に作っていきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

 

(了)


松尾まことの議員活動報告第30号(9月17日付)

 9月4日から11日まで定例議会が開かれました。いわゆる「決算議会」です。しかし、議題は決算に限られていたわけではありません。暮らしに直結する内容の補正予算の審議もありました。
 秋山の路線バス廃止をめぐる対応策、地震被害を受けた農地の復旧に関わる予算措置、地方交付税交付金の大幅減額、平成29年度決算審議の内容、今後の村政のあり方に大きく関わる指定管理者制度に関する質疑内容。これらの点を中心として、9月議会の報告を記していきます。

 

 

◎ 暮らしに直結する問題――補正予算審議から
● 秋山の足をどう確保するか
 津南〜和山間で路線バスを運行してきた南越後観光バス蠅10月1日から見玉〜和山間の路線を廃止すると通告してきました。秋山の住民の足を保証する公共交通が無くなるという大変な事態です。
 村は、この間、秋山地区内で住民説明会を開催するなどしてきたようですが、議会に対して村がこの問題を明らかにしたのは、今回の9月定例会提出の一般会計補正予算(第5号)での代替措置の予算付け、議会全員協議会(村長提出)での説明が初めてのことでした。このこと自体、問題であると考えます。村は、「代替措置をめぐる津南町との調整が8月いっぱいかかった」ことを「理由」としていますが、最終確定案に至る前に議会と協議し、議会の意見を求めるべきだったと思います。
 代替措置は、津南町がすでに運行している見玉〜大赤沢間の代替交通(デマンドバス、1日3往復便)を和山まで延長するというもので、その経費の2分の1(375万円)を支出するというのが補正予算の内容です。(デマンドの運行時刻等は村の広報をご覧ください)。

 

■ 住民の意思やアイディアの汲み上げが不十分
 私は秋山の人たちからこの問題をお聞きしていたので、一般質問で村長の考えを質(ただ)す準備をしていました。「安心して暮らせる環境の確保と村財政の見通しについて」というテーマでの質問です。
 先にも書いたように、村は秋山地区の住民を対象とする説明会等を開催しています。住民の声に耳を傾ける姿勢であるかのように見えますが、私はそうは言えないと考えます。説明会というのは、村の方針を説明するものです。その方針が覆ることは基本的にありません。
 しかし、秋山地区の公共交通機関が無くなるというのは大問題です。そういう場合は、「方針」を決める前の段階で、「こういう問題が生じているが、どのように対応すべきか。みなさんの意見、要望、アイディアをお聞かせいただきたい」というところからスタートすべきです。1世帯から1人が出席するという通常の説明会タイプの会合だけではなく、秋山に居住する若者たち(平素は仕事との関係で「下」に居住場所を有しているが、頻繁に実家に帰り、秋山の地元行事の中軸を担っている人を含む)に意見・アイディアを求める会合や、秋山の地域おこし協力隊員の意見を聴く場などを設ければ、役場だけでは思いつかない斬新(ざんしん)な提案が出てくる可能性があります。
 一般質問でのやりとりから見ると、村(長)にはそういう発想法そのものがなかったと思われます。
 秋山の公共交通問題は、津南町が運行する3便の和山への延長という今回の策だけでは解決できていません。観光客への対応策を含めて、さらに対策を考えていかなければなりません。今後は、若者をはじめとする住民、そして観光関係者等を対策検討の主役として位置づけ、みなさんの意見・アイディアを汲み上げていくように、議会サイドから十分にチェックをかけていきたいと考えています。

 

● 5・25地震被災田んぼ復旧工事の自己負担率をめぐる問題
 今次補正予算には、農地に関わる「平成30年5月25日発生地震災害復旧事業」3,021万円が計上されました(国庫補助事業2,565万円、村単事業456万円)。
 復旧工事を求める農地はカバーされているようですが、問題は地権者・耕作者の負担率です。7年前の大震災時とは異なり、通常災害復旧工事の負担率20%が適用されています。負担額は305万円にのぼります。
 5・25地震で被災した農地の多くは7年前にも被災しています。「7年を経て再び同じ田んぼが被災」となれば、耕作継続意欲が削がれることも充分にありえます。ましてや、今回は20%の自己負担金が求められるとなれば、なおさらです。
 複数の議員が負担率の軽減を求めましたが、村は「この件の負担率を下げると、今後のさまざまな被害復旧工事の自己負担率に影響を及ぼす」として、軽減措置を拒否しました。
 私は納得できず、採決前の総括審議において、「7年前の震災の際、中越の被災経験者から言われたのは『農地の地震被害は1回の復旧工事だけでは治らないケースがよくある』ということだった。今回の農地被害について、7年前の被災との関係等をよく調査・検討すべきだ。そして、自己負担率は20%としたうえで、震災復興特別基金を活用するなどして、自己負担率を実質的に軽減する措置を検討すべきだ」と食い下がりました。
 これに対して、森川村長は、7年前の震災時に役場職員として農地復旧を担当した経験もふまえて、7年前の震災で被災した農地の現況等について調査する考えがあることを初めて意思表明しました。これが単なるリップサービスに終わらないように、私は他の議員とも連携して、今後も働きかけ・議論を続けていきます。

 

 

◎ 地方交付税交付金の大幅削減について
 7月24日、総務省が本年度の地方交付税交付金のうち普通交付税の決定額を発表しました(特別交付金は未確定)。栄村は13億6,540万円で、前年比13.3%の大幅減少です(平成29年度は15億7,452万5千円)。全国的にも前年度よりも減額されていますが、全国の市町村平均では2.7%の減少で、栄村の13.3%という減少率は突出しています。
 地方交付税の算出方法は「よほどの財政専門家でなければ分からない」と言われるほどに難しいものです。本年度、全国的に減額になっている原因の1つは、リーマンショックへの対応措置として続けられてきた特別枠が廃止されたことにあります。また、栄村の減額が突出して大きいのは震災から7年を経たことも関係しているのではないかと思われます。
 しかし、それにしても、13.3%という大幅減少は大ショック、きわめて大変な事態です。地方交付税交付金は栄村の年間予算の財源の45%近くを占めるものだからです。

 

■ 危機感にズレ
 9月定例会の一般質問において、相澤博文、保坂良徳、そして私の3議員がこの問題を取り上げました。いずれも村財政の今後に対する危機感を抱いての質問です。
 しかし、村当局の答弁は、「前年比では13.3%減だが、村の本年度当初予算での普通交付税見込額は14億8千万円なので、見込額比では8%減。特別交付税の交付額はこれから決まるので、その結果も見て、12月をメドに再算定を行い、12月議会ないし来年3月議会で補正予算を提出する」というものでした。
 村長及び村当局の答弁からは私たちと同様の危機感が共有されているとは到底思えません。財政に詳しい人からは、「そもそも本年度予算策定段階での交付税のヨミが甘い」という声も聞こえてきています。
 どう対応すべきでしょうか。
 第1には、地方交付税交付金というものが、石原慎太郎氏などが言う「地方への仕送り」などではなく、「税収は国7割地方3割、歳出は国3割地方7割」という現実をふまえて税収の適切な再配分を行うものだということをしっかり確認し、他の自治体と共同して地方交付税交付金の回復・増額を求めていくことです。
 第2には、村財政の見直しを徹底的に行うことです。
 栄村の財政規模は震災との関係で大きく膨らみ、いま、そこから平時の財政規模に戻るプロセスにありますが、森川村政においてはそのことが十二分に自覚されていないのではないかという危惧を多くの議員が抱いています。9月定例会の一般質問の質疑でもあったことですが、リップサービスのつもりなのか、億単位のお金を要する施設の改築などを村長が簡単に口にすることがあります。「村民の要望に耳を傾ける」というのは、必ずしも「予算付け」ということを意味するわけではありません。「“受け”が悪い」ということがあっても、財政の徹底見直しをきちんと行うことこそ、行政の長の責任・責務であることを肝に銘じてもらわねばなりません。

 

 

◎ 決算審議について
 9月定例会は“決算議会”です。今回は平成29年度の一般会計決算書と10の特別会計決算書が村長から提出されました。
 決算は、_餬彜浜者が村長に提出した決算を、村長が検討した上で監査委員に提出し、4萄紺儖の審査を受けたものです。監査委員は証拠書類や帳簿等もチェックし、決算の適正性を判断し、審査意見書を村長に提出します。ぢ篠垢牢萄紺儖の意見書を受けとめたうえで、その意見書と共に決算書を議会に提出し、認定を受けなければなりません。その際、「主要施策の成果説明書」等の必要書類を提出することも義務づけられています。
 議会は、9月7日の本会議で村からの決算書の提出をうけて、決算特別委員会を設置し(構成メンバーは全議員)、7日と10日の2日間、決算審査を行いまいした。決算特別委員会の委員長は慣例で2つの常任委員会の委員長が交互に務めることになっており、今回は産業社会常任委員会が当番ということで、私が委員長を務めました。そのため、私は今回の決算審査ではいっさい質疑を行わず、議事進行役に徹するところとなりました。

 

● 議会に求められる決算審査とは
 議会は、決算の審査において、決算の数字に誤りがないかについてもチェックする必要がありますが、それは監査委員が専門的な立場から精査されています。ですから、議会には、予算の執行によってなされた施策がどういう成果を出しているか、それらの施策の効果はどういうものなのかを吟味することこそが求められます。

 

● 浮かび上がった問題点
 2日間にわたって審査を行いましたので、質疑内容は多岐にわたります。そのすべてを紹介することは紙幅との関係で出来ませんので、とくに目立った論点を3つ、紹介・報告します。

 

■ 総額1億7千万円にのぼる「不用額」はなぜ発生するのか
 一般会計で見ると、歳出予算額38億9,846万円に対して、支出済額35億9,695万円、翌年度繰越額1億2,761万円で、じつに1億7,389万円が不用額になっています。「不用額」とは言いかえれば「執行されなかった予算」ということです。
 無駄遣いをすることは許されませんから、予算をただひたすらに使い切ればよいということではありません。しかし、「必要な予算」ということで決めていたものが使われずに残るというのは、やはり「何故?」という疑問が出てきます。
 審査は款(かん)(総務費、民生費等に区分されています)ごとに行われますが、保坂良徳議員が各款毎にくりかえし質問しました。村側の答弁の基本は「予算は執行率90%を目安にたてている」というものです。この答弁には一定の納得はできます。というのは、行政の通常業務の遂行や施策の実施にあたって予算不足が生じると困るからです。
 しかし、じつは3月議会に提出された補正予算において、年度内執行の見込みがない予算を減額する補正がすでに行われています。そういう減額修正があったうえでなお、1億7千万円余の「不用額」が発生するということにはやはり疑問が残ります。
 やはり予算編成に甘さがあるのではないかということです。
 私は今回で3回目の決算審査ですが、過去2回の審査では「不用額」の問題が問われることは基本的にありませんでした。今回は保坂議員の重要な問題提起が行われたと私は受けとめています。来年度の予算審議においては、そういう点にも留意して審議に臨むようにしたいと思います。

 

■ 特命対策課はどういう仕事で成果を上げているのか?
 第2款総務費の審査において、特命対策課の決算が1つの焦点となりました。
 特命対策課の予算支出済額は2,781万円でした。そのうち人件費関係が2,371万円です。人件費が占める割合が非常に高いのが特徴です。しかし、このことはある意味では当然です。というのは、特命対策課の設置にあたって村長は「特命課は事業予算を持たない課とする。事業予算が付く段階になれば、その施策の予算はその施策事業の執行に適した課につける」としていたからです。
 ところが、「予算執行の成果を示す」文書である「決算説明書」で特命対策課について言及があったのは、「食の高付加価値化プロジェクト」19万円と「利雪推進プロジェクト」50万円の2件のみ。「2,300万円余の人件費を使って、いったいどういう仕事をやっているのか」という疑問が生まれてきます。今回の決算審査では十分な説明は得られず、12月定例議会でより詳しい説明を求めることになりました。
 村長の肝いりで設置された特命対策課、設置から満3年まで残るところ半年余となりました。多くの村民の疑問に答えられる審議をしっかり進めていきたいと思います。

 

■ 社会福祉協議会への3千万円の補助金はどう執行されたのか
 昨年12月臨時議会で、村が高齢者総合福祉センターの指定管理者としている栄村社会福祉協議会に3千万円の補助金を追加支出する補正予算が決まりました。
 今回の決算審査では、上倉敏夫議員がこの3千万円の補助金の予算執行について繰り返し質問されました。答弁で3千万円が村から社協に支出されたことは確認されました。しかし、上倉議員は完全には納得されていないと私は受けとめました。
 この3千万円はじつは、運転資金の不足に直面した社協が村に「3千万円貸し付けてほしい」と申し出たことから始まっています。社協はデイサービスの実施に対して介護保険から支払いを得ることを重要な収入源としていますが、この支払いは2カ月遅れになるため、運転資金が不足するというわけです。これに対して、村は貸付ではなく、補助金として3千万円を社協に交付しました。補助金制度の本来から言えば、ある年度の補助金はその年度内に補助対象となった事業に使われ、所定の成果を出して、その結果を村に報告しなければなりません。しかし、社協では運転資金として使い、事業が軌道にのった段階で3千万円を村に返済するという態度を堅持していますので、平成29年度中に3千万円の補助金事業が実施されたわけではないということになります。上倉議員は財政の運用のあり方として、こうした事態は適正ではないということを言っておられるのだと思います。そして、一理あるご意見だと思います。
 私は、この問題の根底には、十分な財政計画なしで社協への指定管理をスタートさせたことがあると考えています。9月定例会期間中に担当課及び社協事務局から平成29年度の指定管理業務の報告書についてご説明いただきました。議員全員にも資料が配布されました。議会会期中に十分な検討をする余裕はありませんでしたが、今後、報告書の精査、さらなる聞き取り等を行い、村の介護保険行政の現状と将来展望についての検討を深めたいと思います。

 

● 特別委委員長としての審査報告
 決算特別委委員長は定例会最終日の本会議において特別委での審査結果について報告します。「審査の結果」として、「慎重に審査しました」とのみ発言することがこれまで慣例となってきたようですが、今回、私は次のように報告しました。

 

「決算特別委員会では、歳入歳出予算執行の結果を総合的に確認し、検証して予算効果と行政効果を客観的に判断すべく、多岐の論点にわたって質疑を行いました。その過程で、予算の執行をめぐって反省すべき事項や改善すべき事項の指摘も行いました。村長におかれては、今回の決算審査で指摘された事項を今後の予算編成や財政運営に活かされることを求めます。また、議会においては、今後の予算審議、財政運営に対するチェックに活かすことが求められます。
なお、審査の過程において、「主要施策の成果」等を記す「決算説明書」は、予算執行の単なる実績、データではなく、施策の実現を目指して措置された予算の執行によって成し遂げられた効果を明らかにすべきものであるところ、その効果についての説明が十分にはあきらかにされていないものがあるとの指摘があったことを明記しておきます。平成30年度以降の決算書における改善を求めるものであります。」

 

 これが平成29年度決算についての私の判断を言い尽くしています。これをもって、決算審査に関する報告のまとめとします。

 

 

◎ 指定管理者制度について
 私は9月定例会の一般質問で、「観光は村の基幹産業」という認識について森川村長の確認を求めるとともに、指定管理者制度についての森川村長の考えについて尋ねました。
 森川村長は、「観光は栄村の基幹産業である」という認識を改めて表明するとともに、「村の公の施設の管理運営のために指定管理者制度は必要だ」という考えを示しました。そして、「指定管理者の公募にあたって、村側が示すべき募集要項はいかなるものか。施設の管理運営に要する経費、利用料収入、そして指定管理料はいくらになるのかを算出し、それを示す第一次的責務は募集者、応募者のいずれにあるのか」と私が問うたのに対して、「提示する責任は募集者側(村)にある」旨を答弁しました。
 私は、観光4施設の(一財)栄村振興公社への指定管理の実態に鑑みて、「実際はそのようになっていないのではないか」と再質問しました。それに対して森川村長は「確かにそうだ。相手側となれ合いになっていたところもある」旨の答弁をしました。
 私は、この質疑は非常に重要なものだと考えています。
 指定管理者制度の運用は観光施設の振興公社による指定管理だけでなく多岐の施設において行われていますが、とくに4つの観光施設の管理運営が大きな問題となっている現在、平成31年度にむけての指定管理者の募集にあたって、今回の答弁に則った措置がきちんと行われるかどうか、しっかり見守っていきたいと思います。

 


 以上、9月定例会についての私の報告とします。


松尾まことの議員活動報告第29号(7月31日付)

 7月も、各種の会議への出席(村外への出張3件を含む)など、議員としての仕事はかなり多くありました。しかし、議会(本会議)の開催はなく、みなさんにご報告しなければならない議会の新たな決定事項はありません。
 そういう時期ですので、今号では、「議会・議員がなすべきことは何か」という根本的な問題にたちかえっての議論を少ししてみたいと思います。

 

受け身から課題・政策の積極的提案・実現へ

 

◎ 議員は政策実現の活動をできているか
 議員は4年に一度の選挙の際に、さまざまな“公約”を掲げます。しかし、実際のところ、“公約”に掲げられた政策は実現されているでしょうか? お世辞にも「実現されている」とは言えませんね。それには原因があります。議会・議員の仕事が基本的に、行政が議会に提出してくる議案の審議・採決にとどまっているからです。自らが実現したいことを政策として具体化し、その実現のために必要な条例案や予算案を議員(議会)自ら立案するような活動を基本的にはやっていないのです。
 私は選挙における公約の基本に〈情報の徹底公開〉を掲げてきました。その点ではそれなりのことをやってきていると自負していますが、〈情報の徹底公開〉というのは、議会・議員の使命として大きく言えば2つのものがあるうちの一方だけに関わるものです。

 

■ 議会・議員の2つの役割
 議会・議員の2つの大きな使命とは、行政に対するチェック機能政策立案・提言の二つです。〈情報の徹底公開〉は、この2つの使命のうち、基本的には,亡悗錣襪發里任后「議員活動報告」を発行することなどによって、議会で何が議論・決定されているかを村民のみなさんが以前よりは知ることができるようになったということは言えるのではないかと思います。このことがひいては〈行政に対するチェック〉につながっていると思います。
 しかし、これだけでは村が抱えている様々な課題の解決、また、村民のみなさんが願っておられることの実現には至りません。やはり、議員自らが政策を立案し、それを行政に提案して協働して実現していく、あるいは、議員自らが政策を立案すると同時にその実現のプロセスを主導していくという活動が必要です。
 一昨年4月の補選で議員になって以降の2年余の議員活動を振り返ってみて、やはりこの政策立案・提言・実現の活動が圧倒的に弱いと痛感し、厳しく自省しているというのが正直なところです。

 

◎ 村(村民)が直面している課題をずらっと並べてみる
 今回の「議員活動報告」では、政策立案・提言・実現活動への第一歩として、〈いま、栄村にはどういう課題があるのか〉をずらっと並べてみるという作業から始めたいと思いました。以下、その作業をざっくりとやってみますので、ちょっとお付き合いください。

 


 上に掲載したのは、この1〜2カ月の間に私がみなさんからお聞きした意見、要望、不安などを付箋(ふせん)に書き込んで、とりあえずアトランダム(順不同、無作為)に貼り付けたものです。
 いま、村民のみなさんが思っていることをすべて網羅できているとはけっして思っていません。また、言葉足らずで、私に話してくれた人の思いを十二分に表現できていないケースもあるかと思います。

 

■ ジーッと見つめて、問題の共通群を見つける
 さらに、問題群の間のつながり(関連性)を見つける

 つぎに、上の小タイトルに書いたように、この意見・要望・不安の中から、〈問題の共通群〉、さらに〈問題群間の関連性〉を見つけます。
 そうすると、1、2、8、12、13、14は〈交通〉、〈移動の足の確保〉という点で共通する点がありますね。
 4、16、17はいわゆる〈高齢化にともなう問題〉、あるいは〈介護〉をめぐる問題という括(くく)りができるかと思います。さらに、1や3、10、18も〈高齢化〉に関わる問題だと捉えることができます。
 他方、5はズバリ〈子育て環境〉の問題です。と同時に、12と共に、〈秋山郷の暮らしの環境〉という問題として括ることもできます。また、6は〈子育て環境〉の問題であると同時に、働く人(とくに若者)を取り巻く環境の問題という面もあり、次の〈若者が栄村で暮らす環境〉の問題でもあると思います。
 11、20は〈若者が栄村で暮らす環境〉と言い換えてもいいですね。さらに、9もこれに関連していますね。あるいは、20と19は15と共に〈働く場・雇用〉と括ることができます。また、15と3(+10)の間には密接なつながりがありますね。18も〈働く場・雇用〉と関係しています。
 視点を変えて、〈農業をめぐる問題〉という問題群を設定すると、3、10、15、さらに20を1つの問題群として括ることができます。
 あと、7と21が残っています。これは〈観光〉と括るのがいちばん分かりやすいでしょうが、じつは〈働く場・雇用〉の問題であり、〈若者が栄村で暮らす環境〉の問題でもあるといえるでしょう。観光客やスキー客を増やし、観光施設やスキー場を発展させていくことができなければ、若者が仕事を確保し、栄村で暮らしていくことはできませんから。


◎ 発想法を大きく転換する
 図表をながめ、さらにその後に示した〈問題の共通群〉や〈問題群間のつながり〉=関連性を少し時間をかけながら、じーっと見つめていると、これまではあまり見えていなかったことが何か、少しずつですが、浮かび上がってくる、見えてくるのではないでしょうか。
 ただちに、それぞれの問題(課題)の解決策が浮かんでくるというのではありません。でも、さまざまな問題は相互に様々な形で結びついている、だから個々の問題に直対応する個別の対応策では不充分になる、ムダが出てくる、このことが見えてくると思います。これに対して、「総合的な施策を」と言えば解決案のように思えるかもしれませんが、「総合的」とは言っても、いくつかの大項目を並べ、その下にいくつもの小項目を並べて、「総合計画です」とか言うが、実際の施策となると、結局、個々の問題に対する施策が個々バラバラに実施されるということになってしまっているのではないでしょうか。
 なにか、もう一歩、踏み込んで考えることが必要だと思います。

 

■ 《働く場を創り出す》を中心軸に据える大挑戦が鍵を握るのでは
 そこで、大きな軸を1本立てることが大事なのではないかと、私は考えました。
 それが《働く場を創り出す》です。これは言い換えると、《会社を創る》とも言えると思います。
 《働く場》が確保されたら、若者の定住も増えます。栄村に明るい陽が射(さ)し込んできます。

 でも、きっと、「えっ! 何の会社?」って、尋ねられますね。
 「これまで無かったような、栄村発の新しいことをやる会社」とお答えするのがよいかなあと思います。
 会社というのは、お客さまの需要(ニーズ)がある商品やサービスを提供するもの、そしてそのニーズを満たすのに必要な経費を賄うと共に、利益も生み出すものですね。
 栄村には、新しい会社を必要とするようなニーズはあるでしょうか?
 あります! 先に見たさまざまな問題(課題)です。あのさまざまな問題(課題)、すべて行政が対応する行政課題だと思っていませんか? そこから考えを変える(脱け出る)ことが鍵だと思うのです。この考え方の転換は、けっして行政の責任を曖昧にしたり、軽くしたりということを考えているのではありません。でも、一方でいろんな人が働く場を求め、他方でいろんな人が種々のサービスや利便さを求めているのです。それをマッチングさせていけば、〈商品・サービスの提供(会社側)〉と〈求めているものが満たされる(お客側)〉がうまく出会って、新しい会社ができ、働く場を創り出すことができますよね。
 ただ、難しい問題があります。先に見たさまざまな問題(課題)=ニーズ、栄村の人口規模では1つ、1つのニーズの量が少なくて、1種類ないし2種類程度のニーズに対応するというのでは会社として成り立たないのです。
 この難題の打開方法は?

 

■ 「栄村の基幹産業は農業と観光」と言うけれど…
 ここでちょっと、別の視点から考えてみます。普段から、「栄村の基幹産業は農業と観光です」と言われていることです。
 「基幹産業、基幹産業と言うけれど、基幹産業を守り、発展させていくようなことはちっともやっていないんじゃないか」――かなり人がこう思っているのじゃありませんか。
 私もそう思っています。
 「だったら、ここに踏み込めばいいのではないか」というのが私の発想法です。
 私はこの間、さまざまな機会に観光について問題提起をしてきましたので、観光を主軸に《働く場を創り出す》というのはいいと考えます。
 でも、それは、ただ観光施設を管理するだけというような貧困な発想ではモノに成らないです。

 

■ 村民多くの参加でワイワイガヤガヤ
 村民の多くの人がワイワイガヤガヤ、いろんな形・方法で参加するので、外から来るお客さまにとって面白いし、村民も楽しくなる、さらに、先に見てきた様々な問題(課題)の解決にもつながる――そういう発想法での新しいタイプの事業です。
 たとえば、「私は足(車)がないので、買い物が不便、行きたい温泉にも行けない」と言う人、しかし、その一方で、「おらはまだまだ元気だぜ。出来上がった料理をお客さんの席まで運んで、ただ置いてくるだけじゃなくて、気の利いた声かけの一つもやって、お客さんを喜ばせる自信はあるよ」と言う人、5本、10本の指では収まりきらないほどにおられると思います。そういう人を送迎してでも、短時間でよいので観光施設で働いていただく。若い人が軸の会社が、こういう発想法をもってやっていけば、観光の発展になるし、栄村の深刻な課題である〈交通(足)〉の問題の打開や〈高齢者の楽しみの機会の不足〉という問題の打開にもつながります。
 さらに、「観光施設は外からのお客さまが利用するところ」という固定観念を、施設運営の会社も村民自身も打ち破っていけば、先に挙げた「飲める処、食べる処がない」という問題の打開にもつながります。さらに、どうしても季節的な要因で観光客が少なくなる時期に観光施設をただ遊ばせておくのではなく、村民の楽しみを増やす場として活用し、そして施設運営会社もそれなりに稼げますよね。よく言われる「ウィン?ウィンの関係」ということになるでしょうか。

 

◎ 行政や議会が果たすべき役割は?
 ここまで書いてきたことは、あくまでも一つの試論です。
 みなさんそれぞれが、いろいろ考えて、アイディアを出して下さることが大事だと思います。
 ところで、ここまでに書いてきたことは、いわば《民間主導》の話です。となると、行政(役場)は何をするのでしょうか? また、議会・議員の役割は何なのでしょうか?
 結論から先に言うと、民間がやろうとすることを邪魔しない、後押しすることだと思います。村民からよく聞く言葉ですが、「役場の上層部は何かにつけて、『前例がない』、『何かあった時、責任をとれるのか』と言って、若手職員の提案を潰してしまう」と言われます。いや、若手職員の提案だけではなく、村民の斬新なアイディア・提案に対しても同じではないでしょうか。
 行政(役場)にやってもらいたいことは、新しいチャレンジへの補助金(制度)の検討ではありません。村民側も何かといえば「補助金頼り」という考えはやめるべきでしょうね。欲しいのは補助金よりも、なによりも、「おー、そのアイディア、いいね。やって下さい。何か困ったことあったら、一緒に考えますから」という積極的な応援の姿勢を示してくれることだと思います。もちろん、素敵な補助制度がある場合は、その紹介も有難いですが。
 議会・議員も同じです。村民の声に耳を傾け、村民のチャレンジを応援する、行政がそういうものを応援する方向に向いているかをチェックする。そういう姿勢が求められていると思います。
 私は今回の「議員活動報告」を「議員は政策立案・提言の活動をできているか?」といわば自問自答することから始めました。そのことからすると、ここまでの記述は《民間主導》の動きについての提起で、議員の政策立案とは言えないかもしれません。しかし、「何でも行政施策で解決する」という発想法の政策ではダメだと考え、ここまでの提起をおこなってきました。みなさまの感想、ご意見をいただければ有難いです。

 

◎ 情報を繋げる−思いを繋げる!
 最後に、一つ、ある意味で最重要のことを提起させていただきたいと思います。
 見出しに書いたとおり、《情報を繋げる》ことです。
 十年ひと昔、村には有線電話がありました。いま、70歳以上の世代の人はこの〈有線〉でずいぶんと色んな人と繋がり、お喋りし、情報を交換し合いましたね。いまも、NTTの固定電話があると言っても、料金もかさむし、〈有線〉のようには使いませんね。
世の中はネット時代、SNS時代になりました。パソコンを使わない人でも、「家族の間ではLINE(ライン)を使っている」という人も結構おられるようです。比較的若い世代だとFacebook(フェイスブック)をやっている人もそこそこおられます。でも、村内の情報が縦横無尽に繋がるという状態にはなっていません。
 私自身はネットでの情報発信を行う一方、村内では紙媒体での情報伝達もしていきますが、この《情報を繋ぐ》ことが栄村のこれからにとって最重要のテーマであることを指摘しておきたいと思います。《情報》は単なる《情報》ではありません。《情報》にはみんなそれぞれの《思い》が詰まっています。それを繋げていきたいのです。

 

<後記>
 みなさん、同じ思いだと思いますが、猛暑に参っています。
 外での仕事に携わっておられる方はそうも言っておれないでしょうが、午後の1時〜3時の頃はあまり外で騒がない方が賢明ですね。
 暑さも厄介ですが、私は太陽光線の激しさに気をつけるようになりました。TVで言っていましたが、「目から強い光線の刺激が入ると、それが脳に伝わって、めまい症状などを引き起こす」そうです。そんな次第で、7月末から昼間の外出時にはサングラスをかけるようにしています。みなさんのお宅に配達に廻った際、「えっ?」と驚かれるかもしれませんが、よろしくお願いします。

 

 

9月議会の予定のご案内

 

 9月は定例議会開会の月です。
 今年は9月4日(火)に開会し、11日(火)まで続く予定です。

 9月議会は〈決算議会〉とも呼ばれます。平成29年度の村の一般会計・特別会計の決算書が提出され、審議されるからです。
決算書は決算特別委員会という議員全員参加の委員会で審議されます。決算特別委員会は9月7日(金)と10日(月)の2日間の予定です。午前10時から(正午〜午後1時半の昼休憩を挟んで)午後5時近くまで、ぶっ通しで行われます。
 4日は決算以外の議案の提案とその審議です。理事者側からどういう議案が出されてくるかはまだ分かりません。5日(水)と6日(木)は一般質問です。
 私は補選で議員になって2年半近く、昨年の選挙で初当選された議員も1年半近くになり、これまでの一般質問のやりとりを総括し、より深みのある質疑を実現していかなければならにと考えています。
 11日(火)は総括審議と議案採決です。

 多くの方々の傍聴をお願いします。
 私自身の傍聴経験からも、傍聴者には議案書などが配られない中での傍聴は結構キツイものです。傍聴予定をあらかじめご連絡いただければ、議案書を提供することはできませんが、関連資料などをご提供できるようにしたいなあと思っています。傍聴をご希望の方は是非、ご一報ください。
 よろしくお願いいたします。


松尾まことの議員活動報告第28号(6月22日付)

「公社解散・新会社設立」の真意と展望について

 

 6月21日付信毎3面で、「栄村の4温泉施設 村、新会社で管理 検討」と大々的に報じられました。その記事を読まれた方も多いと思います。
 この動きは村議会6月定例会での審議によって浮上したものですので、6月定例会での議論と今後の展望について、議員として村民のみなさまにご報告させていただきたいと思います。

 

◎ 6月定例会での議論と結論
 6月定例会には、村から「一般会計補正予算(第2号)」が提出されました。村の4月人事異動に伴う役場人件費の調整*が主内容の1つですが、最重要の問題は、「村の4観光施設の指定管理料として3,300万円を追加支出する」という件でした。
     *役場職員の給料等の人件費は「総務費」「民生費」等の費目

      毎に計上されています。4月人事異動で、たとえば総務課の

      人が産業建設課に動いた場合、その職員に係る人件費を総務

      費から産業建設課関係の該当費目に移す補正予算措置が必要

      になります。

 

■ 振興公社理事長と議会全員協議会で話し合い
 議会は、この指定管理料3,300万円追加の是非について判断するために、定例会初日15日の午後、議会全員協議会(全協)を開催し、振興公社理事長山田功氏にご出席いただいて、公社経営の現状と見通しについて説明をいただきました(理事長の補佐役として総支配人が同行)。
 まず、すでに5月の全協に資料として提出されていた「平成30年度収支計画書」をベースとして、本年4〜5月の実績、今後の見通しについて説明を受けました。
 4〜5月は、「収支計画書」よりも約130万円増の営業収入が得られたとのことでした。とくに雄川閣での増収が大きかったようです。6月以降については、4~5月のような営業取り組みを展開していけば、「収支計画書」通りの営業、あるいは「収支計画書」よりも赤字を減らすことが可能という説明が得られ、私たち議員も納得できました。

 

■ 問題は基本財産(資本金)の減失
 つぎに、「栄村が出資する法人の経営状況」として村から6月議会に提出された振興公社の平成29年度決算書をめぐる話し合いに進みました。
 企業の経営と資産の状況を一目瞭然に示すものは「貸借対照表」(いわゆる「バランスシート」)です。これを見ると、 峪慊蠕橘財産」(通常の「資本金」にあたるもの)は8千万円と記載されているものの累積赤字が6千万円規模になっていて、純資産は、実際には約1,900万円しかなく、さらに、固定資産として定期預金2,900万円があるものの(昨年の村の出捐金を定期預金に入れたもの)、この定期預金を担保として平成29年度中に2,500万円の短期借入がされていることが明らかになります。
 そこで、議会は、この2,500万円の短期借入金を返済するに足る営業利益確保の見通しがあるかを尋ねました。回答は、そのような営業利益確保の見通しはないというものでした。議員は、短期借入金の返済のために、定期預金2,900万円のうち少なくとも2,500万円が消失するものと受け止めました。

 

■ 19日、再度の全協で議会の対応方針を協議
 15日の公社理事長との話し合いの結果をふまえて、議会は「指定管理料3,300万円追加」という補正予算案への対応を決めるため、一般質問日程終了後の19日午後、再び議会全員協議会を開催しました。
 この全協では、冒頭に議長から、事の重要性に鑑(かんが)みて、議員全員が自らの考えを述べることを求める旨、告げられました。
 おおよそ2時間強に及ぶ協議でしたが、「振興公社の自主解散、新会社設立による村4施設の管理運営」、「指定管理料3,300万円の追加は承認するが、公社への一括交付は認められない。公社による運営期間に対応する分だけを公社に交付し、新会社がスタートすれば、新会社による管理運営期間分は新会社に交付する」という結論に達しました。なお、当然のことながら、振興公社で現に働いている人たちの雇用は新会社が保証するという考えです。
 その後、全協を中断し、議長・副議長・議運委員長の3名で村長に上記の内容を申し入れ、村側の基本的同意を得ました。


■ 20日の6月定例会最終日の議事進行と採決
 6月定例会最終日の20日、議会は議事日程を変更し、指定管理料3,300万円追加を含む一般会計予算案を除く議案の採決を先に行い、その後、いったん議会全員協議会に切り替えて村長と協議し、19日に申し入れた議会側提案への村の基本同意を確認しました。
それをうけて、本会議を再開し、指定管理料3,300万円追加を含む一般会計補正予算(第2号)案を全会一致で可決しました。

 以上、やや煩雑になったかと思いますが、審議の経緯の報告です。

 

◎ 4施設の維持の必要性と経営改善の可能性
 ここまでにご報告した審議において、私たち議員が議論の根底に据えた1つの重要な認識は、雄川閣、のよさの里、トマトの国、北野天満温泉の4施設を維持しなければならないということです。
 4つの施設は、開設してから50年近くを経て老朽化しているものもありますが、村民と栄村にとってなくてはならない施設だと思います。4つの施設が閉鎖されるという事態になれば、村中(むらじゅう)が「灯が消えた」ような状況になってしまいます。仮に施設の統合のようなことを検討するとしても、それは4施設の運営・経営状況が改善され、村の将来について希望をもてる状況の中で行われるのでなければならないと思います。
 ところで、「栄村に限らず、周辺の市町村を見ても観光客は減少傾向。4施設の経営改善は望めない」という声が少なからぬところから聞こえています。
 でも、本当でしょうか。
 「圧倒的な黒字経営」とはいかなくても、もっともっと利用客を増やし、健全な経営状況に近づけることは可能です。早い話、公社理事会の当初方針では「4月以降、宿泊受入は金・土曜日のみ」とされていた雄川閣を全曜日宿泊受入に転換する等の営業努力を行った結果、雄川閣が4〜5月の営業収入増のけん引役になったという事実があります。
 また、私は温泉入浴するために毎夕、トマトの国に行きますが、この6月、信越トレイルのお客様(マイクロバス1台)や、野沢温泉村の人たちの1泊宴会、スマホでトマトの国を知っての飛びこみ宿泊等、さまざまな利用があります。これまでの公社ではやってこなかったことですが、こういうお客さまの動向をネット等で情報発信すれば、「お客がお客を呼ぶ」という構図が生まれてきます。
 4つの施設は、観光施設としてのみならず、村民の福利施設として必要不可欠のものです。4施設に行く「足」の提供など、利便性を高めれば、村民の利用度もぐっと高まります。
 村民の大事な財産として、4施設をなんとしても維持し、経営状態を改善していかなければならないと思います。

 

◎ 「振興公社の解散」はなぜ必要か
 「4施設の経営改善の見込みあり」ならば、なぜ、振興公社を解散し、新会社を設立する必要があるのか? という疑問が出てくるかもしれません。
 その点について、以下に説明します。
 栄村振興公社は平成25年度以降、「一般財団法人」として存在していますが、「財団法人」とは一定の基本財産があることをもって「法人」として成立しているものです。栄村振興公社の場合、その「基本財産」は、設立当初に村が出資した3千万円と平成28年度に村が追加出資した5千万円の計8千万円です。
 しかし、2頁の前半に書いたとおり、この8千万円のほとんどがなくなっています。これは栄村振興公社定款の第31条で「解散」する事由として規定されている事態です。さらに、平成30年度末(来年3月31日)の決算では、基本財産がもっと減り、「一般財団法人に関する法律」で法的に「解散」が決まる事態にもなりかねません。言葉をかえれば、いますぐに何らかの策を講じなければ、「破綻」という事態になりかねないのです。
 そういう事態はなんとしても回避すべきです。事と次第によっては「栄村が破綻」と受け取られかねない事態になりかねません。
そういう事態を回避するためにも。振興公社を自主解散し、替わって、村民が主役となる新会社を設立して4施設を運営する方向に舵をきるべきです。
     *村民の方からは、「そもそも追加投入した5千万円を

      食い潰した経営者の責任はどうなっているのか」とい

      う疑問の声、質問が届いています。従来の経営陣の経

      営に対しては、私自身を含め議員はこの間の議会審議

      等で追及してきたところです。そのうえにたって、公

      社を解散となった場合、法律で定められた「清算」の

      手続きが行われることになります。その過程で、さま

      ざまな問題点が明らかになってくるだろうと考えられ

      ます。

 

◎ 新会社の設立と健全経営の展望
 新会社を設立できるのか、新会社では健全経営は可能なのか。これが、つぎに明らかにしなければならない問題です。
 一番のポイントは、「村の資金投入に頼る」という、いわゆる「親方日の丸」体質を一掃し、「自分の食い扶持は自ら稼ぐ」という民間企業にとっては当たり前の会社にするということです。ですから、議会が全協で意思統一した提案では、まず、「新会社には村は出資しない」ことを確認しています。
 栄村には、そういう民間企業の経営を現にやっておられる方が何人もおられますし、そういう企業経営の経験者もかなりの人数おられます。
 そして、新会社で働くみなさんには、接客サービス業に従事する者としての自覚を新たにしていただき、創意工夫を凝らして、村民利用客、村外からのお客さまに満足していただける仕事をしていただくことが求められます。
 さらに、新会社には多くの村民の方々に4施設運営の主体として積極的に参加していただくことが大事になります。たとえば、これまでも自家栽培の野菜を4施設の食材として無償提供して下さっている村民がおられますが、そういう村民のご支援・協力を施設営業計画にきっちりと取り込み、それを含めて収支改善に取り組んでいくことが必要です。
 また、そうした村民のみなさんからのご支援・協力をいただくことの大前提として、4つの施設の運営をめぐって、施設地元の村民のみなさんなどで構成される運営協議会、あるいはサポーター(支援者)協議会のようなものを設けることになっていくと考えます。

 人間、最後に逃げ込める場所があると、なかなか本気にならないものです。4施設の運営でいえば、「最後は村にお願いすればお金が出てくる」というのではダメだということですね。
 新会社による4施設運営に展望があるかどうか。それは、「栄村に未来はあるのか」と問うのと同じだと思います。私たち栄村村民の未来をかけて、村民が心を一つにして奮起するときだと思います。

 

◎ 職員のみなさんには新会社で頑張っていただきたいと願っています
 現在、振興公社にお勤めのみなさんは、「公社解散、新会社設立」によって、みなさんの雇用がどうなるのか、たいへん不安に思われていることと思います。
 議会は、職員のみなさんに新会社に移って、その力を存分に発揮していただきたいと願っています。
 新会社の設立は、職員のみなさんが働きやすい環境、働き甲斐のある環境を創り出すためのものでもあると、私たちは考えています。新会社は、経営者と働く人たちが対立するようなものではなく、働く人たちが会社経営の先頭にたつ会社でなければなりません。
 厳しい経営環境の中での出発ですから、給与体系の見直し等も当然に課題として出てくることと思われます。しかし、大事なことは、「接客サービス業として、きっちり働けば働いた分が自分たちに還ってくる」、そういう経営を実現していくことです。
 私たち議員は、そういう環境が実現されるように全力で支援していく思いでいます。
 是非、新会社で頑張ってください。

 

◎ 議会はリーダーシップを発揮します
 議会は、19日の全協で一人ひとりが自らの考えを述べ、総意で「公社解散、新会社設立」を提言しました。
 である以上、議会は新会社の設立と成功のために全力でリーダーシップを発揮する責務を負っています。
 新会社は、村からの出資を求めません。振興公社との決定的な相違点です。同時に、村の4施設を指定管理で引き受けますので、一定額の指定管理料が村から支払われます。そのため、新会社の経営に議員が携わることは法律的に許されません。
 しかし、新会社の設立にむけてアイディアを出すこと、新会社への村民のみなさんのご協力をいただけるように努力することは法的に許されるばかりでなく、積極的にやらなければなりません。また、新会社が始動し始めた後も、新会社による4施設の運営がうまくいくように、村民の先頭にたって頑張る責務を負っています。
 議会が一丸となって、そういう責務を果たしていくことを議員としてみなさまにお約束したいと思います。


地震被害復旧関係補正予算について

 6月定例会では、5月25日発生の地震被害の復旧に関わる補正予算4,470万円が議会最終日に提出され、可決されました。

 

● 農地復旧と公共建造物の復旧が主
 農地関係では、国庫補助による災害復旧事業2,166万円と村単の小規模災害復旧166万円の計2,332万円。この農地復旧事業では、農地で20%、農業施設で10%の受益者負担が課せられます。
 農地以外は、学校等の公共建築物の復旧工事事業が主で、個人住宅被害の復旧に関わる施策・予算は見当たりません。
災害復旧予算は基本的に承認せざるをえませんので可決しましたが、問題点は残っています。

 

● 被害を受けた村民の実状にもっと細かな気配りと対応を
 今回の地震では、長瀬集落などを中心に個々の世帯がさまざまな被害を受け、修復・復旧の工事等を迫られています。
 7年前の大震災と比較すれば軽微な被害だとはいえ、個々の世帯にとっては、〜芦鹵録未良旧工事で背負った借金の返済が完了しないうちに新たな復旧経費を要することになった、∩芦鷽椋劼悗梁弍で蓄えた資金のすべてを使い尽くし、資金力がなくなっているという中で自己負担を迫られ、非常に苦しい立場に追い込まれているケースがかなりあります。
 復旧予算審議での役場側答弁は、「被災判定の調査は求められれば行うが、半壊以下なので補償は考えていない」というもので、被災者の苦しみに心を寄せない、非情な冷たさを感じざるをえないものでした。
 これは改善しなければならないと強く思います。お困りの方は是非、議員にご一報、ご相談ください。