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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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景観ポイントを探る(その2)

 前号から引き続く企画記事です。前回は秋山林道から見る鳥甲山の素晴らしい景観を取り上げましたので、今回は水内地域の景観ポイントの1つを紹介したいと思います。

 

 


 この2枚は、スキー場内の村道を上り始めて間もなく見える眺めです。重なる部分がありますが、上写真では苗場山、千曲川、鳥甲山が見え、下写真では野沢温泉スキー場がある毛無山まで見えます。

 


 同じような景色に見えるかと思いますが、先の2枚を撮影した地点から車で3分進んでいます。100mくらいの標高差があり、眺めに変化が認められると思います。
 最後に、スキー場の頂上からの眺めです。

 


 3枚目の撮影地点からさらに200m以上の標高差があります。
 眺めが随分と変わるのがお分かりいただけるでしょうか。標高が上がるに連れて、苗場山〜毛無山の山並みがぐっと近づいてくる感じがします。これらの写真の撮影は4月30日ですが、その3日前にある方をご案内したところ、「凄い景色! 眺めがどんどん変わりますね」と絶賛をいただきました。その日はもっと空が青々とした快晴でしたので、印象はこれらの写真よりもより強烈だっただろうと思います。

 

 今回ご紹介したのは芽吹きが進行中の時期。年間で最もよい季節だと言えますが、夏は夏で素敵な見どころがあり、秋は紅葉のパノラマを眺めることができます。
 ただ、3枚目から進んで間もなく、道は舗装路から未舗装路に変わり、ものすごいデコボコ道になります。軽トラでもきつい道で、普通車で進むのは非常に困難になります。私はこの10年間ほど、何回も何回もこの道を上がりながら、「下手に舗装すると、自然保護に理解のない人が侵入しかねない」と思い、舗装することに躊躇を感じてきました。しかし、最近、きちんとした管理を前提として舗装し、より多くの人たちにこの景観を楽しんでいただく方が村の観光の発展にとって有益なのではないかと考えるように変わりました。みなさんは、どのようにお考えになりますか。是非、ご意見をお聞かせください。


景観ポイントを探る

 5月8日、栄村秋山郷観光協会の通常総会が開催されました。「観光協会は何をなすべきか」については課題が多いと思いますが、H30年度事業計画(案)では1つ、注目する点がありました。「写真スポットや絶景スポットの整備」という項目です。
 栄村には、〈隠れた景観ポイント〉がたくさんあります。観光に訪れた人は気づきにくい、また、近づきにくいところです。

 


 上は日出山線と鳥甲線の分岐点から秋山林道を屋敷方面に向かう途中の地点。手前に見える土の山は足もとが不安なところですが、ここを越えると素晴らしい景観が広がります。その姿が下の写真。

 


 是非、多くの人に見ていただきたいものです。しかし、それにはこの足場の悪い所を整備する必要があります。そんなに難しいこと、費用がかさむことではないと思いますが、そういう小さな努力が秋山郷観光を育てていくと思います。
 この近くには次のような景観スポットもあります。ここ数年、紅葉期にカメラを向ける観光客が増えています。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・
栄村復興への歩みNo.335
2018年5月11日発行 編集・発行人 松尾真 連絡先:電話080−2029−0236、mail;aokura@sakaemura.net
ゆうちょ銀行 11100−1361481 栄村復興への歩み協賛寄金 ながの農協栄出張所 普通0009390 栄村復興への歩み発行協賛金松尾眞


自然資源、観光資源の〈調査・選定・管理・保全〉という施策を

 4月の栄村に夏日の日があるという“異常天候”の春になっています。そういう中でも、少し標高の高い地域に行くと、「まだようやく春が訪れたばかり」という感じの場合もあり、村内でも様子がかなり異なります。そういうこともあって、今号では自然界の様子を多く紹介しました。
 それらの記事には、もう一つ別の狙いもあります。「栄村は自然が豊か」とよく言われますが、自然や観光の資源という意味でどんなものがあるか、きちんと調査し、選定する、そしてそれらを管理・保全するという施策が必要だということを訴えたいのです。〈観光商品の開発〉の大前提・土台です。1頁で紹介した森老人クラブの素晴らしいお花見は栄村の素晴らしい地点の調査・選定への大きなヒントを教えていると思います。

 


4月26日、天池からの鳥甲山の眺望

 


4月26日未明、苗場山には降雪があったようです。樹々への着雪が天池から見えました。


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栄村復興への歩みNo.334 2018年5月3日発行
編集・発行人 松尾真 連絡先:電話080−2029−0236、 mail;aokura@sakaemura.net
ゆうちょ銀行 11100−1361481 栄村復興への歩み協賛寄金 ながの農協栄出張所 普通0009390 栄村復興への歩み発行協賛金松尾眞


村民みんなの参加で振興公社を立て直しましょう

● 振興公社は栄村のみんなにとって大事な存在
 振興公社の「興」という字は「興(おこ)す」という意味です。つまり、振興公社は、その名の通り、栄村の村おこしの中心となる存在です。
 村民の多くのみなさんが「振興公社はどうなるのか?」と心配されています。
 みんなが自分の思いを声にし、その声と公社職員の気持ち・働きとが結びつけば、振興公社は必ずよくなると私は確信しています。私は議員としての仕事もそういう気持ちでやらせていただいています。
 懸命に働く職員の士気を挫くような振る舞いをする方にはご退場願って、一日も早く“明るい振興公社”を取り戻したいものです。村民みんなが力をあわせて、そういう振興公社を取り戻していきましょう。

 

● たくさんのお客さんを迎え入れるには、どうしたらよいか
 振興公社を村民みんなの力で盛り上げていく取り組みはこれまでにも見られます。「トマトの国」の温泉に通う村民は、自分の畑でとれた野菜を宿泊客の人たちに食べてもらおうと無料で届けています。
 その野菜や山菜、「トマトの国」の料理に使われ、宿泊客のみなさんから好評を得ています。「農家が届ける新鮮野菜モリモリ料理」、こんなメニューを打ち出せば、「トマトの国」の有名料理、ブランド商品になるでしょう。

 

東京の中高生が書いた寄せ書き(一昨年8月)


 「トマトの国」を利用する客層の重要な核は、栄村に農村体験や農村調査にやって来る学生団体です。1団体がかなりの人数になります。「トマトの国」の従業員は現在3名。この3名だけではとても対応しきれません。正規職員を少なくとも5名体制に拡充するとともに、たとえば朝食時の人出不足を埋めるために地元(中条、青倉、森)の人に1〜2時間のお手伝いをお願いする。無償ボランティアか有償かは、振興公社の財務状況を見ながら判断すればよいですが、赤字が大きい現状から脱却するためには無償ボランティアを買って出るよという人も数多くおられるようです。
 また、「トマトの国」そのものを体験学習や調査学習の場にすることも有効でしょう。
 村の歴史・伝統や食について、かあちゃんやとうちゃんの話を聞ける場にするのです。一人暮らしの人にとっては、自宅に学生さんたちを迎え入れるよりも、「トマトの国」で話をするほうが負担も軽くてよいのではないでしょうか。温泉に一緒に浸かりながら、いろんな話をする・聴くというのもよいと思います。

 

● 村の人たちがのんびり温泉と昼食を楽しむ機会を増やす
 最近、こういう声をよく聞きます。「先週、仲間のかあちゃんたちと十日町の温泉に行ってきたんだよ。お昼も食べてね。まあ、そんなに贅沢もできないけれど。でもさ、村に温泉があるのに、なんで十日町までいかなきゃなんねえのかな」。
 「トマトの国」の日帰り入浴の時間が「午前11時〜」から「午後2時〜」に短縮されたこと、昼食営業がなくなったことが原因です。
 人手不足の「トマトの国」では従業員が大変なことはよくわかります。
 ひとまず、月2〜3回、あるいは週1日に限定して、〈お昼にのんびり温泉入浴〉の日を作ってみてはどうでしょうか。さすがに農繁期には〈昼からのんびり温泉〉という人は少ないでしょうから、田植えの後とか、農閑期に限定した取り組みでもいい
と思います。

 

森集落の人たちの「トマト」での昼の集まり(昨年12月)

平素の昼入浴はもっと簡素な昼食で充分ですが


 お昼の食事は何千円もする宴会料理ではなく、せいぜい千円までのものを2〜3種用意できればいいと思います。やって来る人たちは車を運転できない人が多いですから、送迎付きにする必要があります。そして、これも「俺が送迎してやるよ」というボランティアの人を組み込んだ送迎システムにできるといいなあと思います。

 

● 地元の施設運営協力会と公社の協働のしくみを
 野菜の提供やボランティアの話が出てきましたが、振興公社というものは純営利企業ではなく、地域の振興をめざす公的性格を有しています。
 ですから、その事業運営は公社の社員だけでやるのではなく、地元の人たちと意見交換をしながら運営するのがベストだと思います。
 「トマトの国」には「愛湯会」というものがあり、年に数回、「トマトの国」で懇親会をやっています。3月15日にも開催されました。「愛湯会」はあくまでも温泉を愛好する人びとの集まりですので、「愛湯会」をそのまま施設運営協力会にスライドさせることはできません。しかし、「施設運営協力会」的なものをつくる素地は存在していると言えるでしょう。もう一歩、前に進めることは充分に可能だと思われます。北野天満温泉でもそういう地域の人たちがおられるようですし、秋山の人たちは秋山郷の2施設に思い入れがあると思います。
 


この1枚の写真から〈冬の秋山郷〉への観光客入れ込み増大へのヒントをつかめるでしょうか

 

 2月19日朝、秋山に配達に行く途中に撮影したものです。
 この場所を通った時、私は一瞬、息をのみました。「綺麗!」がまず感じたこと。次に、「怖いな!」が続きました。
 縦状に見える筋は雪崩ですね。私の車の前をタイヤドーザーが進んでいて、路面に落ちた雪はきれいに片づけられており、通行にはまったく支障がありませんでしたが。
 私はこの地点で車を停めたのではなく、通り過ぎてカーブで退避場所があるところで車を停め、歩いてこの地点に戻り、撮影をしました。撮るだけの値打ちがあると思ったからです。

 

● 「冬の秋山は観光客は入らない」は本当か? じつは全くの逆です!
 栄村・秋山郷の観光をめぐって、栄村の観光関係者の間では「冬の秋山は観光客が入らない」、「冬の秋山への誘客は無理」ということが当たり前のように語られています。
 本当でしょうか?
 まったく否! です。
 「雪が凄いから客は来ない」と言うならば、テレビでもよく紹介される青森県酸ヶ湯温泉の賑わいなど、ありえないことになります。〈凄い雪〉こそが魅力なのです。前頁の写真のような場所こそ人を惹きつけるのです。
 課題があるとしたら、2つです。
 1つはアクセス。やはり6頁掲載の写真の場所のような所を雪(道)経験の無い人に「自分で来なさい」とは言えません。宿の送迎車、村や公社・観光協会などで準備する車でお世話することが必要です。酸ヶ湯温泉の宿はそうしておられるようです。
 2つはガイド
 先日、BSプレミアム「にっぽん百名山」で苗場山が取り上げられましたね。映像、とても綺麗でした。でも、がっかりしたことが1つありました。ガイドさんが地元の人ではなかったのです。じつは栄村には職業的ガイドさんが一名もおられないのです。長年にわたって課題とされながら、なんら打開されていません。
 職業的ガイドがそれでメシを食べていけるようになるには少なくとも数年はかかるでしょう。その間、村は当然、支援をすべきです。そして、職業的ガイド1〜2名と、「30分、1時間程度だったら茶のみ話をしたり、案内したりするの、OKだよ」という地元民との連携プレーでいくらでも誘客力抜群の観光スポットを創り出せます。

 

6頁写真の地点を進むと、晴れた日には苗場山を望める絶景

ポイントが眼前に現れます

 

● イベント主義ではなく、地元民の無理のない強力・参加を得よう
 問題が多かった振興公社委託の「3億円事業」。5回ほどでしょうか、モニターツアーというものが多額の資金を使って行われました。その経験は今に活かされているでしょうか? 継承されたものはゼロと言っても過言ではありません。
 何故でしょうか?
 いちばん大きな原因として挙げられるのは、観光関係者や地元民が日常のペースからかけ離れたところで、かなりの無理をせざるをえない〈イベント〉をやることが中心なので、繰り返しができない、ということです。
 イベント主義ではダメです。秋山郷の日常をうまく見せ、お客さまには楽しい経験をたくさんしていただくことです。私が19日に撮った写真を紹介します。

 


 

 上は、和山の山田初雄さん宅の玄関で撮らせていただいたもの。
 写真中央に見えるのはオスの熊の頭の骨。左上にはメスのものがあります。こういうもの、滅多に見られないですね。
 初雄さんご夫妻、とてもご高齢ですから、お茶のみのご協力まで得るのは難しいかもしれませんが、ガイド同伴でこれを見せていただきに玄関訪問させていただくことは可能なのではないでしょうか。さらに、ご夫妻とお顔を会わせることができれば最高だと思います。
 イベント主義ではない、こういうちょっとした発想法が冬の秋山郷観光客を増やすことにつながると思います。みなさん、どんどんアイディアをお出しください。

 

(次号No.329発行は3月3日頃の予定です)


こういう手をうてば、もっともっと多くのお客さまが栄村にやって来ます!

 栄村に来てくれるお客さん。もっともっと増やしたいですね。
 冬だけでも、スキー場来場が千人増えると、昼食代だけで800円×千人=80万円、直売所でのお買い物2種類計千円×千円=100万円、計180万円も増えます。8頁で紹介するように、直売所が次年度、年間2千万円の売上増加をめざすうえで、非常に重要な要因になります。

 

「こんな人が来られました!」、「冬の栄村、さかえスキー場の魅力はこんなところ」
  ――こういう情報をSNSでドンドン発信する

 いま、海外からのお客さまを含めて、旅する人はSNS(インターネットを使用する個人からの情報発信)で「○○、良かったよ!」と発信されている情報を得て、行き先を決めるケースが増えています。
 スキー場や直売所、さらに秋山の役場支所や観光協会が自らSNSで発信すると共に、お客さまが発信したツイッターをリツイート(お客さまの投稿を再投稿して拡散する)、フェイスブックをシェアする(いい記事を拡散する)ことが大事です。これは簡単なことのようにも見えますが、相当の時間とエネルギーを要します。スキー場などに、「SNSを使うのが大好き」という情報発信専任の人を配置することが戦略的な鍵になります。

 

「トマトの国」のお湯に午前11時から入浴できるようにする
 土曜日からスキー場に来たお客さま、日曜日は昼前まで滑って、温泉に浸かってひと休憩、そして帰りの高速の渋滞にはまらない時間帯に村を出発する。こんなスケジュールを考えておられます。
 ところが、「トマトの国」の日帰り入浴は現在「午後2時から」。これでは、みすみすお客さまを逃します。「孫がスキーしている間、私は温泉に入っていたい」という祖父母の方もかなりおられます。
 国道117号線の看板をご覧ください。先日、散歩していた青倉の住民が車で来られたお客さまから抗議されたそうです。「看板に10時半からって書いてあるじゃないですか。行ってみたら、『日帰り入浴は2時から営業』。せっかく来たのに入れない」と。
 地元住民は、「公社の人出が不足だったら、11時〜2時の間、私たちがボランティアでフロント受付をやってもいいですよ」と話しておられます。今日2月1日の午後2時にも、開店を待つかのように飯山市(中野市に近い地域)から入浴客が来られました。「ここは温泉らしい雰囲気のお湯で、いいですよね」。

 

 

秋山へのアクセスを改善する
 秋山郷は人気がありますが、最大の難点はアクセス(秋山に行く交通手段)です。
 国道405号線の見玉〜清水川原間の未改良区間、そしてなによりも結東〜清水川原間(とくに下り)です。根本的には道路拡幅等の改良が必要です。改良が技術的に可能なことはこの間の他区間の改良工事の実施で証明されていると思いますが、改良にも早くても3〜5年を要します。
 ひとまずの対策としては、森宮野原駅〜小赤沢間に1時間〜1時間半に1本の割合でシャトル便を走らせるのが最もよいと思います。運転手を 国道405号線結東〜清水川原間の狭いカーブ坂
含めて10人以下の定員、普通免許で運転できるもので充分です。これに観光の人を乗せることは、昨今の国の制度変更などで、ちょっとした工夫をすることで充分に可能だと思われます。しかも、このシャトル便は地元の人も利用できるようにして、〈秋山の足〉の確保も兼ねます。このシャトル便は昨秋の「秋山郷シャトル便」のように観光コースを決めて、いくつかの観光ポイントを巡るというのではなく、森宮野原←→小赤沢の直行便です。
 また、秋山の中では、乗用車クラスの車で秋山内をぐるぐる回る便を用意すればよいと思います。
 こういう仕組みを村、振興公社管理施設(雄川閣、のよさの里)、観光協会、地域おこし協力隊、さらに有志等が連携して立ち上げるのです。「そんな面倒なことはできない」と言う人があれば、それは「秋山郷観光の活性化は不可能」と言うに等しいです。
絶対に実現したいですね!

 

   「さかえ倶楽部スキー場の魅力はこんなところ」という項も

   掲載したかったのですが、頁数の関係で、今回はここまでと

   します。


今秋の観光の動きから、次の展望はどのように生まれているか(続編)

 前号の続きです。
 〈次の展望〉を話題にしたいと思います。

 

● “人”が鍵
 前号で雄川閣と苗場荘のことを紹介しましたが、お客さまと接する“人”が鍵を握っていると言えますね。
 かつての「秘境ブーム」の時に秋山郷を訪れる人びとをおもてなししてくださった方たちの多くは高齢になられ、民宿業を引退されています。それに代わって、徐々にですが新しい担い手が出てきています。この人たちを大事にして、頑張ってもらうことが「次の展望」を確かなものにしていくうえで第1に重要でしょう。

 

「郷の市」。10月13〜22日、切明温泉雄川閣前で開催。カレーとナメコ汁で

地域おこし協力隊・杉森さんと観光協会・白濱さんがおもてなし。

 

 「人と接することが大好き」という人こそ栄村(観光)の宝・財産です。前頁に写真を紹介した10月の「郷の市」はそういう意味でとても意義ある企画だったと思います。私が訪れた10月17日の時の印象ですが、カレーが美味しかったのと同時に、杉森さん、白濱さんのお客さまとの会話がとても豊かで、これぞ〈おもてなし〉と感じました。こういう場・機会がもっと増えるといいなあと思います。

 

● 滞在時間を増やす工夫を
 「秋山郷の宿泊客が減っている」、「宿泊客を増やさなければ」という声をよく耳にします。たしかに宿泊客を一人でも、二人でも多く増やしたいですね。
 ただ、「志賀高原にぬけられる道路が出来て以降、お客が秋山郷に泊らなくなった」ということを言う人がおられますが、それはちょっと違うと思います。たしかに秋山郷を観光して、その日のうちに志賀高原まで進み、そこで宿泊という人がかなりおられるのは事実です。しかし、志賀高原から進んできて切明温泉に至り、さらには秋山郷全体を見るというお客さまが多い(405号線で秋山郷へ上がってくる人よりも多いとすら言えます)のも事実です。
 問題は、「秋山郷を観光して、その日のうちに志賀高原まで進む」ということが、なぜ、起こるかです。
 現在の秋山郷の観光の仕掛けでは、秋山郷を観光して巡るのに最大限で2〜3時間で足りてしまうことが最大の原因だと考えられます。これを半日、さらには6〜7時間に伸ばすことができれば、必然的に秋山郷に宿泊する必要が出てくるのです。その典型的な事例は登山をする人のかなりの多くが秋山郷で前泊ないし後泊をするということです。

 

秋山郷の中で巡るポイントを5〜10ヶ所提案する
 滞在時間を6〜7時間に伸ばしてもらうには、秋山郷に来られた方に、ただ405号線と和山・切明線、そして志賀方面への秋山林道を走って終わりというのではなく(これが滞在2〜3時間を結果する)、むらの中の道や林道に入ってもらい、5〜10ヶ所を巡ってもらうことです。
 それには、初めて来た人でもその5〜10ヶ所を自分で廻れるように案内する〈ガイドマップ〉を作成し、観光の人たちが車を停めるポイントに置いて、取れるようにするのがよいでしょう。〈ガイドマップ〉はおカネをかけず、手作りでよいと思います。
 置いておく場所ですが、たとえば奥志賀公園栄線の清水小屋(遊歩道コース)入口。ここは春〜秋の間、かなり多くの車が停まっています。その中の多くの人が「ここからさらに先に進めば秋山郷がある」ことをご存じありません。雨が降ってもガイドマップが濡れない木のボックスのようなものを設置して、誰でもガイドマップを手に入れられるようにすればいいですね。このボックスももちろん手作りです。

 

清水小屋入口の駐車スペース

 

 そして、このガイドマップに沿って秋山郷を巡る人が、訪ねた場所ごとにスタンプを押し、スタンプが5個を超えたら、その数にしたがって、なんらかの特典を得られるようにするのです。
 こういう形で巡っていただくスポットの事例をもう一つ挙げると、集落の関係者のみなさんのご了解が必要ですが、屋敷集落の中を歩いて巡るというのも素敵だと思います。布岩などが、よく知られているものとはまた違った姿で見えます。人びとの暮らしの様子(たとえば、春には揉んだゼンマイが干してある等)が垣間見えるのも観光に来た人たちにと
っては興味深いことだと思います。(下写真は11月初め、小赤沢にて)

 

 

● 補助金頼りのイベントでは成果は生まれない
 栄村だけに限った話ではありませんが、〈観光振興・活性化〉というと、すぐに補助金を当てにするイベントをやるというスタイルがあります。でも、そういうのが成果を生んだという事例はほとんど見ません。「一攫千金」の夢を追いかけてもダメと言いかえてもいいかもしれません。
 上の文章で、ガイドマップをめぐって〈手作り〉を強調しました。補助金頼りとは真逆の発想です。もちろん、わずかでも補助が出るというのであれば、それを拒む理由はないと思いますが、まずは〈やる気〉の人が数人でも集まって、〈小さなこと〉から始めるのがじつは大きな成果への着実かつ大きな第一歩となるのではないでしょうか。


今秋の観光の動きから、次の展望はどのように生まれているか

 

 

 ここに掲げた2枚は、JR東とJR西がこの秋に展開した「四季の美 五ツ星」キャンペーンのものです。
 10月頃に東京に行った村の人が口を揃えて言います。

    「すごいよ。東京駅なんかに布岩のこのポスターがズラッと

     並んでいるんだ!」

 そりゃ凄いですよね。東京都内の駅という駅が栄村・秋山郷の写真で埋め尽くされたのですから。

 

● JRとの連携を強めなければ…
 このポスターを見て、実際に栄村を訪れた外国人女性と森宮野原駅前で出会い、「行き方がわからない」と言うので、自分の車で布岩まで案内したという秋山の人がおられます。ですから、秋山郷・布岩を取り上げたJRのキャンペーンが観光客の動静に影響を及ぼしていることは間違いないと言えます。
 しかし同時に、「村がポスターを受け取ったのが遅かった」、「JRとの連絡が密でなかった」(12月定例議会での松尾の一般質問への森川村長の答弁)という事実もあります。
 JRは北陸新幹線の利用客を増やすためにキャンペーンをしているわけで、栄村のためにキャンペーンしてくれているわけではありません。栄村の方からJRに頻繁に連絡を入れ、情報収集に力を入れないと、JRのキャンペーンが栄村にどんな好影響を与えるのか、与えているのか、わかりません。
 私が知っている限りでは、このキャンペーンに使用された布岩の写真は、JRが独自に撮影したものではなく、栄村(厳密には観光協会)が提供したものです。しかし、提供を求められた段階で、村側は「何に使うのか?」を尋ねていません。JR側は写真提供者に真っ先に出来上がったポスター等を送り届けるということをしていません(ひどい話だと思いますが…。栄村がなめられているとしか言いようがありません)。
 これはJRの依頼連絡に直接対応した職員一個人の問題ではないですね。村の情報アンテナが低いということです。
 でも、今からでも遅くありません。「五ツ星」キャンペーンの期間中の北陸新幹線の長野駅および飯山駅の乗降客数とその昨年比、飯山線の乗客数等々、JRが当然確保しているデータを取り寄せて分析するだけでも、何かが見えてくるでしょう。また、飯山駅や北信エリア、さらに秋山郷の観光関係者から、「『五ツ星』キャンペーンのことを口にしていた観光客はいましたか?」という聞き取り調査をしてみれば、観光客の反応・動向がある程度見えてくるかもしれません。
 今秋は、信州デスティネーション・キャンペーンがあったのでJRが力を入れたのであって、放っておいたら、来年はJRが秋山郷−栄村に目を向けてくれるという保証はありません。だからこそ、栄村側からJRにコンタクトを密にとり、栄村の素晴らしさをガンガン売り込んでいくことが必要なのですね。

 

● 「ご主人の接客と料理が素晴らしい」と雄川閣が評判に!
 この秋に秋山郷を訪れられた東京の人。9月下旬と11月初めに雄川閣にお泊りになりました。私は11月3日夕に雄川閣のフロントロビーでその人に出会いました。私は雄川閣の施設があまり良くないことを気にかけていたので、「9月に続いて二度目の宿泊だそうですが、何が気に入られたのですか?」と尋ねました。すると、その人はフロントのレジにいる人を指差しながら、
   「ここのご主人、いい人なんですよ。料理を担当している

    人もいいですね。」
 「ご主人」とは支配人の都丸俊幸さんのこと。このお客さんは「雄川閣は村の施設で、指定管理で振興公社が管理運営している」なんてことはご存じないですから、都丸さんが旅館のご主人だと思われているんですね。結構なことです。よほどの大規模ホテルでもなければ、旅館というものは主人や女将の人柄にお客が惚れ込むことでリピーターが誕生していくものですから。
 「料理を担当している人」も話題にされたのはなぜでしょうか? まず、料理が素朴で美味い。そして、料理人の島田和夫さんはただ料理を出すだけでなく、可能なかぎりお客さんと接し、言葉を交わすことを心がけておられます。私が知る限り、そんなに話が上手な人だとは思いませんが、逆に、その訥々(とつとつ)とした喋りがいいのかもしれませんね。

 


こんな料理が評判! 左からこごみ、ウド、ぜんまい

 

 このお客さんが帰京後に自らのフェイスブックに投稿された写真を3枚紹介します。

 

 

 

 1枚目の写真をわざわざフェイスブックに投稿されたということは、よほど雄川閣がお気に入りということを示していますね。このお客さんはライダーです。2枚目の写真は切明から秋山林道に上がる道の途中のカーブでの撮影だと思われます。

 


 そして、これが3枚目。白沢(しらさわ)ですね。紅葉の名残りと薄っすら雪化粧という姿に感動されたようです。
 ツーリング仲間で毎年、野沢温泉の宿に25名くらいで泊っておられたそうですが、「来年はみんなで雄川閣に来させてもらっていいですか?」と言っておられます。
 また、11月以降、私と携帯電話でもつながったのですが、12月12日、「今日、杉並区である忘年会をしたのですが、『栄村に行こう』って盛り上がりました」という連絡が入りました。
 ここでは、私が知り合った人の事例を紹介しましたが、都丸さんにお尋ねしたところ、やはり「接客と料理が素晴らしい」というお客さまの声がたくさん届いているとのことです。
 もう1つ、事例を紹介します。苗場荘さんです。

 


 上の写真は苗場荘さんがフェイスブックに投稿されたもの。
 「〇〇大学OBの皆様。この度も北海道、千葉、東京から来てくださり、ありがとうございます。もうこちらに来るようになってから9年にもなるのですね。大学の時、来てからずっと、ありがたいことです!」という女将さんのコメントが付いています。大学の研修プログラムで栄村に来て、苗場荘にも泊ったのですね。この大学は今も現役生が栄村に来ています。遠くからリピーターとして来てくれる人たちも素晴らしいですが、その人たちをフェイスブックで紹介する苗場荘さん(島田とも子さん)も凄いです。リピーターで来られた人たちをことごとくフェイスブックで紹介されています。

 

 「次の展望」を詳しく書く前に紙幅が尽きました。続きは次号に書きます。


栄村復興への歩みNo.318(10月16日付)

 「栄村復興への歩み」では、前々号でJR東の「四季の美 五つ星」にまつわる話題を取り上げ、また前号では「栄村は何を打ち出すか」について少し提案をしました。
 今号では、いま紅葉が真っ盛りの野々海池を事例として取り上げ、栄村の観光を盛んにするための具体的な方策について考えてみたいと思います。

 

野々海池の紅葉を撮影した写真を見ながら、観光に活かす策を考えました

 

 

 この写真(10月12日撮影)をご覧になって、どこから、どこを撮影したものか、お分かりの方、おられるでしょうか。次の地図をご覧ください。

 


 野々海池周辺の地図です。Aと記したところが1頁掲載写真の撮影地点、Bと記したところは写真の正面に見えている野々海池の堤です。
 地図に描いた青色の太い線は信越トレイルです。関田山脈の尾根を歩くコースですね。深坂峠や野々海峠で信越トレイルを歩く人たちとよく出会います。非常に人気があります。D点は信越トレイルの野々海峠出入口です。
 また、地図に茶色で描いた線(C)は野々海池と白鳥への水路の開渠部分を結ぶ道です。
 さて、次の写真をご覧ください。

 

 

 1頁掲載写真の撮影地点を水番小屋横から撮影しました。下の小さな写真に白色のマークを入れているところが撮影地点です。

 

 

 つぎの写真は堤の上から撮影したもの。1頁掲載写真の撮影地点は下の小さな写真に白色マークを入れたところです。

 

 


 地図のA地点には、じつは道がありません。近くを通る林道(野々海峠に通じるもの)から斜面になっている林の中を歩いて、池の直前まで下りました。
 このA地点のあたりを気軽に歩ける道をつくれたら、とても素晴らしい紅葉の散策路になると思いませんか。

 

● 野々海池の周りに散策路を
 じつは、信越トレイルクラブの方で野々海池の周りをグルっと歩ける遊歩道(昔はそういう道があったそうですが)を整備しようという話があると、数年前に聞いたことがあります。なかなか現実化していないようですが、せめて今回取り上げたA地点の周辺だけでも少し歩けるようにできれば、いいなあと思います。

 

 また、野々海池だけが紅葉の綺麗なところだというわけではありません。つぎの写真をご覧ください。

 


 これは地図にCと記した道です。ブナ林の中を通り抜けるコースで、とても気持ちがよいです。
 この道、初めての人はちょっと入り方が分かりにくいかもしれません。案内人がいる方が安心でしょう。でも、歩く時に案内人が直接につかなくても、野々海池に案内所があって、そこで説明を受けることができれば、行けると思います(ただし、一人ではなく、複数人で歩くのが望ましいですが)。

 

● 戸隠を超える人気スポットにだって出来る!
 春から秋までの全シーズンとまではいかないかもしれませんが、雪消え頃の芽吹きとミズバショウの開花の季節、そして紅葉シーズン、野々海池に案内所があり、さらに案内人もいたら、野々海は素晴らしい観光スポットになります。
 案内所も案内人もない現在でも、村のみなさんが驚くほどの数の人たちが野々海を訪れています。一度、データをとってみれば、面白い結果が出るでしょう。散策路の整備や案内所の設置ができれば、本当にすごい人気スポットになります。
 今年、吉永小百合さんが戸隠を訪れる映像がJR東のコマーシャルで流れ、戸隠は入場制限が行われるほどの訪問者で溢れかえりました。それを羨んでいるだけではダメです。野々海に案内所を設けるなどのことをすれば、JR東を動かして、吉永さんを野々海に連れてくることだって夢ではありません。
 JR東の「四季の美 五つ星」に秋山郷・布岩が選ばれたということをただ喜んでいるのではなく、私たちの努力で人気の観光スポット・観光商品を生み出していくこと、もっともっとJR東を動かすことが出来るし、そうすべきなのです。

 

● 村におカネが落ちる仕掛けづくり
 野々海をめぐって、役場の観光部署で「写真を撮りに来る人はカネを落とさない」と言っていると聞いたことがありますが、そんな根性では観光は盛んになりません。そもそも、野々海に写真を撮りに来た人たちが、どれくらいおカネを村に落としたか、落としていないのか、きちんと調査し、データを集めたことがあるのでしょうか。そういう調査結果を耳にしたことはありません。
 村におカネが落ちる場・機会には、どんなものがあるでしょうか。
まず、コンビニ(村で言えば、朝日屋さんのYショップ)での買い物、道の駅−直売所、それから食べ処ですね。箕作の樓蘭さんでは野々海のことを尋ねるお客さんが結構おられるようです。
 つぎに、宿泊です。
 野々海を訪れる人には写真を撮る人が多いように思われます。写真はいつ何時でも撮れるというものではありません。たとえば、真っ青な青空とのコントラストで紅葉を撮りたいという場合、やはり朝の早い時間帯がいい。しかも、お天気との関係で少なくとも2〜3日は通い続けないと、気に入ったものは撮れない。
 すると、「湯治客」のような感じで、安い価格で素泊まりができれば、2〜3日から長ければ1週間近くの連泊という可能性も出てきます。宿泊施設がそういう宿泊プランを練り、宣伝することが大事になってきます。

 

● 案内所、案内人をどうやって実現するか
 案内所は、なにか大袈裟に新たなハコモノを建てる必要などありません。テントでスタートするので充分だと思います。ただし、設置場所が重要です。平滝から上がって行って、野々海に着き、最初に出会う三叉路の湿地(いちばん早く紅葉するところでもある)、ここに案内所があることが大切です。私が野々海に行くと、この場所で、「池はどこから入れるのですか?」とか、「キャンプ場はどちらですか?」と尋ねられることがしばしばあります。
 有志で始めるのでもいいと思いますが、テント設備の貸し出しくらいは役場にお願いしたいものです。
 案内人は交替要員も含めて3〜4人確保できれば、スタートできます。1時間、2時間単位の案内(ガイド)を依頼される場合は有料でやります(1時間千円くらい)。
 でも、案内人を担う人たちがこれだけでは暮らしていけません。案内人個々人は、季節毎の様々な仕事を段取りし、月給制の給料を保障する会社に属します。そのために、有志でそういう会社を設立します。そして、たとえば、村が冬のスキー場の仕事をこの会社に少しまわしてくれると、こういう会社はうまくまわしていけます。また、野々海の観光シーズンには村か観光協会が人件費補助を出すことも望まれます(年間60万円程度で済みます)。
 案内人の育成は、「野々海を愛する会」(仮称)のような任意団体で、野々海のさまざまなことに詳しい人を講師にして学習会(座学と現地研修)をやれば、可能になるでしょう。

 以上のような話を単なる「夢物語」と馬鹿にしないことが大事です。まずは、有志で簡便な野々海の道標を作り、設置することから、こういう話を現実に移していきたいなあと思います。


栄村復興への歩みNo.317(10月3日付)

栄村を訪れる人たちは何を求めているか
栄村が何を打ち出せば、人びとは栄村にやって来てくれるか

 

 栄村にとって、多くの人たちが栄村を訪れてくることは死活的に重要です。こんなことは私が今さら言わなくても、わかりきったことだとも言えます。でも、なぜ、そうなのか? 改めて整理・確認しておきたいと思います。
 1つは、栄村(の住民)が生きていくうえで、外貨の獲得が必要だということです。
 「外貨」という言葉を聞いて、「ドル」や「元」(中国の通貨)を意味していると錯覚して、声を荒げた人を最近、議会で見かけましたが、そうではないですね。村外の人(企業)からお金を受け取るという意味です。人が栄村に来て、飲食したり、宿泊したり、買い物をしたりしてお金を落としてくれる。あるいは、栄村の農産物などを産直で購入して下さるケースもこれにあたります。
 “外貨”が入ってくれば、村民の家計の増収につながり、さらに村税の増収につながります。
 2つは、栄村の人口を一定数以上に維持するには、かなりの移住者が必要だということです。
 とくに、これから結婚する、子育てをするという世代の人たちに栄村に移り住み、暮らしていただくことがどうしても必要です。
 次の写真は9月30日に開催された保育園の運動会の一コマです。

 


 ここには親御さんが6名写っていますが、純粋の村生まれ・村育ちの人はお一人のみ。5名は栄村生まれ・育ちの人と結婚されて栄村で暮らすようになられた人、仕事の関係で栄村に来られている人です。たしかに栄村生まれ・育ち同士のカップルのご結婚が最近も1組ありましたが、村外の女性が栄村育ち・暮らしの男性と結婚されるケースが増えています。

 

● 「平成28年生まれのお子さんを育てておられるご夫婦、是非、栄村へお越しください」
  ――こんな移住者募集も必要だし、いいんじゃないでしょうか

 保育園運動会会場での会話の一コマを紹介します。
   「あら、こんにちは。」
   「二人はたった二人の同級生になるのよね。しかも、男の子同士

    だわ。」
   「じゃあ、もっと同級生を増やせばいいじゃない。」
   「今さら無理よ。」
   「いや、そんなことないでしょう。いま、一歳児を育てているご

    夫婦の移住を実現すれば、同級生が増えますよ。」
   「そうか、そんな方法もあるか。」
 こういうピンポイントでの移住者確保はそう容易ではないでしょうが、まったく可能性がないというわけでもないと思います。

 


育真くん(1歳)


● 栄村を訪れる人は何を求めているか
 さて、1頁の見出しに戻ります。「栄村を訪れる人たちは何を求めているか」です。
 いま、いちばん多くの人が訪れてくれている場所は「道の駅」−「直売所」です。紅葉期の10月は、5月連休と8月お盆と並んで、お客さま数がグッと伸び、売上も増える時期です。訪れる人が求めるのは、「新鮮で品質が良くて、しかも安い野菜」です。一昨年度にゼロからスタートし、1年目の2015年度(実質期間は10ヶ月程度)に3千万円、2年目の昨年度は約4千万円の売上を実現しました。この事実はとてつもなく大きな意味をもっています。
 「安い」というのが気になるかもしれませんが、「ダンピング」(不当に安い価格で売ること)をしているわけではないです。これまでは自家消費しかしなかったもの、あるいは、収穫せず、放置していたものが商品になり、消費者から歓迎されているのです。いまの季節でいえば、ヤマグリやクルミはその典型ですね。
 観光という面では、どうでしょうか。
 「このあたりは、いいところですねえ!」。 これは9月9日、最初はミズノサワで、そして2度目は切明・雄川閣でお会いした人の言葉です。この人は、都会から長野市に移住され、この日は「高原シャトル便」で訪ねて来られました。9月9日はまだ紅葉からはほど遠く、「目玉観光商品」に当たるようなものはない時期でしたが、この言葉を出されたのです。迫る高い山並み、川底が透けて見える渓谷の清流、人を圧倒する勢いで迫ってくる巨大な沢、騒音がいっさい無い静寂さ…。こういうものが素敵なのでしょうね。私自身も配達活動で村のいろんなところを走っていて、「なんと贅沢な空間なのか!」と思うこと、度々です。そこは、言いかえれば、村の人たちが、「ここには何もないよ」と言われるようなところです。
 もちろん、「何もない」わけではありません。

 


 上の写真は9月9日、「高原シャトル便」の人とミズノサワで出会った時のものです。上記の人と、木島平村のガイドさんのお二人が写っていますが、お二人ともカメラを構えておられます。たしかに撮るだけの価値がある景観なのです。この場所の7月17日と10月1日の様子をご覧ください。夏になっても雪渓が残る様子と紅葉が始まっている姿です。

 

 

 

 栄村を訪れる人が何を求めているかの一端をご理解いただけるのではないかと思います。

 

● 問題は〈栄村が何を打ち出しているか〉です
 ところで、栄村関係の観光パンフレット等を開いてみて、たとえば前頁で紹介したミズノサワの素敵な景色を大きく紹介しているものがあるでしょうか。
 「無い」のです。
 率直に言うと、私が栄村を知るようになった10数年前から栄村のパンフレットに出てくる写真はほとんど変わっていません。10年ほど前に栄村が「にほんの里100選」というものに選ばれました。今でも時々思い出したように、「栄村は〈にほんの里〉に選ばれています」というセリフが村から出されることがありますが、〈にほんの里〉らしい写真の1枚でも発信しているかとなると、かなり心許(もと)ない状況が続いているように思います。最近、青倉集落が「ふるさと復興支援金」を活用して、『青倉百景』というリーフレット(下写真)を発刊したのが〈にほんの里〉らしい景色をまとまった内容で紹介している数少ない事例だと思います。
栄村には昨年度1億8千万円のふるさと納税が寄せられました。震災時には栄村単独に10億円を超える義援金が寄せられました。東北の被災地でも類例をみないすごい出来事です。栄村を応援して下さる人がたくさんおられるのです。
しかし、たとえば〈ふるさと納税〉、返礼に美味しい栄村のお米を贈るのはいいのですが、せっかくの機会、さらに栄村を売り込むべきでしょう。隣の津南町ではふるさと納税返礼品発送時に一緒に入れるパンフレット「雪国つなんだより」を制作しています。
以上は、栄村の宣伝、とくに観光の宣伝に限定した話です。

 


 以上のことに加えて、村外から訪れて下さる人たちにおカネを落としていただく機会、商品・場をつくり、売り出していくことが必要です。
 先に書いた〈直売所〉はそういう意味で自慢できるものです。前号で紹介した切明・雄川閣の予約昼弁当もそうです。さらに、10月の紅葉まっさかりの時期には雄川閣の前で、地域おこし協力隊のメンバーがカレー店のテントを出されると1日に聞きました。
 これらの事例に繋がる形で、どんどんやっていかなければならないことがあります。たとえば、1日夕、「トマトの国」で雄川閣の板前さんに出会いました。キノコを求めて来られたそうです。「キノコはよくわかるよ」という村の人がちょっと半日・一日、山に入ってキノコを採る。その一部は自分が食べるが、残りはたとえば雄川閣の弁当の食材として有償でお分けする。そんなことから、栄村を訪れる人たちに満足していただき、おカネを落としていただく〈プラスの連鎖〉が始まるのだと思います。

 

 今回はここまでとしますが、栄村を元気にする策をみんなで考え、そして実行していきましょう。