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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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急激な気温上昇で融雪災害発生

 4月17〜18日、日中には20℃を超える急激な気温となりました。これによって、遅れていた田んぼの雪消えが進んだのは幸いなのですが、融雪による災害も発生しています。
 秋山では道割り(除雪)が進んだ秋山林道でかなりの規模の雪崩が複数箇所で発生したと聞いています。他方、森集落では、18日にトマトの国近くの村道脇の水路で水の濁りが確認され、「上の水路が抜けたのではないか」と考えられることから、20日朝、地元民による現地調査が行われました。その結果、野々海の水を森集落の開田に運ぶ水路で災害が発生していることが判明しました。応急措置が行われ、森開田の代掻き・田植えには支障がないようになりましたが、本格的には相当の規模の復旧工事が必要な融雪災害です。つぎの写真が災害発生箇所の様子です。

 


 写真左手の雪の下が水路。大半の部分は鉄板で覆われていますが、一部、鉄板の代わりに丸太で蓋をしていた箇所で、急激な融雪で丸太が動かされ、水路に落ちて水を堰き止め、さらに落葉等のごみも溜まって、溢れ出した水が写真に見られるように山肌を削り落とし、溢れ出した水が次頁地図のA地点とB地点の間を流れ落ちる水路(地図では緑色の線で表示)に流れ込んだのです。
 

 

 この災害発生地点を発見するために、地元民3名の調査班は旧村営グラウンド端のB地点からまだまだ残雪が多い沢に入りました。当初は緑色の線で示す水路のどこかが抜けていると推測されていたのですが、該当箇所は見つからず、地図で茶色の線で示すコースを進んだところ、そのコース半ばあたりで土砂が流れ落ちてきているのを発見(下写真の赤丸箇所)、そこから崖を登って(下写真)C地点に到達、1頁写真の災害発生箇所を発見しました。

 

 

 

災害発生箇所

 

 C地点で応急措置をした後、調査班は森開田水路のさらに上流の部分を点検するために、中条川上流の1号崩壊地まで雪道を進みました。B地点を出発したのが午前9時10分、そこに戻ったのは11時すぎでした。

 


1号崩壊地の奥から進んできた道をふり返る(赤色矢印の道を写真奥から手前にむかって進んだ)

 

● 山村力を強く感じました
 災害現場の調査に赴いたのは月岡英男さんをリーダーに広瀬幸雄さん、広瀬勝己さんの3名。
 雪に覆われた沢の中を迷いなく進み、前頁の写真に見られるような崖もなんなく登り、そして災害発生箇所では足場の確保も難しいようなところで素早く応急措置を施す。そして、1号崩壊地に通じる雪道をさっさ、さっさと進む。
 私は、18日夕に温泉で月岡さんから「水路が抜けたようだ。明日、調べに行く」とお聞きし、19日朝、「同行してもいいですか」と電話し、許しをいただいて同行したのですが、まさかこんな凄いところを2時間にわたって進むとは想像していませんでした。私が甘いと言えば、それまでなのですが…。
 村内を廻っていて、真冬や雪が残る早春期に、「山の水路が詰まったようだ。これから見に行く」という話を聞くことがあります。「えっ! こんな雪の中、どうやって山に入るのだろう」と思っていましたが、山村で暮らすということは今回の月岡英男さんらのような行動が当たり前のように出来て初めて成り立つのだと衝撃をもって実感しました。まさに“山村力”と呼ぶべきものだと思います。
 いま、前号で取り上げた中山間地域直接支払制度(さらに、多面的機能支払制度)について色々と調べを進めていますが、こういう“山村力”が適切に評価される制度としてさらに改良されるように、研究していきたいと思います。

 


森農業改善組合の第1回スジ播き(18日)

 

苗伏せ(21日)。

 

 今年も道の駅の“みそ汁”が20日から始まりました。
「栄村を訪れたら、まずこれ!」という感じになっていますね。21日昼も賑わっていました。

 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
栄村復興への歩みNo.355
2019年4月21日発行 編集・発行人 松尾真
連絡先:電話080−2029−0236、 mail;aokura@sakaemura.net
ゆうちょ銀行 11100−01361481 栄村復興への歩み協賛寄金 ながの農協栄出張所 普通0009390 栄村復興への歩み発行協賛金松尾眞


屋敷の秋山林道に土砂流出(10日午後)――西日本豪雨災害と栄村での対策・対応

 西日本豪雨で「平成最悪の被害」が発生しました。犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されたみなさまにお見舞い申し上げます。
 豪雨災害、土砂災害。他人事(ひとごと)ではありません。栄村でも7月9日夜、大雨警報が発令されるとともに土砂災害警戒情報が出されました。さらに10日も、午後に大雨警報が出ました。多くの村民は「雨も降っていないのに、なぜ警報なの?」と思われたのではないでしょうか。じつは、秋山郷方面で短時間ですが、かなり強い雨が降ったのです。

 

● 警戒ゾーンで土砂流出
 9日夜は生活ゾーンに関わる被害はありませんでしたが、10日午後は屋敷で土砂流出被害が発生しました。

 


 上写真は屋敷橋から布岩方向を見たものですが、赤丸の箇所に土砂撤去作業を行っている重機が小さく写っています。そして、白線を入れたところに沢があり、大雨の時は大量の水と土砂が流れ出し、冬期は雪崩が発生します。10日午後も、この沢を大量の水が下り、秋山林道に土砂が流出・堆積し、通行不能になりました。
 下写真1枚目は沢を下ってきた水が秋山林道の下をトンネル(写真に赤線を入れた箇所がトンネル入口)に入るところ。ここが土砂で塞がれ、林道上に水と土砂が溢れ出ました。下写真2枚目は林道上などから撤去された土砂です。

 

 


 今回は、水量・土砂量とも限られていたので、被害はこの箇所にとどまりましたが、量が増えると、沢をさらに下り、下写真の白丸で囲った地点に達し、坂を下って屋敷集落の中に流れ込みます。
 屋敷集落の人たちはこの沢の怖さをよく承知されています。

 

 

● 大雨土砂災害にどう対応するか
 10日の屋敷・秋山林道での土砂流出は、第1に、西日本豪雨災害が栄村にとっても他人事ではないことを示しています。短時間で大量の雨が降る最近の気象状況がありますから、大雨警報、そして土砂災害警戒情報が出された場合、「どこで降るのか」、「どの程度の雨なのか」をすぐに調べる必要があります。
 最近は多くの村民のみなさんはスマホを持っておられますね。気象庁のホームページを開き、「雨雲の動き」、「今後の雨」、「警報の危険度分布(土砂災害、浸水害、洪水)」を見てください。下写真のような画面が見られます。「今後の雨」では5時間後までの雨の量が見られます。また、「土砂災害」では降雨の累積量等との関係で土砂災害発生の危険が高いゾーンがわかります。

 

 

● 役場の対応
 9日夜、土砂災害警戒情報が発令された時点で、役場では防災担当者が、警戒態勢をとりました。役場は4月から宿直体制が変わり、委託業者による宿直になっているため、防災警戒が必要になった場合は防災担当者が役場に詰め、関係機関と連絡を取るなどの対応をしているのです。役場のこうした対応について、10日に担当者から話を聞き、ひとまずの危機対応がなされていることに安堵しましたが、さらなる改善も必要だと思います。
 改善のポイントは、役場から、「大雨警報、土砂災害警戒情報が発令されましたが、強い雨が降っているのは秋山の山ノ内町との境界付近の山地帯です。雑魚川の水位上昇、雑魚川が合流する中津川の推移上昇、秋山林道の通行にご注意ください」というような村内告知放送をすることです。こういう放送をするには、気象庁の発表している情報の分析が必要ですが、役場の防災担当ならば、この程度の分析は十分に可能なはずです。
 西日本豪雨大災害を教訓として、栄村も豪雨災害への対応策を早急に強化していきたいものです。

 

千曲川と志久見川の合流点、6日午後3時半の様子

志久見川の水が澄んでいるのに対して、千曲川は濁流になっている。

 


栄村復興への歩みNo.339

 笹原〜長瀬間の本復旧工事が進んでいます

 

 昨秋10月の台風21号大雨で土砂崩れが発生した県道秋山郷宮野原線笹原〜長瀬間の斜面。5月中旬頃から本復旧工事が始まっていますが、最近の工事の様子をお伝えします。
 写真1は5月30日撮影。崩壊した斜面の掘削が行われていました。もう掘削作業がかなり進んで段階ですが、写真に見える掘削用の重機、すごい場所で作業しています。現場関係者にお聞きしたところ、これは無人機で、離れたところからリモコン操作されています。
 写真2は6月12日撮影で、法面工(のりめんこう)がかなり進んでいます。その下方では、土砂崩れで崩壊した雪崩予防柵の基礎部分の撤去作業も行われています。

 


写真1

 


写真2

 

 6月初めには、大雨時に掘削土が崩れ落ちる心配があり、「降雨が一定量以上になれば通行止め」という予告が出ましたが、そういう事態にはならず、ホッとしました。
 しかし、とにかく大変な現場です。工事が安全に進むことを祈念します。

 

(県道を通行する際には工事現場は見えませんので、写真はいずれも、北野川を挟んで対岸の長瀬・中尾の田んぼゾーンから撮りました。)


笹原〜長瀬間の災害箇所の最近の様子

 台風21号災害で崩落が発生し、12月5日以降、片側交互通行になっている県道笹原〜長瀬間、幸いなことに1月17日現在、雪崩の危険に対処するための通行止めにはなっていません。多くの人から、「通れるかい?」と尋ねられます。そこで現況写真を紹介します。

 


 上の写真は1月17日朝の防護柵付近の状況です。15日朝に見たのと比較すると、16日の気温上昇で雪が減っていました。
 下の2枚は崩落箇所の上方の様子を15日と17日に撮ったものです。15日に比べて17日はやはり急崖の雪が少し減っています。さらにもう1枚は防護柵の笹原側手前から崩落土砂が流れ、杉の立木がなくなった斜面の様子を撮ったものです。
赤線の間が流木がなくなった斜面です。

 

15日

 

17日

 

 

 今冬は大雪の日もありますが、何日も降り続くことはなく、大雪の後には晴れる日があることが幸いしていると思います。県と村が責任をもって状況を把握されており、危険が迫った場合は通行止め措置がとられます。迂回路予定道路にはすでに信号機が設置されています。
 


県道笹原〜長瀬間の通行止め解除と今後の展望

 

 台風21号による土砂崩れで全面通行止めになっていた県道秋山郷森宮野原線の笹原〜長瀬間は、上写真の防護柵が完成し、5日午後5時から通行止めが解除され、片側交互通行になりました(6日朝撮影)。
 今後、本格的積雪期になった場合のことが心配されますが、「降雪50cm以上になれば通行止め」という機械的な対応ではなくなったようです。しかし、雪崩の心配がある時の通行止めは避けられないようです。私も県にさまざまな働きかけを行い、県もさまざまな努力をしてくれています。そんな中、私も「なにがなんでも通せ」とは言えません。
 14日に地元区長さんらに対する県の説明会が行われ、その後、説明文書が地元住民に配布されるようです。

 

● 迂回路をめぐる問題について
 通行止めの場合の迂回路については、その危険性が県に伝わったようで、地元が要望していた側溝に蓋をして道路幅を少しでも広げる措置はとられました。除雪や凍結防止剤の散布についても地元の声に耳を傾けてくれています。今後、迂回路を使用せざるをえなくなった場合、不安なことが生じたら、遠慮せずに声をあげてください。役場に言うと同時に私に声をかけてくだされば、私も県等に働きかけるようにします。

 


【上写真の説明】迂回路(原向から長瀬に下る道路)の側溝箇所です。黒パイを入れ、その上に砂利を入れて、道路と同じ高さになりました。


県道の通行止め解除  5日午後5時から片側交互通行

 

 写真は6日午前8時すぎ。
 県道秋山郷森宮野原(停)線の笹原〜長瀬間の通行止め区間は、防護柵工が完了し、昨5日午後5時から片側交互通行で、通行止めが解除されました。
 昨夕も現場を訪れましたが、昨夜は雪。わずかな量ですが、雪が積もった中で今朝の様子を見てきました。私が撮影をしている数分の間にも5〜6台の車が行き交いました。とくに森方面にむかって下る人は約1ヶ月半ぶりでの本来ルートでの出勤。運転席の顔がにこやかに見えました。

 

 ところで、この県道上からは、防護柵の高さゆえに崩壊面の様子が見えないので、川を挟んで対岸の中尾の田んぼに行って、対岸から様子を撮影しました。

 

対岸から見た崩壊斜面の全体像。

 

 真っ白な積雪の中に縦に流れる黒く見える筋。水の流れです。
 水の流れの起点付近をクローズアップしたものが下写真。

 


 このあたりでは、応急復旧として湧水処理工が計画されていますが、未着工。これを一刻も早く着工・完成させることが積雪の安定性を確保するうえで重要だと思われます。

 


防護柵が完成 明日にも片側通行が可能か

 

 


 台風21号による土砂崩れで全面通行止めが続いている県道笹原〜長瀬間(字(あざ)・白土(しろつち))で、落石等を防止する防護柵が今日4日午前中に完成しました。上写真がその全容で、午後2時半頃の撮影。
 この後、片側交互通行のための信号機が設置され、また、写真左側に見えるガードロープの修復工事が行われます。現場関係者の話では、「明日にも県が検査に来て、通行再開となるでしょう」とのこと。
 防護柵のための工事が始まったのは11月23日、完成予定は12月11日頃とされていましたが、工事関係者(請負社は竹花組飯水営業所)の懸命な努力で予定よりも早く完成しました。
 片側通行再開の目途がついたことをうけて、本格的積雪期の通行問題の打開が次の課題となります。

 


防護柵の裏側の全体像

 


道路に埋め込まれたH鋼を支える構造


栄村復興への歩みNo.321(12月1日付)

雪時期の通行の可否が大きな問題
  ――北信建設事務所が説明会(28日、北野公民館)

 

 11月28日夜、北信建設事務所が県道笹原〜長瀬間の災害・復旧工事をめぐって初めての地元説明会を開催しました。北野、極野など地元住民30名以上が集まり、建設事務所側の説明の後、厳しい質疑応答がありました。


● 現場では防護柵設置
 説明会に先立ち、私は土砂崩れ・全面通行止めの現場に行きました。

 


 上の写真ですが、道路上にH鋼を埋め込んで防護柵を造る作業が行われていました。H鋼を21本たて、その間に丸太を入れ、さらに道路の擁壁側に“かすがい”を入れます。12月11日頃までに完成の予定。
 これを見て、私は「これならば冬期も通行可か」と思い、期待感をもって説明会に臨みました。

 

● 県の方針は「本格降雪になれば再び全面通行止め」
 説明会で配布された資料の「工程表」を見ると、防護柵の完成に合わせて「片側通行」の文字。一瞬、ホッとしました。しかし、12月下旬に再び「全面通行止め」の文字。しかも、来年4月一杯までです。愕然(がくぜん)としました。
 説明会では、北信建設事務所の担当者が「被災経過と復旧工法」、「施工期間中の対応」の順で説明をしました。「復旧工法」については、かなり本格的な対策が計画されていることがわかりました。崩壊箇所の法面枠工、雪崩予防柵の設置などで、来年12月頃までかかります(ただし、28日に説明されたものは、国の「災害査定」を受けるために設計されたもので、国の査定次第で変更される可能性があるものです)。
 しかし、説明が「施工期間中の対応」に進むと、資料の「工程表」に記載されている通り、「12月10日ないし11日に防護柵が完成したら片側交互通行を可とする。しかし、本格的な雪になり、降雪量が50cmを超え、雪崩注意報が発令されるようになれば全面通行止めに戻す」と話されました。

 

● 住民からは厳しい意見が相次ぐ
 説明の後、質疑応答。9名の住民が挙手して発言されました(二度、三度にわたって発言された方もおられます)。いずれも、県に対して叱責(しっせき)するもの、地域にとっての県道被災箇所の通行の必要不可欠性、県が考えている迂回路の危険性をめぐるものです。
 第1に“叱責”ですが、発災から1ヶ月強を超えた時点での初めての地元説明会に「遅すぎる」、「迂回路があると考えて、県道被災箇所の対策のスピードが遅くなっているのではないか」というものです。「説明会が遅い」という点に関しては、北信建設事務所飯山事務所長が謝罪しましたが…。
 第2の被災箇所の冬期通行の不可欠性について、第3点の迂回路(原向から長瀬に下る県道。通称「百年道路」)の危険性の具体的な指摘と併せて、栄村の冬の暮らしの実相の紹介をまじえながら、切実な訴えが相次ぎました。県は「防護柵はあくまでも落石等への対応措置で、雪崩の破壊力に耐えられるものではない。雪崩での人身事故を発生させるわけにはいかない。安全第一での措置」という返答を繰り返しました。住民も「安全第一」は理解していますが、その意味でいえば、迂回路も「安全第一」に反する危険性があります。
 冬の栄村の雪の厳しさを具体的に話す住民の発言で、建設事務所側に認識の一定の深まりは得られたのではないかと思いますが、質疑応答は冬期通行止めをめぐって平行線のまま終わりました。
 最後に、住民から「今日の住民の問いかけに対する返答はいつもらえるのか」という問いかけがありましたが、明確な回答はありませんでした。

 

原向から長瀬に下る道路の危険箇所

ガードロープは冬期間取り外し。写真左手には蓋無しの側溝がある。

冬期は道路凍結で滑る、除雪による幅員減少で離合困難等で危険大。

 

● 村(役場)も加わって、住民の暮らし・思いに寄り添ったきめ細かい対応を行うことを求めます
 私自身、「通行可として大丈夫」とは言えません。しかし同時に、「雪が本格化すれば全面通行止め。迂回路利用」の県方針をスッとのみ込むことはできません。まだまだ話し合いと検討の余地があると私は思います。たとえば、降雪期、積雪期とひと口に言って済ますのはどうかと思います。かなりの積雪があっても安定している時期もあるはずです。
 この問題は復旧工事を担当する北信建設事務所の担当者が来て説明会を行うというだけでは打開できないのではないか、県は工事担当者だけでなく、住民の暮らしをどう守るかを考える職員も現地に派遣して話し合いを深める必要があると思います。また、村は、道路管理者が県であることから県に委ねるというのではなく、県と一体となって住民との話し合い、諸対策の検討・実施に取り組まなければならないと思います。28日の説明会で「説明は終わった」とすることは絶対に受け入れられません。


道路にH鋼を打ち込む〜「復旧作業の進展状況」追加情報

 22日撮影の写真に基づいて、「笹原〜長瀬間の県道土砂崩れ区間の復旧作業の進展状況」というレポートを24日朝に作成しましたが、そのレポートを北野校区の約70軒にお届けに行った際、今日も現場を見てきました。
 すると、道路を掘削して何かを敷設する工事が行われていました。現場の人に尋ねると、H鋼を打ち込む準備のようです。

 

 

 

 写真に見える「ホッカイボイド」という円柱状のものは型枠材で、この中にH鋼を打ち込み、さらにコンクリートを入れるようです。

 10月27日に村長が対策要望に県庁を訪れた際、「H鋼を打ち込む」という案が県側から話されていたと聞いています。
 県はしっかりした対策を講じてくれていると思います。
 通行ができるようになるまでに、もう少し日数を要すると思いますが、状況はよい方向に向かっています。
 なお、地元地区の区長さんや東部地区から出ている議員を対象とする説明会が28日夜に開催される模様です。

 

(了)


復旧作業の進展状況〜笹原〜長瀬間の県道土砂崩れ区間〜

 11月22日午前に現場に行き、撮影してきた写真を示します。

 

写真1:長瀬方面から見た道路の状況
 崩落土砂、倒木、落ちてきた雪崩防止柵土台のコンクリート塊などすべて撤去され、道路はきれいな状況になっています。

 

 次頁に写真2を示しますが、そこに見られるように、崩壊面の下(道路側面のブロック設置面の上)には大型土嚢が設置されています。また、その少し上には落石(が跳ねること)を防止するためのものと思われるネット(緑色)が設置されています。
 また、県道の北野川側の路肩ですが、写真3に示すように、基本的に損壊していません。

 


写真2:土嚢と落石防止ネット

 

写真3:路肩の様子

 

● 応急復旧措置はほぼ出来たのではないか
 この県道を所管している北信建設事務所からの正式発表はまだありませんが、私がこれまでに見てきた同様の土砂崩れ箇所での応急復旧措置の事例と比較して検討すると、通行止めを解除するに必要な応急復旧措置はほぼ出来たのではないかと思われます。
 北信建設事務所と県の迅速な対応に感謝します。
 間もなく、通行止めの解除等に関する地元説明が行われると思います。

 

● 県は本格復旧にむけて国と折衝へ
 今回の土砂崩れ災害は、全国各地で被害を出した台風21号によるものであり、また、かなり規模が大きくて本格的な対策工事が必要なものです。こういうケースでは、本格的な復旧工事は「公共土木施設災害復旧事業費負担法」という法律に基づいて、国の補助を受けて行われます。
 この国庫補助を受けるには、県道の場合、県が本格復旧の設計と積算見積を国に提出し、国の査定を受けます。“査定”があるわけで、県の申請通りにすべて認められるわけではありません。しかし、逆に言えば、東京の霞が関を拠点としていて栄村のような豪雪地の環境に精通していない国の役人さんに対して、地元住民の訴え・意見などが県を通じて具体的に伝われば、国の役所(担当者)も地元の実状をふまえた“査定”を行う可能性が高まります。
 地元が県・北信建設事務所に充分に説明と要望を行うことが重要です。
 北信建設事務所は地元の意見にしっかり耳を傾ける姿勢です。

 

● あくまでも応急復旧。冬の積雪・雪崩対策などはこれからの課題
 話を当面の通行再開に戻します。
 19日に初雪があり、写真2に見られるように崩壊面に若干の積雪も見られます。しかし、まだ本格的な積雪ではありません。
 12月中旬以降の本格的な積雪期の雪崩に対する対策をどうするか。まだまだこれからの検討課題です。また、雪崩対策の応急措置は、上に記した本格復旧の設計・積算・それに対する国の査定によって左右される可能性もあると思います。
 地元の願いは、笹原〜長瀬間が冬期も(たとえ片側通行であっても)通行可となることです。県・北信建設事務所にしっかりと声を伝えて、迂回路ではなく、笹原〜長瀬間の通行可を実現するために頑張りましょう。
 あと数枚、22日撮影の写真を紹介します。

 

写真4-1

 

写真4-2

 

 土砂崩れで雪崩防止柵が少なくとも2基損壊しましたが、その左右を示したのが上の写真4の1と2。雪崩防止柵がずらっと並んで設置されているところなのです。

 

写真5
 土砂崩れが発生した部分と崩れなかった部分の境目の様子です。杉の木の根を見ると、斜面の土がどの程度流されたのかがわかります。


(了)