急激な気温上昇で融雪災害発生
- 災害と対策
- 2019.04.24 Wednesday
4月17〜18日、日中には20℃を超える急激な気温となりました。これによって、遅れていた田んぼの雪消えが進んだのは幸いなのですが、融雪による災害も発生しています。
秋山では道割り(除雪)が進んだ秋山林道でかなりの規模の雪崩が複数箇所で発生したと聞いています。他方、森集落では、18日にトマトの国近くの村道脇の水路で水の濁りが確認され、「上の水路が抜けたのではないか」と考えられることから、20日朝、地元民による現地調査が行われました。その結果、野々海の水を森集落の開田に運ぶ水路で災害が発生していることが判明しました。応急措置が行われ、森開田の代掻き・田植えには支障がないようになりましたが、本格的には相当の規模の復旧工事が必要な融雪災害です。つぎの写真が災害発生箇所の様子です。
写真左手の雪の下が水路。大半の部分は鉄板で覆われていますが、一部、鉄板の代わりに丸太で蓋をしていた箇所で、急激な融雪で丸太が動かされ、水路に落ちて水を堰き止め、さらに落葉等のごみも溜まって、溢れ出した水が写真に見られるように山肌を削り落とし、溢れ出した水が次頁地図のA地点とB地点の間を流れ落ちる水路(地図では緑色の線で表示)に流れ込んだのです。
この災害発生地点を発見するために、地元民3名の調査班は旧村営グラウンド端のB地点からまだまだ残雪が多い沢に入りました。当初は緑色の線で示す水路のどこかが抜けていると推測されていたのですが、該当箇所は見つからず、地図で茶色の線で示すコースを進んだところ、そのコース半ばあたりで土砂が流れ落ちてきているのを発見(下写真の赤丸箇所)、そこから崖を登って(下写真)C地点に到達、1頁写真の災害発生箇所を発見しました。
災害発生箇所
C地点で応急措置をした後、調査班は森開田水路のさらに上流の部分を点検するために、中条川上流の1号崩壊地まで雪道を進みました。B地点を出発したのが午前9時10分、そこに戻ったのは11時すぎでした。
1号崩壊地の奥から進んできた道をふり返る(赤色矢印の道を写真奥から手前にむかって進んだ)
● 山村力を強く感じました
災害現場の調査に赴いたのは月岡英男さんをリーダーに広瀬幸雄さん、広瀬勝己さんの3名。
雪に覆われた沢の中を迷いなく進み、前頁の写真に見られるような崖もなんなく登り、そして災害発生箇所では足場の確保も難しいようなところで素早く応急措置を施す。そして、1号崩壊地に通じる雪道をさっさ、さっさと進む。
私は、18日夕に温泉で月岡さんから「水路が抜けたようだ。明日、調べに行く」とお聞きし、19日朝、「同行してもいいですか」と電話し、許しをいただいて同行したのですが、まさかこんな凄いところを2時間にわたって進むとは想像していませんでした。私が甘いと言えば、それまでなのですが…。
村内を廻っていて、真冬や雪が残る早春期に、「山の水路が詰まったようだ。これから見に行く」という話を聞くことがあります。「えっ! こんな雪の中、どうやって山に入るのだろう」と思っていましたが、山村で暮らすということは今回の月岡英男さんらのような行動が当たり前のように出来て初めて成り立つのだと衝撃をもって実感しました。まさに“山村力”と呼ぶべきものだと思います。
いま、前号で取り上げた中山間地域直接支払制度(さらに、多面的機能支払制度)について色々と調べを進めていますが、こういう“山村力”が適切に評価される制度としてさらに改良されるように、研究していきたいと思います。
森農業改善組合の第1回スジ播き(18日)
苗伏せ(21日)。
今年も道の駅の“みそ汁”が20日から始まりました。
「栄村を訪れたら、まずこれ!」という感じになっていますね。21日昼も賑わっていました。
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栄村復興への歩みNo.355
2019年4月21日発行 編集・発行人 松尾真
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