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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.309(6月11日付)

 

 

野々海池の1ヶ月の間の変化を見る
 今号は少し変わった企画で、野々海池のこの1ヶ月間の変化の様子を写真で紹介することから始めます。
 1枚目の写真は5月9日に撮影したもの。野々海池への道はまだ開いていず、歩いて行って撮影したものです。他方、2枚目は6月11日午前の撮影。池にはもうほんの一握りのものを除いて雪はありません。
 

 野々海池を撮影しているアングルは様々ですが、変化の様子をご理解いただくことは可能だと思います。

 


 5月9日には芽吹きがまったく見られなかった野々海池ですが、5月17日午後に訪れると(この日はもう道が開いていました)、池はまだ雪で覆われているものの池を取り巻くブナの樹々はかなり芽吹いていて(上の写真)、さらに20日朝には青空が広がる中、とてもきれいな一斉芽吹きを見ることができました。

 

 

 そして、この5月20日、私はこの春初めて、野々海のミズバショウ群生地を訪れました。

 

 

 この場所はもうかなり多くの人がご存じなので位置を書きますが、深坂峠の少し手前(深坂峠に向かう場合の左側)です。
 5月20日、野々海キャンプ場〜深坂峠間の道路はまだ開いていなかったので、キャンプ場横の大きな湿地(=東窓)の雪原を突っ切り、沢を上ってこの場所に向かいました。
 かなり広大な群生地なのですが、この時点ではまだほんの一部しか雪は消えていません。それから約3週間後、6月21日には下のような様子に変わっています。

 


 まだまだ雪は残っていて、ミズバショウの群生はさらに拡がります。
 ミズバショウのクローズアップを1枚ご紹介しましょう。

 

 

●6月4日の野々海普請はまるで真冬の中の作業
 私は5月9日以降、17日、20日、26日、31日と何回も野々海池を訪れました。それは、ミズバショウの開花情報の提供という意味もありますが、なによりも6月初めに予定されている野々海普請にむけて野々海の状況を把握することにありました。道は開いたものの、今年は融雪がなかなか進まず、「この様子では普請は大変だなあ」と思っていたところ、普請当日の6月4日は雨が降る悪天候。気温は2℃か3℃くらいで、指先が痛くなるほど。まるで真冬のようでした。

 

水番小屋の扉を開ける


 野々海池の雪に大きな変化が生じたのは、その「まるで冬」のような6月4日の翌日〜翌々日。どんどん融け出したのです。

 

●6月11日の野々海はすごい人出
 6月11日は前日の強風・雨から一転、朝から快晴。スキー場を上がり、貝立山の裏を通って野々海に向かいました。1ケ所だけ道に雪がありましたが、強引に突破。9時半すぎに着きました。
 10時すぎくらいからでしょうか、次々と車が上がってきます。タイプは2種類。1つは山菜採りです。雪消えがかなり進んだので、野々海池近くにまで山菜採りが来始めています。群馬ナンバーで軽トラというのも見ました。もう1つはミズバショウを見る、雪のある景色を見るというドライブ。こちらも首都圏ナンバーがかなりありました。
 前号で「山・自然資源の管理・保護・活用」という問題を提起しましたが、平滝からの道の途中にゲートを設けることも検討するべきです。エリアへの入場を有料化しようということでは必ずしもありませんが、ひとまず野々海への人びとのアクセス状況を把握することが必要だと思うのです。カメラを設置してエリア入場状況を確実に把握するというのでもよいかもしれません。また、野々海のミズバショウをはじめとする自然資源の把握と保護への取り組みを強化することも求められています。信越トレイルの取り組みとの連携の強化も含めて検討するとよいのではないかと思います。


秋山国道405号線の改良整備の進展

秋山郷国道整備促進期成同盟会第41回総会に参加して

 

 6月7日、「秋山郷国道整備促進期成同盟会」の第41回通常総会(於:「萌木(もえぎ)の里」、津南町結東(けっとう))に公務として出席しました。いろいろと学ぶところがありましたので、ここにレポートすることにしました。まず、進展著しい国道405号線の改良の現況について紹介します。

 

●道路の幅を広げる工事などが進展

 

写真イ

 

 写真イは屋敷・上野原間で道幅を広げる本年度工事(380m)のうち、フクザワコーポレーションが担当する区間。写真から現在の倍の道幅になることがわかると思います。
 この写真は屋敷側から上野原方向を撮影したものですが、この工事箇所の先は昨年度に拡幅されています。

 

写真ロ

 

 写真ロはやはり屋敷・上野原間ですが、屋敷に入る村道との三叉路のすぐ近くです。こちらはマツナガ建設という会社が担当しています。
 この写真イ・ロの区間はとても狭く、とくに冬期間はアイスバーン状態になっていることが多く、私などは「ちょっと滑ると谷底へ」という恐怖を感じることがあります。
 国道405号線は国道ですが、国管理ではなく、県管理になっています。そのため、栄村の区間は長野県北信建設事務所が、津南町の区間は新潟県十日町地域振興局地域整備部が管理し、それぞれが管理区間の拡幅工事等を担当しています。したがって、写真イ・ロの工事は北信建設事務所の担当です。
 それに対して写真ハ、ニ、ホは新潟県の担当箇所。

 


写真ハ

 

写真ニ

 

写真ホ

 

 写真ハは清水川原付近。スノーカーテンというものを設置する工事です。すでに昨年度に施工された箇所もあり、写真ニがそれです。
 写真ホは、見玉の2車線区間が終わり、清水川原まで狭い1車線区間が始まるところ。ここで道幅を広げる工事が進められています。これは一昨年度からの継続工事です。


 ここまで写真を付けて紹介したもの以外にも種々の改良工事が進められています。
 直接的な背景としては、新潟県管理区間では平成18豪雪での見玉・結東間の通行止め、長野県管理区間では2011年の震災があります。これらによって国の各種交付金が交付されたのです


●期成同盟会の41年間にわたる努力の成果
 私は総会に出席し、総会資料に「第41回通常総会」と記されているのを見て、「?」と思いました。すると、総会が始まって間もなく、「41年前に期成同盟会を結成して以来…」という話がされて驚きました。なんと期成同盟会の歴史は1977年(昭和52年)にまで坂遡るのです。現在、期成同盟会の役員を務める福原和人氏などのお父さんの世代からの活動が今日まで引き継がれているのです。
 しかも、期成同盟会の運営のしかたが、道路の新設・改良をめぐって各地でつくられている「○○期成同盟会」というもの一般とは少し違うというのです。総会に提出された決算・予算を見ると、年額50〜60万円になっていますが、収入源の第1は栄村と津南町の秋山郷に暮らす各世帯が拠出する年間500円の会費なのです。第2は、秋山郷での道路工事や道路除雪に関わる地元建設業者等からの寄付金です。
 総会で議決権を有する人の多くは秋山郷の各集落の区長さん。寄付金を拠出している業者は来賓として総会に出席し、同盟会から質問等が出されれば答えますが、議決権は有していません。
 また、北信建設事務所や十日町地域振興局はトップが総会に出席し、前年度の事業実施状況、今年度の事業予定を説明し、また、地域からの質問・要望に丁寧に答えます。
 秋山郷における住民自治の実践という意味合いが非常に濃い期成同盟会なのだというのが私の感想です。と同時に、私は村議会の議員として、「平素、議会では秋山郷の道路改良等について、ここまで詳しく報告を受けたり、議論したりすることはない。議会の役割を十分に果たせていないのではないだろうか」という思いも強くしました。
 なお、この期成同盟会の結成の出発点には「未開通区間(切明〜群馬県)の開通」という願いがありますが、今日の時点で切明〜群馬県間の開通が必要かどうかという点に関しては、私自身は「貴重な自然を保全する方が望ましい」という観点を重視して検討すべきだろうと考えています。
 秋山郷国道整備促進期成同盟会については学び始めたばかりですので、今後、さらにいろんな方々からお話を聞いて勉強し、みなさんに改良工事の進展状況とともに報告していきたいと思います。


風景写真四点

 本号は12頁版。次の8〜9頁は栄村各地の写真グラフです。

 

 

夕陽に照らされる田植えから間もない田んぼ
 村ではごくありふれた景色かもしれませんね。でも、一瞬の間しか見られないものでもあります。
夕陽はあと数分で山の向こうに消えていくでしょう。田んぼの水面に山と夕陽が映るのを見られるのは田植えから間もない時期に限られます。
 6月9日午後6時近くに北野集落で撮影しました。

 

 

5月28日、青倉にて
 田んぼに映る雲と田んぼの脇に咲く花が気に入りました。島田輝二さん宅横。
 花が花菖蒲(ハナショウブ)なのかカキツバタなのか、区別がつきませんが…。

 

 


横倉の開田
 6月4日午後。この日の午前中は「まるで真冬」の野々海での普請。この景色、まるで別世界のように感じました。

 

 

夏まで残る残雪
 秋山林道のコミズで6月9日に撮ったものです。
 これからの気温の推移にもよりますが、この沢にはおそらく7月末近くまで雪が残るでしょう。奥に見える山は鳥甲山連峰の「小水(こみず)の頭(かしら)」です。


JRの対応に疑問と大きな憤り――飯山市桑名川の「避難指示」をめぐって

 最近、毎朝・毎夕、村内放送から「JR飯山駅からのお知らせ」が流れてきます。「避難指示のため飯山線の運行を見合わせ」というものです。
 6月5日からは代行バスが運行されているとはいえ、飯山線運休の打撃と損失はとても大きいものです。「本当に運休はやむをえないのか?」という疑問が湧き出てきます。さらに、現在のJRの対応では運行再開の見通しはまったくたたないという問題も指摘せざるをえません。

 

●避難指示世帯周辺での大型土嚢補強は進んだ
 

 

 上は6月10日撮影の桑名川地区・出川左岸の様子。右手に避難指示が出ている4世帯のうちの2軒が見えます。写真中央には県が対策工事の柱として位置づける〈大型土嚢の積み上げとその裏側にコンクリート・ブロックの設置〉が見られます。
 しかし、地元住民のお話では、「避難指示解除」の見通しはまったく出されていません。この地点よりも上流にある桑名川砂防ダムが流木等で埋め尽くされていて、これを取り除けないためのようです。技術的に相当に困難があるだろうことは推察できますが、緊急対策への踏み込みが弱いという印象を禁じえません。県等に問いかけてみたいと思います。

 

●JRは見通しと独自対策を明確にすべきだ
 下の写真は、JR飯山線の出川橋梁の様子を上流側から見たものです。橋梁そのものは川の中に流れ込んだ木の陰になって見えませんが、写真中央に見える茶色の土面が橋梁すぐ横の線路敷地の法面です。

 


 土石流が発生した場合、土石流がこの法面を直撃することは明らかですが、補強はほとんどされていません。また、橋梁直下、その前後について、今後起こりうる土石流が下流へ流下しやすくなるように、既発生の土石流によって堆積した土砂等を除去するなどの措置もされていません。
 このままでは、JRが「飯山線の出川橋梁が危険」とする状況は、出川右岸の4世帯への避難指示が解除される状況になっても変わらないのではないかと思われます。
 JRは今後、どうするつもりなのでしょうか。「運行再開の見通しはまったくたたない」ではあまりにも無責任です。

 

●飯山線は信州DCの対象から外すのか?
 7月1日にはJRが主導する信州DC(デスティネーション・キャンペーン)が始まります。秋山郷−苗場山など飯山線沿線の山岳観光地は今回の信州DCの最重要ポイントの1つです。
 しかし、飯山線運休では飯山線での秋山郷への旅は不可能となります。それでは、「おいこっと」やSL運行でこの数年間に積み上げてきた飯山線沿線の観光発展の努力はすべて水泡に帰してしまいます。
 JRには、今回の飯山市照岡での山腹崩壊・土石流災害に主体的に、そして積極的にどう対処するのか、責任ある対策方針の打ち出しが求められています。


クマの所在の確認と対策の措置

 6月7日、村は下写真に見える緊急警告看板をスキー場内の村道の一角に設置しました。

 


 「このすぐ近くでクマの巣が発見されました。ここのスキーコースに立ち入っての山菜採りは危険。ただちにこの場を離れて下さい」というものです。
 これは、5月2日に地元住民がクマの穴と思われるものに遭遇した地点付近を6月6日に私を含む2名で再調査し、クマの巣の所在が確認されたため、役場に申し入れをして設置してもらったものです。
 今年は、昨年よりも1ヶ月以上早い時期からクマの目撃情報が相次いでいます。村は6月初旬の全世帯への配布文書でクマへの警戒、目撃情報の役場への集中を呼びかけました。
 クマ対策は待ったなしの緊急課題になっています。警戒と情報の集中を心がけてください。


直売所かたくり、さらに多くの村民の参加を

「入会金1万円」の回収はけっして大変ではありません
 直売所かたくりは、5月〜6月も快調で、「売上額1日30万円超え」はもはや珍しいことではなくなっています。
 お客さまの来店数だけでいえば「売上年間6〜7千万円」も夢ではないと言っても過言ではないでしょう。
 問題は、お客さまの来店数・需要に対応できるだけの品物の量・種類を確保できるかどうかです。すでに組合員となっている人が出荷量を増やして下さることと、さらにもう1つ、新たに組合に入って下さる村民が一人でも二人でも増えることが重要です。
 そこで問題となるのが「入会金1万円」。「その元手の1万円を回収するのは大変じゃないか」と思われる人が多いようなのですが、そんなことはありません。比較的最近に入会されたおかあさんは、乾燥ワラビなどを少量ずつ出店されているのですが、5月の売上げは4万円を超えたようです。
 「入会金1万円」はけっして高くありません。新入会へ、是非、一歩踏み出してください。

 

 今号は12頁版。次号発行は、議会6月定例会出席の関係で、7月1日付発行(12頁版)となります。よろしくお願いします。


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