真っ白な花が一面に咲き誇る! 凄いでしょう。これ、ニリンソウの群生です。見たのは、代掻きされた田んぼの水面に桜が映るという素敵な場面の近く、秋山郷・小赤沢です。
この田んぼはモチ米を作付けするため、早く代掻きさました。写真奥に白く見えるところが上写真のニリンソウ群生地です。
群生場所の地主さんにお聞きしたところ、元々は行者ニンニクの畑で、ニリンソウがこんなふうにワーッと咲いたのは今年が初めてだそうです。なぜ、ニリンソウがいっきに広がったのか? その謎を解明したいなと思っています。
ニリンソウ(二輪草)は、その名の通り、1つの花茎に花が2つ付くのですが、2つとは限りません。1つだけの場合、3〜4個が付く場合もあります。ニリンソウをクローズアップした写真もご覧ください。
私は今春、春の花としてアズマイチゲ、キクザキイチゲを紹介してきましたが、イチゲのほうが早く咲き、イチリンソウやニリンソウはそれよりも少し遅い時期に咲くようです。図鑑ではイチゲ類の開花時期は3〜5月、イチリンソウやニリンソウは4〜5月とされています。
● シロモジの花とクロモジの花
本紙No.332(4月13日付)で「何の花でしょうか?」というタイトルで写真紹介した黄色の花があります。
読者の方から、「あれはシロモジだよ」と教えていただきました。私はクロモジの木はよく知っていますが、「シロモジ」という木の名前は初めて聞くものでした。No.332掲載の写真は近づけない崖の上の木を撮影したものでしたので、花を大きくクローズアップする写真は得られなかったのですが、5月6日に五宝木集落と五宝木トンネルの間で撮影した木の花がシロモジの花ではないかと思います(下写真)。
ただし、シロモジの花とアブラチャンという木の花は非常によく似ていて、花を見るだけでは判別が難しいそうです。両方とも、クスノキ科クロモジ属です。判別には葉を見る必要があるとのことですので、葉が出た時期にもう一度観察したいと思っています。
次は、クロモジの花です。
この花が付いている木の細い枝を折って、クロモジ特有の香りを確認しましたし、図鑑でも確認できました。場所は天地の山のかなり高い所で、5月8日昼の撮影です。
● 前号掲載の「シロヤブケマン」について
前号で掲載した上の花、「シロヤブケマン」とご紹介しましたが、本紙をメールでお送りしている大阪の知人から「シロヤブケマンではなく、ユキヤブケマンではないか」というご指摘をいただきました。
シロヤブケマンもユキヤブケマンも共にムラサキケマンが脱色して白化した品種ですが、花の先端に紫色があるものがシロヤブケマン、先端に紫色がなく純白に近いものはユキヤブケマン。私が撮影・紹介したものはユキヤブケマンで、かなり貴重なもののようです。5月6日に撮影場所に再び赴きしましたが、花はすでに姿を消していました。来春、確認観察・撮影をしたいと思っています。
● シナノタンポポ
これも前号内容に関わることですが、No.334でご紹介した二ホンタンポポは「カントウタンポポ」ではなく、「シナノタンポポ」だったようです。これも大阪の知人からのご教示です。
ポイントは、外総苞片が幅広で、しかもそこに角状突起がないことだそうです。前号の写真を再掲します。
● ヒトリシズカの群生
トマトの国近くの丸山の裾野と中腹でヒトリシズカが開花しました。温泉入浴の折などに是非、ご覧ください。
これは群生のごく一部。こんなふうに何本ものヒトリシズカが集まって咲く姿が随所で見られます。ヒトリシズカという名前は源義経の話に出てくる「静御前」に由来します。静かに美しく咲く様を静御前の美しさにたとえたのです。
なお、ヒトリシズカが咲く場所はつい先日までカタクリが咲いていたところで、現在はカタクリの葉っぱが残っています。これを踏みつけると、来春、カタクリが咲かなくなりますので、ご注意ください。