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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.335(5月11日付)

 

ゼンマイを干す人が多いですね

 4月下旬から5月上旬にかけて村内を駆け巡っていて、今春の特徴として目立つことがあります。家の前でゼンマイを干している人がとても多いことです。
 ゼンマイ揉み・干しは栄村の春の風物詩ですが、昨春はその光景を見られる家がとても少なくなりました。「体力が落ちて、揉むのがきつい」と言う高齢者の方もおられて、「もう栄村の春の風物詩ではなくなるのかなあ」と心配したものでした。しかし、今春は一転、非常に多くのお家の前にゼンマイが干されています。ある人に伺うと、「去年はこわかったが、今年のゼンマイはいいね」と。そういうことも背景にあるのかもしれません。また、ゼンマイ揉み・干し作業に挑戦する若い人も出てきています。
 「最近の栄村は元気がない」なんて言う人もいますが、そんなことはありません。村にはズクがある人がたくさんおられます。その象徴の1つが多くのお家でのゼンマイ干しだと思います。

 

(写真は天代集落で撮影しました。)


鳥甲線を走る

 配達で秋山に向かった5月6日、極野から鳥甲線(とりこうせん)に入りました。法面枠工の工事(7年前の地震災害の復旧対策工事)で昨年はずっと通行止めになっていた路線です。

 


 法面枠工は見事に完了していました。昨年、工事現場で「予算不足で困っている」という話を聞いていましたが、法面枠工の下部に土砂止めの堰堤も造られていて、ほぼ完了のようでした(上写真)。
 降積雪期まで工事が行われたようで、撤去しきれなかった工事資材が道路脇に残っていました。

 

● 景観が素晴らしい鳥甲線
 この鳥甲線、じつは景観が素晴らしいのです。とくに融雪が進む初春期と紅葉期。中でも極野から五宝木にむかって進む際に正面に見える景観が素晴らしいと思います。
 今春は、雪消えが早く、融雪水が流れ落ちる“幻の滝”は残念ながら見ることができませんでしたが、次のような素敵な山の景色を真正面に見ることができました。

 


 鳥甲山連峰の北側にある西ノ岩菅やフクベノ頭が見えているのだと思います。手前は釜川の峡谷です。
 この地点から進み、7月にヒメボタルが飛ぶところを経て、直線状の道路を走ると、道路右脇にカタクリが咲く箇所があります。
 そんなに大きな群生地ではありませんが、綺麗に開花していました。イチリンソウもありました。
 驚いたのは、ここのカタクリがよそで見るものよりも大ぶりなこと。典型的なものを示します。

 

 

 五宝木に到着すると、「もう森の住宅から五宝木に戻られたかな?」と思っていた山田政治さんが畑に出て、枯枝を掻く姿がパッと視界に入ってきました。もう90歳代後半ですが、お元気です。

 


 政治さんのお家でお茶のみをさせていただいた後、今季初の畑耕耘作業を始められた阿部文夫さんともちょこっとお話して、私は屋敷集落へと向かいました。
 その途上で見た「シロモジの花かな」と思われるものは「草花のアルバム」の項でご紹介します。


明石大橋建設予定地から

 

 写真は県道箕作飯山線の明石大橋橋脚建設地の5月10日の様子。
 雨で増水した千曲川に中州のようなものが見えますが、これ、じつは橋脚建設ヤード。真ん中に地中に沈め込まれた橋脚下部部分の突端が見えます。
 本紙No.329(3月16日付)で報じたように3月上旬の大雨で今期の工事中断となりましたが、来期(今年11月頃から)に備えて、3月後半に橋脚基礎部分の地中沈下作業が遂行されました。

 


今号も、草花アルバム!

 

 真っ白な花が一面に咲き誇る! 凄いでしょう。これ、ニリンソウの群生です。見たのは、代掻きされた田んぼの水面に桜が映るという素敵な場面の近く、秋山郷・小赤沢です。

 

 

 この田んぼはモチ米を作付けするため、早く代掻きさました。写真奥に白く見えるところが上写真のニリンソウ群生地です。
 群生場所の地主さんにお聞きしたところ、元々は行者ニンニクの畑で、ニリンソウがこんなふうにワーッと咲いたのは今年が初めてだそうです。なぜ、ニリンソウがいっきに広がったのか? その謎を解明したいなと思っています。

 ニリンソウ(二輪草)は、その名の通り、1つの花茎に花が2つ付くのですが、2つとは限りません。1つだけの場合、3〜4個が付く場合もあります。ニリンソウをクローズアップした写真もご覧ください。

 

 

 
 私は今春、春の花としてアズマイチゲ、キクザキイチゲを紹介してきましたが、イチゲのほうが早く咲き、イチリンソウやニリンソウはそれよりも少し遅い時期に咲くようです。図鑑ではイチゲ類の開花時期は3〜5月、イチリンソウやニリンソウは4〜5月とされています。

 

● シロモジの花とクロモジの花
 本紙No.332(4月13日付)で「何の花でしょうか?」というタイトルで写真紹介した黄色の花があります。
 読者の方から、「あれはシロモジだよ」と教えていただきました。私はクロモジの木はよく知っていますが、「シロモジ」という木の名前は初めて聞くものでした。No.332掲載の写真は近づけない崖の上の木を撮影したものでしたので、花を大きくクローズアップする写真は得られなかったのですが、5月6日に五宝木集落と五宝木トンネルの間で撮影した木の花がシロモジの花ではないかと思います(下写真)。

 


 ただし、シロモジの花とアブラチャンという木の花は非常によく似ていて、花を見るだけでは判別が難しいそうです。両方とも、クスノキ科クロモジ属です。判別には葉を見る必要があるとのことですので、葉が出た時期にもう一度観察したいと思っています。

 次は、クロモジの花です。

 


 この花が付いている木の細い枝を折って、クロモジ特有の香りを確認しましたし、図鑑でも確認できました。場所は天地の山のかなり高い所で、5月8日昼の撮影です。

 

● 前号掲載の「シロヤブケマン」について

 

 

 前号で掲載した上の花、「シロヤブケマン」とご紹介しましたが、本紙をメールでお送りしている大阪の知人から「シロヤブケマンではなく、ユキヤブケマンではないか」というご指摘をいただきました。
 シロヤブケマンもユキヤブケマンも共にムラサキケマンが脱色して白化した品種ですが、花の先端に紫色があるものがシロヤブケマン、先端に紫色がなく純白に近いものはユキヤブケマン。私が撮影・紹介したものはユキヤブケマンで、かなり貴重なもののようです。5月6日に撮影場所に再び赴きしましたが、花はすでに姿を消していました。来春、確認観察・撮影をしたいと思っています。

 

● シナノタンポポ
これも前号内容に関わることですが、No.334でご紹介した二ホンタンポポは「カントウタンポポ」ではなく、「シナノタンポポ」だったようです。これも大阪の知人からのご教示です。
 ポイントは、外総苞片が幅広で、しかもそこに角状突起がないことだそうです。前号の写真を再掲します。

 

 

● ヒトリシズカの群生
トマトの国近くの丸山の裾野と中腹でヒトリシズカが開花しました。温泉入浴の折などに是非、ご覧ください。

 

 

 これは群生のごく一部。こんなふうに何本ものヒトリシズカが集まって咲く姿が随所で見られます。ヒトリシズカという名前は源義経の話に出てくる「静御前」に由来します。静かに美しく咲く様を静御前の美しさにたとえたのです。
 なお、ヒトリシズカが咲く場所はつい先日までカタクリが咲いていたところで、現在はカタクリの葉っぱが残っています。これを踏みつけると、来春、カタクリが咲かなくなりますので、ご注意ください


景観ポイントを探る

 5月8日、栄村秋山郷観光協会の通常総会が開催されました。「観光協会は何をなすべきか」については課題が多いと思いますが、H30年度事業計画(案)では1つ、注目する点がありました。「写真スポットや絶景スポットの整備」という項目です。
 栄村には、〈隠れた景観ポイント〉がたくさんあります。観光に訪れた人は気づきにくい、また、近づきにくいところです。

 


 上は日出山線と鳥甲線の分岐点から秋山林道を屋敷方面に向かう途中の地点。手前に見える土の山は足もとが不安なところですが、ここを越えると素晴らしい景観が広がります。その姿が下の写真。

 


 是非、多くの人に見ていただきたいものです。しかし、それにはこの足場の悪い所を整備する必要があります。そんなに難しいこと、費用がかさむことではないと思いますが、そういう小さな努力が秋山郷観光を育てていくと思います。
 この近くには次のような景観スポットもあります。ここ数年、紅葉期にカメラを向ける観光客が増えています。

 

 

 

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栄村復興への歩みNo.335
2018年5月11日発行 編集・発行人 松尾真 連絡先:電話080−2029−0236、mail;aokura@sakaemura.net
ゆうちょ銀行 11100−1361481 栄村復興への歩み協賛寄金 ながの農協栄出張所 普通0009390 栄村復興への歩み発行協賛金松尾眞


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