プロフィール

profile
栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

カテゴリー

categories

サイト内検索

Search

カレンダー

calender
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>

最近の記事

selected entries

最近のトラックバック

recent trackback

月別アーカイブ

archives

栄村関連リンク

links

携帯用QRコード

mobile
qrcode

ブックマーク & RSS

Bookmark&RSS

松尾まことの議員活動報告No.48(9月26日付)

 

議会・議員はやるべき仕事を充分にしているか?

 

 議会9月定例会が9月7日〜14日、開催されました。今回は上に記したタイトルのとおり、《議会・議員がきちんと仕事できているか》ということに焦点をあわせて、報告を記していきたいと思います。

 

◎ 9月定例会の最重要の仕事は決算の審査
 9月定例議会は通常、「決算議会」とも呼ばれます。村から前年度(今回の場合は令和元年度)の歳入歳出決算書(一般会計と特別会計)が提出され、議会がそれを審査するからです。

 

■ 軽視されがちな決算審査
 3月定例会の予算審議が「脚光を浴びる」のに対して、9月の決算審議はややもすれば軽視されがちな傾向があります。と言うのも、「すでに済んだこと」の審査だからです。私たち議員が議員活動を行ううえで1つの指針とする『議員必携』でも、このことが問題とされ、次のように指摘されています。
    「決算審査は、ややもすれば執行済みのものとして

    軽んじられる傾向にあるが、議会が決定した予算が

    適正に執行されたかどうかを審査するとともに、各

    種資料に基づいてその行政効果や経済効果を測定し、

    住民に代わって行政効果を評価する、きわめて重要

    な意味があることを再認識すべきである。」

 

■ これからの行政のあり方を大きく左右する
 「行政効果を評価する」ことは、来年度以降の予算編成や行政のあり方を方向づけることにつながります。「成果があった施策」→「もっと強化しよう」、「成果が上がっていない」→「施策はいいが、やり方がまずいのか。それとも、そもそも無駄な、あるいは不適切な施策なのか」を見極める、…ということです。
 そこで大事になってくるのが、「会計年度における主要施策の成果説明書」というものです。これは地方自治法で首長に提出が義務づけられているものです。「決算書」は予算の金額と決算金額、すなわち数字しか書かれていないのに対して、「成果説明書」は「予算執行の単なる実績、データではなく、施策の実現を目指して措置された予算執行によって成し遂げた効果」をあきらかにするものなのです。
 栄村では、昨年まで「決算説明資料」というものが提出されていましたが、「予算執行によって成し遂げた効果」をきちんと説明するものにはなっていませんでした。一昨年、昨年の決算議会で私たちが繰り返し、「きちんとした成果説明書を出すように」と要望し、今年初めて、「令和元年度 主要事業の実績及び成果説明書」と題する文書が村から議会に提出されました。
 今回提出された「成果説明書」はけっして充分なものとは言えませんが、提出されたこと自体が大きな前進だったことは間違いありません。今期議会(H29年4月選出)の重要成果と言ってよいと思います。

 

◎ 今回の決算審査の特異性
 今回の決算審査の対象となったのはH31年4月1日から令和2年3月31日まで、すなわち令和元年度の予算執行です。森川村政4年目、いいかえれば森川前村政の集大成が審査の対象となったのです。ただし、5月に村長が宮川幹雄氏に代わっていますので、9月定例会への決算書提出は宮川村長の名で出されています。宮川氏が「村を変えなければ」と主張して出馬・当選したことからすると、変則的な事態といえます。

 

■ 決算の流れ
 決算は次のような流れで行われます。〔鮠譴硫餬彜浜者の下で、「決算書の調製」が行われます。△修痢峽荵蚕顱廚和篠垢膨鷭个気譟村長はこれを監査委員に送付します。4萄紺儖はこれを十分に審査し、村長に意見書を提出します。ぢ篠垢牢萄紺儖の意見書を付して、決算書を議会に提出する。

 

◎ 決算審査で着眼すべきポイント
 先に挙げた『議員必携』には「決算審査の着眼点」が16項目挙げられています。その中でもとくに重要と思われるのが、つぎの4点です。
    支出は適法適正であるか
    補助金の効果があがっているか
    主要施策の成果説明書の検討
    「財産に関する調書」の検討
 少し説明を加えます。,療世賄たり前のことに思えますが、行政が予算を執行する場合、「予算があるから」と言って無条件で支出していいわけではないのです。きちんとした手続きを経ることが必要で、この手続きがきちんと行われていないと、たとえ予算にある費目の支出であっても不適正ということになります。そして、その手続きは当然のことながら決裁文書として、文書記録が保存されていることが必要です。
 つぎに、△補助金。栄村では多くの補助金が出されています。主だったものとしては社協や観光協会があります。『議員必携』では、「従来の惰性に流れ、今後減額なり、むしろ中止するのが妥当なものはないか」、「補助を受けている団体の運営が、補助金のみに 頼っていることはないか」、「村長が補助金支出の結果や成果を精算書等の書面によって確実に把握しているか」などに留意するように促しています。
 また、い痢嶌盪困亡悗垢訥棺顱廚箸いΔ里和燭の人にとって聞き慣れない言葉でしょう。行政の財政は単年度主義で、「歳入歳出決算」は1年間の金銭収支しか捉えていません。企業等の決算における「貸借対照表」、いわゆるバランスシートがないのです。そこで、金銭収支に加えて財産、物品、債権、債務を含めた総合的な決算を見るべきだという考えから「財産に関する調書」が作成されています。

 

◎ 浮かび上がってきた問題点
 決算審査で議論(問題)になった点は多くあり、すべてについて書くことはできませんので、いくつかの大事な点に絞って報告します。

 

■ 支出の適正性はどうか、必要な手続きがなされているか
 まず、支出の適正性に疑問があるものが指摘されました。
 「起業支援事業」というものがあります。字のとおり、「新しい業を起こす」ことに対する支援金です。R元年度、予算は200万円であったのに、実際は325万1千円も支出されています。対象は、(有)栄村物産センターと(一社)きぼう。いずれもR元年度に起業されたものではありません。「物産センター」の場合、設立から20年を超えています。「起業支援事業」の対象には「既存の企業が異なる業種に進出する場合」も対象としていますが、この物産センターの場合、「トマトジュース事業の振興公社からの引継に関わる経費」が対象とされていて、とても「異なる業種への進出」には該当しません。
 また、「きぼう」の場合、新しい施設の開所に伴う「備品費」への支援となっていますが、じつは県から出された補助金4,353万6千円のうち、724万8千円は「開設準備(備品等)補助金」とされています。一般的には同じ費目に県と村が二重に補助金を出すことはありえません。
 いずれも「支出の適正性」に疑問符がつきます。

 

 また、支出に必要な手続きがきちんと行われていない可能性が大きいものも出てきました。議会が予算審議で減額修正した賃金に関するものです。当時の森川村長は「義務的経費にあたり、減額は承服できない」として、議会の再議にかけました。しかし、再議でも、議会は減額修正を是と決定しました。この場合、首長は「あくまでも義務的経費」だと主張して、自らの権限で減額分を予算に計上することができます。ただし、その額を「予算に計上」という手続きをしなければならず、その手続きをしていれば、それが文書記録として残ることになります。
 しかし、決算審査で質(ただ)したところ、そのような手続きをすることなく、他の予算からの流用で支出したとのこと。これは適正なことではありません。森川村政が法令に則(のっと)ったきちんとした手続きをせずに、予算執行をしていたことが明らかになったのです。けっしてあってはならないことです。

 

■ 補助金支出のルーズさ
 R元年度、栄村秋山郷観光協会に1,900万円、栄村社会福祉協議会に6,415万円の補助金(他に委託費211万3千円、指定管理料3,748万9千円)が支出されています。
 観光協会の場合、新型コロナ感染症対策でイベントが中止となり、約350万円の予算が余ったのですが、決算では全額執行になっています。「実績及び成果説明書」を見ると、「ウッドテーブル・イスの購入」(天池)、「かまくら用バルーンの購入」など、予算にはなかったものに支出されているのです。これは財政の「予算主義」(=財政は予算に基づいて執行すること)に反するもので、あってはならないことです。担当課長の答弁によれば、当時の森川村長が「承認」したとのこと。村長といえども、予算にないものを執行することは許されません。
 他方、社協への補助金の中に「相談支援事業等 724万8千円」というものがあります。ある議員が「この相談支援事業って、どういうもの?」と質したところ、民生課長は「心配ごと相談事業、……、団体事務局代行事業」と答えました。ところが、それらの項目は「委託費」に計上されています。議員が「二重じゃないの?」とさらに質すと、「委託費は経費分で、人件費が入っていないので、その分を補助金で出した」と答弁。たとえば、近年は金婚式の事務を社協が受託していますが、その時の事務的経費は委託費、人件費は補助金というのです。多くの議員は一瞬、狐につつまれた感じになりました。ありえない支出のしかたです。
観光協会にせよ、社協にせよ、その組織の性格上、村は必要な補助金は出さなければなりません。しかし、「いったん補助金予算が決まったら、用途が違っても支出してよい」とか、「補助金と委託費を使い分けて、先方の言う額を満たす」というようなことがあってはなりません。

 

■ 「財政調書」に対する無関心・無頓着
 R元年度決算の「財政に関する調書」で金額的に一番大きな変動は、「栄村振興公社出捐の証」が「前年度末残高 8千万円」から「決算年度末残高 0円」へと8千万円の減となっていることです。
 私は、「振興公社の清算について、現金・預金等の流動資産だけでなく、物的財産(一定額以上の備品等)についても、きちんとチェックしたのか」と、監査委員に質しました。答えは「していない」でした。「失念していた」、すなわち「そういう問題意識がなかった」ということでした。
 もっとも、これは監査委員だけの責任ではないと思います。振興公社への出捐金については、「権利の放棄」として、本来は議会の同意を得るべきものであったにもかかわらず、森川村政が「公社解散は村が与(あずか)り知らないこと」と言って、きちんとした手続きをしなかったことに根本的な問題があります。

 

■「成果説明書」の改善・前進点と残された問題点
 2頁で書いたとおり、今回の決算では「主要事業の実績及び成果説明書」というものが作成・提出されたこと自体が画期的な前進、改善点です。
 3頁から5頁にかけて指摘した支出の適正性や補助金支出のルーズさなどの問題点が決戦審査で浮き彫りになったのも、「実績及び成果説明書」で以前よりも詳しい事業内容・支出額の記述が手がかりになったからです。
 他方で、たしかに「成果の説明」はなされているものの、既述内容は「成果の説明」と言うにはほど遠いものも数多くありました。たとえば、先に紹介した社協への補助金の説明での「相談支援事業 7,248,000円」という記述などは「成果の説明」とはとても言えないものです。議員が質して初めて問題点が明らかになったのです。
 また、「事業の本来目的をきちんと把握しきっていないのではないか」という疑問を抱く記述もあります。たとえば、「稲作農家への支援 特A米60キロ当たり2,828円の支援金を給付 1,034万2,232円」の「成果説明」で、「特A米出荷農家に支援金を給付することにより、米の品質や生産意欲の向上が図られた」としています。しかし、これは、ふるさと納税制度の変更に伴って村へのふるさと納税額が大幅に減り、従前の特A米への上乗せ金を出せなくなったことに対する緊急措置です。このことがまったくおさえられていません。役場の担当者の交代の際に事業(施策)の狙いがきちんと引き継がれていないことが透けて見えます。

 

■ 行政のたて直しへ、重要な一歩が刻まれた
 ここまで、決算(書)の問題点をいくつか指摘してきましたが、これは「重箱の隅をつっつく」ことでもなければ、誰かの揚げ足をとることでもありません。行政・財政はどうあるべきか、その本来あるべき姿を明らかにし、村の行政を立て直す作業の重要な一環です。
 国ではこの間、「公文書の改ざん・破棄」が大きな問題になっていますが、村でも行政は本来あるべき手続きに従って事業を進め、その記録を残さなければなりません。そうしないと、「なんでもあり」になったり、正しい施策の遂行が不可能になったりします。
 いま、栄村は、宮川村長を迎え、あるべき行政の遂行へ困難な、しかし、やりがいのある仕事に踏み出しているのだと思います。

 

◎ 議会の問題点も浮き彫りに
 決算審査の意義については1頁から2頁かけて書きました。それを前提として、以下の記述を進めます。


■ 決算審査で1回も質問しない?!
 決算審査は議員全員で構成する決算特別委員会を設置して2日間にわたって行われます。今回の場合は9月10日、11日の両日でした。
 ところが、この間を通じて、1回も質問しない議員さん、あるいは質問したとしてもわずか1回という議員さんがおられます。私は、これは大問題だと思います。議員としての職務を遂行していないと言われても仕方ないでしょう。「議員とは何をするものぞ」、とくと考えていただきたいと思います。

 

■ 「傍聴者がいないのは何故か」も議会が考えなければならない
 9月定例会、傍聴者はかなりおられました。しかし、決算特別委の日は基本的にゼロです。重要な審査だけに残念でなりません。
 しかし、傍聴者の立場にたてば、やむをえない側面もあると思います。傍聴者は現状では、決算書を見ることができません。役場から議案書ないし資料の配布がないからです。私も議員になる前に傍聴の経験がありますが、予算や決算の審議、数字が飛び交う中で、資料を持たない傍聴者は何が議論されているのか、さっぱり分かりません。
 決算や予算の議案を村民に公開して不都合があろうはずがありません。村は傍聴者に決算(予算)書や議案を資料として配布すべきです。議会はそのように行政に要請すべきです。今後、まず、議会運営委員会で議論したいと思います。

 

■ 議会は検査権を行使すべき
 地方自治法は第98条で議会の検査権を規定しています。
   「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共

   団体の事務に関する書類及び計算書を検閲し、当

   該地方公共団体の長……の報告を請求して、当該

   事務の管理、議決の執行及び出納を検査すること

   ができる。」
 法律特有の難しい表現ですが、分かりやすく言えば、村長が法令に基づく「決算書」として議会に提出する書類だけでなく、種々の書類や資料の提出を求め、調べることができるということです。
 逆に言えば、そういう書類や資料がないと、決算書自体の審査が不十分なものになりかねないので、こういう規定が法律で定められているのです。
 ただし、この検査権は個々の議員に付与されるものではなく、議会に付与されている権限です。したがって、本会議で決議しないと検査はできません。
 じつは、今回の定例会において、決算特別委が終わり、最終日の本会議での決算の認定採決の前に、議員全員協議会で「決算の認定と同時に、決算審査で十分には解明しきれなかった点をさらに解明するべく、本会議で検査のための特別委を設置しよう」という提案がありました。しかし、「全会一致」に至らなかったため、今回は検査権の行使を断念せざるをえませんでした。
 いわゆる「百条委員会」のケースが典型的ですが、「検査」とか「特別委設置」というと、まるで政治スキャンダル事件のように扱う風潮が現存すると言わざるをえません。とくにマスコミにその傾向が強いとも言えます。そこは変わってほしいところです。
 議会は、自らの使命の遂行として、検査権の行使をためらってはならないと思います。そうしてこそ、透明で公正な行政(村政)が実現されます。

 

 

 9月定例会(決算議会)の報告はひとまず、ここまでです。
 私自身を含め、現在の議員の任期は残り半年ちょっとになりました。振り返ってみて、議員としての仕事が十分にできているのか。胸に手をあてて省(かえり)みると、内心忸怩(じくじ)たるものがないとは言えません。もっとやるべきことがあるし、やらねば、と思います。そして、村民誰もが議会・議員に関心を強く抱き、若い人、女性、そして勤めを持つ人が議員という仕事にチャレンジしやすい環境を創っていかなければなりません。これからの半年余、そういう思いで頑張っていく所存です。


【後記】
 9月議会の報告が遅くなりました。議会中から右腕の調子が思わしくなく、しばらく治療優先でパソコン作業をしないようにしていました。治ってはいないのですが、いつまでも放置できないので、少し無理をして執筆作業をしました。
 暑かった夏も過ぎ去り、秋がめっきり深まりつつあります。いい季節です。紅葉も楽しみですが、行財政についての勉強も深めていきたいと思っています。いろんな疑問などありましたら、どんどんお声かけください。

(了)


1