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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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「洪水吐」という言葉に衝撃を受ける

 

 9月の半ば頃に気づいたのですが、国道117号を飯山市方向に走り、白鳥集落をぬけて、東大滝橋に入ろうとすると、前方の景色がいつもと異なっています。
 西大滝ダムの上に巨大なクレーンが載っているのです。


 西大滝集落側から撮影したものもご覧ください。。手前に見える水門は信濃川発電所に水を送るための取水門です。

 

 

 


 「ゲートの工事をやっているんだな」と思い、9月30日夕刻近くに西大滝集落のダム入口に行ってみました。そこで工事告知の看板の文言を見て、絶句しました。

 


 これまで「ダムがあり、水門(ゲート)がある」という認識でいましたが、その水門のことを「洪水吐」と呼称しているのです。
これには本当に衝撃を受けました。
 東京電力は、基本的に「千曲川の水をすべて取る。洪水の時は取水すると具合悪いので下流に流す(吐き出す)」と考えているのです。
 「洪水の時は取水すると具合悪い」というのは、第1に、洪水時に取水すると水路トンネル(直径6.5m)に収まらない、第2に、洪水と共に流れてくるゴミの除去が出来なくなる、ということで、取水を止め、全量、下流に流すのです。

 

 西大滝ダムは1939(昭和14)年から運用されていますが、2011年(震災の年)に水利権の更新期を迎えました。その時、東電が設定した放流量は20?/s。信濃川中流域水環境改善検討協議会が求めた「20?/s以上」に反するものです。
東電は水利権更新申請時の文書で、こんなことを言っています。
  「当該申請に当たっては、発電維持量ガイドラインに基づき

   河川維持流量について調査し、概ね7?/s程度を維持流量と

   して放流することを検討しておりました。」
  「信濃川発電所での20?/sという水力エネルギーは発電力で

   約2万kWに相当し、通年これを放流すると2万軒余りのご

   家庭で使用される分に匹敵する年間にして約8,000万kWh

   のエネルギーが失われるという非常に大きな影響となります」

 

 最近、再生可能エネルギーの1つとして水力発電所が再評価されていますが、大規模水力発電所のためのダムは、地域の環境に多大な悪影響を与えるものです。他方、電力会社にとっては初期投資(ダム建設コスト)を回収し終えれば、タダの資源で大儲けができるものという意味を持ちます。
 ちなみに、東電が言う「発電維持流量ガイドラインに基づく河川維持流量」の7?/s程度というのは何を根拠しているのか。東電が提出した「発電維持量ガイドラインに基づく西大滝ダム下流の調査結果」によれば、「河川は国道117号線とほぼ並行して流れており、河川を横断する橋梁等からの調査地点の景観を損なわないよう、見かけの川幅に対する20%の水面積を確保する」ための維持流量が7.3?/sだと言うのです。要するに「見た目に川と見えればよい」ということです。

 

 2011年以前、栄村を流れる千曲川は渇水期、歩いて渡れるほどでした。
その当時に比べれば少しは流量が増えたとはいえ、きわめて少ない流量です。西大滝ダムに写真を撮りに行ったのと同じ9月30日の午前、月岡集落地先の千曲川に下りて撮った写真をご覧ください。川底が見える程度の水量です。

 


 千曲川をめぐっては、昨年の台風19号災害をふまえた治水対策が大きな課題ですが、治水対策にとっても西大滝ダムは厄介な存在です。その点はまた機会を改めて議論したいと思います。

 


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