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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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青倉(西山田・四ッ廻り)の農地整備について

 栄村を「住みよい、安全な村」に再生=復興する決定的な指標の1つは、未整備農地が膨大にある青倉、とりわけ西山田団地と四つ廻り団地の農地整備を実現することだと思います。
 なぜなら、この2つの団地は、農道や作業道がいつ農作業事故が起こってもおかしくない危険な状態にあり、また、未整備の小さな田んぼがほとんどで、高齢化による耕作放棄地発生の可能性が他のどこにも増して高いからです。もうすでに何回か紹介していますが、狭くて、曲がりくねった危険な農道の状況を改めてご覧ください。
 
 
西山田団地内の農道のカーブ      しかも、その農道は狭く、傾いている

 この状況を放置していて農作業事故が起これば、それは人災以外のなにものでもありません。そして、いったん事故が1件でも起これば、耕作放棄等が一気に進むことになってしまうでしょう。震災復興のいまが、青倉の農地が潰れずに、持続していく最後のチャンスだといってもけっして過言ではないと思います。
 また、西山田の棚田の景観の美しさは私がよく紹介するものですが、景観の美しさは農作業の持続があってこそ成り立つものです。景観の美しさを最大限保全することと一体化させつつ、作業しやすい農地、限られた担い手の手でも維持できる農地に改善していくことが必要です。


* 役場の復興プロジェクトチーム
 10月の「震災復興計画」決定をうけて、役場内には「栄村震災復興計画推進プロジェクトチーム」が設けられました。係長級を中心とする会議体です。復興計画を具体化し、推進していく頭脳中枢部に当たるものだといっていいと思います。
 実際、青倉区に農地整備を強力に働きかけているのも、このプロジェクトチームの農政部門の役場職員たちです。
 プロジェクトチームの一層の奮闘を期待したいと思いますが、ここで、一つ、大事なことがあります。
 プロジェクトチームで検討していることをどんどん村民に公表し、村民総ぐるみの復興への取り組みになるようにすることが大切だということです。その点で気になるのは、津南新聞の元旦号に寄せられた島田村長の「新春寄稿」の次の一節です。
「新年度からの4年間の復興事業について庁舎内にプロジェクトチームを作って研究しています。これらを精査して新年度予算で事業化する計画です。」
 これだと、結局、役場の中だけで事業計画が検討・決定されるということになります。村民はただ予算が出てくるのを待つだけの受け身の存在に追いやられてしまいます。そういうやり方では真の復興はできません。いま、農地や農業をめぐって、担当部署の職員が村民に声をかけ、一緒に会合をもって議論する、あるいは、1月14日には直売所についての講演・勉強会を開催する、こういう動きがありますが、こうしたことをどんどん強めていくことがいちばん大事だと思うのです。
 役場の方では、村民が意見を言える場をどんどん作っていく、そういう構えでさらなる改善と前進を実現してほしいと思います。
 
* 集落での動き
 青倉集落では、役場プロジェクトチームからの働きかけもうけて、12月22日に農地整備に関する会合が開かれるなど、話し合いが始まっています。
 青倉のような大きな集落ですと、西山田や四ッ廻りの状況はそこに耕作地を持っている人以外はあまりよく知らないということがあります。また、西山田、四ッ廻りに耕作地を持っている人でも、自分の田んぼのことはよく知っているものの、自分の耕作地から少し離れた農地のことになると、あまりよくわからないということもあります。
 今後の話し合いを進め、西山田、四ッ廻りの農地整備を復興交付金事業として実施できるようにするには、現状についての認識を徹底的に具体化することが大事だと思われます。
 たとえば、今後、高齢化による耕作困難などの事態が生じたとき、いまの小さな田んぼが何枚もあるという状況では、後継の担い手を確保することが非常に困難化しまし。いま、西山田と四ッ廻りで最も多く耕作している人の場合、田んぼの枚数はじつに53枚にものぼるそうです。そういう人の場合、どんなに意欲があっても、いま以上に枚数を増やすことは物理的に困難だと思われます。ところが、圃場整備が実施されて、農作業が安全かつ効率的に行うようになれば、そういう担い手が一層強力な担い手として活躍し、耕作放棄地を生じさせないですむでしょう。
 その点で参考になるのが小滝集落の事例です。震災による離村等の事情で、2012年の春、約2町歩の田んぼの空きが生じましたが、圃場整備が行なわれていて作業しやすい環境だったことから、まったく初めて稲作をやることになった若者も含めて何人かで分担し、約2町歩すべてを耕作することができました。
 小滝の田んぼと西山田や四ッ廻りの田んぼの条件の違いは、信州大学の木村先生の研究室が作成された農地図を見れば一目瞭然です。下の図の右が四つ廻り、左が小滝です。小滝の圃場整備されている田んぼと四つ廻りの田んぼを比較すると、その大きさの違いが一目瞭然です。また、小滝の圃場整備地区を見ると、幅の広いが農道がしっかりと確保されているのに対して、四つ廻りの農道の狭さなど作業環境の悪さも見てとることができます。


* 調査と図面化を
 こうした中で、今後、青倉集落での話し合いをさらに進め、確実に農地整備の実現にむかっていくために、現状の調査とその結果を図面に落としていく作業が非常に大事だと思われます。
 西山田と四ッ廻りのすべての田んぼについて、地図に耕作者の名前を書きこむ、担い手の年齢との関係で5年後も耕作可能な田んぼはたとえば青色、10年後も耕作可能なところは緑色で塗りつぶし、逆に5年後には耕作継続困難で後継者がいない田んぼは赤色、10年後には耕作困難と思われるところには黄色で塗りつぶす。そうすると、5年先、10年先の課題がいま、目に見える形であきらかになり、震災復興で農地整備を進めることの緊要性が明確になり、また、担い手の人数との関係等から、どういう形に整備するのがベストなのかということも浮かび上がってくると思います。
 信大農学部の木村先生や内川先生も全力支援の構えですから、そのお力をお借りして、こうした調査と作業を進めていくことだと思います。
 そして、木村研究室には、圃場整備の方法としての等高線区画の圃場整備の実例写真等がたくさんありますから、そういうものも提供していただいて、具体的なイメージをつかんでいくといいと思います。



 この青倉の農地整備が実現されるならば、栄村の復興のシンボルとなり、また、中山間地域の再生モデルともなります。いち早い公民館再建で栄村の復旧(復興)にはずみをつけた青倉集落のさらにもう一段の前進が強く期待されます。

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