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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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「みんながたのしく暮らせる小滝をめざして」

  以上のことを、具体的な復興プロジェクト(策)との関係でさらにみてみたいと思います。
 小滝復興プロジェクトチームでは、復興ビジョンとして「みんながたのしく暮らせる小滝をめざして」を掲げ、そのために必要な課題を「緊急・重要度」にしたがってA、B、Cの3ランクに区分し、対策案(施策)の検討を進めています。

* 普請の負担の軽減策
 真っ先に検討されているのは、集落の維持・存続に直結する普請の負担の軽減策です。具体的には村道滝見線にある水路の枡について、現状では「3人とタイヤショベルによって、ゴミ・泥上げに半日を要する」のですが、「枡を改良してタイヤショベルのみの作業とする」ことを対策案=復興施策として実現しようという話になっています。
 この枡がある水路は、農業用水の確保はもちろん、冬の消雪用の水を確保するためのものでもあり、小滝集落にとってなくてはならぬ生活用水です。
 この水路の枡の普請(春・秋の2回)の現状=「ゴミ・泥上げに3人の尽力とタイヤショベルで半日を要する」は、集落に人手、しかも若い人手が十分にあった時はなんとかこなせたものの、震災による戸数の減少(17戸→13戸)と構成員の高齢化によってたいへん厳しいものとなっているといいます。
 1つの根本的打開策は戸数を20戸に再増加させることですが、ここ5〜10年を考えた場合、戸数の現状維持の中でも(そして高齢化が進む中でも)普請を維持できる対策が必要です。その打開策が枡そのものを改良して、人が深い枡に入り込み、そこからバケツで重い泥などを引き上げる作業を不要にし、タイヤショベルのみで作業ができるようにすることなのです。この枡改良に要する費用がどの程度のものなのかについての見積もりは、雪消えを待って、専門業者に依頼しようということになっています。

* 小滝の対策案をどう受け止めるか
 小滝の人たちのこの対策案を、私たちはどう受け止めるか。
 プロジェクトチームでの議論の中で、「作業を楽にする」ということが強調されています。「楽にする」という言葉だけを取り上げると、なにか怠慢を肯定するかのようなニュアンスが感じとられるかもしれませんが、けっしてそうではありません。第1に、くりかえしになりますが、震災による戸数の減少と高齢化の進展によって、「作業を楽にする」ことを実現しなければ、普請の継続が困難化し、集落の暮らしそのものが成り立たなくなるのです。
 その困難が絶対解決不能のものではなく、機械力の導入によって解決しうるのですから、機械力の導入=作業の合理化・効率化、枡の改良を是非とも実現すべきなのです。この改良工事自体はハード事業ですが、これによって集落のみんなが水(路)の確保について安心して暮らせるようにすることはコミュニティとしての集落の生活基盤を強化し、「みんながたのしく暮らせる小滝」を実現していくことにつながり、その意味で単なるハード事業ではなく、コミュニティ強化の最重要のソフト事業として位置づけられるといえます。
 第2に、今後、小滝集落を担っていく若い世代(今後Uターン、Iターンする人も含めて)にとっても、重要な施策だといえます。
 水路普請や道普請という共同作業は集落(コミュニティ)を支える最重要の作業です。この作業が、担い手が若い者である場合も、「苦役」に当たるような困難な作業であっていいはずがありません。たしかに機械力の不足を人力の投入で補うというのは従来のあり方ですが、そういうあり方が望ましいということではないでしょう。
 機械(力)というものは本来、人間の作業の苦痛を軽減し、より快適な暮らしを実現することに意味があるものです。経済成長の時代のように、生産力のアップのために機械を導入し、人間が機械によって使われるようなあり方は、機械(力)の人類史にとっての本来的意義を転倒させたものですが、人びとが暮らしやすくするために機械力を導入することは大いに進めるべきことだと思います。
 これから小滝で暮らそう、小滝を背負っていこうという若い世代にとっても、「みんなが楽しく暮らせる小滝」となるように、それこそ「300年後の小滝をみすえて」、いま、震災という一大危機を逆バネにして、必要な対策=復興施策を実現していくべきなのです。

* 他の集落にも同様の課題があるはず
 ここでみてきた小滝の水路普請の現状と対策案は、小滝だけに限った問題ではないでしょう。大きな集落の場合であれば、いますぐに普請が困難化するということはないにせよ、集落点検作業を行い、5年後、10年後の普請がどのようなものになるのか(担い手はどれくらいの人数になるのか、その担い手の年齢層はどうなるのか等々)を考えれば、小滝と同様の課題が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
 昨年10月に決定された「栄村震災復興計画」は、そうしたことを念頭において検討・策定されたものです。集落の現状を把握する集落点検の作業と、震災復興計画の学習とを結びつけて、それぞれの集落の復興プランを練っていくことが求められていると思います。

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