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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.210 (通算第244号) 2014年2月3日

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  • 2014.02.04 Tuesday

 栄村自慢の味・大庭(おおば)君家(くんち)のえのき
〜いま、大きな課題に直面

 箕作で37年にわたって「大庭君家のえのき」栽培に取り組む大庭光一(てるかず)・久子さんご夫妻。
 お薦めの料理法、“焼きえのき”をご馳走していただきました。ベーコン巻、豚肉巻です。とても美味しいです。ただえのきだけを焼くのも最高です。
 この「大庭君家のえのき」がいま大きな問題に直面しています。震災以降の経緯といまの問題、それへの対処について報告します。

* 愛知県豊橋市のスーパー「渥美」さんが「再開を」と訪ねて来られた

 2011年3・12栄村大地震(長野県北部地震)で栄村の菌(きん)茸(たけ)栽培(えのき、じめじ)は大きな被害を受け、廃業に追い込まれる農家が続出しました。えのきは大庭さんを含めて2軒になってしまっています。栄村の農業(産業)にとって大きな打撃です。
 大庭さんも大きな被害を受けました。「大庭君家のえのき」の7〜8割を販売していた愛知県豊橋市のスーパー「渥美」に出荷ができず、「渥美」には他所(よそ)のえのきが並びました。光一さんは覚悟されたそうです。「もう『渥美』さんには出荷できない」と。
 ところが、地震の年の7月、「渥美」の店長さんとバイヤー(買い付け役の人)が栄村・大庭家を訪ねて来られたのです。
「お客さんが『大庭君家のえのき』を欲しいと言っています」
 そして従業員のみなさんからの義援金を差出して下さったそうです。
 いま、「大庭君家のえのき」はスーパー「渥美」の店頭を飾り、高い人気を誇っています。一株包装100円(送料別)で、他のえのきよりやや割高ですが、美味さ・安全性で抜群に人気が高いのです。大庭光一さんが長年続けられてきたイオン製法が大きな支持を得ているんですね。

* 青色LED照明で、中身ぎっしりのより良いえのきの栽培を開始
 大庭さんは最近、えのきの生育室に青色LEDイルミネーションを張り巡らされました。
 青色の光をえのきに当てると徒長(えのきの背丈だけがどんどん伸びること)を抑えます。従来、蛍光灯が抑制灯として使われていましたが、青色LEDが開発されることによって電気代を抑えつつ、徒長抑制ができるようになりました。そこで大庭さんはインターネット販売で青色LEDイルミネーションチューブを取り寄せ、自分で配線、成長段階に合わせて使用できるようにタイマー、タンプラスイッチもつけて、設備を完成させました。

   青色LEDイルミネーションが導入された生育室      
この結果、えのきの傘が揃い、成長が2〜3日抑制されて、中身がぎっしりつまった、一株280〜300gのえのきができるようになりました。ちなみに出荷箱にこれまで株48個が入っていたものが36個しか入らなくなったそうです。


見事に生長したえのき

* フロンガスのゼロ化のための冷凍機取り替えで再びピンチが
 このように震災の危機をのりこえ、新たな生産法改良も工夫されて頑張っておられる大庭さんですが、ここに来て新たな危機に直面されています。     
 みなさんはオゾン層破壊という環境問題をご存知だと思います。オゾン層を破壊するのはフロンガスで、冷凍機・冷蔵庫の冷媒などに使われています。えのき栽培でも生産室の温度調整に冷凍機が欠かせません。その冷凍機の冷媒HCFCガスが来年1月から生産6割削減、そして2020年1月1日から生産全面中止となるのです。
 このため、大庭さんは昭和62年(1987年)から使用してきた冷凍機を買い替えることが必要になります。先日、見積もりをとられました。なんと450万円かかるとのこと。「現在の生産販売量で生活は大丈夫、でも、新規設備投資となると厳しい」と言う大庭さんにとって驚きの金額です。
 役場に「なんらかの支援策はないか」と尋ねられたのですが、芳(かんば)しい反応は得られず、いま、農協と相談をされているところです。

* 栄村の産業を守るための積極的施策の展開を
 このえのき栽培のための冷凍機の買い替え問題はひとりえのき栽培農家だけの問題ではなく、栄村の農業・産業をどう守り、発展させていくかという問題だと思います。
 いま、「えのき」といえば中野市が抜きんでています。中野市が抜きんでているのは中野市農協、そして中野市が地域の産業政策として全力をあげているからです。
 えのき生産の冷凍機更新問題をめぐって、村は一(いち)農家の問題といって見過ごすのではなく、栄村の産業政策として真剣に対策を考えるべきだと思います。震災復興の中で畜産と菌茸を栄村の農業(産業)の柱として再建していくことをあきらめてはならないと思います。議員さんも3月予算議会にむけて真剣に考えていただきたいと思います。
 

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