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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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八十治さん夫妻に山菜を教わる

 19日に直売所(7月正式オープン予定)の店長・小林高行(たかゆき)さんから、「ハンゴンソウ、モミジガサ、エラグサなどの山菜が売れる」という話を聞き、20日朝、藤木八十治(やそはる)さん(極野(にての)、出荷運営組合副組合長)に電話した。

    「ちょっとお尋ね、お願いですが、ハンゴンソウという
     山菜、生えているところを教えていただくことはでき
     ますか?」
    「ええ、いいですよ。1時か1時半に来てください」

 その後、八十治さんから電話が入り、

    「12時に来てください。山菜の天ぷらなどを用意します
     ので。」

 なんとも恐縮のかぎりの話だが、遠慮なく、12時に極野のご自宅をお訪ねした。
 山菜の天ぷら、お蕎麦、花わさびの豪華セットが出された。



 山菜の天ぷらの詳しい紹介はこの後するが、その前に、上のセット以外に出されたものを紹介しておきたい。





 写真1枚目はハンゴウソウのお浸し、2枚目は山ウドの炒めもの。
 山ウドの皮のキンピラは食べたことがあるが、山ウドそのものの炒め、さらにハンゴンソウは初めて。とても美味しい。ハンゴウソウについて、ある人が「春菊と同じ香りがする」と言われたそうだが、私もそう感じた。写真と同じ程度の量のお浸しが小鉢で出てくると、料理全体をひきたてるなと思った。(トリアシの和え物もいただいたが、写真を撮り忘れた)
 この他にタケノコ汁も出していただいて、満腹となったところで、八十治さんから「じゃあ、行きましょうか」と言われ、極野の山に車でむかった。
 
 その前に、山菜の天ぷらの内容を紹介しておかなければならない。天ぷらをクローズアップする。



 いちばん手前にエラグサ。時計まわりで、ハンゴウソウ、ウド、ヨモギ、コシアブラ、ワサビである。そして、右端に「根元」の部分が見え、ヨモギ、コシアブラの下にあるのがエンダラ。タラの一種だが、普通のタラの芽よりもかなり大きい。
 皺のあるような木で、棘がタラの木よりも大きいそうだ。栄村でもそうたくさんあるものではないらしい。
 「天ぷらにすると、見た目はどれも同じようになる」と八十治さん、奥さんが言っておられたが、それぞれに味わいははっきりと異なる。ハンゴンソウ、エラグサ、エンダラは初めて。ハンゴンソウはアクが強いそうだが、天ぷらにぴったり。エラグサは「採る時、痛い」と言っておられたが、食べるのに痛さなどなく、とても美味。
 
 お料理が出される前に、素材の山菜をお皿に載せて紹介して下さったので、それも示しておこう。
 
 
 
 中央の大きいのがエラグサ。その左は、コシアブラ、タラの芽、花わさび。右はノカンゾウ、ヨモギ。
 花ワサビはちょっと花が咲きかけているが、八十治さんによれば、「花がまだまったく開いていない蕾の状態のものがいい」とのこと。また、ノカンゾウは、写真のものはちょっと大きくなりすぎている。これの3分の1くらいの大きさのころがいい。
 エラグサについては部分を拡大したものも示す。
 天ぷらにするのは、上の写真のエラグサ全体ではなく、下写真の中央に見える小さな茎・葉の部分。


 
 先に「採る時、痛い」という話を紹介したが、その原因は次の写真で示す茎の表面の棘のようなものだそうだ。



 さて、食事をいただいた後、八十治さん運転の車でハンゴンソウなどを求めて、山に入った。
 道の両側にはまだ雪が残る。ここではコゴミもまだ採れる。
 




 まず、ハンゴンソウを見せてもらった。
 次の写真の手前に見える3本がそれである。



 上から撮ると、


 
 これが食べられる山菜だと知らなければ、ただの草として見過ごしてしまうことは間違いない。また、次に私一人で山に入ったとき、「これがハンゴウソウです」と指摘できるようになるには、相当回数の経験を重ねないと難しいだろう。
 
 つづいて、エラグサ。



 上の写真だが、先に紹介した特徴ある茎がはっきり見える。
 このエラグサ、これまでに何度も見ている。食べられる山菜だとはまったく思わなかった。
 山野草の中には猛毒を持つものもあり、山菜採りの経験がない者がいろんな野草をやたらと採ることは危険だが、多くの野草がじつは食べられる山菜なのだ。
 
 この他、八十治さんからモミジガサ、トリアシを教えていただいた。
 モミジガサは、連休期間中の直売所プレオープンで八十治さんが出品されていたし、13日には吉郎さんの山菜採りに同行させていただいた折りに、吉郎さんが採取されるのを見た。しかし、平素、モミジガサがどんな状態で生えているのか、わからない。「あれがモミジガサが大きくなったものですよ」と教えていただいた。
 下写真がそれだが、なるほど葉っぱがもみじの形をしている。


 
 もう一つ、トリアシ。私が栄村に移ってきて以来、村の人から「トリアシ」の名を頻繁に聞いてきたが、あまり関心がなかったせいもあるのか、しっかりと教えてもらうことをしてこなかった。
 車中から撮ったので、ちょっと分かりづらいかもしれないが。
 
 
 
 帰り道、八十治さんに尋ねてみた、「たとえば、ハンゴンソウ、八十治さんのお父さんの代から食べ継がれてきたものなのですか?」と。すると、「いや、秋山の人に、『これ、美味しいよ』と教えてもらってから」というご返事。
 
 私は栄村に移った年に、極野の山菜祭りにご招待いただいて以来、「栄村の中でも極野の人たちが一番、いろんな山菜を食べておられる」と認識してきたが、上には上があるのだ。秋山郷、さすがに鈴木牧之が『秋山記行』で感心しただけのことがあると思う。
 
 最後に、Webで調べたことを少し記しておきたい。
 ハンゴウソウは漢字では「反魂草」と書くそうである(Wikipediaより)。「里山の渓流」というHPでは、「春菊と似た味と香りがして、歯ざわりが美味」と紹介されている。「花が開く前の若芽を根元から鎌等で切り取る」とあり、下のような写真が紹介されている。


 
 エラグサは、八十治さんからその名を聞いた時、「イラクサ」という名前を頭に浮かべたが、やはり正式名称は「ミヤマイラクサ」というもので、別名として「アイコ、アイタケ、エラグサ」などの呼び方あると紹介されている(Wikipedia、「山菜取り図鑑」)。また、「茎の繊維が強靭で、昔はこれを利用して布を織った」ともある。鈴木牧之の『秋山記行』で秋山の人たちが身につけていたとしてイラクサを使った布のことが紹介されているが、このエラグサがそれなのではないだろうか。
 
 さまざまな山菜、知れば知るほど、食べれば食べるほど、面白い。そして、栄村の直売所の看板商品にできることは間違いないと思う。

 

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