プロフィール

profile
栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

カテゴリー

categories

サイト内検索

Search

カレンダー

calender
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

最近の記事

selected entries

最近のトラックバック

recent trackback

月別アーカイブ

archives

栄村関連リンク

links

携帯用QRコード

mobile
qrcode

ブックマーク & RSS

Bookmark&RSS

栄村復興への歩みNo.267




 冒頭の写真は、雑魚川の三段の滝です。多くの人から「素敵!」という言葉をいただいています。
 10月6日に撮影しました。上・中・下の三段の全体像を撮影できたのは初めて。いつもとは異なり、清水小屋入口から大滝口の方に向かって歩いたので、今まで気づかなかった撮影ポイントを発見できたのです。ただし、超危険なところです。「もう一回撮れ」と言われても無理かもしれません。
 
 さて、今号は「情報発信」についての特集にさせていただきます。

「『栄村って、情報発信が下手だよね』という話が出たんですよ…」

 最近、村の観光業関係者とお話していて、先方から出た言葉です。確かに、そのとおりだと私も思います。
 でも、「下手だ」と言ったからといって、現実が変わるわけではありません。「下手」なのは何故なのか、いや、そもそも情報発信とは何なのか、を考える必要があると思います。

情報発信のために、どんな作業をするか
 「プロに頼めば、いい情報発信ができる」と思っている人がおられるようです。そうでなかったら、コンサル的な会社に年間数千万円ものおカネを3年間にわたって支払うという馬鹿げたことをやるはずがありません。9月30日で終わった3億円事業のことです。
 そこで、まず、情報発信にはどんな作業が必要なのかを考えてみたいと思います。



 上の写真、私のパソコンのデスクトップ(パソコンの画面)を写したものです。
 2つのフォルダ(情報データの保存袋のようなもの)が開いています。左は「2015_10_06」というタイトルで、10月6日に撮影した写真のデータがすべて入っています。写真は全部で1,444枚。
 右のフォルダは「151006選抜」というタイトル。1,444枚を漠然と見つめていても、秋山の紅葉に関する情報発信はできないので、その1枚、1枚を見ながら、「これは使いたいな、使えるな」と思う写真をピックアップして、そのコピーをこの「選抜フォルダ」に収める作業をしているのです。
 結局、153枚をピックアップしました。ただし、「一気にすべての作業を一晩でやるのは無理」と考え、雑魚川沿いの遊歩道(奥志賀渓谷コース)を歩いた時の写真に限定した選抜作業にしました。1頁の「三段の滝」の写真もこの作業で選び出したものです。
 この日、秋山へ出かけたのは午前9時頃。帰ったのは午後5時すぎで、選抜作業は夕食を挟んで、午後8時すぎに終わらせました。


「吊り橋」から撮った1枚

写真アルバムの原稿作り
 「6日の夜のうちに、雑魚川沿いの遊歩道を歩いた記録を情報発信しよう」。これが、私がとりあえず設定した目標・課題。こういう情報はやはり鮮度が一番ですから。
 雑魚川沿いを自分で歩いたのですから、どんな場面がいいか、自分の頭の中にイメージがあります。
 まず、2つのことを決めました。
 1つはタイトル。「紅葉の中での最高のトレッキング」です。
 2つは、「歩いたコースの順にしたがってアルバムを編集する」こと。
 文書を作成するソフト、WORD(ワード)を開いて、「紹介しいたな」と思う写真を順に取り出して、文書に貼り付けていきます。ちょこちょこと最小限の説明の言葉も入れます。
 原稿作りの途中で工夫したことが1つ、ありました。「ただ、時間の順序で紹介するだけではインパクトがないな。1頁目に最もいい写真をおこう」。これです。本号の1頁の写真をアルバムの先頭におきました。これはよかったですね。
 地図も入れました。これで、「廻り逢いの滝」とか、「吊り橋」というような名前が出てきても位置がわかります。



 最後にやったことは、ひとまず出来上がった段階で試し刷りをして、1枚、1枚の写真の大きさ、配置をチェックし、修正すること。
 ここまでを午後10時頃までに終わらせました。
 あとは、ブログ、facebook、twitterへのアップ(掲載)。夜10時からは、見たいTVドラマがあったので、見逃さないように9時から小さな音でTVをつけていました。たしかに10時になったら音を大きくして、ストーリーは聞こえていましたが、映像を見ることはほとんどありませんでした。まあ、仕方ないです。仕事優先です。

翌朝、起きてすぐに写真の微調整
 翌朝、印刷したものを見直しました。「なんとなく全体が沈んだ感じがするな」。


調整前の写真


調整後の写真

 写真は、パソコンの画面で見るのと、印刷したものでは色具合や明るさが異なります。パソコンとプリンターで色の構成要素が異なるためです。
 それで採用した写真のデータすべてに調整をかけ、WORDに調整済の写真を張り付け直す作業をしました。作業自体は難しいものではありませんが、手間がかかり、面倒です。   情報発信は「内容がよければ、それでよし」ではありません。見る人がパッと見た時に、「いいな」と印象づけられるものでなければなりません。

1枚の写真を得るために、1日8時間〜4時間、現場へ出かける
 6日は、秋山に行くのに、国道405や日出山線、あるいは村道鳥甲線ではなく、箕作・泉平からスーパー林道を進み、カヤノ平を経て秋山林道に入るコースを選びました。
 後者は前者よりも距離が長く、時間は1時間以上長くかかります。「復興への歩み」の配達の仕事などがありますから、短時間コースを採用すればよさそうなものですが、あえて時間がかかるほうを選びました。「秋山の紅葉は、志賀高原(カヤノ平)方面から切明に向かうコースの方がより綺麗に、ダイナミックに見える」というのが定説です。私が8年前に秋山の紅葉を初めて見た時も、そのコースでした。6日は結局、8時間を要しました。
 
 私はその前日の5日には野々海に出かけています。これは8時半から12時半の4時間を
要しました。出かける前は「2時間程度」と思ったのですが、野々海で出会った紅葉見物の人たちと20分ほど、立ち話をしたり、野々海のポイントというポイントをすべて廻ったからです。
 1つのポイントは、野々海池の裏手、旧大島村への林道を走り、野々海峠まで行くことです。ここも廻るとなると、時間を喰います。時には略します。
 でも、5日の日、ここに廻ることでとても大きな収穫を得ました。次の写真です。



 野々海峠から撮影したものですが、日本海がはっきりと見えています。写真左側の中ほど、白い建物が見えますが、上越の火力発電所です。そこから先の青いところが一面、日本海です。先日、北陸新幹線の車中から見た日本海も綺麗だったですね。春や夏よりも秋の方がいいようです。
 山村の栄村を訪れ、紅葉を見て廻っていたら、日本海に出会えた。こんな驚きと喜びは類例がないものでしょう。
 ともかく、栄村の中を時間をかけて歩き廻る。これが情報発信のために欠かすことのできない要件なのですね。
 
「そもそも、何を情報発信するのか?」という問題意識
 9月17日に開催された3億円事業の報告会で、事業委託先のJTBの人が「Webページの充実」を事業の最大成果の1つとして強調されました。
 たしかにおカネがかけられました。観光協会のHP(ホームページ)のリニューアルに150万円ほど。振興公社の「笑顔プロジェクト」はそれとは別予算。JTBに年間1千万円(3年間で計3千万円)からの委託費が支払われました。
 「笑顔プロジェクト」とは、村民の笑顔の写真を1日1枚撮影し、ネットに掲載するものです。「他に類例がないプロジェクト。村の人の笑顔を見た人は感激する」。
 たしかに、笑顔、いいですね。
 でも、「笑顔」を見た人が、「いいなあ。この人に会ってみたい」と言って来られたら、どうするのでしょうか?
 それはともかく、ホームページで「見る」という欄を開いてみても、あまり魅力ある情報が出てきません。いつ開いても同じもので、たとえば、いまの時期、紅葉についての最新情報がほとんど見られません。ホームページとリンクしたfacebookで少し出ていますが、情報発信のために時間をかけて取材したという感じはしません。これはfacebookの記事を書いた人の問題というよりも、情報を集める=村内のいろんな所を時間をかけて廻り、色んな景色を撮影し、ホームページを開く人びとが欲しいと思っている情報を発信することに十分な人と時間を投入することが観光協会や振興公社では行われていないからでしょう。
 
人はどんな情報を求めているのか
 栄村を訪れる人、訪れようとしている人はどんな情報を求めているのでしょうか。
 連休などに人で溢れる「道の駅」の様子を観察すると、観光地図とにらっめっこしている人が多く見られます。栄村を含む信越境一帯でよさそうなところを探しておられるのですね。


これはいい地図だが、設置場所が目立たない所

 いまの紅葉の時期であれば、「素敵な紅葉が見られるところはどこかな?」と思っておられる人が多いことでしょう。
 しかし、たとえば「紅葉の野々海」、栄村関係の観光パンフレットにはほとんど何も出ていません。情報さえあれば、もっと多くの人が訪れてくれます。
 また、「秋山郷」は有名ですが、「いま、秋山のどこに行けば見頃なの?」、「どういうコースで行けばいいの?」と思っている人がたくさんおられます。その証拠に直売所や物産館の店員さんがよく尋ねられています。しかし、「道の駅」にははっきりわかる形で秋山郷へのコース地図を掲示していないのですね。下の地図は秋山郷の道などがよくわかりますが、この地図板が設置されているのは切明・雄川閣のそば。117号線沿いにこそ、こういう地図が欲しいものです。



 これらのことが示しているのは、「人びとはどんな情報を求めているのか?」ということを頭に思い浮かべながら、情報を作り、発信するという姿勢の欠如ないし希薄さということだと思います。

何が“栄村の売り”なのかを考え抜く



 上の写真は、10月6日撮影で紅葉がまだ十分進んでいませんが、秋山林道沿いのミズノサワです。志賀高原方面から秋山郷に向かうコースで最大の見せ場です。下はその場所で7月30日に撮影したもの。この残雪は衝撃的で、発信したところ、全国のみなさんから多くの反響が返ってきました。



 こういうものこそ“栄村の売り”だと私は思います。しかし、栄村ではまったくと言っていいほど発信していません。他方、志賀高原のホテルはちゃっかりお客さんをここに案内しています。
 今回の話はここまでにしますが、“情報発信”について真剣に考えなければならないと思う次第です。

<お詫び>
紅葉撮影に時間が取られ、配達が遅れています。ご容赦、お願いします。
 

この記事のトラックバックURL
トラックバック