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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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「若者が一人入ってくれれば元気にやっていける」(坪野集落)――大事なのはハート(心)のある村政

 21日の信毎で坪野集落のことが書かれていました。節目、節目でメディアに取り上げられる坪野集落ですが、いわば「出口のない困難な状況にある小集落」の代名詞のような位置づけで取り上げられます。
 たしかに坪野集落が直面している現実は厳しいものです。



 上の写真は、公民館から提供していただいた1970年(昭和45年)頃の坪野集落の様子を撮影したもの。茅葺き屋根が目立つ近代化以前の姿と言ってもよいと思いますが、多くの家々が立ち並び、賑わいを感じとることができます。真ん中やや右寄りに見える家は斉藤英喜(えいき)さんの家で、現在も健在。
 その英喜さんとちょっとお話してきました。
   「信毎の記事、読みました。」
   「ほう、また何か出ていたかい。そういえば、記者が来たな。
    一三(かずみ)君もいてな。」
   「坪野も、若い人が一人いてくれれば、かなり今と状況が変わ
    って、やっていけますよね。住める家もあるし。」
   「そうだ。あの山に行くところの三叉路の先、舗装してくれって
    村に頼んでいたんだが、『どうします?』って役場が聞いてき
    た。使うのは3人ほどで、35%の地元負担金を払えと言われて
    も、それは払えないよ。」

 坪野に住むような若者はいるでしょうか? います!
 現に秋山の屋敷集落には地域おこし協力隊の坪内大地さんが、上の原集落には岸幸一さんが暮らし、集落を元気づけています。それに対して、東部地区には復興支援員が配置されていますが、「坪野に支援員が入る」ということはできていません。支援員の人に問題があるのではありません。村(役場)にそういう気がないのです。
 こんな悲しいエピソードがあります。昨秋、坪野の人たちは普請に一昨年来てくれたボランティアが再び来てくれることを期待しましたが、遠方からのボランティアとは日程の調整がつかず、ダメ。「せめて、復興支援員だけでも来てくれたら」と思われたことでしょうが、一昨年はボランティアの世話係として来てくれた支援員も昨秋は来てくれませんでした。
 後日、復興支援員の一人に尋ねてみると、「ボランティアの世話係としては行けますが、復興支援員が個別の集落の普請の手伝いに行くことはできないのです。『各集落に公平に』という原則があって、坪野だけ行くというわけにはいかないのです。」という答え。
 復興支援員を統括する社協、さらにその上部組織の役場はいったい何を考えているのでしょうか。坪野集落の大変さは村じゅうの誰もがよくよく知っています。坪野の普請に復興支援員が手伝いに行ったからといって、「公平さを欠く」と文句を言う人がいるでしょうか。
 坪野は栄村の中でも最も山村集落らしい独特の雰囲気をもつ素敵なところ。「坪野に住んでみたい」と思う若者がいないはずがありません。繰り返しますが、屋敷、上の原の地域おこし協力隊員を見てください。
 要は村(役場)の坪野集落に対する思い(ハート)こそが大事なのです。




上1枚目:山の畑に向かう道の三叉路、2枚目:その畑に向かう道の舗装はボロボロ

道直しも村(役場)は知恵を絞るべきだ
 ――おカネがないのではない。ハート(心)と工夫の問題です。

 英喜さんの話の中で出てきた道路の舗装問題。その様子は上の写真のとおりです。
 この道の先にはいい田んぼや畑があり(下写真)、現在も英喜さんらが一所懸命に耕作されています。私がこの写真を撮って集落へ下る時も、山に向かう斉藤秀男さんの軽トラとすれ違いました。



 信毎記事は、「ふるさと復興支援金制度」が創設されたのに、あまり使われていないことを不思議そうに書いています。事情を深く知らない記者には本当に不可思議だったのでしょう。
 「ふるさと復興支援金」のもともとの原資は、震災後に国が県を経由して交付した10億円の復興基金です。出し渋る国に対して私たちが強く求め、県知事のご支援もあって得た基金です。その本来の趣旨は、「国の復旧・復興事業ではカバーできない課題を解決するための資金」ということです。
 高齢化が進んで自己資金がない坪野のような地域を支援することこそ、この復興基金の本来の趣旨に沿うものです。
 しかし、村(役場)は、「集落単位の事業のみを対象とする」、「各事業の上限は1千万円。100万円以下の小規模事業は対象としない」、「集落の自己負担金を伴うことが必要」という、普通の補助金と同じような扱いにしてしまいました。だから、坪野のような小さな、そして資金力が乏しい集落は使えません。だから、「ふるさと復興支援金」(おカネ)が余ってしまうのです。
 復興基金の本来の趣旨からすれば、坪野の道直しのようなことに集落負担金なしに真っ先に使うべきものです。
 栄村にいま不足しているのはおカネではなく、村政のハートと政策上の工夫です。坪野への取り組みは栄村の未来を左右するもの」という意識で取り組んでいきたいと思います。
 

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