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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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貝廻坂での小さな水害について

 8月22日に関東に上陸した台風9号(その後、北海道に再上陸)、栄村では強雨というほどの雨は降りませんでした。
 しかし、翌23日午前10時40分頃、貝廻坂を上がっていくと、県の道路パトロールカーが停まっていて、2名の職員が道路脇法面の水路沿いを上っていこうとしているところに遭遇しました(下写真)。住民から、「水路が傷み、水が溢れている」という趣旨の通報があったそうです。

 


 1時間くらい後に再び現場を通ると、県北信建設事務所飯山事務所の人も来ていて、「水路が少しずれたようです。地面に雨水が入らないよう、ブルーシートを張る予定です」という話でした。翌24日昼、現場を通ると下写真のとおり、水路右岸周辺の草が刈りはらわれ、ブルーシートが張られていました。道路パトロールカー、建設事務所の迅速な対応に感謝したいと思います。

 

 

現場は2013年夏の水害箇所
 この場所は2013年夏、水路が未整備で沢の状態だったのですが、その沢が大水で抜け、土砂が道路に流れ出て通行止めになったところです。
 震災復興事業の貝廻坂改良工事の中で、昨2015年、コルゲートフリュームを入れた水路設置工事が行われました。かなりしっかりした工事が行われたものとして、私はほっとしていましたが、地形的に完璧な対策は難しいことを今回突きつけられたという感を深くしています。
 現場を子細に見ると、コルゲートフリュームの横手の斜面がえぐられている他、水路から数メートル離れたところで地面から水がしみ出ているという状況もあります。不断の点検が必要です。建設事務所に通報された住民の対応はじつに適切だったと思います。おそらく、この箇所が県管理であることを熟知されているのでしょう。
 他方、23、24日の段階では県建設事務所から村役場への連絡は入らなかったようです。
 災害は、当該箇所が県所管か村所管なのかということとは関係なく発生します。災害の把握・対応・対策について県と村の連携をめぐっては双方に改善すべき点が多々あるように思います。

 参考までに、2013年大水・土砂流出災害時の写真を紹介しておきます。

 

2013年11月撮影。
大水が出て、土砂が流出した箇所。ここに改良工事でコルゲートフリュームが設置された。

 

流れ出た土砂が貝廻坂道路を越え、さらに道路下の崖の土砂崩れを引き起こした跡。2013年11月撮影。大型土嚢で応急復旧が行われ、2015年の改良工事で本格復旧工事が行われた。

 

大雨警報――頻繁な発令と実際の現実
 栄村では8月26日夜も長野地方気象台から大雨警報が発令されました。
 7月末から8月上旬はほぼ連日のように大雨警報が発令されることもありました。8月下旬も警報発令が増えています。
 大雨警報の発令が村内のCATV放送網を流される際には、「土砂災害などに注意。避難情報に注意」等の言葉も続きます。土石流被害の経験(3年前)があり、その後も避難を繰り返してきた中条川流域に住む私は、この放送が流れると、「ギクッ」とします。しかし、空を見上げると、青空が見えることも少なくありません。たしかに南の方向の空を見ると、空が真っ暗になっていることがしばしばです。
 私は最近、警報が出ると同時に、気象庁の高解像度降雨ナウキャストというものをネットで見ることを覚えました。1時間前の降雨状況から1時間後の予想まで動画で見ることができます。今夏の警報発令の多くは、栄村の南部の奥、切明温泉から魚野川上流(群馬県野反湖)あたりに強雨が予想される場合です。村の北部、千曲川左岸あるいは流域で強雨という事例は8月9日朝と27日未明の2回くらいでした。
 7月28日には奥志賀公園栄線で、車が巻き込まれていたら人的被害も出たであろう大規模な土砂災害が起きていますから、大雨警報等を軽視することはできません。
 しかし、警報は行政区単位で発令されます。栄村の南の標高の高い山のあたりのみで強雨が降るような場合、里で暮らす村民の多くは「警報が出ても、実際は大したことはない」という「学習」を重ね、警報が出ても反応しなくなる、いわゆる「狼少年」の状態になる危険性が大となります。
 なんらかの対策が求められます。

 

村役場の対応の改善が急務
 1つのヒントがあります。
 昨年のことでしたが、やはり大雨警報が発令され、さらに土砂災害警戒情報も出された時のことでした。
 警報発令のアラート放送が流れて間もなく、役場から生の音声で、「現在、群馬県との県境付近で強い雨が降っています。この後、中津川の水位が上昇する危険がありますので、中津川流域では警戒をしてください」という趣旨のお知らせが流されました。
当時の総務課情報防災係の機転で、ネットで見られる降雨状況のメッシュ情報を活用して、情報発信したものでした。
 しかし、残念ながら、このような対応がそれ以降、継承されていません。
 情報防災係は震災後に新設された係ですが(初代の係長は就任前、県に出向し、研修を受けてきた人だったと思います)、今年2015年4月の人事異動で係長が他の部署に転出した後、行政係長との兼任となり(7月1日付け異動でも同じ)、専任の係長が不在になっています。最近では、役場の防災部門の強化が全国どこの自治体でも当然のこととなっていますが、栄村役場の今春以降の措置はそうした動きに逆行するものと言わざるをえません。防災情報係長の専任化、防災担当責任者としての知見と経験の蓄積が求められます。

 また、先般の台風9号をめぐる村役場の対応にも疑問があります。
 8月22日、役場では午前と午後の2回、村長を本部長とする対策会議が開催されたそうです。私がこの事実を知ったのは、午後2時から開催された農産物販売所出荷運営組合定期総会に来賓として出席した森川村長が、挨拶の後、「台風9号の対策会議がある」とのことで退席した経緯があったからです。
 しかし、役場がこのような対策会議を開催していたことは村民には告知されていません。私は少なくとも、「台風9号の接近に伴い、役場は対策会議を開催しました。検討の結果、現在のところ、栄村では格段の危険性はありません」というようなお知らせをすべきだと思います。そうすれば、「狼少年」となる心配も生じませんし、役場の防災態勢への信頼度も高まると思われます。
 「大きな震災を経験した栄村で、じつは防災態勢が充分ではない」というようなことにならないよう、村(村長)はしっかりと防災態勢の強化に取り組んでもらいたいと思います。


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