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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告第6号

9月定例会は“決算議会”でした

 

 9月6日から13日まで9月定例会がありました。「決算議会」と呼ばれるもので、3月の予算議会と並んで、一般に「二大重要議会」と位置づけられます。行政側から提出された平成27年度決算に関わる議案書と説明文書はかなりボリュームのあるものでした。

 

決算関係の議案書類の束

 

決算審議の流れ
 9日(金)午前の本会議で会計管理責任者から決算内容の説明、代表監査委員からの監査報告があった後、決算特別委員会が設置され、そこで決算の審議が行われました。決算特別委員会は議員全員が委員になり、実質的には本会議と似ています。しかし、委員会審議の議長役は議会議長ではなく、経済社会常任委員長の鈴木敏彦議員が決算特別委員会委員長に選ばれ、議事進行を司(つかさど)りました。
 委員会審議は、9日の午前11時20分から、土日の休会をはさんで、12日(月)の午前いっぱいまで行われました。トータルの審議時間は5時間半〜6時間でした。
 私は、決算議案・関係資料を事前に丹念に読み込み、質問すべき事項にたくさんの付箋をつけて、審議に臨みました。
 審議は一般会計の歳出(予算の支出・執行状況)から始まり、総務費、民生費、農業費、…とどんどん進められていきます。率直に言って、村長や課長の答弁を聞いたうえで、じっくり考え、さらに質(ただ)すべきを質すというようにはいきません。いちおう、2日目、特別会計決算の審議に入る前に、一般会計決算の「総括審議」という機会があって、不明な点などの追加質問はできます。が、直前まで続いていた一般会計決算の各費目別の審議の後に十分な再考時間があるわけではないので、1日目(9日)の審議内容を土日の休日に振り返って「審議不十分」等と考えたことを追加質問するのが精一杯。2日目の費目別審議を振り返る余裕などありません。
 結論として、「十分に審議したとは言い切れない」、「村民のみなさんが『日々の行政で、何が行われているのか、よくわからない』と思っておられることを十分には解明できなかった」という思いが強くあります。村民の方々から、「議会は何をやっているの?」と問われることがしばしばありますが、決算審議が村民の抱く疑問に答えるに十分なものになっていないことも、そのように問われる一因なのではないかと思います。
 ただし、栄村議会が、他の市町村の議会とくらべて、決算審議の時間が特別に短いわけではありません。また、決算審議には村長と課長クラスの職員が全員出席しますので、2週間も3週間もずっと審議を続けるというわけにもいかないでしょう。
 どうすべきなのでしょうか。
ひとつ考えられることは、決算委員会で2日間審議したうえで、休会日を少なくとも1日設け、その後に「総括審議」の日を1日設けることです。休会日は村長や課長を議場に拘束することはないですから、行政執務の遅滞を招くことはないでしょう。
 さらに、より根本的には、議会で決算審議が終わった後でも、議員が審議内容をしっかり振り返り、〈質(ただ)すべきは質す〉ことではないかと思います。本会議での決算の承認が覆ることはありませんが、だからと言って、「決算はもう終わった。そこで出た問題はもう過去のこと」とせず、今後の行政運営を村民が理解でき、納得できるものにするために、徹底的に問題を解明していくのです。こういう姿勢で臨めば、来年度の予算審議にもいい影響が出てくるでしょうし、来年の決算審議は見違えるようなものになる可能性も出てきます。
 そういう思いで、今回の「議員活動報告」は今回の決算審議の対象にもなった、いわゆる3億円事業(「生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業」)について、議会終了後の調査・分析結果も含めて、みなさんにお伝えしたいと考えました。以下、その報告です。


3年間で3億円、H27年度(半年間)約4千5百万円は何に使われたか?

 平成27年度一般会計の歳出総額は36億5,698万3,894円です。一般会計決算書は81頁ある書類ですが、そのうち歳出に関する記載は50頁分あります。
 ここで取り上げるいわゆる「3億円事業」の平成27年度の歳出額は4,560万0,259円。36億円余の中の約4,500万円ですので、歳出総額の1.25%に相当しますが、決算書での記述は2行のみ(下の写真真ん中のピンク色ラインの箇所)。別に用意された「一般会計決算説明書」(全200頁)には3行の記述がありますが、「事業の内容及び成果」という欄には「事業の目的」にあたる記述があるだけで、約4,500万円のお金が具体的にどういうことに使われ、そして、どういう成果が得られたのかは何も書かれていません。

 


 なぜ、こんなことが許されるのか? この歳出は、一般会計上は、「7款(かん)商工費1項(こう)商工費4目(もく)観光費13節(せつ)委託費」というところにあります。したがって、〈村が栄村振興公社に事業を委託し、振興公社に委託費を支払った〉ということだけが村の決算の対象になるからです。
 しかし、それだけでは誰も納得しないですよね。

 

決算特別委員会でのやりとり
 そこで、決算審議が始まる9日の朝に各議員の議席に「3億円事業」に関する資料が3種類配られました。全部で48頁のものです。私は、「審議の直前にたくさんの資料を渡されても、すぐには読めない。今日、審議は商工観光費のところまで進むだろうが、この事業についての質疑は留保したい」と言いました。決算特別委員長は「総括審議の時に質問するのでよい」と言われ、私は10日、11日の休日に資料を読み込んで、12日の総括審議で質問しました。
 まず、その12日のやりとりの一部を紹介します。

    松尾:「2015(平成27)年度の事業に、『人材育成』事業とし

    て、『ホームページ用ショートムービーの作成・編集スキル講座

   (公社より2名)』とありますが、この『公社より2名』という人は

    いま、このスキルを活用して活躍されているのでしょうか?」

   (これはJTBが作成した報告書に出てくるものです)
    商工観光課長:「1名は27年度中に退職し、もう1名は今年度途中

    退職しました。」
    松尾:「じゃあ、意味ないじゃないですか。」
    課長:「いえ、紙が残っていますから大丈夫です。」(「紙が残っ

    ている」というのは講座の内容を記録したメモのようなものが残っ

    ているという意味と解される)
    松尾:「紙でいいなら、高い経費をかけて講座をやらなくても、

    マニュアル本を買えば済むじゃないですか。」

 私にはとうてい納得できない話です。
 しかし、村議会では、国会にように、「じゃあ、その『紙』を示しなさい。それを提出するまで審議できない」なんて言うわけにはいきません。また、この一点が問題であるとして、決算全体を不承認とするわけにもいきません。
bだからこそ、私は、決算議会が終了した後も、この問題を忘れず、しつこく究明していかなければならないと思うのです。そうでないと、訳のわからない予算の無駄遣(づか)いが今後も繰り返される危険性があります。

 

JTBに約4800万円
 そこで、提出された資料の中のJTBが作成した報告書の2つの頁をみなさんにお示しします。ちょっと字が小さくて見づらいでしょうが、お許しください。


第1図

 

第2図


これは平成27年度分だけでなく、3億円事業全体に関するデータですが、第1の図表からは3億円のうち約4,800万円がJTBにいっていることがわかります。さらに注目すべきは、「その他(JTB以外事業費)」の下に書かれている但し書きです。「この中には電通を含めて、JTBからグループ会社などへ再委託した事業内容も含まれます」とあるのです。
 JTBはいろんな研修会や講座を開催しました。一般村民も参加可能な企画に何回か参加したことがありますが、研修会の主要スタッフは電通(日本一の大手広告会社)の人でした。すると、その研修会の経費のかなり多くはJTBに直接支払われた約4,800万円とは別に支払われているということです。
 先に紹介した「ショートムービー作成編集スキル講座」も「BIORGに依頼」と書かれていますので、支払は4,800万円とは別です。
 いったい、3億円事業でJTB系列に流れたお金の総額はいくらになるのでしょうか?

 

「人材育成」の成果はどうか?
 次に第2の図を見ます。
 第1に、青色で示される約1,123万円は「人材育成費」です。
JTBは、第2図の下の方に書かれていますが、「事業の中核でもある人材育成と集客のプラットフォーム化に多くの予算を掛けました」としています。また、「総括」では、「本事業を通じて村の観光を担う人材が育ったのではないでしょうか」と“豪語”しています。
 たしかに、当時の振興公社若手職員の中に数名、将来が期待される人が生まれたのではないかと私は思っています。しかし、その人たちはいま、振興公社にはいません。この事業、総額3億円もの巨費を投じたのですから、その数名をたとえば振興公社の理事や事務局長に抜擢し、その能力をフルに発揮してもらうようにしたのなら、私は3億円事業に一定の成果はあったと認められると思います。しかし、現実はそうなっていないばかりか、そのまったく逆になっているからこそ、この問題にこだわるのです。

 

「プラットフォーム化」とは? その成果は?
 第2に、図で黄色で示される約1,093万円は「HP改修・コンテンツ制作・HP管理」です。これについて考えます。
 上でも引用しましたが、JTBは「集客のプラットフォーム化に多くの予算を掛けた」と言っています。
 「プラットフォーム化」、聞き慣れない言葉ですね。「なんでも横文字」というのが世の中の流行りかもしれませんが、村民の多くに馴染みのない言葉を濫発するのは感心しません。国の観光庁は、「着地型旅行商品の販売を行うため、地域内の着地型旅行商品の提供者と市場(旅行会社、旅行者)をつなぐワンストップ窓口としての機能を担う事業体」のことを意味すると説明しています。もっとわかりやすくいえば、栄村を旅行したいと思う人が、宿泊については旅館・民宿に、移動手段についてはタクシー会社等に、昼食などについては食堂等に、それぞれ別々に電話等で連絡しなければ、旅の用意が整わない現状を変え、栄村のどこか1ヶ所に連絡すれば、すべての手配・用意が可能になるということです。
 そして、時代はインターネットで何でも知ることができる時代なので、まずはHP(ホームページ)の改修等にお金をかけたということでしょう。決算議会に出された資料で、JTBは「HPを改修したことにより観光協会サイト・スペシャルサイトの閲覧数が飛躍的に向上しました」等、プラットフォーム化の成果があったという旨を書いています。
 しかし、先日、妻有新聞が、石沢一男議員の質問への答弁で商工観光課長が「プラットフォーム化をめざしたができなかった」と発言したと報道しています。たしかにその答弁は私も聞き、議事記録ノートに書き留めています。
 JTBが言うように「成果があった」のか、課長が言うように「できなかった」のか、いったい、どちらが本当なのでしょうか?

 

 JTBの報告書はこうも言っています。
   「総括2 DMO組織の立ち上げ 今後、栄村の観光を担って

   いく中心組織は必要だと考えます。現在の公社が以前のよ

   うに宿泊施設の管理を中心とした業務のみを担うとすれば

   本事業で取組んだ成果が十分に活用されない心配がありま

   す。『観光=目的』ではなく、『観光=様々な産業を結び

   つけるツール』として観光を利用頂けるように活動できる

   組織を、観光業を中心に商工会、農業、林業など様々な業

   種の方を巻き込んで運営していくことが村の観光を発展さ

   せるうえで極めて重要ではないでしょうか」。
  注:DMO(ディーエムオー)とは、地域全体の観光マネジメント

   (運営)を一本化する組織のこと。


 3億円事業の経過と事業内容をみれば、このJTBの指摘はもっともなことであり、3億円事業を村から一手に委託されてきた振興公社が「栄村のDMO」に成長していくことを期待するのは当然でしょう。
 私は、JTBが栄村のために誠心誠意働き、素晴らしい受託事業をやってくれたとは思っていません。JTBも営利目的の企業です。自社利益を最優先し、栄村で稼げるかぎりの稼ぎをしただけとも言えなくもありません。「HP改修」を3億円事業の目玉の1つのように言っていますが、そのHPとは、振興公社のものではなく、栄村秋山郷観光協会のHP。県から「観光協会のHPの改修に3億円事業のお金は使えない」と是正指導され、JTBが基本作業を終えていた2013年7月頃、観光協会のHP改修費用が宙に浮いてしまいました。結果、どうなったか? JTBが費用請求を断念したわけではありません。村が2014年初めに「観光協会HP改修費」の補正予算を組み、支払ったのです。JTBは3億円事業以外のお金も稼いだのです。
 しかし、JTBは旅行業のプロ。実績もあり、知識・技術もあります。現在の観光(業)の基本的流れと、3億円事業の実際をふまえて、「振興公社が中核となってDMOの立ち上げを」と言うのはもっともなことだと、私は思うのです。

 後日、私は商工観光課長にこういうことを尋ねました。
 「『プラットフォーム化はうまくいかなかった』と言う。そして、『ワンストップ化をめざす』と言っている。でも、ワンストップ化というのはプラットフォーム化と同じような意味じゃないですか。3億円事業の報告書では『DMOの立ち上げを』と書いているが、この秋から職員配置もした観光協会をDMOにするのですか?」。課長の答えは、「協会は任団体で小さな組織。DMOなんてできない。いまは、旅行業の資格も持っている森宮交通さんにワンストップ機能を果たしてもらいたいと考えている。それにはチラシの作成なども必要なので、観光協会への補助金として200万円の補正予算を組んだのですよ」。
 もはや、振興公社は話に出てきません。職員の退職が相次ぎ、事業縮小の方向に向かっているようです。
 他方、200万円の補正予算ですが、これは9月議会に提出されたもので、私は質問しました。「何に使うものですか?」。答弁は「冬の着地型観光商品を開発です」。私は「冬の商品をいまから開発したって、冬には間に合わないじゃないですか」と言いましたが。その時、森宮交通の「も」の字も出てきていませんでした。

 

3億円事業の検証、「成果」の引き継ぎは森川村政の課題
 3億円事業が3年間の事業を終えてちょうど1年です。「3億円事業の成果」はいったい、何処に行ってしまったのか? 3億円事業の3年間、振興公社地域振興係長というポストを用意され、3億円の支出の中心に位置した元役場幹部(この人が3億円事業での雇用の対象となる「被災者で失業者」に該当するのか、はなはだ疑問ですが)は昨年9月30日で振興公社を退職し、3億円事業の総括や継承に対してはなにひとつ責任をとられていません。

 

 ここまで報告してきたことは、平成27年度の決算に関わることであり、島田茂樹村長の下での事業です。その意味では、現在の森川村政とは関係ないかのように思われるかもしれません。しかし、村政・村行政を引き継いだ者として、3億円もが費やされた事業を今後の村政にどう生かしていくのかという責任があります。森川村長が高く評価する振興公社の新体制は3億円事業をどう引き継いでいくのか、まったく見えません。それどころか、事業の縮小化の傾向が見られます。3億円事業がまったく意味がなく、それを継承する必要がないというのならば、その旨を明確に表明すべきです。

 

東京都では「検証」が大問題になっていますが…
 昨今、大北森林組合の問題をめぐって県議会での百条委員会の設置が取り沙汰されています。また、東京都では、豊洲市場問題や、オリンピック・パラリンピックをめぐて、検証プロジェクトチームの設置等が大きなニュースになっています。栄村は小さな村で、3億円事業も「大北」や東京都の問題に比べれば、小さなものかもしれませんが、しっかり検証する必要があります。議会がその先頭にたつことが求められていると言えるでしょう。
 私はこの問題をしつこく追究していきたいと思います。「嫌われ者」になっても構いません。一議員にできることなど、たかが知れていると思われるかもしれませんが、村民のみなさんの応援いただければ頑張れます。よろしくお願いいたします。

 

<あとがき>
 今回の議員活動報告は「3億円事業」の話でページが尽きました。
 9月議会の他の重要テーマとしては、補正予算、直売所への補助金の問題、副村長人事への同意などがありました。直売所の件は「復興への歩み」で報告しました。
 森集落の水道をめぐっては、中条川上流の元の水源から導水管をひき直す工事の詳細設計のための簡易水道特別会計の補正予算が成立し、その後、設計の発注が行われました。これから現地測量などが始まります。
 副村長人事については、11月8日に議員全員協議会に森重氏が来られて、議員との面談があるとのことですので、その後に詳しく報告したいと思います。

 


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