プロフィール

profile
栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

カテゴリー

categories

サイト内検索

Search

カレンダー

calender
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>

最近の記事

selected entries

最近のトラックバック

recent trackback

月別アーカイブ

archives

栄村関連リンク

links

携帯用QRコード

mobile
qrcode

ブックマーク & RSS

Bookmark&RSS

ボランティアについて

 いまも毎日、「ボランティア登録」のメールをかなりの件数、いただきます。有り難いことです。その「ボランティア」ですが、地震から1ヶ月半弱を経て、そろそろ1つの転換点を迎えていると思います。

 一言でいえば、地震直後の緊急支援の段階は終わったということです。建築家の長谷川順一氏は住宅復旧・復興をめぐって、「㈰ 救命・救急期(被災〜3日間位)、㈪応急対応期(被災3日目〜1ヶ月位)、㈫暫定復興期(被災1ヶ月〜6ヶ月位)、㈬復興期(被災6ヶ月目〜2年位)」と提起されていますが、それに即していえば、「応急対応期」までの時期は過ぎたということです。

 具体的にいえば、「家の片付け」のような仕事はほぼなくなり、住民から「ちょっと手伝いの人手をお願い」というようなニーズが出てくることはあまりない状態になっています。
 <復興を共に担う>
 ここからは、むらの復興のプロセスです。
 〈むらの復興〉とは、ただ単に「もとの形に直す」ということではなく、「以前よりもよい形に」、あるいは「栄村のむらづくりをこれまでよりもさらに前へ進める」ことだと考えます。
 この課題を主に担っていこうというのが、これからの「ボランティア」活動の主たる内容だと私は考えます。

 この活動をあえて大別すれば、2つに分けることができるかもしれません。1つは、むらの個々の人たちを親しくなり、交流し、必要とあらば何らかのお手伝いもするというものです。もう1つは、自分の専門知識や技能を生かして、復興=むらづくりに寄与していくことです。

 この2つのことはけっして切り離された形であるものではなく、融合し合って存在することもしばしばあることと思います。


<交流‐お付き合いを求めて>
 実際にあった話を紹介しましょう。
 むらの知人の家を訪ねているとき、その知人に電話がかかってきました。その様子から、知人の家に何回かボランティアに来たことがある人からのようです。 知人は、「これからは種蒔きとか、毎年の仕事なので、そんなことをお手伝いしてもらうのは筋違いではないかと思うのですが」などと話しています。この知人 の戸惑い、思いは私にはよく理解できます。「地震からの復旧ということで来て下さるボランティアに、地震がなくても毎年やっているようなことをお願いして はいけないだろう」という思いです。知人の感覚は正しいと思います。

 と同時に、電話して来られたボランティアの方のお気持ちも私にはわかるような気がします。このボランティアの方にとって、私の知人(の家)のことはもは や単なる「他人」ではなく、どちらかといえば友人と呼ぶにふさわしいものになってきているのだと思います。また、もう少しいえば、知人の(家の)むら的な 暮らしが気に入り、それを共有したいという思いが生まれているのではないかと思います。

 知人も、ボランティアの人のそういう気持ちを大事にし、「じゃあ、また来てください」と答え、積極的に受けとめていこうとされています。

 ここに単なる支援を超える〈交流〉が生まれていきます。〈交流民〉はいわば〈村外村民〉のような存在に成長していきます。そして、それが栄村を「以前よ りもよい形に」する、あるいは「栄村のむらづくりをこれまでよりもさらに前へ進める」という〈復興〉につながっていくのだと思います。

 このように言うと、ボランティア参加を希望していながら、これまでのところ支援要請をうけて村に来る機会がなかった人は、「私にはそういう交流をするきっかけがない」と思われるかもしれません。

 しかし、けっしてそんなことはありません。最初のきっかけは、ボランティア活動でも、特産品の購入でも、あるいは青倉公民館再建基金への寄付のようなこ とでもいいのです。さらには、今後、栄村ネットワークなどが呼びかける復興支援ツアーのようなものへの参加でもいいのです。ただし、一過性のイベントから は交流はあまり生まれません。

 〈交流〉の輪を広げていくことを、栄村の復興への1つの大きな力にしていきたいと思います。


<専門知識や技能を生かす>
 このレポートでも何回か登場している信州大学の木村和弘先生。木村先生は農地問題や農村計画に詳しい専門家としての力をフルに発揮して栄村の復興を支援 して下さろうとしています。ただし、木村先生はただ専門的な学識、知識だけで協力されようとしているのではありません。震災以前に数十年にわたって繰り返 し栄村を訪れられ、栄村の人びとと深い親交を結ばれてきたことがいまひとつのベースとしてあります。

 農地の復旧問題もそうですし、住宅の再建に関わる問題もそうですが、これからは専門的な知識や技能での支援が復興に欠かせません。専門ボランティアと いってよいかもしれません。それは、学術的なものにかぎりません。栄村の復興に役立つ情報発信のために技能を活かすことも重要かつ不可欠な専門ボランティ アです。

 ただし、木村先生のことで言及しましたが、ここでもやはり〈交流〉あるいは〈親しい付き合い〉という要素が不可欠です。逆にいえば、「専門家の高みにたって、教えてあげる」というようなスタンスは困ります。私は、震災以降、専門家のご支援の申し出をいただくと、栄村の実情をお伝えし、むらの人たちの実 情に合わせたご支援をいただけるようにコーディネートする努力を重ねてきました。幸いなことに、これまで支援に来村いただいた専門家の方々とはいい関係性 を築くことができています。

 そういう関係性のうえに、さまざまな分野の専門家の方を結集した復興支援の専門家会合のようなものをつくっていくことができればいいなと考えています。また、専門的技能をもつ人たちの支援のネットワークを形成していくことができればとも思います。
 
 これからは、「ボランティア登録」という形ではなく、栄村との交流‐復興支援への思いのようなものをメールで送っていただけると有り難いと思います。 tag:kadai