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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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“自伐林業”って、ご存知ですか? 〜10月24日の視察研修の報告〜

 10月24日、「栄村林活議連視察研修」*というもので、生坂(いくさか)村、安曇野市、塩尻市に日帰りで行ってきました。
    *正式名称は、「森林・林業・林産業活性化議員連盟」。

     全国規模で連絡組織があり、長野県の連絡組織もありま

     す。私は議員になって初めて、こういう組織の存在を知

     りました。
 平素の村議会では、林業や森林のことについて議論されることがほとんどありません。それなのに「林業関係の視察」。「いったい、どういう視察研修なのだろう?」と思いながら出かけましたが、見てきたものはなかなか興味深く、栄村のこれからの森林・林業政策に活かしていく必要があると思いました。
 まず、視察対象となった事業を一覧的に示します。
   生坂村 ―― 生坂村薪ステーション
   安曇野市 ―― 薪ボイラー設置事業(松くい虫被害木再生可能

         エネルギー有効利用)
   塩尻市 ―― 山のお宝ステーション事業(中核事業は「薪ステ

        ーション」)


■ 薪ステーション
 生坂村と塩尻市に共通する“薪ステーション”を紹介します。
 生坂村と塩尻市では、規模がまったく異なります。

 

生坂村

 

塩尻市

 

<生坂村の事例>
 視察した同僚議員からは、生坂村のステーションについて、「これなら、おらほの村の個人宅のほうがよほど規模が大きいぜ」という声が聞こえてきましたが、私はそういう問題ではないと思います。
 生坂村のシステムのポイントは、
    自伐林家の薪材搬出システムの構築
    地域マネー循環の仕組みづくり
の2点です。
 第1の点は、要するに、軽トラ1台分の伐木をステーションに運び込んでもらうということです。「儲かる」というのではありませんが、自分の山・木を持つ人が手入れをするインセンティブ(「やろう」という気持ちを起こさせる要因)を与えることはできています。
 第2の「地域マネー」はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。薪を運びこんだ人、薪ステーションで巻割機を使って薪にする人、いずれも歳の高い人が中心ですが、その人たちに村内で使える商品券のようなもので支払うのです。人びとは、村内で買い物をしたり、村内の保養施設・食堂(お酒も飲める)で楽しんだりできます。
 薪は村内外の人たちに現金で売られますので、そこで手に入ったお金で、商品・サービスを売った商工業者に対して、「商品券」と現金の交換が行われます。
 たしかに生坂村のものは小規模ですが、自伐・伐木の有効利用を促進するシステムを創り、村の人たちがいきいきと活動するようになっているところがミソだと思います。

 

<塩尻市の事例>
 塩尻市の事例は上の写真からわかるように、かなり大規模なものです。
 事業開始からちょうど1年ほどですが、本年9月までの搬入材積量は268トン。1トンあたりの買取価格は5,700円です。
 塩尻市の事例で私が注目したのは、事業目的として「自伐林家の育成」を真正面からかかげていることです。詳しく紹介しましょう。
   事業の目的・・・
   自分たちの山は自分たちで守り、そして未来に繋げる
   伐採から出荷までを家族経営的に行う 自伐林家の育成・

   地域活性化
   森林・林業の再生を図り、塩尻市の豊かな森づくり
 事業の流れは、つぎのようになっています。
    自伐林家登録
    講習会参加
    伐採届の提出
    森林施業
    間伐材持ち込み
    支払い
 事業開始から約1年での事業登録者は92名にのぼっています。現状では「財産区」(共有林)での事業登録が主のようです。
 この事業の合言葉は「軽トラとチェンソーで晩酌を・・・」だと言います。いいですね。
 ステーション施設の整備などでまだ県の補助金に頼っているところがありますが、日本の山・森の現状を打開する手がかりを示す重要な取り組みだと思います。

 

■ 松くい被害木を活用する薪ボイラー
 栄村はあまり松の木がありませんので、松くい虫被害の凄まじさは分かりにくいかもしれませんが、長野自動車道の松本〜塩尻間を走ると、道路脇の山には枯れて赤茶けた松の木が無数に見えます。
 被害木が増え、放置すれば、長野道の法面が崩壊しかねないので大規模対策工事が必要になるほどに深刻な事態になっています。
 栄村の人がわかりやすい事例は、キクイムシにやられたナラの木です。放置しておくと、根ごと倒れ、水路を損傷させる等の災害を起こします。

 

薪ボイラー

チップやペレットへの加工の必要なし。直径20cm、長さ110cmまでOK

 

<被害木活用のシステム>
  * 被害現場で伐り倒す
  * 玉切りし、その場で燻蒸(くんじょう)し、シートをかけ

   て「放置」=自然乾燥
  * ボイラー設置場所に順次搬入、強力なボイラーで丸太の

   まま投入・燃焼
  * 発生した熱で温湯をつくり、交流施設で活用

 課題は、発生熱の利用です。現在は、ボイラーが標高930mの長峰山の頂上近くの「天平の森」に設置されているため、熱供給先が冬は閉店する「長峰山森林体験交流センター」に限られ、熱供給量が限られています。しかし、今後、市街地への設置→年間通しての熱供給の事業が計画されています。

 補助金依存になってはダメですが、県林務課は森林の保全・活用、森と木の活用による地域活性化を真剣に追求しているようです。
 栄村でも、県林務課と連携して、村の里山の管理・有効活用事業を工夫していく必要があると強く思いました。それは、クマなどの有害獣の集落や農地への出没被害を防止するためにも有効だと思います。

 

 今回の議員活動報告は以上です。


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