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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告第7号

村の“決算”を読み解く

 

☆「『広報さかえ』10月号を見たが、よくわからない」という声があります
 10月上旬に各家庭に配られた「広報さかえ」10月号。例年通り、2頁から5頁にかけて「平成27年度決算の状況」が掲載されています。
 これをめぐって、
    「数字やグラフがいっぱい並べられているけれど、

     何がなんだか、よくわからない」
    「要は、栄村の財政は大丈夫なのか? それとも危

     ないのか?」
という疑問の声が多く聞こえてきます。
 たしかに、億円単位の数字を並べられても、100円、千円単位でお金のやりくりに苦労している私たちの日々の暮らしの感覚では、なかなか実感をもって理解することは難しいですね。

 

■村の財政は縮小傾向にあります
 まず、おおまかな状況を見ましょう。
 村が、この10年間、毎年、どれだけのお金を使っているかです。それを「一般会計の支出」で見てみます。順番を逆にして、H27年度から順に10年前にさかのぼっていきます。
 H27=37億円 ⇐ H26=42億円 ⇐ H25=41億円 ⇐ H24=68億円
                                ⇑
 H20=26億円  ⇒  H21=26億円 ⇒  H22=34億円  ⇒  H23=56億円

 ここから、何が分かるでしょうか?
 平成23年度から急速に財政が大きくなっていることです。平成20年度や21年度と比べると2倍以上に増えています。村の経済力が成長し、村民が村に収める税金が増えたからではありません。平成23(2011)年3月の震災で、復旧工事資金や復興対策資金が国や県から臨時的に急増したからです。
 そして、私たちがしっかり認識しなければならないことは、この臨時のお金の流れ(収入増)が今年から来年にかけてほぼゼロに近づくということです。
 本年H28年度予算は約39億円です。過去の傾向から考えると、最終的な支出額は39億円よりも少なくなるでしょう。
   (*なお、震災直前のH22年度は、その前のH20、21年度

    に比べて10億円ほど支出が増えています。これはケーブル

    テレビ整備などに10億円使ったためです。そのため、借金

    の増加、預金の減少が見られます。)


■今年度、復興関係の国のお金はどれくらい入っているか
 H28年度に入って来るのは、国からの道路橋梁整備費補助金1億8500万円、長野県栄村復興交付金2億5千万円、農地災害復旧費補助金9500万円などです。
 この他に緊急防災・減災事業債約2億円がありますが、これは借金ですから、「入ってきたお金」とは言えません。しかも、村が当初考えていた使途が妥当ではないと議会で批判され、使用(支出)は凍結されています。
    *H28年度予算については、私は審議に関わっていません

     ので、この項の記述内容は、「予算書」から読み取れた

     範囲でのものです。
 復興関係で入ってくるお金は合わせて5億3千万円ほどです。何十億円と入ってきた震災直後の数年と比べると激減です。
 来年度は、これがさらに減るとみておかなければなりません。

 

■村の経常支出比率はどうなっているか?
 私は、村の財政(財布)を見る場合、1つの重要な目安となるのは経常支出比率だと考えます。
 村の支出の中には、経常支出と、非経常支出があります。経常支出とは、固定的経費と言いかえられます。人件費や生活基盤の維持費など、毎年、毎年、絶対に支出しなければならない経費です。
 それに対して、非経常支出は、村が新しい政策・事業を実施するために使う(使える)お金です。
 H27年度の経常支出比率は70.7%でした。一般的には、「70%前後が望ましく、上下5%を超えるとその財政は望ましいものでない」と判断されます。その意味では、H27年度の栄村の財政は健全だと言えます。
    *じつは、栄村のH19年度の経常支出比率はじつに95.2%

     でした。高橋彦芳村政の終わりの頃、人件費の削減などの

     財政緊縮策がとられたのは、そのためです。
 では、栄村の財政は心配ないのか? いや、そうではありません。復旧・復興関係費が大きく減少し、復旧・復興事業の実施が減りますから、村の財政の全体規模が小さくなるとともに、経常支出はあまり減らせませんので、経常支出比率が上昇する危険が迫ってきているのです。
 森川氏が「補助金の獲得」を強調するのは、このためです。しかし、国や県にも無尽蔵に補助金を出す力があるわけではありません。必要な補助金の獲得に力を注ぐ必要はありますが、補助金に頼るばかりでは栄村の未来は見えてきません。

 

■村の収入をどうやって増やすか?
 どうするか?
 国が「景気対策」と称してばら撒く補助金は使途が限られていて使いにくいものが多いというのが実際のところです。また、国も借金が膨大であり、国はいつまでも補助金をばら撒けるわけではありません。
 根本は、村の収入を増やすことです。
 たとえば、直売所かたくり。1年目の売上げは2千660万円。4年目のH30年度には6千万円の売上げをめざしています。その達成は容易なことではありませんが、これを実現すれば、少なくとも数名の雇用と村への納税が実現されるのです。
 これは、小さなことのように見えるかもしれませんが、こういうことをコツコツと積み上げていくことが村の経済力、財政力を強めていく基本です。
 直売所の成長への道筋をつけるために村が3年間、500万円ずつ補助金を出すというのは、果実を生み出す賢明なお金の使い方です。
 もう1つ、具体例を挙げましょう。
いま、11月19、20日の飯山線SL運行をめぐって、何百人もの「撮り鉄」と呼ばれる人たちが栄村に押し寄せています。中には、ルールを無視する困った人もいますが、村の宿泊施設に泊まったり、森駅前の食堂で食事をしたり、道の駅・直売所で買い物するなど、栄村にお金を落としていく人もかなりいます。
 SL運行の経費はJRが負担します。JRは民間企業ですので、損になることはしません。村と村民が協力し、SL運行を成功させ、飯山線でのSL運行の定期化が実現すれば、村外から村に入って来るおカネは確実に増えます。誘客数の増大と、それによる経済効果を確実に、そして具体的数字で読める施策に力を入れることが大事です。

 以上は、〈決算の読み方〉のほんの一部ですが、こういう分析(読み込み)をして、村の将来を明るいものにするために必要なことを考え出していくことが大事だと思います。

 

☆決算議会の反省点
 9月の決算議会を振り返ってみて、私には2つの反省点があります。

 

■村財政全体の総括議論がほとんどなかった
 決算審議は、前号で少し説明したかと思いますが、決算書の各支出項目を順番に議論する形で進められます。
 それはそれで必要で大事なことなのですが、振り返ってみると、たとえば経常収支比率など、村の財政の健全度、村の財政見通しなどの議論はできませんでした。
 これは議会側の問題ですが、さらに振り返ってみて不可思議なのは、決算審議では森川村長が答弁に立つことが基本的になかったということです。森川氏からすれば、「この決算は島田村政時代のもの」という気持ちもあるのかもしれませんが、村財政の現状についての村長見解を明らかにする必要があったと思います。

 

■議事録が残されていない?!
 決算審議は、予算審議と並んで、議会の最重要の審議です。重要審議は、当然のことながら、議事録に残される必要があります。
ところが、驚くべきことに、決算審議は記録されていないのです。
 直接の理由は、「議事録を残すのは本会議のみ。委員会は議事録を作らない」という村議会の取り決めです。
しかし、こんなことは「理由」になりません。
 決算特別委員会は全議員参加で、実質、本会議と同じレベルのものです。決算について採決する本会議は採決をするのみで、審議はいっさいしません。
 ということは、決算特別委員会の議事録がない状態では、「議会は、決算について、どんな議論をしたのか」が、村民にはまったくわからないことになるのです。
 じつは、予算審議についても同じです。
 私は今年の7月、「直売所への補助金は1年限りにする」と決めた昨年3月議会の議論内容を知るために、議事録を調べたのですが、議事録には何も出てきません。「審議」はすべて予算特別委員会で行われていて、その特別委員会の議事録は存在しないからです。私と同じことを調べた大手新聞社の記者も、議事録がないことに唖然としていました。
 議会の最重要審議事項、予算と決算の審議記録を残さないなんて、議会の自殺行為いがいの何物でもありません。
改革を求めていきます。


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