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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告第10号

12日臨時会での補正予算否決と、今後の展望
そして、私の対応について

 

 新聞報道もあり、すでにご存じの方も多いことと思いますが、1月12日に開催された本年第1回臨時会は、村長提案の補正予算案を否決しました。
 詳細は後に記しますが、本補正案の最大のポイントは振興公社に5千万円の資金を村が投入することにありました。森川村長は、補正予算否決を受けて、午後の議会全員協議会の冒頭、「公社の職員の給料、共済費の2月支給ができなくなる。1月24日に改めて臨時会を招集する」旨、表明しました。
 たしかに振興公社の資金は底をつき始めており、このまま進めば、「破綻」(=倒産)という事態になる可能性が大だと見られます。
 私は、後述するとおり、振興公社の今後について抜本的な対応策が必要だと考えます。しかし、抜本的な対応策は簡単には出てこないと思われます。そんな中、2月に〈16名の職員(正社員、契約社員)の給料支払い不能→破綻〉という事態になることを放置することはできません。
 私は24日の臨時会に真摯な姿勢で臨み、職員の雇用を守ることなどに全力で取り組みたいと考えています。
 12日の臨時会での村長、担当課長の説明では、「1〜3月期ののりきりに必要な資金は2,100万円」とのことですが、議会に提出された資料を臨時会終了後に改めて精査したところ、2,100万円の算出根拠はずいぶんと粗(あら)っぽく、村長、さらに振興公社経営陣からの丁寧で、確たる根拠のある数字の提出、説明が求められます。
 以下、12日の臨時会の審議の概要と、職員給料等支払い等に必要な緊急措置として何が必要か、そして根本的再建策についての私の考えを、村民のみなさまに報告させていただきます。
(なお、否決に至った採決ですが、賛成5:反対6でした。私は反対しました。他の議員がどう対応されたかは、各議員各自の態度公表に委ねたいと思います。)

 

 

村長提案の5千万円の資金投入について

 補正予算案は1月6日に各議員に届けられました。そこには、
   「栄村振興公社への出捐(しゅつえん)金(きん) 5千万円」
     (*「出捐金」の意味は、この「議員活動報告」の第9号

       を参照ください)
という記載がありました。この時点では、それ以上の説明文書はありませんでした。
 私たち議員は、12月8日の議会全員協議会(村長提出)で、「1,670万円の振興公社への資金投入(指定管理委託料の増額として)」という村長の意向を聞いていましたが、わずか1ヶ月足らずのうちに、1,670万円から5千万円への3倍近くの増額。「12月全協での説明は何だったの?」という思いを抱きながら、12日の臨時会に臨みました。

 

■「出捐金5千万円」の内訳(12日臨時会での村側の説明)
 12日の臨時会では、「出捐金5千万円」について、つぎのような内訳が示されました。
   イ) H28年度末営業利益見込み   △3,300万円(△は赤字の意味)
     棚卸残高見込み 1,200万円
     以上から、当座の運転資金として必要な額は、
     3,300万円−1,200万円=2,100万円
   ロ) 積立金(資金担保)
     5,0000万円−2,100万円=2,900万円

 

議員に配布された資料、質疑での村長及び課長の答弁を基に、少し説明を加えます。
・ 「H28年度末営業利益見込み」の3,300万円の赤字というのは、振興公社が作成したと思われる「H28年度月別収支実績・予定表」(写真4頁)に示された数字に基づいています。(11月までは実績、12月〜3月は「予定」=見通しです)
・ 「棚卸残高見込み」とは、公社が保有する販売可能な商品等の残高で、決算上は「資産」となります。したがって、決算帳簿上では、棚卸残高の分だけ赤字は減ることになります。
・ 「積立金(資金担保)」とは、振興公社は新年度4月以降も赤字経営が続くため、経営を続けるには資金融資を受ける必要がある、その際、担保がないと金融機関から支援を受けられないので、その担保となるものとして、村が2,900万円を公社に入れ、それを「積立金」化させるというもの。

 

否決に至る審議のポイント
 私を含め、5千万円投入案に疑問を呈した議員の質問のポイントは、
     根本的な再建策がたてられないまま、村からの資金投入

     を続ければ際限がないのではないか。
     1〜3月の当面の危機をのりきるための2,100万円と、4月

     以降に資金繰りのために金融支援を得るための積立金

     2,900万円とは性格が異なる。両者を切り離し、今回は

     「2,100万円」に限り、「2,900万円」については専門家の

     投入等ともセットにして、もう少し時間をかけて検討しては

     どうか。
という2点に集約できると思います。
 これに対する村長、担当課長の答弁のポイントは、
     「出捐金」の投入はこれが最後。「私の任期中にはもうビタ

     一銭出さない」(森川村長)。
     4月を迎える準備(たとえば、各施設のパンフレットの用意

     等)のため、4月以降のための積立金も今の段階で必要。
     職員の“おもてなし”研修などを強化し、再建を進める。
     (上2つの答弁は村長、3つ目の答弁は担当課長)
に集約できると思います。
 この3点について、私の考えは、
     根本的再建策なしに、「4月を迎える準備」等を云々して資金

     を入れるようにすれば、ズルズルいってしまう。「出捐金」と

     いう名目は「これが最後」としても、様々な異なる名目での追

     加資金投入の恐れがある。
     “おもてなし”研修などは、3億円事業の中で何千万円もかけて、

     何度もやってきたことである。そんなことが「再建策」とは考え

     られない。
ということです。
 私は、村長に「2.100万円と2,900万円の切り離し」を求めました。1つの議会の中で村長が提出した議案を自ら修正することは法制度上できませんが、「5千万円」の提案を撤回し、改めて新議案を提出する形ならば、1〜3月期のりきりのための「2,100万円」だけに絞ることができます。そのために、時間をおかずに再度の臨時議会を村長が招集するならば、そういう措置がとれます。
 しかし、村長は、「4月以降のためのおカネも今日決める必要がある」という対応をかたくなにとりましたので、私は12日の臨時会では補正予算原案を認めるわけにはいかないと最終判断するに至りました。

 

1〜3月破綻危機のりきりのために資金はいくら必要なのか、それを判断するには収支予想の精査が必要
 24日に再度、臨時会が開催されます。
 この報告の冒頭に書いたとおり、森川村長は、「職員の給料、共済費等の支払いが必要」と強調していましたので、12日の補正予算案に即していえば「2,100万円」に絞って、再提案してくるのではないかと思われますが、仮にそうだとして、私はなお、十分な精査が必要だと考えます。

 

■審議直前に収支データなどを手交されても審議はできません
 ここでちょっと、議会審議の実相についてお話させていただきます。
 先に紹介した「出捐金5千万円の内訳」は、12日、私たち議員が議席に着席した時に、机の上に置かれたぺ―パーに記されていました。また、「H28年度末営業利益見込み」は、下のような、数字がいっぱい書き込まれたペーパーが着席時に机上に置かれていま

した。このペーパーについての村長・課長からの詳細説明はありませんでした。さらに、「再建」をめぐる「5ヶ年収支計画」というもの(下のもの)も同様に着席時に机上に置かれていたもので、これも詳細説明はありませんでした。

 

 「H28年度末営業利益見込み」のベースとなる「平成28年度月別収支・実績表」は、12月の議会全員協議会にも提出されていました。しかし、12月に提出されたものは、総額2,556万4,060円の赤字予想だったのに対して、1月12日提出のものでは、総額3,377万0,578円に膨らんでいます。わずか1ヶ月のうちに約800万円の赤字増加です。
 間接的に聞いたところでは、「支払い必要額に見落としがあった」というような説明があるそうですが、たとえそういうことがあったとしても、わずか1ヶ月で赤字予想額が約800万円も増えるという事態は見過ごすことができるものではありません。
 こういうデータ、審議の直前に渡されても困ります。すぐに質疑を始めなければならず、質疑が途切れると、「質疑終了、採決」となってしまいますので、数字をじっくり見ている余裕などありません。
 議会前に事前に配布するか、議会当日の配布であれば、資料検討時間を少なくとも1時間程度は確保するなどの措置がなければ、責任ある充分な審議はできません。

 

■精査が必要な事柄の具体例
 「職員に2〜3月の給料を支払えなくてもよい」という選択肢はありえません。経営者の経営責任とは区別して、被雇用者を守るために必要な資金は投入しなければなりません。しかし、そのお金の元は村民と国民の税金ですから、必要額をきちんと精査して、必要な金額だけを投入するようにしなければなりません。
 そこで、精査すべき具体的な項目をいくつか挙げてみたいと思います。

 

 まず第1に、最も緊急を要するものは職員の給料等です。
 それは、12日に提示された2,100万円なのでしょうか。
 H27年度の決算書から、H27年度の2〜3月の給料等(給料、賃金、退職共済掛金、福利厚生費)を総計してみました。その金額は公社全体で1,227万8,255円でした。現在の職員数は16名(正社員10名、契約社員6名)ですが、H27年度はもっと多かったはずです。ですから、これから2〜3月の給料等を支払うのに必要な緊急資金は最大限多く見積もっても1,200万円を超えることはないと思われます。24日の第2回臨時会への提案においては、給料等の明細を提示し、緊急資金必要額の根拠を明確にしてもらわなければなりません。
 第2は、H28年度末の収支は本当に3,370万円強の赤字になるのか、という点です。
 12月の全協に出された数字よりも800万円膨らんでいることは先に指摘しました。
 ここでは、収支計算の元になる各施設の12〜3月期の収支予想について見てみたいと思います。
1月12日提出及び12月全協提出の「収支予定表」を、Aという施設の事業収入について見ると、次のようになっています。なお、右欄にH27年度の同月の実績を記します。


       1月12日の表   12月全協の表   H27年度実績
  12月    2,000,000    2,800,000    2,341,089
  1月    2,500,000    4,000,000    3,738,014
  2月    2,000,000    3,500,000    3,020,280
  3月    2,500,000    4,000,000    3,979,019

 

 まず、12月全協提出の表と比較して、1月12日提出の表では「事業収入予定額」が大きく下げられています。
 つぎに、その1月12日提出の表の「事業収入予定額」を、前年度同月の実績(事業収入額)と比較すると、前年度実績を大きく下回る「予定額」になっています。1月の場合、約35%の減少です。
 しかし、施設Aの様子を私はよく見ていますが、1月に入って宿泊等の客数が前年度から大幅に落ち込んでいるという状況は見られません。
 施設A以外についても、H28年度の事業収入額は前年度をかなり下回るものと予想されています。
 「事業収入額」が減れば、それに応じて赤字額が増大するわけですが、12月から1月の間に「収入予定」の見通しを大幅に下げなければならなかった理由が、この表からは読み取れません。
 以上、具体例を2つだけ挙げましたが、とにかくいま必要なのは、生(なま)のデータを出し、真に必要な金額をあきらかにすることです。

 

再建策をどのように検討し、決定し、実行に移していくか
 12日の臨時議会に「5ヶ年収支計画」なる表が出されましたが(写真4頁左下)、「再建計画」とは到底言えない、きわめて杜撰なものです。
 概要を紹介すると、H29年度の4つの宿泊温泉の事業収入予定をことごとくH27年度実績よりも少なく設定し、それを出発点に各施設とも毎年70〜130万円ずつ増大していき(唯一の例外は雄川閣でH30年度→31年度に160万円増加)、H33年度に公社全体で約3万円の黒字に転換する、というものです。収入増大をどう実現していくかの方策はまったく書かれていません。
 「再建策」は検討の緒(ちょ)にもついていないと言わざるをえません。

 

■経営責任者の明確化が第一歩、かつ、最重要事項
 多くの村民のみなさんが思っておられることをズバリ言えば、「振興公社の経営責任者、すなわち社長は誰なのか?」ということです。
 これを明確にしなければ、再建は始まりません。
 森川村長は、「理事は同業者(旅館業を営む人)が公社の応援をかって出てくださった。報酬が欲しくてやっておられるのではない」と繰り返し言います。経営責任者は大変な仕事ですから、仕事をしてくださった人が無報酬である必要はありません。大事なことは経営の責任を誰がとるのか、です。
 これまで公社が赤字を出す中で、理事長を務めた人が「私には経営責任はない」と主張したという話が村民の中にかなり広く伝わっていて、村民はそこを問題にしています。あるいは、公社の赤字が問題になると、決まったように、「各施設の努力が足らない」という声が理事会などから聞こえてきた歴史的経緯があります。各施設の支配人は理事でも評議員でもなくて、いわゆる従業員の立場にある人たちです。自営の旅館等の主人のような裁量権を有してはいません。12日の臨時議会で商工観光課長が「再建策」に関して「おもてなし研修」を云々したのは、まさに経営責任を理事者等から従業員に転嫁しよとする議論の典型なのではないでしょうか。
 まず、社長は誰か、をはっきりさせることです。もし、一般財団法人という組織の理事会や評議員会は企業の取締役会などと同等の経営責任を負う存在ではないのだというのなら、一般財団法人という組織形態の妥当性そのものを問い直すことから考えなければなりません。
    なお、この点に関連して、私は12日の議会で、森川村長に「経営責任

   を明確化するために株式会社化を検討する選択肢はないか」と尋ねたと

   ころ、「村民利用施設の管理に株式会社はふさわしくない」と断言的に

   答えました。他方、商工観光課長(前公社事務局長)はH25年度からの

   法人形態変更を検討した際、「私は株式会社がよいと考えた」と答弁し

   ています。
    私は、村内の事例も含め、さまざまな事例を見て、「株式会社では村

   民利用施設は運営できない」とはけっして言えないと考えます。
 くりかえし言います。社長は誰かをはっきりさせる、これが再建への第一歩です。

 

■各施設の性格分け、セールスポイントの明確化
現理事会は「全施設一律営業・一律料金は見直し」と言っています。それは正しい考えです。が、そこにとどまっていては前に進めないと思います。
 雄川閣、のよさの里は秋山郷にあり、「村民利用施設」というよりも純然たる観光施設だと言ってもよいでしょう。観光客がどういうサービス・施設を求めているかを明確に把握し、それに応えるサービス・商品を提供することが再建への道です。
 ただ誤解がないように付言しますが、雄川閣を個室露天風呂付の特別ルームがあるようなものに建て替えること(そういう検討案が役場には眠っているようですが)が観光客のニーズではありません。秋山郷にやって来る観光客の動きを観察すれば、気軽に立ち寄れて、昼食・軽食・温泉入浴のサービスが得られる場所が求められていることは明白です。
 のよさの里のロケーション(立地条件)は、高級リゾート経営可能レベルの最高級のものです。アルプス級の絶壁の眺めをあんなに間近に見られる宿泊可能リゾート地は日本全国探しても、そんなにありません。
 トマトの国は、施設建設の経緯からしても、若い人の団体研修・合宿等の受入れに最適の施設です。実際、そういうお客さまを受け入れ、成功している事例がたくさんあります。北野天満温泉は、4施設の中で客室毎にトイレがある唯一の旅館施設です。中高年者が多い温泉ツアー客や紅葉ツアー客が求める第一の条件が「お部屋にトイレがある」だということは旅行業界では常識です。「宿の満足度」を求めるお客さんを誘致できる旅館施設として徹底的に磨きをかけていくべきでしょう。

 

■再建策をどうやって詰めていくか
 経営責任者(社長)は誰かを明確にすることと並んで、もう1つ、非常に重要なことがあります。再建策の検討プロセスを徹底的にオープンにすることです。
 2〜3月の破綻危機のりきりの緊急支援策をはじめとして再建に必要な資金の出資者はじつは村民です。早ければ2月から半年間くらい、村民が自由に参加し、再建策をめぐって自由闊達(かったつ)に議論できる場を設けることが再建の力を生み出す最大の源になると思います。
 これまでに開催された「ワークショップ」のようなものではありません。出た意見等の再建策への取り込みあるいは不採用について、再建案の最終策定者には明確な説明責任が伴うものです。
 みなさん。振興公社再建問題に村民全員参加で取り組んでいきましょう。


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