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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告第8号(2月27日付)

 この第8号は、当初昨年12月1日発行のために途中まで編集を終えていたものですが、第9〜11号で記した振興公社をめぐる問題等に関する報告を優先させたために未発行になっていたものです。

 このたび、追加原稿を書き、2月27日付で発行しました。取り扱っているテーマ自体はけっして時期遅れのものではなく、この後に掲載する第12号で報告する「空き家改修」問題とも密接に絡むホットなテーマです。

 是非、お読みいただけますよう、お願い申し上げます。

 

 

驚き! 3食付き1ヶ月5万8千円のケアハウス
 〜群馬県南牧村で視察・研修してきました〜

 

 11月14〜15日、「議員視察研修」というものに初めて行ってきました。視察先は、群馬県南牧村(なんもくむら)(14日)と、みなかみ町の「たくみの里」(15日)の2ヶ所。頁数に限りがありますので、今回は南牧村の視察結果を報告します。
   *長野県にも「南牧村」がありますが、長野県の方は「みなみまきむら」です。

 

■「働き場をつくる」、「国民年金で入れる施設をつくる」、「負担の少ない村づくり」
  ――長谷川最定村長が進める村づくりの3つの基本
 訪れた南牧村役場では長谷川最定(さいじょう)村長が自ら、南牧村の現状と村づくり方針・施策の具体的内容を説明して下さいました。2014年(平成26年)5月に就任された1期目の村長です。2007(平成19)年に栄村に研修に来られたことがあり、また、観光では秋山郷などに3回ほど来られているそうです。

 

私たちの質問に熱心に答えて下さる長谷川村長


 見出しに掲げた3つが、長谷川村長が推進している施策の基本です。簡単に説明します。
 「働き場をつくる」――とくに子育て世代の若いご夫婦が南牧村内で働く場をつくるということです。大企業誘致ではなく、村になくてはならない仕事で、若者世帯が暮らせる所得を保障することに 主眼があります。
「国民年金で入れる施設をつくる」――栄村でもそうですが、国民年金加入者の人の多くは1ヶ月あたりの受給額が約6万円ですね。その額で衣食住を満たせる高齢者住居を保障しようという話です。(詳しいことは次項にて)
「負担の少ない村づくり」――国民健康保険料は一昨年から2割引き下げられました。介護保険料は月額5千円を守り、値上げをしていません(群馬県平均は5,780円)。ケーブルTVがありますが、利用料は月額千円。公的料金はいっさい上げない方針だといいます。

 

 今年度の当初予算規模は特別会計を含めても約30億7千万円。人口は2,045人(2016年10月末現在)、「高齢化率日本一」で、話題になった「自治体消滅論」では「最も早く消える村」とされている村です。
 その南牧村でこれだけのことがやられている、出来ているのです。これは驚きであり、私たちはそこから多くを学ぶ必要があります。

 

■ケアハウス「いこい」を見学しました
 「国民年金で入れる施設」ということで昨年度に建設されたのは「いこい」という名のケアハウス(20室)。介護認定されていない人、要介護度2以下の人が対象の施設です。

 

「ケアハウスいこい」の外観

 

 「料金表」を見ると、年間収入が150万円以下の人の基本利用料は月53,700円。他に管理費、水道料、電気量がありますが、1人当たり月額4,810円。まさに国民年金で賄える額です。
 なぜ、こんなことが可能なのか?
 長谷川村長から説明していただきましたが、私たちも質問し、さらに突っ込んだ説明をいただきました。
 まず、30床未満の小規模施設には建設費及び運営に国から補助金が入ります。要介護の人に関わる経費は介護保険から支払われます。それによって運営経費として(入所者支払いの利用料以外に)月額約380万円が確保できます。
 2つ目に、職員ですが、NPO法人が運営にあたっていて、正職員4名をはじめ、准正規、パート(1日4時間)計15〜6名が働いています。驚きは、正職員の給与は公務員並みが保障されていることです。この点がじつは南牧村の村づくりの肝です。
 「高齢者に必要なサービスを保障する。そのための仕事を若者に担ってもらい、子育てできる所得を得られるようにする」ということです。
 先に、「南牧村は高齢化率日本一」と紹介しましたが、長谷川村長によれば「高齢者人口の実数はピークを過ぎた。若者家族の移住(Iターン、Uターン)を確保し、人口の世代間バランスをよくする」ことが当面の課題で、高齢者福祉(介護)の仕事の創造で人口バランスの好転を実現していくのです。じつによく考え抜かれた素晴らしいアイディア・施策です。
 今年度は「要介護度中クラス」用の施設を建設し、その後さらに「重度用」もつくる計画です。
 施設内をご案内いただき、私はお許しを得て、食堂の様子も撮影させていただきました。下がその写真です。大きな窓があって陽が燦々(さんさん)とふりそそぐ明るい場所。ちょうど昼食に集まってこられていたところで、私がカメラを構えると、「どこから来たの?」と大きな声がかかりました。みなさん、とてもお元気で、明るい雰囲気でした。

 

部屋はすべて個室(一人用と夫婦用がある)

 


 南牧村の視察報告、ひとまずここで閉じますが、もっと詳しく知りたいですね。
 南牧村を取り巻く状況はある意味で栄村よりも厳しいのだと思うのですが(村内の道路は狭く、マイクロバスが通行するのが大変でした)、その村でこんな素晴らしいことが実現している。さらに研究し、みなさんに報告したいと考えています。

 

 

 

「上毛新聞」の連載特集から学んだこと

 

 3頁までは11月末に書いていたのですが、その後、12月議会の報告や1月臨時議会の速報などの必要が生じて、続きを書くことが出来ていませんでした。以下は、今回の発行にあたって新たに書き加えたものです。

 

 

 視察にあたって、南牧村から「上毛(じょうもう)新聞」という地元紙の連載特集「えにし再生 第1部限界と呼ばれて」(2013年3月に連載)のコピー(全13頁)を資料としてご提供いただきました。
 視察前に読んだ時は、村の様子を知らないので理解しにくい部分もあったのですが、視察から帰った後に読み直すと、長谷川村長からお聞きしたことや南牧村で見たことがよりよく理解できました。
 1〜3頁で紹介した長谷川村長の施策は長谷川さんお一人のアイディアや力で実現したものではないようです。少なくとも8年間にわたる南牧村の人たち、とくに30歳代くらいの青年層がいろんな努力、工夫をしてきた結果なのです。
 「空き家」の問題と、「若い世代の移住が村で暮らせる仕事づくり」を中心に、年表式で紹介したいと思います。

 

2009年の暮れ
  ・舞台  村役場近くの居酒屋「かじか小屋」
  ・人物  居酒屋店主・米田優さん(当時62歳)

      役場職員・茂木毅恒さん(47歳)
      村商工会青年部の面々
  ・会話のやりとり
    「言いたいことがあるなら、村づくりの組織でもつくら

     ないか」
    「ああ、つくる。つくるから茂木さんが事務局やってよ」
    「みんなが本気ならやる」


数日後
  青年部理事・石井裕幸さん(36歳)、30〜40代14名の名が書き込まれた

  名簿を茂木さんに届ける。


2010年2月18日
  村づくり団体「明日の南牧を創る会」が正式発足
  ↓
  「創る会」メンバーの関心は空き家対策に向く
  ↓
2010年12月
  「創る会」母体に「南牧山村ぐらし支援協議会」設立
  ↓
2011年2月 空き家調査開始
  ・参加者  ガス販売業、大工、設計士、板金業など、30〜40代の協議会

       会員20人
  ・調査方法  休日に5人ほどの班をつくって集落ごとに調査
        「トイレは水洗かくみ取り式か」
        「手を入れれば住めるか住めないか」
        「ケーブルテレビは」
        「駐車場は」
     ――各人の職能を生かし、外観や立地状況から得られる情報を記録
  ・調査結果まとめ――半年後
     「手を付けるのが遅すぎたか」
     「構造材の太い築100年以上の古民家が多い」 → 「田舎暮らしを求

      める都市住民には魅力的なはず」
2011年8月 「空き家バンク」開設
         移住希望者に空き家を紹介するホームページ

 

2012年  「なんもく暮らし体験民家」を整備 → 10月から貸し出し開始

 

2013年1月  東京での山村移住相談会(群馬県主催)
  石井裕幸会長が、南牧の自然や子育てのしやすさをアピール

 

2011年8月から1年半の実績 ―― 問い合わせ300件超え、9世帯16人が移住


 ここまでで、空き家対策のいくつかのポイントが見えてきたのではないかと思います。
 1つは、行政主導ではなく、村民、とくに若者世代が空き家対策を考え、実行に移す中心になっていることです。
 2つは、役場(行政)がそういう動きをこころよくサポートしていることです。
 3つは、経費がたくさん必要になる方法ではなく、「暮らせる家にするには最小限何が必要か」を検討することを軸にやっていることです。


若者世帯が暮らせる仕事の確保
 ここからは、若者が暮らせる仕事づくりの話です。

 

● 2012年に移住した阿部哲也さん(名古屋市出身、記事連載時24歳)の話
  「困った時に助けてくれる人、頼れる人がたくさんいる。自分にとっては

   都会より住みやすい。」
  「働く場所がなければ、南牧に残りたくても名古屋に帰っていた

   と思う。」
 ――阿部さんは村社会福祉協議会で働いている。

 

● 2011年12月、補助金配分の県審査会で役場総務課長・長谷川最定さん(当時58歳、現在の村長さん)が熱弁
  「南牧で最後を全うしたいという高齢者が利用し、南牧で子育てしたい

   という世代が働ける。南牧に最も必要なのはそういう場所です。」
   ⇑
  村の総人口が減る中でも、増加の一途だった65歳以上の高齢人口が

  2006年に減少に転じた。今後は高齢化率の上昇に歯止めがかかる。
  ↓
  医療や介護サービスの必要量と財政支出が減る。
  長期的なサービスの供給計画が立てやすくなる。
  ↓
  減った支出を子育て世代の誘致策、たとえば村営住宅の建設や働く

  場所づくりに向ければ、移住者や村に残って仕事する若者を少しず

  つでも増やせるのではないか。
  ↓
  「高齢者向け住宅を運営するNPO法人をつくりたい。」

 

● 1か月後の2012年1月、県が提案採択

● 「NPOとは」から勉強会を進め、2013年度中にNPO法人設立へ
 長谷川最定さんは2012年末に役場を早期退職、住民の一人としてNPO設立に加わる。
 長谷川さんのイメージ ―― 「介護サービスを基幹産業とする人口800人の村」

 


 なんとか2頁半ほどにまとめてみました。これだけではわからないことも多々ありますが、南牧村の取り組みの肝(きも)はわかってきたのではないかと思います。
 私自身の思いとしては、「もう一度、南牧村を訪ねて、南牧で暮らすようになった若い人や、空き家対策を進めた人たちのお話を直接お聞きしたいなあ」というのがあります。いろんな用事があってなかなか実現できていないのですが、車で行けば栄村から片道2〜3時間で行けます。なんとか実現したいと思います。そして、その時は、私ひとりではなく、空き家対策などに関心がある人たちとご一緒できればと考えています。

 以上です。

 


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