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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告第12号

議員活動10ヶ月、いま、思うこと

 

 昨年4月の補選で村議会議員になって、早や10ヶ月となりました。その時々の状況については、『松尾まことの議員活動報告』でご報告してきましたが、このあたりで一度、10ヶ月間の議員活動全体の総括をしなければいけないと考えます。

 

〇 良かったと思うこと
 いちばんは、『松尾まことの議員活動報告』をお配りすることを通じて、議会とはどんなところか、何をしているのかについて、多くの村民の方々に広く知っていただけるようになったことです。
 率直に言いますと、配り始めた時、「こんな文字ばかりのもの、読んでいただけるかなあ?」という不安がありました。しかし、それは杞憂でした。みなさんから、「読んでいますよ。楽しみにしています」と言っていただいています。
   *「杞憂」とは、「心配する必要のないことをあれこれ心配するこ

    と」、「取り越し苦労」という意味です。
 ある人から、「父が松尾さんの『議会報』を読んで、『新しい議員が出てきた。栄村の議会は変わるかもしれない』と言っていましたよ」と話された時の感激は忘れられません。

 

 にばんめは、村のさまざまな施策との関係で、みなさんの要望や困り事をより具体的にお聞かせいただくことができるようになったことです。
 2つの具体例を挙げます。
 1つは、温泉共通入浴券をめぐってです。「入浴券はどうなるのあ?」という不安を持つ村民のみなさんが集まって下さり、様々な意見や要望を出して下さいました。
 2つは、子育て・教育支援の問題です。
 4月から村は高校生の通学定期券代の半額補助を始めますが、このことを口頭でお知らせした時、保護者の方から、「有り難いですね。でも、定期券を購入した後に補助というのではちょっと困ります。いちばん割引率がいい6ヶ月券は4万円以上かかります。そのお金を用意できないので1ヶ月券を買っています。事前に補助してもらえると6ヶ月券を購入できるんですが」というお話をいただきました。2月9日の議会全員協議会で早速、この声を行政側に伝え、検討してもらうようにしました。
 これまでも、『復興への歩み』を配りながら、いろんなお話を聞かせていただいてきましたが、議員となり、『議員活動報告』をお配りするようになって、村の施策に反映させるべき、より具体的な要望などをお聞きすることができるようになったのです。村政をみなさんにとって身近なものにし、みなさんの声を村政に反映させる一歩を踏み出せているのかなあと思います。

 

 さんばんめは、多くの人に議会傍聴していただけるようになったことです。
 1月12日の臨時議会では、「傍聴の呼びかけ」をしてきた私自身もびっくりしました。議会開会前に傍聴席が溢(あふ)れ、イスが足らなくなったのです。1月24日、2月9日の臨時議会も傍聴席は満杯でした。
 たくさんの人が傍聴することで、議会は変わります。傍聴席が一杯だと、議員は、「自分の言動は村民にどう思われるか」がとても気になり、発言内容をよく考えるようになります。
 これは、村民が議会の主人公になってきているということを意味しています。「議員は選挙の時だけ村民にいい顔を見せる」では済まなくなり、村民の声を常に意識し、村政に反映させなければならなくなるのです。

 

〇 困ったこと
 議員を務めることになって良かったことばかりではありません。いろいろと困っていることがあります。
 1つは、勉強が大変だということです。
 議会には村のありとあらゆることが議案として出てきます。農業のこと、観光のこと、介護や福祉に関すること、道路や橋のこと、村の暮らしに関わることのほとんどすべてが出てきます。
 議案を出してくる行政側には各分野ごとに職員がいて、その分野の経験と知識を持っているわけですが、議員はたった一人でその議案について考えなければなりません。国会議員であれば、秘書がいたり、政党のスタッフがいたりしますが、村議には秘書もいなければ、スタッフもいません。時に、同僚議員に質問や相談をもちかけたりもしますが、基本的に一人で勉強し、審議できるようにしなければなりません。

 

 2つは、議会予算が少なく、十分な審議ができる環境が整っていないことです。
 議会というものは議論の積み重ねが大事だ、と私は考えています。「この問題は、前の議会でどういう議論をしたか」、「村長はどう答弁したか」を議事録で確認して、議論を積み重ねられるようにしなければならないのですが、いまの栄村議会では議事録が出来上がるまでに1ヶ月以上かかることがあります。たとえば12月定例会の議事録が出来上がったのは1月末でした。
 担当の職員はとても頑張って下さっているのですが、たった一人で多種多様な仕事をされています。長野県の市町村議会の多くは、議事録作成のためのテープ起こしを専門業者に発注しています。栄村でも震災復興計画策定委員会は専門業者発注で、素早い議事録作成を実現していたのですが。
 議事録が遅いだけではありません。予算や決算の特別委員会の審議や全員協議会での協議については議事録がありません。
こんな状況がこれまで放置されてきたのが私は不思議でたまりません。本気で議会審議をするには、この現状は絶対に変える必要があります。

 

 3つは、議員であるがゆえの制約がいろいろあることです。
 私が一村民として『栄村復興への歩み』を発行しているかぎりでは、権力をもつ人からとやかく言われることはなかったのですが、議員になると、『議員活動報告』も『復興への歩み』も、「議員としてこういうことは書くべきではない」といったことを言われることがあります。公職にある人から「注意」として言われます。従わなければ「懲罰」に処せられる可能性もあります。
 「圧力に負けたらダメだぞ」と叱咤激励してくださる村民が多くおられますので、私は頑張っていきますが、大変であることは事実です。

 

〇 情報公開をさらに徹底させ、村民が主人公の議会を実現していきたい
 村会議員は言うまでもなく選挙で選ばれます。そして、選挙の時、候補者はたとえば「福祉を充実させます」というような“公約”を掲げます。
 しかし、私は昨年4月の補欠選挙の時、ポスターに「みなさんのために、私をとことん使ってください」と記しました。
 なぜでしょうか。
 議員にも議案提出権はありますが、予算編成権は村長にのみあり、議員にはありあせん。ですから、「〇〇政策を実現します」と“公約”しても、その実現は容易ではないのです。
 むしろ、村民のみなさんの声に耳を傾け、村民目線で行政を徹底的にチェックすることこそ、議員のいちばん大事な仕事だと、私は考えています。村長(行政)がどんな施策を準備しているかを不断にチェックし、それを村民のみなさんの気持ちや要望と突き合わせ、村民のみなさんの願いが少しでも村政に反映されるようにすることです。
 私はこの10ヶ月、『松尾まことの議員活動報告』でいろんな情報を村民のみなさんにお知らせしてきましたが、まだまだ不充分だと思っています。
 一人でできることには限りがあると思いますが、経験を積み重ねることで、これまで以上にもっと多くの情報を、そして可能なかぎり速くお伝えできるように頑張ります。
 そして、そういう情報公開の活動と合わせて、もっともっと多くの村民のみなさんに議会傍聴に来ていただけるようにしたいと思っています。そのためには、傍聴に来て下さったみなさんに、議案についての資料が配られるようにすることが必要です。予算審議などでは、質疑の中で色んな数字が飛び交いますが、傍聴者の手許(てもと)にはなんの資料もなく、何を議論しているのか、よくわからないですね。私も一住民として議会傍聴した時に散々(さんざん)苦(にが)い思いをしました。
 議員としての努力でこういう状況を変えていきたいと思います。目標は、〈村民が主人公の議会〉の実現です。
 今度の3月定例議会(予算議会です)でも、そういう思いで頑張っていきます。傍聴とご支援をよろしくお願いいたします。

 


☆ 新しい「栄村総合振興計画」について
 村はいま、第6次栄村総合振興計画というものを策定しています。
 役場の「庁内策定委員会」が村民の意見等を聴取したうえで「計画(案)」を策定し、2月9日の議会全員協議会に「案」を提示、さらに2月15日開催の総合振興計画審議会への諮問を経て、3月議会で議会の議決を求めるという段取りです。

 

■ 大きな問題があった「将来像(村の目標)」の記述
 「計画の草案」のようなものの段階から私は気になっていたのですが、2月9日の全協に出された「計画(案)」でも、「計画」の肝(キモ)とでも言うべき冒頭の「将来像(村の目標)」につぎのような記述がありました。
   「知恵と和で築く日本一安心できる村」
     「知恵」とは役場職員の存在を表しました。
 なんと不遜(ふそん)な物言いでしょう!
 これでは、「村民には知恵はなく、知恵があるのは役場職員だけ」と言っているに等しいではありませんか。

 

■ 2月全協での村長とのやりとり
 私は2月9日の全協で、この点を森川村長に質(ただ)しました。森川氏の答弁は、
   「役場は村のシンクタンクのようなものだということ」
      *「シンクタンク」というのは英語由来の言葉です

       が、日本語訳すると「頭脳集団」となります。一

       般に「政策立案のための研究機関」の意味で用い

       られている用語です。
というもので、私が求めた文言の変更には応じませんでした。
 私は、「村長の性格はよく知っているので、この場でこれ以上は言いませんが、よく考えてください」と釘をさしました。

 

■ 3月議会提出の「計画(案)」で修正
 2月24日、3月議会の議案が議員に配られました。早速、この問題箇所を見ると、つぎのように修正されていました。
   「『知恵』とは住民と役場職員が共に考える“力”を表しています」
 これならば、いいと思います。
 2月15日の総合振興計画審議会でも、この箇所が問題とされ、修正が求められたそうです。
 2月9日の全協に続いて審議会でも問題とされ、村長も「これは修正しなければ認められないなあ」と考えるに至ったのでしょう。
 この経過には、森川氏の性格がよく表れていると思いますが、チェックと物言いが大事だということを示しています。計画文書をはじめとする膨大な議案を読むことはけっして楽なことではありませんが、しっかり読み込み、チェックしなければなりません。

 


☆ 2月9日臨時議会での空き家改修補正予算の否決について
 2月9日、本年3回目の臨時議会が開催され、1,340万3千円の補正予算案が審議・採決されました。大久保集落にある空き家(村に寄付され、村所有になっているもの)を改修する費用が当初予算では足りず、増額が必要になったというものです。
 すでにご存じの方も多いことと思いますが、これは賛成3:反対7という大差で否決されました。
 この結果、その空き家はおそらく、もう改修・活用されることはないでしょう。
 私は、本件で「賛成」に手を挙げました。たった3票の賛成票の一人です。
 「1軒の空き家の改修に計約3,500万円。高すぎる。どうして、そんなものに賛成したの?」と思われることでしょう。
苦渋(くじゅう)の判断でした。少し説明させていただきます。

 

■ 国の補助金事業を使うと予算額が上がる
 この事業は、新設された国の「空き家再生等推進事業補助金」を使えるということで村が推進したものです。国からの補助金は総額1,955万2千円です。
 かなりの金額です。しかし、国の補助金を使う場合、いろんな条件がつき、〈村(民)の知恵と技を活(い)かして、手作りで改修する〉ということが著しく難しくなります。その結果、予算額がどんどん増えてしまうことになります。
 たとえば、「公正さ」を担保するためでしょうが、設計の仕事をする人(会社)と、建物修復の仕事をする人(会社)は、別の人(会社)でなければならないという条件です。村の経験ある大工さんたちが集まって、いろいろと意見を交わしながら、工夫を重ね、改修を進めていくということができません。

 

■ 「高すぎる! でも、当初予算で事業を認めた以上、金額にふさわしい活用法を実現しよう」――これが私の判断です
 私は悩みました。
 12月と1月の全協での協議で、予算が異常に膨らんだこと、批判する議員が多いことを認識していましたので、大久保集落側から「辞退」を申し出ていただくことも考えました。しかし、物件はすでに村の所有物になっていて、村の事業になっていますので、集落側にどうこう言うのも変です。
 その一方で、こういう問題があります。菅沢農場の担い手の高齢化です。大久保集落は菅沢農場に近い。だったら、「30年、40年にわたって菅沢で農業をやってくれる人に入居してもらえれば、この高い改修費も生きてくるのではないだろうか」と考えました。
 施策というものは、1つの施策をそれ1つだけを孤立させた形で考えるのではなく、他の施策と結びつけて、総合的に進め、施策効果を高めることが必要です。空き家改修、移住促進、農業の高齢者化の打破と活性化、一石三鳥(いっせきさんちょう)の考えです。
 2月9日の審議では、そういう総合的な施策推進の第一歩として、改修工事の中で予定されている「曳(ひ)き家(や)」作業の様子を公開し、いろんな人たちに参加してもらうという具体的な提案をしました。

 

■ 今回のことを教訓に、村のいろんな人と知恵・技を集めた空き家再生に取り組みたいと思います
 今回のことは、補助金頼り(依存)ではなく、村のいろんな人と知恵・技を集めて、栄村らしい空き家再生の方法を編み出していく必要性を突き出していると思います。
 私の『議員活動報告』第8号をご覧ください(発行が大幅に遅れ、本号と一緒にお届けします)。群馬県南牧村(なんもくむら)の経験から学びたいと思います。大工さん、水回りの工事屋さん、左官さん、いろんな人が空き家を点検してまわり、「最低、こことここを直せばいいんじゃないか」という診断をします。そして、その改修・再生案をもって、移住を希望する人たちに物件を紹介していく。そんな方法です。
 空き家の利活用には、持ち主さんのご理解・ご了承が必要ですが、ご理解を得ながら、〈国の統一基準によるお金がかかる再生〉ではない、栄村独自仕様を創造していきたいと思います。
 みなさんのご意見、お知恵を是非、お聞かせください。

 

(この「議員活動報告」第12号は、2月27日付で発行し、栄村村内で配布してきたものです。)


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