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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告(5月29日付)

   初議会はどのように行われたか

 

 4月23日の選挙で選ばれた第17期の議員が初めて出席する臨時議会が5月22日(月)に開催されました。
   注:4月23日の選挙で当選した議員の任期は本年5月21日からの

     4年間です。これまでの4年間の議員は第16期(栄村村議会

     が設置されて以降の通常選挙で選ばれた16回目の4年間とい

     うことです)。
 選挙後初めての議会というのは特別なものです。
 というのは、議長も決まっていなければ、各議員がどの席に座るかも決まっていない状態で初議会を迎えるからです。まず、議長や議席を決めないことには何の審議もできません。これらのことを決めることを「議会構成を決める」と言います。

 

■ まず議員懇談会
 22日はまず午前9時に議員が議場に集まり、議員懇談会を開催することから始まりました。
 集まった議員は、議席がきまっていないため、16期から引き続き議員を務める人が元の議席に仮に座る以外は各人、とりあえず空いている席につきました。
 懇談会の座長は慣例により、最年長議員が務めます。最年長年齢者が複数いる場合は、誕生日の早い人がそれに該当します。今回の場合は島田伯昭(のりあき)氏が該当者でした。
 懇談会では、議会事務局が作成したレジュメを基に、初議会本会議の進行についての確認が行われました。その中で、くじ引きで仮議席も決めました(くじを引く順番を決めるくじ→仮議席を決めるくじの2回のくじ引き)。30分強の懇談会でした。

 

■ 本会議冒頭の手続き――仮議席の指定と議長選挙
 午前10時から初の本会議。
 議長が決まるまでは仮議長が議事進行を司(つかさど)ります。仮議長はやはり最年長者ということで島田伯昭氏(これは会議規則によるもの)。
 最初の議事は「仮議席の指定」。議員は先ほどの懇談会でのくじの結果にしたがって着席していて、それを「仮議席とする」と宣します。
 続いて、村長挨拶があった後、「議長選出」。
 これは自由立候補制で、無記名投票(「無記名」とは、誰を選ぶかは当然書くわけですが、投票者の氏名を書かないという意味)で決めます。
 ところが、この議長選挙のプロセスが変わっているというか、面白いのです。
 本会議をいったん休憩し、議会全員協議会に切り替え、そこで立候補者が立候補の意思を挙手で示し、立候補者は「所信表明」の演説をするのです。いわば立合い演説会のようなものですね。
 今回の場合、福原和人氏1名の立候補で、福原氏が所信表明をされました。
 ここで、本会議が再開されます。
 そして無記名投票が実施されます。仮議長から議員3名が立会人に指名され、投票箱の点検及び開票作業の立会いを行ないます(斉藤康夫、松尾、桑原武幸の3議員でした)。
 開票の結果、福原和人氏が10票(満票)を得て、議長に選出されました。
 福原氏が議長受託の挨拶を行なった後、議長席につき、ようやく議会が本格始動しはじめました。

 

■ 議席の指定、副議長選出、各委員会委員長の決定等
 福原議長による議事進行は、まず「議席の指定」。本会議冒頭に仮議席としたものを正式の議席とするのです。
 次に、副議長の選出。
 これは基本的に議長選出と同じ段取りで進められます。
 実際はどのように展開したか。
 私自身はいささか驚いたのですが、島田伯昭氏が立候補し、ちょっと遅れ気味で立候補意思表示の挙手をした阿部伸治氏との一騎打ち選挙となりました。
 投票結果は、阿部伸治氏6票、島田伯昭氏4票で、阿部伸治氏が副議長に当選しました。
 この後、「議席の変更」手続きが行われます。というのは、議長は10番、副議長は9番議席とすることが慣例となっているからです。先の議席決定で9番と10番になっていた上倉敏夫氏と保坂良徳(よしのり)氏がくじ引きをして、4番と7番に移り、これで議席が最終確定しました。
 この後、議会運営委員会委員長の選出。自薦・他薦が求められ、自薦で名乗りを上げた相沢博文氏が議運委員長に決まりました。
 続いて、2つの常任委員会の正副委員長を決めます。
 本会議を休憩にして、議場内で2つの委員会に分かれて協議。
 総務文教委員会は保坂良徳氏が委員長、月岡利郎氏が副委員長。産業社会委員会は松尾が委員長、斉藤康夫氏が副委員長と決まりました。
 この結果、総務文教委員長の保坂氏、産業社会委員長の松尾、副委員長の斉藤氏が議事運営委員会の委員となりました。(総務文教副委員長の月岡氏が議運に入らないのは、すでに議運委員長に決まっている相沢氏が総務文教委員会所属であるためです)。
 この他、村等から委嘱される各種委員会・審議会等の委員の選任、北信広域連合議会議員等の選挙(議長の推薦指名への全議員の同意による)が行われました。

 

■ これらの議会構成の手続きをどう見るか
 これでようやく、議会構成がすべて決まったわけです。ここまでで午前11時半頃になりました。
 なんだか「手続き」が煩雑に感じられるかもしれませんが、議会が村民の負託に応え得る公明正大な運営をできるかどうかを大きく左右するものですから、きちんと規則等に則って、このように行うことが必要かつ重要であると思います。

 5月22日の臨時議会は、この議会構成の他に、村長提出の議案もありましたので、議会構成が終わった段階で昼休憩とし、午後1時半から村長提出議案の審議を行いました。本会議終了後、村長提出の議会全員協議会もありましたので、会議全体が終了したのは午後3時少し前でした。

 

   「初議会はどのように行われたか」――少し長くなりました

   が、かなり詳しく書きました。上に記したように、今後の議

   会運営のあり方を左右する重要な手続きであり、村民のみな

   さんによく理解しておいていただくことが大事だと思うから

   です。

 

 

☆ 福祉医療費給付金条例の一部改正について

 午後の本会議で村長提出の議案4件がありましたが、その中の1件、「栄村福祉医療費給付金条例の一部を改正する条例の制定」について、日々の暮らしにも直結しますので、説明します。
 お子さんをお持ちの方には馴染みが多い条例です。
 改正されたのは給付対象者を決めるうえで重要な定義に関わる条項です。
 1点目は、「乳幼児」の定義です。これまで「出生の日から満6歳に達する日以降の最初の4月1日までの間にある者をいう」とされていましたが、下線部が「3月31日」に改められました。この給付金は県の制度と密接に関連していますので、長野県の定義に合わせるようにしたものです。
 2点目は、「児童生徒」の定義です。
 まず、「小学校入学時から満18歳に達する日以降の最初の4月1日までの間にある者」の「4月1日」が「3月31日」に改められました。
 もう1点。「18歳以上20歳未満で高等学校その他村長が認める施設に在学若しくは在校中の者(高等学校を卒業した者を除く。)」が、「児童生徒」の定義に加えられました。
 これは病気等で高校進学が遅れた人が高校在学中に満18歳に達したために福祉医療給付金を受けられなくなることがないようにするためです。
 該当する人の数は多くないかもしれませんが、当事者にとっては重要な問題です。
 なお、「18歳を超えて高校等に在学」となる理由の解釈には幅があると思いましたので、その点、質問して、担当課長の答弁をいただきました。議事録に残りますので、今後、この条例の解釈をめぐって議論が生じた場合の判断基準となると思います。

 


☆ 浄化槽と農集の「経営戦略」について
 このテーマは、22日午後の本会議終了後、「議会全員協議会(村長提出)」で説明・協議が行われたものです。
 正式には、「栄村特定地域生活排水処理事業経営戦略」並びに「栄村農業集落排水事業経営戦略」といい、いずれも平成29年度〜38年度の10ヶ年計画です。
 これは議会の議決を要する「計画」の類ではありません。したがって、あくまでも「こういう経営戦略を策定しました」という理事者側(役場側)の報告にとどまります。ただし、議員はいろいろ質問・協議することができます。

 

■ 平成33年度(4年後)に3%の使用料値上げを予定
 それぞれA4判で18頁もある文書ですが、村民に関わる最重要事項は、浄化槽使用料、農集使用料ともに、平成33年度に3%の値上げが予定されていることです。
 提出された資料によれば、浄化槽使用料については、「平成29年度から平成32年度にむけて収支全体が悪化」という理由、農集については「平成33年度に施設改築や電気機械類の更新を計画」、「次の更新が見込まれる30年間でご利用者の皆様に均等に負担していただく」という理由が挙げられています。
 農集の平成33年度における施設改修等は処理場(宮野原橋近くにある)の改修で、それ自体は避けられない改修のようです。ただし、施設改修計画の中身、経費等についての精査が必要であり、平成33年度からの使用料3%値上げ計画が妥当なのかどうか、平成32年度を待たずに真剣に議論しなければならないと思います。
 他方、浄化槽使用料については、私が資料を読んだかぎりでは、「平成29年度から平成32年度にむけて収支全体が悪化」という理由付けに説得力はないように思います。これもよく検討・議論しなければなりません。

 

■ 水道や下水道の純「企業経営」化を求める国の圧力の強まり
 村の財政は、震災復旧・復興関係の交付金・補助金の基本的終了によって、財政規模が震災前に戻りつつあり、そこに村の人口減少等の要因も加わって、徐々に厳しいものになりつつあります。
 そのことをおさえたうえで、しかし、今回の浄化槽・農集使用料値上げの件は、村の財政事情に因(よ)るというよりは、国の圧力が大きな要因だと見なければなりません。

 

● 「経営戦略」策定は総務省の通知によるもの
 今回の「経営戦略」という文書、総務省の通知にしたがって策定されたのですが、コンピューターでのシミュレーションを必要とするなど、非常に専門的な文書です。栄村役場単独で策定できるものではありません。
 私が質問したところ、専門業者に委託したそうです。そして、その委託料には国の補助金が出るとのことです(私が議員になる前に審議された平成28年度当初予算に盛り込まれています)。
 国が補助金まで出して、この「経営戦略」の策定を求めるのには2つの理由があると見られます。
 第1の、そして最も大きな理由は、下水道事業(栄村では浄化槽と農集)について、税金を投入する運営から、基本的に下水道事業からの収益だけで運営する「企業経営」に変えていくことを国が追求していることです。(もう1つの理由は、こういう計画策定事業が国との関係が深いコンサル企業の儲けにつながるということです。)
 先般、国の経済財政諮問会議で安倍首相は、「地方財政の改革」を唱え、その重要な一環として「水道事業等の経営の見直し」を指示しました。水道事業等を純「企業経営」化し、税金の投入を減らし、それによって国から地方自治体への地方交付税交付金の交付額を減らそうという狙いです。
 栄村では、浄化槽・農集の会計に一般会計からの繰り入れを行なっており、また、浄化槽設備や農集設備の関係で地方債(借金)を発行しています。そして、村の一般会計の最重要の財源は地方交付税交付金であり、地方債の償還(借金返済)にも地方交付税交付金が大きな役割を有しています。
 水道や下水の事業で、国が求める「企業経営」化への努力が不十分とみなされれば、地方交付税交付金の算定で不利な状況に追い込まれる可能性があります。
 国は、森友問題や加計問題に見られるように不正かつ不適切な財政資金の投入を行なう一方で、福祉費の削減やこの水道・下水問題に見られるように、国民生活を苦しくする政策を強めています。
 ひょっとすると年内にも衆議院解散・総選挙があるかもしれませんが、私たちは水道・下水事業のような暮らしに密接な問題からも国政に対する関心を高め、的確な投票行動ができるようにしていかなければならないと思います。

 

● 村議会でもしっかり審議することが必要
 「国の圧力があるならば仕方ない」ということではありません。
 村の議会でしっかり審議し、村民の暮らしが守られるようにしなければなりません。
 これまで、こういう料金値上げは、値上げ直前に新年度予算案の中で出され、わずか2日間くらいの予算審議の中で決まってしまうというのが基本だったと思います。
 しかし、議会には常任委員会というものがあり、村長が招集する議会(本会議)が開かれていない期間でも委員会を開いて、調査や議論を行なうことができます。この委員会の活用がこれまでの議会ではほとんど見られませんでした。
今 回スタートした17期議会では委員会活動を飛躍的に強化したいと思います。福原議長もそういう考えを持っておられますし、私は産業社会常任委員会の委員長として委員会の開催を積極的に進めていく考えです。総務文教常任委員会委員長に就任された保坂良徳氏も同様のお考えです。
 浄化槽・農集について委員会での検討を行っていきたいと思います。

 


☆ 今後の議会予定
 村議会の開催には定例会と臨時会があります。定例会は、3月、6月、9月、12月の4回です。
したがって、間もなく6月定例会が開催されます。村長による招集の正式の告示はまだ出ていませんが、6月16日(金)〜6月22日(木)の予定になっています。ただし、17日(土)と18日(日)は休み、22日は予備日ですので、実際に議会が開かれるのは16日、19〜21日の4日間です。19日と20日の2日間が一般質問日になります。
 6月定例会に通常提出される主な議案は、4月の人事異動に伴う人件費の補正を主たる内容とする補正予算案です。今回の6月定例会で私が注目しているのは、4月1日に間に合わなかった温泉の共通入浴券の料金改定に必要な栄村温泉条例の改正案が提出されるかどうかです。現在の共通入浴券は9月末までの暫定的なものですので、10月1日からの共通入浴券を遅くとも9月中旬に発行するには、今度の6月定例会に温泉条例改正案を提出するのが当然であると考えるからです。
 なお、6月定例会の議事日程等を決める議事運営委員会は9日午前の開催です。ここで6月定例会に提出される議案もあきらかになり、各議員に配布されます。
 6月定例会の傍聴を検討されていて、議事日程を詳しく知りたいという方は10日以降、私にお問合せください。

 

 

☆ 各種委員会等の委員となる議員について
 議会には、村が設置する審議会や委員会等の委員を出すよう村から委嘱(いしょく)がされます。17期議会のスタートに伴い、その委員が決まりましたので、主な一覧を紹介します。
  * 総合振興計画審議会委員 ………… 保坂良徳、松尾眞
  * 農政審議会委員 ………… 松尾眞
  * 福祉審議会委員 ………… 松尾眞
  * 自然環境保護審議会委員 ………… 保坂良徳、松尾眞
  * 地域包括支援センター運営協議会委員 ………… 斉藤康夫
  * 社会福祉協議会理事 ………… 福原和人、斉藤康夫
  * 振興公社評議員 ………… 福原和人
  * 老人保健福祉計画・介護保険
   事業計画策定懇話会委員 ………… 斉藤康夫
  * 空き家対策協議会委員 ………… 保坂良徳

 

 

☆ 初当選議員研修会で安曇野に行ってきました
 5月19日、長野県町村議会議長会事務局主催で「町村議会初当選議員研修会」というものが安曇野市堀金(ほりがね)公民館で行われ、私が参加してきました。
 ここで言う「初当選議員」というのは、この1年間に初当選し、かつ研修会当日の5月19日に議員である者を指すそうです。したがって、昨年4月の補欠選挙で当選した私は該当しますが、先般の村議選で初当選した4人が議員となるのは5月21日からで、研修会の対象者外。
 研修の内容は、議員活動をすでに1年間やっていれば周知のことがほとんど。内容的に得るものはあまりありませんでした。
 参加議員は60名ほどでしたが、見たところ40〜50歳代が多いように感じました。

 

 

<「議員活動報告」の発行時期について>
 昨年5月に始めた「松尾まことの議員活動報告」ですが、当初は毎月1日を発行日としていました。しかし、昨年末あたりから議会開催日程との関係で不規則化しています。
 議会開催の後はできるだけ早く報告をお届けしたと思いますので、今後は、発行日を不定期とし、議会終了から1週間を目安に発行するようにしていきたいと考えています。定例会も臨時会もない月は月半ばを目安に発行します。
 よろしくお願いいたします。


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