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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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振興公社をどうすればよいか 〜現場で働く仲間を大事にし、お客さまとのつながりをより深く〜

 3月29日に村と振興公社の間の指定管理契約が議会で議決され、4月1日には新年度がスタートしました。1頁で紹介したように、素晴らしい春の訪れの中で、栄村・秋山郷を訪ねたいというお客さまからの予約問い合わせも入ってきているようです。
 しかし、残念なことに、振興公社の現場は満身創痍の状況で、もがき苦しんでいます。現場でお客さまをもてなす職員スタッフが絶対的に不足しています。また、浴室に不具合が発生して温泉営業を停止している北野天満温泉をめぐっては、村の対策検討の会議が4月13日に開催されるという対応の遅さで、現場は困惑しています。
 どうすればよいのか。現場を廻り、スタッフの声を聞く、また、村民のみなさんの意見や、栄村を訪れ公社施設を利用してきた村外の人たちの声も聞いてきました。
 以下、現時点で大事だと思うことを私なりに提案していきたいと思います。

 

● 経験を積み重ねてきた職員の確保がいちばん大事
 秋山郷には公社指定管理の施設が雄川閣、「のよさの里」の2つあります。
 4月1日スタートの新年度の体制では2施設合わせて職員の配置はわずか4名。しかも、秋山郷の施設での経験があるのは雄川閣の板前さん1名のみ。この体制には2つの大きな問題があります。
 1つは、「2施設で4名」ではとても管理運営できないということ。2つは、板前さん1名を除いて他の3名は秋山未経験というのでは施設の管理ポイントもよくわからないし、お客さまに秋山郷についてご案内することも充分にはできないことです。

(以下、この記事で掲載する写真は本文内容と直接には関係しないものを含みます)

 

のよさの里での雪囲い外し作業

本家と分家を結ぶ渡り廊下の雪囲いを外すには3日間かかるそうです。

設置の時は1週間かかります。10日午後撮影。

 

■ やる気でいてくれる経験者がいます
 まず、2つめの点が取り上げます。
 じつは、秋山郷の2施設で経験豊かな人材が不足しているのは、過去2年間の高橋(前)理事長体制下で不本意ながら退職に追い込まれた職員が複数名いるからです。施設の運営をめぐって「理事長」からの指示がクルクル変わる、それに物申すと最終的には仕事から外される等のことがあり、経験豊かな職員が辞めざるをえなくなったのです。
 これらの人は「秋山郷の施設を守りたい」という気持ちを今も持ち続けてくれているようです。まず、これらの人たちに振興公社に復帰していただくことが事態打開の大きなカギだと思います。
 もちろん、これらの人たちが超優秀で、何の欠点もないとは言いません。これまでの経験とあわせて、もっともっと研鑽と工夫を重ねてもらわなければならないと思いますが、それもまずは現場に復帰してもらって初めて言えることです。

 

白沢からの眺望

右奥は苗場山。その手前には上野原集落。

 

■ 「人手の確保が先か、営業収入の増大確保が先か」という問題
 つぎに、「2施設あわせて職員わずか4名」という問題を考えます。
 これも前理事長が「経費削減による赤字削減」という主張で、どんどん人員カットを重ねてきた結果です。「職員を切る一方で、理事報酬を得ているのはおかしい」という問題も指摘されていますが、ここでは「人手」「職員数」について考えます。
 人手を充分に確保することは人件費の増大を意味します。公社の現状からいえば、赤字額のさらなる増大の危険性を生み出しかねない要因です。
 しかし、人手が足らないことによって、どんな事態が生まれているかを直視しなければなりません。
 公社理事会の「新年度営業方針」では、雄川閣の宿泊受け入れは金・土とGWや秋の繁忙期のみ。のよさの里はコッテージ貸出(素泊まり営業)のみです。
 先日、偶々ですが、訪ねた先の公社施設で、職員が予約電話に対応しているところに出くわしました。「申し訳ありません。その日は営業しておりません」。予約申し込みが金・土以外の日だったのです。
 しかし、いま、観光客の主流のひとつは60〜70歳代のリタイア組です。平日か土日か、関係ありません。いや、むしろ、混雑を避けて平日をお選びになるでしょう。
 「金・土以外は宿泊営業しない」ことによって、せっかくのお客さまを逃してしまっているのです。
 たしかに、金・土以外の日に宿泊客を1組確保したからといって、全日営業するのに充分な人数の職員の人件費を稼げるわけではありません。しかし、「だから、職員数を減らして、金・土のみ宿泊営業」という方針にすることが正しいでしょうか。否、ですね。
 やはり、充分な職員を配置し、徹底的な営業で連日の宿泊客を獲得し、人件費をカバーして余りある営業収入を得る方を選択すべきだと私は考えます。

 

清冽な雪融け水とワサビ葉

撮影場所は下の写真のところ。秋山林道沿いの

不動滝の近くです。

 

 

● 営業拡大に求められること
 「徹底的な営業で連日の宿泊客を獲得…」と書きましたが、これが最重要の課題ですね。
 この課題の打開にむけて色んなことを考えなければならないと思いますが、〈人は何を求めて旅をするのか〉を考えてみましょう。
 自分自身にひきつけて考えれば、〈素敵な景色、美味しい食べもの、人との出会い〉、これが3大要素ではないでしょうか。
 栄村には、このうち少なくとも2つはありますね。素敵な景色と美味しい食べものです。ただし、私たち村民、とくに観光営業に携わる村の人に、その認識が十分にあるかといえば、「?」マークがつきます。

 

■ 素敵な景色への意識性
 「のよさの里」から見える鳥甲山の雄姿については、振興公社の職員も「素晴らしいですよ」と自慢しますが、「トマトの国」の前面に広がる素晴らしい景色については職員にそういう意識はあまりないようです。4月12日午後に撮った写真を掲載します。素晴らしいですよね。

 


 最近、公社のスタッフとそんな話をしましたが、「あまり見慣れていて、格別には意識しない」というのが直接的な原因のようです。しかし、観光の仕事に携わる者としては、それではダメです。「素敵な景色を売り込もう」という目的意識を抱いて、つねにフレッシュな目線で村のあちこちを見つめる。そういう意識性が求められます。
 12日午後、西大滝のサクラの様子を見に行った時、観光協会のスタッフと出会いました。「サクラの開花状況を見に来た」と言い、写真を撮っておられましたが、そういう動きを公社や観光協会等々が一体となってガンガンやっていくことが大事ですね。
 「トマトの国」の前面に広がる素晴らしい景色に話を戻すと、ひんご遺跡の発掘調査で「トマトの国」に宿泊されていた県埋蔵文化センターの人が、「朝、出かける前に『トマトの国』からの景色を眺めて鋭気を養い、現場に向かう」と言っておられたことを思い出します。

 

■ お客さまに声をかけ、お話をしてもてなす
   ――〈人との出会い〉の鍵

 

 今回は詳しくは書きませんが、〈美味しい食べもの〉も栄村にはたくさんあります。
 いちばんの課題は、〈人との出会い〉にあるのではないでしょうか。
 「むらのばあちゃんとお茶のみして楽しかった」というようなことがどんどん実現されれば、それに越したことはありませんが、観光の営業の拡大にとって真っ先に求められる〈人との出会い〉はそれではないと思います。観光に訪れた人たちにとっての〈人との出会い〉の最前線に立つのは旅館等の宿泊施設のスタッフです。
 その点をめぐって公社が運営する宿泊施設の現状はどうか?と言えば、課題は多いと言わねばならないのではないでしょうか。ネット上での「口コミ評価」を見ると、雄川閣への高い評価が見られますが、今号で取り上げたスタッフの異動の中で、高い評価を維持できるかどうか、心配です。
 〈お客さまに満足していただける人との出会い〉を実現していくには、2つの課題の打開が必要だと思います。
 1つは、スタッフ数を十分に確保し、スタッフがお客さまとお話したりする時間を確保できるようにすることです。たとえば、今回記しているように雄川閣へのスタッフの配置が2名程度にとどまるならば、スタッフ自身にはどんなに意欲があっても、お客さまと話す時間を確保できません。
 2つは、スタッフがお客さまへの関心を高め、お客さまの気持ちや関心を知ることと、それに応える話のネタを豊富に用意しておくことです。これには個々のスタッフの意識性が求められると同時に、スタッフの間でのミーティングやお客さまおもてなしに関するワークショップなどを頻繁に行うことが大事だと思われます。

 

何の花でしょうか?

秋山林道・不動滝のそばに賑やかに咲き誇って

いました。そばにマンサクの花も咲いていまし

たが、それとは異なるものです。

 

 

 〈振興公社をどうすればよいか〉というテーマで書いてきましたが、ここで議論してきたことは、振興公社関係者にどういう取り組みが求められているかということに尽きることではありません。私たち村民全体がどういう問題意識を持ち、公社の職員スタッフと共に力を合わせて、こういうことに取り込んでいこう!という呼びかけです。是非、みんなで考えてみましょう。

 

白沢から白瑤瞭を望む

 

 

 


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