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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.346(10月1日付)

 

中条川はいま、どうなっているか

 9月18日、「治山工事に関する説明会」という県北信地域振興局林務課治山林道係主催の会合が夜7時半から役場2階大会議室でありました。中条川での災害復旧工事に関するものです。私は中条川下流に住む地元住民の一人として参加しました。そして、そこでの説明をうけて、9月26日午後、No.5谷止工(治山ダムの一種類で、大雨時などの土砂の急激な移動を抑えるもの)の建設現場を施工業者(川中島建設)現場代理人・片野道男さんに案内していただき、見てきました。上写真はその時に撮影したものです。
 みなさん、あまりご覧になったことがない眺めだと思います。
 写真左手前にわずかに見える水の流れが当日の中条川の流れです。写真の両側には高い崖がそそり立ち、その奥に礫状の堆積物や赤い色の斜面が見えます。これが1号崩壊地の埋塞土(まいそくど)です。国道117からも見える1号崩壊地の崩壊斜面とこの写真の地点位置関係は次の写真イをご覧ください。

 

写真イ


 写真イの真ん中やや下のが1頁の写真を撮った地点です。
 No.5谷止工がどんなに大変な場所で実施されているか、お分かりいただけたと思います。
 現場の様子をもう少しご覧ください。

 

写真ロ

 

写真ハ

 

 写真ロは建設途中のNo.5谷止工を上流側から撮影したものです。写真左手に見える黒色の太いパイプは川の水を流す仮設工です。
 写真ハは写真ロの右下に見える作業員の様子をクローズアップして撮影したもの。
 このNo.5谷止工の完成時の高さは、写真ロの左側に見える部分の現在の高さの3倍になります。
 また、写真ハに見える3人の作業員が行っている作業はソイルセメントというもので谷止工の本体を築造するものです。生コンを遠くから運んでくるのではなく、現地で発生する砂利とセメント等を撹拌混合したもので、ソイルセメント工法と呼ばれます。No.5谷止工の場合、少し下流の減勢工(セルダム)のところの砂利を採取しています。長距離運搬の必要がないですし、中条川に堆積する土砂を減らすことにも役立ちます。
 このNo.5谷止工建設現場の2015年夏の写真が私の手許にありました。次の写真ニをご覧ください。

 

写真ニ

 

 写真ニの撮影日時は2015年7月19日です。1頁の写真と比較すると、随分と様子が変わっています。2011年3月の地震に伴う山腹崩壊と、2013年9月16日の台風18号豪雨に伴う土石流発生に対する復旧治山事業(林務課所管のもので、1号・2号崩壊地と、トマトの国横までの渓流部が対象。トマトの国横より下流は建設事務所所管の別の砂防事業)は昨年度までに総額20億1千万円を投入して、治山ダムの築造等が行われてきました。様子も変わるはずです。

 

● 今後、中条川はどうなるのか?
 では、「中条川の安全はほぼ確保された」と言えるのでしょうか。残念ながら、「Yes(イエス)」とは言えません。
 さらに2枚の写真をご覧ください。

 

写真ホ

 

写真へ


 写真ホはNo.5谷止工築造現場の上部の中条川の流れを撮影したものです。また、写真へは1号崩壊地に向かう道路上から撮影したものですが、写真下方の青色マークの所がNo.5谷止工現場上の土嚢が積まれているところ、そして赤色マークの所が写真ホの箇所です。
 これに加えて、次の写真トもご覧ください。写真トは写真へに見られる1号崩壊地直下の中条川の流れを上流側から撮ったものです。

 

写真ト

 

 写真ホ〜トの3枚から分かることは1号崩壊地の脚部(1号崩壊地崩壊斜面の下に当たる部分で、中条川が流れている部分)には、7年前の地震による山腹深層崩壊で川の流れを堰き止めた埋塞土がまだたくさん残っていて、それがかなり不安定な状態にあることです。雨が降れば、写真ホに見える流れのすぐそばの岩や礫、土砂が流れ出ることはあきらかです。大雨となれば、土石流被害を引き起こしかねないです。その被害を食い止めるために谷止工等が施工されているわけで、一定の被害防止効果があると思います。
しかし、いちばん望ましいことは1号崩壊地脚部の堆積土を取り除くことです。昨年度は排土工という工事が行われ、一定量の堆積土(約1万9千㎥)が搬出され、今年度も写真トの地点よりもさらに上流のところで排土工(約1万5千㎥)が実施されますが、1号崩壊地脚部にある堆積土全体の半分に満たない量にとどまります。
 そして、写真トの周辺は、昨年10月の台風時の大雨で右岸の堆積土(写真トの右側に見える茶色の土の部分)で崩壊が起こり、それ以降、この辺りは重機も入れられない不安定な状態になっているとのことです。
 そんな中で、中条川の災害復旧工事が来年度(平成31年度)に予定されている工事をもって打ち止めになることが、9月18日の説明会で判明しました。東日本大震災復旧・復興期間の終了との関係だそうです。そのため、昨年度の段階で工事計画に入っていた対策工事の一定部分が「将来計画」に変更されました。「将来計画」とは平成32年度以降に実施するということではなく、「現段階では予算的裏付けはなく、将来、災害の危険が高まった場合などに施工を検討する」という位置づけです。
 率直に言って、非常に不安です。1号崩壊地内には森集落の水道と森開田用水の送水管が通っています。1号崩壊地の安定化が実現しきれないまま、県の対策工事が終了となれば、豪雨時の土石流発生が心配ですし、森の水道・用水の送水管の保守・安全が危うくなりかねません。
 中条川の安全をどう確保するか。状況を十分に把握し、県・国との協議を詰めることが必要です。今回のレポートに続き、県林務課への聞き取りなどを行い、地元住民の話し合い、村への要望等にむけて、さらに問題提起を行っていきたいと考えています。


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