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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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野々海池と野々海水路について

 1頁に記したとおり、6月2日、野々海水路の普請が行われました。
 野々海水路の春の普請は通常、6月の第1日曜日に行われます。野々海水利組合の共同作業で、野々海水路の水を使用する白鳥、平滝、横倉、青倉、森の5つの集落から必要な人数が出ます。
 今年の普請をめぐって関係者は大きな不安を抱いていました。というのも、今春は野々海の雪消えが遅く、1週間前の段階では、十分な普請の作業ができるかどうか、なかなか確信をもてなかったからです。ちなみに5月24日の野々海池は次の写真のような状況でした。

 

 


 池のほとんどはまだ雪に覆われていました。上2枚目写真は池のそばにある水番小屋の入口の様子です。小屋の扉は上に開けるものなので、この雪の状態では開けられません。「6月2日には残雪は減って、開けられるだろう」とは思いましたが、他にも、標高が高いところの水路がまだ雪の下にあって、十分な作業ができないのではないかという不安は拭(ぬぐ)えませんでした。
 幸い、24日以降の1週間、気温の高い日が多く、随分と雪が消えてくれました。下の写真は普請当日、小屋の扉を開けた後の様子です。おかげで2日の普請は求められる作業を概(おおむ)ね終えることができましました。

 


 さて、今号と次号の2回にわたって、この野々海池と野々海水路について基本的な事柄、野々海池・水路の維持をめぐる諸問題をご紹介したいと思います。

 

● 野々海池の貯水量はオリンピック用プール545個分
 野々海の話をすると、「野々海池って、貯水量はどれくらいですか?」と尋ねられることがしばしばあります。私自身はデータを見たことはありますが、スラスラと数字を口にすることができません。数字よりも何よりも、10年以上にわたって野々海に頻繁に足を運んでいて、その水量の凄さは体感として感じとっていて、数字にはあまり関心をもたないからです。でも、野々海について人に伝えるには、やはり数字がスラスラと出てこなければいけませんね。今回、改めて文献にあたってみました。『栄村史水内篇』です。
 あくまでも計画値ですが、「有効貯水量 136万582?」とあります。しかし、こういう数字だけ見ても、どんな量なのか、実感をもって理解することができません。面積を表すのに「東京ドーム〇個分」という言い方がよくされるので、こんなことを調べてみました。「オリンピックで使用できるプールの水量って、どれくらいなんだろう?」と。
 オリンピックサイズのプールは長さ50m×幅25m×深さ2mで、2,500?の水が入るそうです。すると、1,360,582÷2,500=544.2328で、野々海池の貯水量はオリンピックプール約545個分となります。なんとなく「凄いなあ」と思えるかなと思いますが、いかがでしょうか。

 

● 野々海水路はどれくらいの長さがあるのか?
 野々海池の水は先に記したとおり、水内地区の5つの集落の水田に野々海水路で送られます。野々海池は標高1,020mに位置しています。そこから標高300〜500mにある水田まで山の中を通って水を送るのですから、野々海水路は相当の長さに達するだろうと容易に想像されます。でも、数字を見てみましょう。
 「幹線水路総延長19,502m(4路線、隧道4か所)、支線水路9,209m(内隧道4ヶ所)」とあります。

 

 

 


 これは『栄村史水内篇』259頁に掲載されている計画地図です。
 「溜池」と記されているのが野々海池。「隧道(ずいどう)」はトンネルのことです。手掘りされました。
野々海池を出てすぐにある1号隧道を出た直後、1号幹線水路から3号幹線水路が分岐します(第1分水点)。3号幹線は白鳥に向かいます。次の写真が1号隧道出口の6月2日の様子です。

 


 1号幹線はその後、4号幹線水路を分岐します(第2分水点)。4号幹線は平滝と横倉に向かいます。下の写真で手前に見えるのが第2分水点、先に延びる道の下に1号隧道を出た水路が流れています(水路を木で蓋しています)。

 


 この後、1号幹線は第2隧道に入り、円筒分水点に至ります(下写真)。ここで森集落に至る水と青倉集落に至る水(2号幹線水路)が分かれます。

 

 


 この後の1号幹線と2号幹線の特徴の1つに、途中、自然河川を水路として使用していることがあります。森に至る途上での東入沢川と、青倉に至る途上での西入沢川上流です。
 冬の期間は止められていた水を以上の幹線水路に通せるようにする作業が、今年は6月2日に行われた野々海水路の普請なのです。

 

 幹線水路だけで全長約20km。その維持・管理は大変なことです。

 野々海池の築堤工事と水路掘削は国の事業として行われ、その所有権は事業を国に代行して実施した長野県にありました。その後、栄村に譲渡され、現在は通常の維持・管理は関係農民で作る野々海水利組合が行っています。水利組合が維持管理を続けていくうえでの課題は何か。それを次号で考えてみたいと思っています。

 


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