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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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遊水地整備は大きな決断。我が事として注目しよう。

 今回の「緊急プロジェクト」では、千曲川流域の4ヶ所(ただし、犀川の1ヶ所を含む)で《遊水地の整備》が打ち出されました。
 これはきわめて重要なことで、私は非常に強い衝撃をうけ、かつ、感心しています。
 本紙No.372(12月23日付)で報告したとおり、私は昨年12月22日に千曲川沿いを佐久市まで辿ってみました。私の1つの目的はじつは、〈佐久市〜千曲市の間に遊水地を確保することができるか〉を実地見分(けんぶん)することにありました。ただ、千曲川沿いに住宅が多いところなどは立ち退き問題が生じますし、農地の場合も地権者の了承を得ることの大変さが念頭にあり、No.372では遊水地のことを真正面から書くことはできませんでした。日和見(ひよりみ)であったと言われれば、そのとおりだと思いますが…。
 私が「遊水地が必要」と考えたのは、千曲川の源流部〜佐久〜千曲市間の勾配と、長野市より下流域の勾配の大きな違いです。千曲川が流れる地域の標高の差を示す図を再掲します。上流での勾配率1/50、長野盆地〜飯山盆地での勾配率1/1,000〜1/1,500という数字に注目してください。

 


 長野盆地等で氾濫させないためには、1/50を下ってくる大水を途中で少しでも貯留させて、「いっきに流下する」ことを食い止める以外にないと思います。
 「緊急プロジェクト」で打ち出された佐久市と千曲市の「遊水地整備候補地」を見てみましょう。

 

 

 

 いずれも候補ゾーンだけが示され、「遊水地の位置、対策内容については、今後の調査・検討等を踏まえ、決定する」と但し書きされています。
 佐久市の候補ゾーンはじつは私も「ここは候補地だなあ」と思っていたところです。No.372の冒頭写真で示した場所の周辺です。農用地が主たるゾーンですが、幹線道路の国道141号線が通っており、また佐久市の新興市街地も近いところです。
 千曲市の候補ゾーンは次の写真で示すあたりです。千曲川の水位を知らせる時に「杭瀬下(くいせけ)」として出てくるところです。 

 

千曲橋上流左岸から撮影。写真右奥に市役所新庁舎が見える。

 

左岸堤防内側すぐの所に住宅

 

千曲市市役所新庁舎


 このゾーンの河川敷にはスポーツ施設等があります。これは台風19号の際には水没しました。しかし、この河川敷だけでは十分な遊水地の確保はできません。そこでさらに千曲川沿いの地域に目を向けると、「遊水地の確保は大変だなあ」というのが私の実感でした。なぜなら、堤防のすぐ内側には住宅が密集しています。また、右岸には昨年8月に新築オープンしたばかりの千曲市役所庁舎があります。

 以上のような状況ですので、「緊急プロジェクト」で遊水地整備が打ち出されたのは本当に大きな決断だと思います。
 千曲市役所周辺の浸水については、「その原因が霞堤にあるのではないか」という見方が市長から出されるなど、論議があります。2月2日の信毎によれば、千曲市は台風19号での浸水をコンピューターで解析するシミュレーションを行うとしています。きわめて冷静で的確な措置だと思います。その結果も踏まえて、遊水地をどのように確保するか、慎重に検討されることを望みます。と同時に、千曲市から遠く離れた栄村でも、この問題を他人事としてではなく、我が事として受けとめ、考えることが必要だと思います。そうしたことによってこそ、《上下流一体となった治水対策》が可能になるのだと考えます。

   *霞堤:堤防のある区間に開口部を設け、その下流の堤防を

    堤内地側に延長させて、開口部の上流の堤防と二重になる

    ようにした不連続な堤防。
 なお、中野市・飯山市で検討される遊水地は、立ヶ花狭窄部と戸狩狭窄部での河床掘削との関係で必要不可欠になるものだと思います。今回は詳しく触れることができませんが、この箇所についても我が事として受けとめ、考えていくことが必要だと思います。