プロフィール

profile
栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

カテゴリー

categories

サイト内検索

Search

カレンダー

calender
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>

最近の記事

selected entries

最近のトラックバック

recent trackback

月別アーカイブ

archives

栄村関連リンク

links

携帯用QRコード

mobile
qrcode

ブックマーク & RSS

Bookmark&RSS

松尾まことの議員活動報告No.39(3月11日付)

森川村政は大失敗
〜3月定例議会であきらかになったこと〜

 

 議会3月定例会は令和2年度一般会計予算などの議案を審議し、3月10日に閉会しました。この議会を通じて浮き彫りになったのは、森川浩市氏の村政4年間が大失敗だったことです。今号では3月定例会の焦点となった4つの問題に絞って報告と解説を行います。

 まず、予算の採決に先立つ《討論》での私の発言の全文を紹介します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 令和2年度一般会計予算案の採決にあたり、賛成する立場の意見を表明します。
 これは、予算案を審議しながら、ここ数日間、考えに考え抜いて行なった苦渋の判断です。
 本予算案の審議を通じて明らかになったように、栄村の財政状況は、令和3年度においては恒久的諸政策の財源確保の見通しが立てられないという危機的な状況にあります。
 この危機の原因は何でしょうか。ここ数年、震災復興等関連予算により最大時、通常財政の2倍以上に膨らんだ村財政を平時の財政規模に戻すことが必要になっている中で、平時財政にソフトランディングさせることに失敗したことが原因です。
 そして、それは森川村長が、十分な財政検証をすることなく、放漫財政を続けたからこそ生じた事態です。

 

 森川村長は今議会で、財政が厳しい状況であることは認めました。定例会冒頭の施政方針も、財政状況を反映して抑制的な基調でした。
 しかし、事もあろうに予算審議議会開催中の8日あたりから、「森川こういちのお約束」というタイトルのチラシを村の各世帯に撒き始めました。このチラシは公職選挙法に抵触している可能性が限りなく大であるものです。このチラシで、本定例会での質疑内容に反することが書かれています。一例を挙げます。「農業経営について」の項で、「近年農業形態が、集落営農型および法人営農型に代わりつつあるため、農機具への助成制度を新設し、省力化を推進いたします。」
 森川村長。集落営農への農業機械導入を助成する制度は、平成31年度予算で、多くの集落の要望を背景に私共議員が求めたにもかかわらず、あなたが「資金がない」ことを理由として、打ち切った施策ではありませんか。そして、これから採決する令和2年度予算では、従来からの農家支援策も満足にはできないことが明らかになっているではありませんか。
 議会での審議内容、村長自身の答弁内容に反する、こんな無責任な「公約」を宣伝するというのは、いったい、どういうことなのでしょう。このチラシはただちに撤回していただきたい。
 あなたに令和2年度予算の執行を委ねることはできません。
 これから採決される令和2年度一般会計予算は、森川村長のための予算ではありません。栄村村民のための予算です。
 村長選挙を1ヶ月半後に控え、本来ならば、暫定予算、いわゆる骨格予算にとどめるべきでした。しかし、今から暫定予算に組み替えるのは時間的にも厳しいと考えます。よって、本予算案を村民のための予算として成立させたいと思います。
 審議を通じて、いくつかの費目・政策については、執行の留保、見直しを求めています。担当の課長のみなさんにはその点をしっかりとお守りいただけるようにお願いします。

 また、需用費等の執行において、財政状況に鑑みて、最大限の経費節約を求めました。村の財政の危機的状況をまだ皮膚感覚的に十分には受け止め切れていない発言が一部の課長さんからはありましたが、今回の予算審議等を充分に反芻(はんすう)して、これまでとは異なる感覚での予算執行にあたっていただきたいと思います。課長のみなさん。あなた方の双肩に村の財政の命運がかかっています。村民に奉仕する立場にあることを改めて再確認し、職務を遂行してください。
 以上で、討論を終わります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 保坂良徳議員、斎藤康夫議員も同様趣旨の討論をしました。他方、島田伯昭議員は森川村長を全面支持する趣旨での討論をしました。

 

◎ 栄村の財政はどういう状況にあるのかを説明します
■ いきなり30億円を切った一般会計予算
 令和2年度の栄村一般会計予算は総額29億5,800万円です。
 栄村では9年前の震災後、復旧・復興関係で予算(財政)規模が大きく膨らみました。しかし、復興関係の大きな事業も終わり、森川村政がスタートした頃から、通常の予算規模に戻すことが課題となっていました。森川氏が初めて予算編成した平成29年度予算は35.6億円、平成30年度は37.1億円、平成31年度(令和元年度)は32.2億円です。
 森川氏は平成31年度予算をめぐる議論の中で「通常の予算規模は30億円台前半」という認識を示していました。ところが、今回の予算はいきなり30億円を切り、29億5千万円。予算書を受け取った時(2月21日)、率直に言って、驚きました。
 何が起きているのでしょうか?

 

■ 家計に置き換えて説明してみます
 億の単位の話では村民のみなさんには馴染みにくいかと思いますので、家計に置き換えて説明してみたいと思います。
 一般会計予算約29億5千万円というのを、我が家の年間予算が295万円だという話に置き換えます。
 ただし、給料などで得られる年収が295万円あるということではありません。所得は295万円もないのですが、1年間の経費として295万円が必要だという話です。

 

    《支出》1年間の暮らしに264万円が必要。

        その他にローンの返済が31万円ある。
        両方を合わせて295万円。
    《収入》所得は233万円。貯金を35万円取り

        崩す。さらに新規のローンを27万
        円組む(借金)。

 

 こんな状況です。かなり苦しいですね。ローンの返済の一方で、新たなローンを組むというのは借金を返すために新たな借金をしている状況だとも言えます。別の言い方をすれば、年間295万円の家計ですが、ローンのことを考えると、実際は268万円の家計だといえます。所得が来年以降増える見込みは基本的にありません。そこで、大きな問題になってくるのは、「貯金の取り崩し」がいつまで可能なのかです。
 じつは、ここに大きな危機があります。我が家にはA口座とB口座という2つの貯金があります。A口座貯金は、病気や災害で所得が減った場合に備えるものです。令和2年度末の時点で77万円という見通し。これは災害で家が壊れるというような非常事態さえなければ、いましばらく持ちこたえられそうです。しかし、B口座貯金は震災に際して実家から特別にもらったお金を貯蓄したもので、令和2年度スタート時点では約13.4万円強あるのですが、これからの1年間で11.7万円取り崩してしまい、年度末には1.7万円になってしまいます。
 このB口座貯金、もとは25万円あったのですが、年々の生活費の一部に充てるために取り崩してきました。この貯金は震災に際して実家から特別にもらったお金が元になっているので、今後、増えることはありません。
 しかし、このB口座貯金の取り崩して日々の暮らしに不可欠な支出に充ててきたので、来年度以降、これまでの暮らしを維持するにはおカネが足らないということになります。

 

■ 「復興財政」頼りの財政の破綻
 B口座貯金、村の財政では「栄村震災復興特別基金」というものです。これが何に使われているのか、主なものをあきらかにします。
     集落活動支援金、人工透析通院支援、高校生等通

     学費補助金、予防接種事業、起業支援事業、新規

     雇用奨励事業、住宅リフォーム支援、若者定住マ

     イホーム支援、空き家活用等事業、集落公民館改修

 村の重要施策、そして森川氏が自らの「4年間の実績」と自慢している施策の財源です。令和3年度以降、これらの施策の財源がなくなるのです。質疑で課長が「財源をなんとか探したい」という苦しい答弁をされていましたが…。
 なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。
 「栄村震災復興特別基金」とは、元は、国が栄村の震災復興のために10億円を県を通じて供出したものです。当初は、村が復興に関わる重要事業の計画を県に提出し、県がその計画を了承した場合に、お金を村に渡していました。しかし、震災から5年を経て、平成28年度、県は残額の2.5億円を村に渡し、村が自主的に計画的に使うことを認めました。
 この2.5億円の使い方を、村、とくに森川村政は間違ったのです。本来は1回限りの「復興のための特別な事業」に充てるべきお金を、毎年必要となる事業(=恒久的事業)の財源に充ててしまったのです。原資が2.5億円の使い切り資金を恒久的事業の財源に充ててしまったのです。言いかえれば、「復興財源」に頼り切り、通常財政のあるべき姿の追求を怠ったのです。
 財政に通じている役場職員は、森川村政の財政運営のこういう問題性に気づいていたようです。でも、森川氏は職員の意見に耳を傾ける人ではありません。さらに、森川氏は4年前の選挙の際、「私は課長経験者。係長しか経験していない人とは違う」と自慢していましたが、残念ながら、役場で財務関係の部署で仕事をした経験がありません。「村の財政は、財務関係の部署を経験しないと分からない」と言われます。
 私はおのれの不明を恥じます。議員を4年間務めさせていただいてきて、満4年目を前にしてようやく村の財政の本当の姿が分かってきた次第ですから。
 今回の3月予算議会を前にして、過去の予算書も引っ張り出しながら、予算書を徹底的に読み込みました。ギリギリ間に合ったとも思います。4月に村長選があるからです。村長選では、この村財政の深刻な状況をしっかり頭に刻み込んで、私たちは賢明な判断をしていきたいと思います。

 


◎ 中山間第5期、ふるさと納税・農家支援策をめぐる問題
 3月議会では、一般質問と予算審議で、4月から始まる中山間地域等直接支払の第5期への村の準備・対応、ふるさと納税寄付金=農業振興基金の大幅減少(1億2〜5千万円から2,200万円程度に減少)と特A米加算金の廃止・農家支援策のあり方が、議論の大きな焦点の1つとなりました。

 

■ 議会直前に慌てて県に問い合わせた森川氏
 栄村の農業にとってとても大きな意味を有する中山間地域等直接支払制度。4月から第5期に入りますが、「集落戦略」の作成が求められるなど、内容が大きく変わります。各集落協定の責任者などが役場に「どうなるのですか?」と問い合わせても、回答は「国の制度がまだ届いていない」の一点張り。役場の対応への村民の不満と不安が高まっています。
 森川氏は4日の上倉議員の質問に答えて、「県に問い合わせた」と答弁しました。そこで、私は5日の一般質問で、「県に問い合わせたのはいつですか?」と尋ねました。すると、驚くべき答弁が出てきました。「一般質問の質問要旨通告を受けてから」というのです! それは2月下旬ということです。森川氏は議会一般質問の通告がなければ、栄村の農業にとっての大問題に関心をはらわず、調査や勉強をしていないのです。農水省のHPで数年前から公表されている「集落戦略の記載例」も森川氏はご存じありませんでした。

 

■ 稲作農家に玄米1俵2万円を保証する対案の検討を求めました
 ふるさと納税・稲作農家支援で森川氏が令和2年度予算案で示したのは、「ふるさと納税収入は2,200万円。返礼品としてJA米を購入するなどJAに854万円の委託費を支払う。農家には総額1千万円を上限に作付面積に応じて1反当たり5千円の支援金を出す」というものでした。
 「1反5千円」とは、1俵当たりわずか700円。これでは稲作農家はとてもやっていけません。私は、「返礼品としてJA米を購入するのではなく、農家から白米1俵3万円で購入。その代わり、返礼米発送は農家のみなさんにやってもらう(→村内の農事組合法人等への作業委託も可能)。他方、ふるさと納税で得られる収入のほぼ半額1千万円強は、農家によるお米の直売強化にむけての経費等の支援に充てて、栄村のお米のブランド販売を強化する」という対案を提案しました。この対案は玄米1俵2万円を農家に確実に保証することを目的としています。
 森川氏はこの対案の検討を農業委や農政審議会等に相談すると答弁しました。
1俵わずか700円の補助にとどまる村の案は少なくとも6月まで凍結して、ふるさと納税の真に有効な活用法をみんなで編み出していきましょう。これも4月の村長選の結果次第ということになります。

 


◎ 農産物直売所の指定管理更新をめぐる問題
 3月定例会には「栄村農産物販売所の指定管理者の指定について」という議案が提出されました。直売所かたくりの施設管理のことで、栄村農産物販売所出荷運営組合を指定管理者にするものですが、なぜか期間が1年間に限られています(従来は5年間)。どうやら、森川氏は物産館と直売所の経営統合を進めたいようです。
 また、指定管理に関する村と組合の協定書には「指定管理料支払い」の条項があるにもかかわらず、村は組合に補助金200万円を出すとして、指定管理料を決めていません。今議会に村が当初提出した「のよさの里」の指定管理協定では、事業収入がわずか400万円に過ぎないのに、550万円もの指定管理料を支払うとしているのとまったく対照的です。
 私は、指定管理制度及び指定管理料について、2018年9月定例議会で森川村長が答弁した村の基本方針を示しながら、「なぜ、村は指定管理料を支払わないのか」と質問しました。私の論旨は明解でしたが、森川氏は質疑の途中から、「議員が何を質問しているのか、分からない」と言って答弁を拒否、さらに、「議員は組合員か?」と尋ね、私が「設立当初から組合員です」と答えると、「議員の質問は利益誘導だ」と言って、私を攻撃しました。私が出荷運営組合の組合員であることは議員資格にまったく抵触しませんし、利益誘導にも該当しません。自分が答弁できなくなったら議員を攻撃する。まったく村長としてあるまじき態度です。
 森川氏は村長就任以来ずっと、直売所かたくりを敵視しているとしか思えない態度をとり続けています。農家が自らの農産物を自分が考えた価格で販売できる直売所は農家を元気にする大事な施設です。店長の小林さんが急逝された中、必死で頑張っている直売所を私はさらに応援していきたいと思います。

 


◎ 下高井農林高校の存続を願う意見書を可決
 3月定例会には多くの請願書・陳情書が提出されました。その中の1つが、「下高井農林高校を地域キャンパス(分校)化ではなく、現在のまま存続を求める請願」です。
 この案件は重要案件として、付託先の総務文教常任委員会での審議に先立って、3月4日の議会全員協議会(議長提出)で闊達(かったつ)な議論を行いました。首長らで構成される「岳北地域の高校の将来を考える協議会」は、「飯山高校、下高井農林高校の2校が存続が困難な場合は、下高井農林高校を地域キャンパス(分校)とする」という意見書を1月14日に県教育委員会に提出しています。しかし、高校生、父母、地域住民からは「議論が不十分」という批判の声が上がっています。そういう中での請願書提出です。
 議会は請願を採択したうえで、「県教育委員会が3月中に決定する第2期高校再編第一次分に岳北地区を含めないことを求める」という趣旨の県知事、県教育長宛の意見書を全会一致で可決しました。
 なお、3月定例会冒頭の教育施政方針で、石沢教育長は「飯山高校、下高井農林高校の2校存続を第一義とする」旨をあきらかにしています。議員の中にも、「首長・行政が決めたことに反する意見を議会が決めるのはどうか」という躊躇(ためら)いがあったようですが、住民の声に耳を傾けることこそ議会の使命です。議員として、議会として高校再編問題、下高井農林高校の存続・発展について、さらに勉強し、研究を深め、議論を進めていきたいと思います。

 

 

◎ 議員は何をしてよいか、何をしてはいけないか
   ――村長選をめぐって
 村長選挙が近づいてきています。
 その中で、議員が立候補予定者などと一緒に村内世帯を挨拶廻りする姿も見られます。村民の方から質問を受けます。「あれは、いいんかい?」と。私は選挙管理委員会でもありませんし、警察でもありませんから、断定的には言えませんが、常識的には「個別訪問禁止」に抵触する可能性大ですね。
 議員が村長選に関わることそのものは禁止ではありません。どういう村長が望ましいか、自分の考えをあきらかにすることはまったく問題ありません。しかし、議会、議員は行政を監視する責務を負っていますから、候補者ベッタリというのはよくないと思います。
 議員は3月定例会で浮かび上がった森川村政4年間の功罪について、自らの見解を表明したうえで、日々の議員活動を行うことが求められます。

 

 

◎ ようやく見えてきた議員活動のあり方
 3月定例会では、千曲川の湯滝橋〜十日町市中里の間が国の直轄管理ではなく県管理になっている(いわゆる「中抜け区間」)状況を解消するよう求める意見書も可決しました。この意見書を考えるため、2月の全協で、この「中抜け」の法的背景などについて私が調べたことを報告・説明させていただきました。
 また、6頁に記したふるさと納税・農家支援についての対案、今後、全協の場でより詳しく議論する機会を得たいと思っています。また、議会は昨年11月、福島県猪苗代町見祢集落を訪れ、集落営農の発展方法、農産物の販売等について学びました。その成果を活かすためにも、全協で議論し、よりよい政策を形成していくことが求められます。
 長野県飯綱町の議会改革が有名ですが、私は議員5年目を迎えて、ようやくですが、議員がどういう役割を果たしていくべきか、具体的に見えてきた感じがしています。
 「議会でこういうことを議論してほしい」ということ、是非、ご意見・ご要望を積極的にお寄せください。