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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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震災10周年にむけて、この1年をどう歩むか

 

 震災9周年の3月12日夕、森宮野原駅前で点火された「3・12栄村」の灯です。今年は新型コロナウィルス感染防止のため、灯明祭は中止され、灯りの点灯のみが行われました。小雪の中、コツコツと準備して下さった相澤さん、有難うございました。

 

● 「震災10周年」をめぐる議会でのやりとりから
 3月3日〜10日の栄村議会3月定例会に提案された「令和2年度栄村一般会計予算」の中に、「栄村震災復興の集い」200万円という項目がありました。予算説明資料には「講演会、子ども達の発表、復興列車の運行等を予定。ご支援いただいた方などへ、感謝のメッセージを発信」とあります。200万円の内訳には「報償費60万円」とあります。随分と高い講演料を要する人でも呼ぶのでしょうか。
 《震災10周年にあたって、栄村はどういうメッセージを出すのか》、このことがまったく議論されていませんので、私は「一体、どういうことを考えているのか」と質問しました。答弁は「庁内検討会議を立ち上げた」というものでした。庁内会議での検討も結構ですが、震災から10年、「どういう復興を実現できたのか、実現できていないのか」を村民全員参加で議論し、検証することが必要だと思います。

 

● テレビ番組を見た感想
 東日本大震災(地震・津波・原発事故)から9年、コロナのニュースに押されたといえども、今年もテレビ・新聞では数多くの特集がありました。
 違和感を覚えるもの、共感するもの、「大事なことだなあ」と思うもの、さまざまでした。
 違和感を覚えたのは「風化させないために」というセリフでした。震災の語り部を始めた人を紹介する企画などでアナウンサーが多発した言葉でしたが、番組で語り部から語られた言葉は、あの悲惨な災害を自身がどう受け止め、心の整理をしていくかをめぐるものでした。その心の深層の苦闘を受け止めているとは到底思えませんでした。「〇周年」の時だけニュースに取り上げることが震災報道であるかのように取り扱っているメディアのあり方こそを反省することが求められているのではないかと思います。
 「大事なことだなあ」と思ったのは、役場職員40名が命を失った岩手県大槌(おおつち)町役場の震災検証の取り組みを追いかけた3月8日夜のNHKスペシャルです。地震発生から大槌町役場が津波に襲われるまで35分の時間がありました。しかし、役場では職員の避難行動が行われなかったのです。「なぜ、夫は命を失わなければならなかったのか」という遺族の問いかけに対して、町役場は長い間、答えることができませんでした。
 検証作業が始まったのは約1年前。番組の内容をここで詳しく紹介することはできませんが、震災当時の防災担当職員で現在は町長を務める平野公三(こうぞう)氏は講演の中で、「役場は住民の避難に責任を有するが、同時に職員自身の命を守るための行動を予め計画しておかなければならない」という趣旨の話をされていました。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、その点を明確にしていなかったからこそ、40名もの役場職員の命が失われたのです。非常に重要な問題です。
 こうした問題が明らかになったのは、震災(津波)から8年の歳月を経て、検証作業がおこなわれたからです。
 栄村でも震災時、消防団が大活躍してくれましたが、では、消防団の活動がしっかりと記録・検証され、村(役場)の今後の防災対策に活かされているかと問うと、まったく不充分だと言わざるをえないのではないでしょうか。昨秋の台風19号の千曲川氾濫への対応を振り返ると、「消防団任せ」の色合いが濃厚で、村(役場)の対応には問題が残っているように思います。そういう視点も持ちながら、9年前の震災対応について改めて検証・教訓化が求められていると思います。

 

台風19号時に第一線で活躍する消防団の姿

 

● 震災復興計画を基に復興の検証を
 来年の10周年にあたって、「栄村の復興はどこまで進んだか」をどう報告するか。ただ漠然とムード的な議論をしても意味がありません。やはり震災から2年目に策定された栄村震災復興計画を基準として、何が進み、何が進んでいないのかを明確にしていくことが最も妥当な方法だと思います。私は議会で問題提起していきたいと思います。また、みなさんから様々なご意見や思いを聞かせていただき、いろんな問題を浮き彫りにしていきたいと思います。みなさん、是非、ご意見をお寄せください。