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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告No.43(4月10日付)

村の財政をさらに詳しく見てみます
〜森川村政下で財政状況はどう変化したか〜

 

 前号(第42号)は大きな反響をいただいています。
 写真で示したものが「小さくて見えにくい」という声もいただきましたなので、「普通会計決算収支」を見やすく提示し、さらにより詳しい説明もしたいと思います。

 

(上記数字の単位は千円)
(△は赤字を示します)

 

 この表は、村が作成・公表している「普通会計決算財政分析」の平成27年度〜30年度分をまとめたものです。
 普通会計とは一般会計と特別会計(公営事業会計を除く)を合算したもので、両会計で重複している分は相殺済みの金額です。
 上の表をご覧いただければお分かりいただけると思いますが、普通会計の収支について、3種類の数字があります。


   e実質収支、f単年度収支、j実質単年度収支の3種です。


 eの実質収支は、「歳入歳出差引額から翌年度繰越財源(事故繰越、繰越明許繰越)を控除したもの」です。繰越になった事業の歳入は決算額に含まれているのに対して、歳出には含まれていないので、翌年度繰越分を歳入歳出差引額から控除しないと、黒字が実際よりも多く出ることから、当然の計算法です。ここで言う「実質収支」の「実質」というのは、歳入には計上されているが、執行は翌年度に繰り越され、決算の歳出には含まれないものを除外して「実質」の収支差引額を提示するという意味です。


 fの単年度収支は、「実質収支から前年度の実質収支を差し引いたもの」です。
 たとえば、H29年度の実質収支は1億7,252万9千円の黒字。対して、H30年度の実質収支は2億2,386万5千円。したがって、2億2,386万5千円−1億7,252万9千円=5,133万6千円の黒字となります。


 以上のe、fに比して、jの実質単年度収支は、非常に大きな意味を有しています。
 単年度収支の黒字要素である積立金等と、赤字要素である積立金取崩額を加減したものだからです。行政の財政は単年度主義ですが、企業会計における貸借対照表(バランスシート)に相当するものがやはり必要です。つまり、現金・預金財産の実際の増減をみるのです。それがjの実質単年度収支です。
 H30年度の場合、f単年度収支5,133万6千円+g積立金8,894万4千円+h繰上償還額0円−i積立金取崩額5億8,027万2千円=△4億3,999万2千円で、大きな赤字です。
 さらにH27年度まで遡って見ますと、H27年度(島田茂樹村政最終年度)が2,146万5千円の黒字であるのに対して、5月中旬に森川村政となったH28年度は277万2千円の赤字、そしてH29年度に赤字額が一挙に膨らみ、4億4,742万7千円もの赤字になります。さらに、上記のとおりH30年度は4億3,999万2千円の赤字。
 急坂を転げ落ちるように、財政状況が悪化していることがわかります。
 そして、その原因が「積立金取崩」にあることは明白です。

 

● 歳入は減っているのに、歳出を減らさなかった森川村政
 なぜ、森川村政下で、「積立金取崩」が増え、実質単年度収支が赤字化してきたのか?
 1頁の「歳入」欄と「歳出」欄を見てください。
 「歳入」はH27年度の約41億円から、H28年度=約40億円、H29年度=約38億円、H30年度=約39億円と減る傾向にあります。
 それに対して、「歳出」は、H27年度の約36.7億円と変わらぬ約36億円規模がH28〜30年度も続きます
 歳入が減っているのに、歳出を減らさなければ、財政が悪化することは必然です。

 

● 「資料作成」を職員任せにして、自らは財政のきちんとしたチェックをしていないのではないか
 ここまで紹介・説明してきた数字はすべて、村役場が作成した「決算財政分析」に示されているものです。
 毎年9月の決算議会(9月の定例議会)に提出されます。前年度の一般会計決算書、特別会計決算書と共に議会に提出されます。提出権者は村長です。
 ただし、「決算財政分析」は「資料」として議会に提出されるもので、議員が質問しなければ、村側が口頭で説明することはありません。

 

 問題は、森川氏がこのような「資料」を自らの権限・責任で提出していながら、ここに示されている数字の意味するものをしっかりと考えているのか、です。
 そこで、私が気になっていることを提示します。本「議員活動報告」第41号で示した本年の3月定例議会での私の一般質問に対する森川氏の答弁です。

 

私は、「財政状況を判断するには基金残高と公債残高の比率が大事だ」と指摘したのに対して、森川氏は、「財政調整基金と減債基金を足したものと公債残高、やはり資料関係については、職員にも色んなものを作れといって頼んでおります。また今言った関係の資料については、データにして、過去から始まって今後の推計もある程度のところで作ってありますので、それを含めて考えていけばしっかりとした議員の言われるものが出てくるのではないかという考えでおります」
 要は、「職員に資料を作れ」と言うだけなのです。
 職員は、村長にいちいち指示されなくても「決算財政分析」をきちんと作成しています。問題は、その「決算財政分析」を村長がどう受け止めるかです。

 

● 財政の再建を真剣に追求しなければなりません
 既報のとおり、新年度(R2年度)一般会計予算は30億円をきりました。森川氏が「財政状況の悪化」を真剣に考えて歳出規模を抑制したというよりも、「無い袖は振れない」というのが実際のところだったのだと思われます。
 私たちはすでに来年度(R3年度)のことを考えなければなりません。
 森川氏は私の一般質問に対する答弁の中で、「30億前後で行かないと企業が潰れる、今の福祉政策などすべてに狂いが出る」と言い、30億円規模の予算を維持すべきだとしています。
 しかし、どう逆立ちしても、基金取崩と公債発行を除く純歳入は23億円程度しかありません。私はいま懸命に考えていますが、ギリギリの事業見直し・節約をして、約25億円の予算規模が必要になるとみています。一定の借入(公債発行)を避けることはできませんが、絞りに絞る必要があると思います。

 

 非常に厳しい話ですが、「村には明日の希望がないのか?」と言えば、“明日の希望”はあります。村民が、そして役場職員が率直にモノを言えて、いろいろと知恵を出し合える環境が生まれれば、希望への扉は開かれると私は確信しています。
 新型コロナウィルス感染症の拡大防止に努めながら、村民みんなの力を合わせて、頑張っていきましょう。