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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.386(6月8日付)

 

これはどう見ても中山間直接支払の対象地でしょう!
  *写真は原向の農道沿いの田んぼ

 

●「一団の農用地」とは何を指すか? ――中山間直接支払第5期をめぐる重要なポイント
 5月下旬、中山間地域等直接支払制度の各集落協定代表者を対象とする役場の説明会が開催されました。
 この場で、集落代表者から集落のある農地を「直接支払制度の対象地として認知してほしい」という要望が強く出され、第4期までの従来方針を堅持する役場担当者との間での議論は膠着状態になりました。(その後、非公式の議論で事態は改善に向かっているようです。)

 

● 「一団の農用地」の定義が重要
 国(農水省)は、中山間地域等直接支払制度の『実施要領』並びに『実施要領の運用』という文書を公表しています。どういう農地を対象とするかなどを定めた、非常に重要な公文書です。
 上記の役場と集落協定代表者の論議の膠着をうけて、『要領』と『運用』を読み込みました。その結果、集落協定代表者の要望が制度趣旨に合致していることが明確になりました。
 両文書は、中山間地域等直接支払制度の対象となる農地について、「生産条件が不利な地域の一団の農用地」としています。そして、その「一団の農用地」について、次のように定義しています。
   「(a)農用地面積(畦畔及び法面面積を含む)が1ha以上

   の団地又は(b)集落協定に基づく農用地の保全に向けた共

   同取組活動が行われる複数の団地の合計面積が1ha以上のも

   の

    (a、bという表記及びゴチック体による強調は引用

     者が便宜的に入れたもの)
 栄村での中山間地第5期への取組を強化する、そして集落営農システムを強化していくうえできわめて重要なのが(b)の定義です。
 たとえば、月岡集落の場合、「農事組合法人ゆりい」を結成して、月岡集落内の田んぼすべてを対象として共同活動に取り組んでいます。他方、前号で台風被害からの復旧・田植えを紹介した後川原の農地、従来は上の(a)要件(=後川原の団地だけで1ha以上あるか)を満たせないため、中山間直払の対象地として認定されてきませんでした。だが、月岡では後川原を含むすべての田んぼで共同取組を行っていますから、(b)の要件で後川原も完全に中山間直払の対象となるのです。

 

● 原向でも重要な打開を図れます
 さて、冒頭の写真をご覧ください。水路そのものが階段状になっていて、この一帯の農用地がまさに傾斜地であることがわかります。
 しかし、第4期まで、この農道の左手の田んぼは中山間直払制度の対象となっていません。勾配が交付金支給対象の「1/20以上」を満たしていないというのです。でも、農道の右側は対象地になっています。
 下写真が農道右側の田んぼの様子ですが、農道に沿う方向での勾配ではなく、農道にいわば垂直な方向で勾配を測ると1/20以上の条件を満たすというのです。

 


 しかし、農道を境に左右を分断するのは、先の「一団の農用地」の定義の(b)に反します。さらに、交付金対象農用地の条件には、「勾配が1/100以上1/20未満」や「高齢化率40%以上かつ耕作放棄地の数式による算出比率」によって市町村長が対象農用地と判断できるというものもあります。
 原向地区では、この間、中山間直接支払制度の対象ゾーンと非対象ゾーンの分断の結果、中山間の集落協定の対象地と多面的機能支払制度の対象地とが合致せず、水路の改修などをめぐって大きな困難に直面してきました。

 

● 加算金制度も積極活用を

 

 

 上写真は森集落の開田(山の田んぼ)の最上部です。田んぼと田んぼの段差が凄いです。これはあきらかに勾配率が1/10以上の超急傾斜地です。10a当たり6千円の加算金の対象となります。
 他にも、「集落協定広域化加算」や「集落機能強化加算」など5つの加算金制度があります。単に「もらえるお金を増やそう」ということではありません。加算金を活用して集落営農システム強化の資金を少しでも多く確保していこうということです。

 

 4月村長選でも大きな論点となった集落営農の強化。高齢化が「超」のレベルで進行する栄村にとって喫緊の最重要テーマです。6月議会定例会に臨む各議員の一般質問要旨通告を見ると、このテーマを“冷めた目”で見ている議員も見受けられるように感じますが、ちょっとおかしいと思います。
 中山間直払制度が言う「条件不利」とは、単に勾配率と農作業における条件不利という狭い話ではなく、「高齢化が進展する中で平地に比べ自然的・経済的・社会的条件が不利な地域」を指します。そして、その地域が「国民の生命・財産、豊かな暮らし」を守るうえで重要だと位置づけているのです。コロナ対策でも重要視される豊かな自然がある地域、栄村の存在意義を大いに発揮し、中山間直払第5期に積極的に取り組んでいきましょう。