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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩み 号外

 新潟・福島の大雨が大変なことになっています。栄村は隣接地域でありますので、村外の方からはご心配いただいていますが、これまでのところ栄村の雨量はさほど多くなく、災害は発生しておりません。

 午前6時25分に栄村に土砂災害警戒情報が出されました。午前8時56分更新の長野地方気象台の発表では、「30日夜のはじめ頃まで土砂災害に警戒して下さい」となっています。
 気象庁の予報では、栄村地域での雨はこれから午前11時半頃に最も激しくなると予測されています。
 
 土石流が心配される中条川について状況をお知らせします。
 午前9時過ぎに「トマトの国」裏に設置されている中条川土石流対策の現場事務所を訪ねてきました。
 職員が溜水池付近と「トマトの国」上方の2地点の監視モニターカメラを常時監視していました。職員の話によれば、「一時、警戒レベル(3時間の連続降雨量が30mmを超える)になったが、現在は注意レベル(3時間の連続降雨量が15mmを超える)に下がっている」とのことでした。


中条川の「トマトの国」付近の様子を撮影しました(9時13分撮影)。

 今回の大雨が降り始める前に比べれば水量は増えていますが、とくに危険な状態ではありません。
 
 千曲川(信濃川)の宮野原橋にも行ってきました。
 千曲川上流はさほどの大雨ではありませんので、千曲川の水位がさほど上がっておらず、流れも穏やかです。ただし、宮野原橋手前で千曲川に合流する志久見川はかなり増水し、激しい流れになっていました。

 
千曲川に合流する志久見川        千曲川の様子(写真右手の流れ)


宮野原橋から信濃川を見る        以上、撮影は9時22分
 
 なお、新潟ではこの後、浸水した家屋の片付け等、災害復旧作業が必要になってくると思います。
 栄村ネットワークは、震災救援で多くのボランティアの方々にご支援いただいたお礼の意味も込めて、今後、新潟への災害復旧ボランティアに取り組む準備を始めています。
 (了)

栄村復興への歩みNo.60 (通算第94 号) はじめに

  • -
  • 2011.07.29 Friday
雨が続き、昨日28 日はかなりの大雨でしたが、みんさん、大丈夫ですか。お互い、二次災害に十分に警戒したいと思います。

村営住宅希望者は山古志に見学に行きました


竹沢の復興住宅団地の集会所にて

 村営復興住宅への入居を希望している青倉の人たちが28日、山古志の復興住宅の見学に行ってこられました。私も同行させていただきましたので、その様子をお伝えします。
 見学参加者は村営住宅入居希望者が6名、自宅の再建・新築を考えておられる人が1名、そして青倉の区役員3名など計12名です。

 今回の見学会は、震災以降さまざまなご支援をいただいている?中越防災安全推進機構の阿部巧さんに仲介していただき、長岡市役所山古志支所の平澤東さんにご案内・ご説明をしていただきました。


集落にすっかり馴染む復興住宅
 見学会では旧山古志村の村内をバスで巡り、集落の中に実際に点在している復興住宅の様子を見ました。まず、いろんな集落にある復興住宅の姿を紹介しましょう。

 
 油夫(ゆぶ)集落にて(真ん中の家)   木籠(こごも)集落にて(左の2軒)
 むらの家らしい建物で、山古志の雰囲気、景観にしっくり馴染んでいる様子がわかると思います。(他の集落でも見ることができましたが、車を運転していたため、撮影箇所が限られてしまいました。)

復興住宅のいくつかのタイプ
 
  2戸1棟タイプ            1戸1棟の高床式タイプ
 
 
長屋タイプ            長屋タイプは2戸毎に間があいている

 見学された高齢の人たちの間では、1戸1棟タイプで高床式でないものが人気でした。つぎに紹介するモデル住宅では玄関手前に数段の階段があるのですが、そこを「スロープにして車いすの出入りを容易にしてもらえると有り難い」という要望が出ていました。


住宅の内部
 復興住宅には実際に住人がお住まいですので、モデル住宅で建物内部を見学させていただきました。
 このモデル住宅は、単に村営住宅だけでなく、「山古志らしい住宅を、できるだけ安い価格で建てるには、こういうモデルがありますよ」という趣旨でつくられたものです。

 モデル住宅は1,200万円で建てられています。費用を抑えるために2階は造作がされていません。お子さんやお孫さんが一緒に住まれる場合、そしておカネができたら間仕切りや内装をすればいい、それまで高齢者夫婦二人なら1階部分だけで十分に間に合うという考えによるものです。(山古志の「村営」住宅は1,200万円よりももう少し経費がかかっています)

 
1階の台所と居室            流しは備え付け。手前のテーブルは別誂え

 
お風呂とトイレ(1階)         台所から玄関を見る

 1階の台所部分は吹き抜けになっています。吹き抜けの表側部分に明かり窓が大きくとられています。高床式でない場合、積雪期間、1階が暗くならざるをえませんが、この明かり窓からは自然光が入ります。

 
吹き抜け。2階から台所を見る           吹き抜けの明かり窓
 
 
造作がされていない2階            2階への階段
 

参加者のみなさんの感想
 参加者のみなさんは実際に復興住宅を見て、どういう村営住宅が望ましいか、具体的なイメージが湧いてきたようでした。

 山古志の復興住宅にプラスして希望されることは、
* 1階への出入りの完全バリアフリー化(車いすでの出入りがスムーズ)
* 車庫を設けてほしい
の2点のようです。

 バリアフリー化は容易に対応可能だと思われます。車庫は家屋内に設けると建設費が跳ね上がりますので、住宅脇に共同車庫を設けるのが賢明なのではないかと思います。


自力再建される人へのヒント
 復興モデル住宅は、村営住宅だけのモデルではありません。自力で家を再建(新築)される人のためのモデルとしてもつくられています。
 ポイントがいくつかあります。

 1つは、建築屋さんが組合をつくり、施主はそこに発注するというシステム。これですと、材木などをまとめて発注できるので、経費を抑えることが可能になります。山古志では村役場が呼びかけて建築屋さんの共同組合がつくられたそうです。


 2つは、「B級県産材」を使っていることです。
 上の写真をご覧ください。柱に節(ふし)のある材が使われています。一般には柱には節のない材を使いますよね。しかし、見えをはらずにこういう材を使うと安くあがります。建物の強度等には影響ありません。参加者の人たちは、「節がある方が模様になっていいね」という感想を話しておられました。

 自力再建をお考えの方は、たとえば集落の仲間で共同して大工さん(グループ)への発注をする、B級県産材を使うなどの工夫をすると、経費を数百万円単位で節約することができるのではないでしょうか。
 

集落でプランを練り上げることが大事
 モデル住宅を見学したところは「竹沢団地」というところで、復興住宅が1ヶ所にたくさん建てられているところでした。そのため、参加者から、「もっと集落の中に分散して建ててもらいたいのだが…」という質問が出されました。

 長岡市役所の平澤さんからは、「集落で1ヶ所が精一杯」というご返答でしたが、私の印象では、質問者の意図と平澤さんの受けとめの間に少しズレがあったように思います。
 平澤さんの意図としては、「自分の家の跡地に自分が入る村営住宅を建ててくれ」という要望は通らないということが言いたかったのではないかと思います。

 それに対して、質問された方の意図は、「青倉集落は広い。その中の1ヶ所に村営住宅をまとめて建てるのではなく、2ヶ所くらいに分けて建ててほしい」という意味だったのではないかと思います。
 私はそれは十分に可能だと思います。

 大事なことは、建設場所、入居希望者などを集落でよく検討し、集落内での村営住宅建設の具体的プランを集落の側から役場に提案していくことです。
 そのために、集落の役員だけでなく、入居希望者が集まって、意見交換し、入居者の要望を具体的に集約していくなどするのが望ましいと思います。

 
アルパカ牧場(油夫集落)にて


昼食は農家民宿「三太夫」さん(虫亀集落)でいただきました


4集落以外の村営住宅希望者の声を集めよう
 いま、村は「森、青倉、横倉、小滝の4つの集落に村営住宅を建てる」方針をあきらかにしています。同時に、「希望があれば他の集落にも村営住宅を建てる」ことも表明しています。
 他方で、4つの集落以外の人で自力再建が困難な人が「1軒でも建ててもらえるのだろうか」という不安、疑問をもたれているという声が聞こえてきています。

 たしかに集落で1〜2軒だと、声もあげにくく、困られていると思います。そういう方は青倉や小滝のお知り合いに是非、ご相談ください。また、私共に声をかけて下さっても結構です。電話は080−2029−0236です。

 また、近いうちに、山古志の見学会をもう一度やりたいと考えていますので、その際は是非、ご参加ください。


素敵な田舎料理
 

若者住宅、Uターン・Iターン住宅としての活用
 今回の見学会でもう1つ話題になったのは、「村営復興住宅を若者用の住宅などとしても使えないか」ということです。
 山古志の場合、7年近く前ですが、建設段階ではそういうことは考えられなかったようです。しかし、最近、空き家が出てきて、活用法を検討されているようです。


竹沢団地からの眺め

 栄村の場合、震災前から若者用住宅の不足が問題になっていること、震災後、栄村ファンとなって移住を考える人が増えてきていることなどから、当初段階から村営住宅の若者住宅、Uターン・Iターン者用住宅として、集落に2戸1棟程度、余裕をもって建てることを検討することが求められます。


地震で沈んだむら・木籠(こごも)集落
芋川の河道閉塞で水没した家がそのまま残されています

 復興住宅としての村営住宅は災害復旧法に基づくもので罹災者以外の入居は不可能ですが、復興住宅の建設と合わせて村独自の村づくり施策として復興住宅仕様の村営住宅を建設することは可能だと思われます。
 村の積極的な姿勢、集落側からの積極的な提案が大事だと思います。

東北巡りの旅から


 東北の被災地を巡っていて気になったことの1つは、田んぼに散乱する小さなごみです。大きなガレキはまとめられていますが、小さなごみは散乱したまま。それらはプラスチック製のものなどなので、自然に腐って土に戻ることがありません。大きなガレキの処理法も課題ですが、田んぼの小さなごみも大きな問題だと思いました。


 これは石巻市の泉町というあたりです。高台のため、津波の被害がまったくありません。見づらいですが、坂の下に日本製紙の大きな工場があり、そこは全面被災で操業再開は9月になるそうです。標高の差が被害の大きな違いを生み出します(下の写真は日本製紙工場近くの住宅地)。



栄村復興への歩みNo.60 後記

  • -
  • 2011.07.29 Friday
「栄村復興への歩み」は3 月12 日の地震発生当夜から松尾真(現在、横倉仮設住宅在住)が個人責任で書いているレポートです。

連絡先:aokura@sakaemura.net

住宅再建でお悩みの方々へ

 最近、住宅再建の問題をめぐってお悩みの方のことを耳にすることが再び多くなってきました。
 とくに、村が村営住宅の建設を明らかにしている森・青倉・横倉・小滝の4集落以外の集落の人が困っておられると聞きます。「たとえ1軒だけであっても、村は村営住宅を建ててくれるのだろうか」という疑問、不安です。
 
 たしかに集落で希望者が1軒だけだとすると、役場に申し出るのに躊躇することもあると思います。大事なことは一人で悩まず、村営住宅を希望している人たちと繋(つな)がることです。
 青倉や小滝で村営住宅建設の問題に関わっている人たちをご紹介します。是非、ご一報ください。

 また、旧山古志村の復興村営住宅を実際に見ることも役立つと思います。28日には青倉の村営住宅希望者が、29日には小滝の村営住宅プロジェクトチームがそれぞれ山古志に見学に出かけます。それぞれ1〜2名であれば追加参加が可能ですし、近日中にもう1回、どの集落の人でも参加できる見学ツアー(参加費無料)を実施します。是非、ご参加ください。

        
旧山古志村池谷の復興住宅(写真左の建物)

住宅再建へ、さまざまな工夫

 このレポートの村内配布を担当してくれている山内拓也さんから、「泉平にドーム型車庫で住宅をつくっている人がいますよ」と聞き、26日午後、カメラを持って拝見しに行ってきました。


 大工さんのお許しを得て、建物内部を撮影させていただきました。上の写真は裏側の窓から撮影したもので、正面奥に見えるのが玄関です。
 この写真を見るかぎり、普通のお家ですよね。


 このお家の外観はこちらの写真のとおりです。まさにドーム型車庫です。
 大工さんに、「ドーム型車庫をこのように住宅として建てた事例はこれまでにありますか?」とお尋ねすると、「いや、聞かないね。初めてだと思う」とのご返事。
 この後、向かいの家に仮住まいされている施主の南雲政信さんをお訪ねしました。


政信さんは大正8年生まれで、間もなく92歳になられます。とてもお元気です。「いろんな人が見にくるよ」と仰っていました。
 政信さんは、農業一筋で生きて来られました。「もちろん、若い時はこのあたりの人みんなそうだが、土方には出たよ」と元気に話されます。
 こういう元気なお年寄りとお会いすると、こちらも元気になってきますね。


青倉の事例2つ

 続いて、青倉での住宅再建の工夫の事例を2つ紹介します。
 1つは、コンテナハウスを活用し、きちんと基礎をつくり、屋根もつけて、立派な恒久的住宅をつくったものです。
 国道117号線の北沢橋北端のところから青倉集落に入るとすぐに右手にあります。


写真1

 写真1のお家ですが、これだけ見ると、普通に建てたお家だと思われるかもしれません。ここには6月中頃まで写真2の家がたっていました。
 元の家を解体された際、基礎をそのまま残し、その上にコンテナハウスを運んできて設置され、さらにその上に屋根をつけられたのです。基礎が少し高くなっていますが、道路から玄関にかけてはスロープがつくられ、出入りしやすくされています。また、基礎が高くされていますので、建物は平屋ですが、雪対策もできています。


写真2 中央に見えるクリーム色の外壁の家 


写真3

 もう1軒は写真3のお家です。
 このお家はもとは2階建てです。1階部分はまったく問題がないのに、地震で2階だけ傾いてしまいました。
 ご主人はずいぶん悩まれたようですが、専門家とも相談され、2階部分を取り除いて、1階だけで再建する決断をされたのです。ご夫婦だけの世帯ですので広さは十分です。また、写真3に見られるように「地下」になっている倉庫が1階の下にありますので、1階建てでも雪対策は大丈夫です。


写真4 
写真4はクレーンを使って2階部分を取り除く作業がされているところです。

このように住宅の再建にはいろんな工夫が可能です。お互いにいろんな事例を知り、学びあうことが大切だと思います。


北沢橋の修復工事の最近

 北沢橋は元の橋脚の廻りを補助橋脚で取り囲む作業が進んでいます。その様子を写真でご覧ください。

写真イです。
以前の状態を撮影した写真ロ、ハと比較してみてください。
 


写真ロ(7月10日撮影) 

         
写真ハ
(4月28日撮影)

 写真ハでは橋脚の真ん中にクラックが入り、鉄筋が出ています。写真ロはクラック部分に薬剤を注入し終え、大型車の通行も再開して補助橋脚の設置作業を開始した段階です。


【情報公開について】

 ところで、私はこの北沢橋の復旧工事を含む災害復旧工事に関する情報公開について、このレポートで問題を提起し、県にも意見を伝えてきました。
 その結果なのか、上の写真のように、国道117号線の復旧工事に関する「お知らせ」の看板が7月初め頃からでしょうか、立てられています。一歩前進だとは思うのですが、この立て看板、ご覧になった方はおられますか? 立っているのは宮野原橋の村側の駐停車スペースのところです。気付いて車を停め、見るという人はほとんどいないと思われます。
 内容は復旧工事の中身が丁寧に説明されていてわかりやすいものです。これをきちんと読めば、栄大橋〜北沢橋の間をきちんと徐行運転しようという気持ちにもなると思います。
 村の人は是非、一度、車を停めてご覧ください。
 こういう看板を工事を行っている青倉集落に立てるとか、内容は同じでいいのでプリントして地元集落−村内に配るようにしてはじめて本当の情報公開だといえると思います。
 

栄村点描―泉平、小箕作川

 本レポートNo.54(7月13日)で泉平集落を紹介しましたが、その際、泉平の位置を説明するのに苦労しました。そこで、昨26日、泉平集落の全体を見ることができる地点に行って写真撮影してきました。まずは、その写真をご覧ください。


 写真右手の山の上に見えるのが泉平集落です。この写真は平滝から野々海に向かう道路の途中から撮影したものです。泉平集落の手前直下の谷は小箕作川です。その手前に尾根がありますが、その尾根の手前が千曲川です。泉平集落と小箕作川の谷、千曲川の関係をクローズアップした写真は次頁をご覧ください。
 写真中央下のやや左寄りに小箕作川が谷から平地部分に出てくるところが見えます。箕作集落の人がたくさんの田んぼをやっておられます。その様子も紹介します。


写真手前に千曲川と平滝の田んぼが見えます。




 上の写真の川が小箕作川。そのむこうに見えるのが小箕作川と千曲川の間の尾根。小箕作川に沿って、沢のかなり奥まで田んぼがあり、しっかり耕作されています。