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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.110 (通算第144号) 12月27日

今日は村外の方々へむらの大雪の様子をお知らせすることから始めます。
 
 大雪
 全国的には23日頃から大雪のニュースが伝えられていましたが、栄村で本格的に降り始めたのは24日の夜からでした。
 私は22日昼〜26日昼の間、仕事で村を離れていましたが、むらにいた人の話では24日などは日中、晴天だったようです。しかし、24日の夜から本格的な降雪になり、一晩で80cm近く積もったといいます。そこから今日一杯、ほぼ降りっぱなしという感じです。
 いくつか写真を紹介します。

 写真真ん中に赤い鳥居が見えます。柳在家のお宮です。鳥居は半分近くが雪に埋まっています。お宮に向かう道は雪で閉ざされていて、近づくことができません。


 27日朝、仮設住宅で2回目の雪下ろしをしましたが、棟と棟の間の道路が屋根から落とした雪で完全に埋まっています。


 秋山の小赤沢(こあかさわ)の民家です。秋山もこの2日間、随分と降ったようです。今日の昼前に行ってきました。
 
 うんざりするほどの雪です。
 天気予報などからすると、ひとまずは今夜までのようですが、午後11時半現在、まだ降り続いています。そして、年末年始は今回の大雪ほどではないものの、やはり雪模様の天候のようです。
 

栄村点描

 村の景色は大雪ですっかり変わりました。私が村に通うようになった2005年の12月中旬過ぎ。どこを見ても白一色で、どこがどこだか、さっぱりわからなかったときのことを思い出します。

●  泉平

 泉平の広い田んぼを見渡したものです(26日午後)


秋の収穫期に撮影したもの(9月28日朝撮影)と見比べてみてください。

 泉平をもう1枚。お宮の様子です。
 

  
上が26日で、下はやはり9月28日撮影です。


● 青倉

まず、9月9日に撮影したものをご覧ください。


 こちらが27日朝。9月の写真の左手前のコンクリが見えるところに新しい建物の鉄骨の骨組みが出来ていますが、それを除くと9月のものとほぼ同じところです。すっかり白黒の墨絵の世界になり、前方の山などは見えません。


●除雪に励む人たち
 むらの人たちの冬の大仕事はなんといっても“雪掘り”です。
 栄村では「雪かき」という言葉は通じません。機械除雪がまだ無かった頃、除雪といえば、家よりも高く積もった雪を掘って、家を掘り出すような感じであったことから「雪掘り」と言われるようになったようです。現在はそれほどのことはありませんが、やはり「雪を掻く」と言うよりも「雪を掘る」と言う方がピッタリきます。

泉平の85歳のかあちゃん(26日)


柳在家の関沢さん(27日朝)


仮設住宅の私と同じ棟で暮らす島田金治さん
(担いでいるのは雪掘りのスノーダンプ)


同じく仮設の隣人・江口亮一さん。
(昨年は腰が悪くて、雪害救助員の援けを借りていたが、今冬は自ら除雪に精を出している)


●常慶院

 箕作にある常慶院は300年以上の歴史を誇る名刹。非常に立派な本堂がありますが、それだけに屋根も大きく、その屋根から落ちてくる雪の量は半端ではありません。
 正面に見えるのが本堂ですが、右側の同じ高さの建物から落ちた雪の多さがよくわかります。

● 百合居橋

 「落雪注意」の看板にご注目ください。大雪になると、千曲川に架かる百合居橋の鉄骨の上にもかなりの雪が積もります。これが走行中の車の上に落ちてくる危険も。この橋梁の鉄骨の上の雪を除雪する場合もあります。


NBSニュースの栄村中継で考えたこと

 26日夕のNBSテレビのニュース、栄村からの中継でした。6時15分から7時まで45分の番組でした。民放ですので、CMが入り、全時間が栄村からの中継というわけではありませんが、かなりみっちりと栄村の震災と復興を取り上げてくれました。
 横倉仮設住宅の集会所が臨時のニューススタジオのような感じになり、私がキャスターの人の質問に答える役となりました。

 NBSでは事前に村内の200人の人にアンケートをし、50名近くの人から回答を得て、その内容が番組の中で紹介されました。
 このアンケートを私も読ませていただきましたが、考えさせられることが多いものでした。

雪が降りしきる中での中継。                     
キャスターの上小牧(かみこまき)さん(右)と大谷さん

●「老後の資金を使い果たした」という声

 いちばん深刻だと思ったのは、「家は直したが、そのために老後に備える蓄えをすべて使い果たした」というものです。
 そういうケースがあるだろうと私も思い、一度、きちんと調査しなければならないと思っていただけに、強い衝撃を受けました。
 被災者生活支援法による支援金や村に寄せられた義援金の配分などがなされていますが、何百万、いや千万円単位の費用を要した人の場合、自らの貯蓄を取り崩しての自宅修復です。若い人ならば、まだこれから稼いで貯蓄することも可能かもしれませんが、高齢者の場合はそうはいきません。本当に「老後の資金がなくなった」ということになります。

 先に報告したように、次年度以降、「復興交付金」事業が始まりますし、また、県に10億円が積まれた復興基金があります。しかし、これらは直接的に個人の資産形成につながるものに出費することはできません。
 では、このまま放置するのか。
 そういうわけにはいきません。何か工夫が必要です。

 たとえば、村独自の制度として、「被災高齢者福祉特別支援制度」というようなものを創設することはできないでしょうか。自宅修復等の実態を詳しく調べ、老後の生活資金の多くを失った方を対象として、各種負担金の免除や福祉サービスの無償提供などの仕組みを創設し、それを復興交付金事業や復興交付金を活用して運用していくのです。検討の可能性が十分にあるのではないでしょうか。東北の被災地でも同様の事例はあるでしょうから、自治体間で連携して制度の検討を行うことも追求してみるといいと思います。
 手始めに、このアンケート回答の方と同じようなケースがどれくらいあるか、民生委員さんのご協力などを得て、調査することができれば、と思います。


<後記>

  • -
  • 2011.12.28 Wednesday
 京都での3日間の仕事を終えて、26日昼、村に帰ってきました。午前6時半京都出発で、村に着いたのは12時半過ぎ。約6時間の走行でした。
 雪の様子は電話で聞いていたので、驚きはしませんでしたが、やはり栄村は雪が多いですね。

 今回は名神高速→中央道→長野道→上信越道のコースで帰ってきましたが、滋賀県彦根市付近と岐阜県大垣市付近で雪のために渋滞。それ以外はとくに雪がひどいところはなくスイスイと走れました。空模様がガラッと変わったのは豊田飯山インターのすぐ手前まで来たとき。そこからはずっと雪でしたが、「多いなあ」と感じるようになったのは、国道117で飯山の中心部を抜けたあたりから。そして、やはり栄村に入ってくると、雪の量がグンと増えました。

 今日は“雪だらけのレポート”になってしまいましたが、やむをえませんね。年内のレポートはこれが最後。年始は4日から再開したいと思っています。
 みなさま。いいお年をお迎えください。

栄村復興への歩みNo.109 (通算第143号) 12月21日

 仮設住宅で初めての雪下ろし

 21日朝、仮設住宅で初めての屋根の雪下ろしが行われました。
 今日の作業は、A棟からI棟まで8棟ある中でI棟一棟。まずは写真をご覧ください。
 仮設住宅の雪下ろしは、高齢者世帯の屋根を雪害救助員が掘る日程に合わせて、元気な住人も一緒に上がり、一斉に行うという仕組みになっています。
 今回は19日の夕刻だったでしょうか、I棟について「21日午前9時」という告知が廻ってきました。

私の隣りの部屋の元気なかあちゃんです

 今日は雪害救助員3名と住人4名が上がりました。仮設住宅は平らな屋根ですので、上がってしまえば、怖くありません。ただ、屋根が波上のものであるため、少し雪を残すように除雪しないと、スノーダンプ(除雪の道具)がひっかかってしまいます。


作業開始30分ほどでほとんど片付きました     
 
 また、玄関側は通路上の庇のような部分があって、その部分は狭いので、作業がやや危険です(下写真)。


 このように1つの棟が一斉に雪下ろし作業をするのは、落とした雪を、直後に除雪車がやって来て片づけるためです。下はその様子です。
 屋根はスッキリしましたが、通路には雪がいっぱい。

これが9時32分ですが、つぎの写真は10時31分です。
3枚組みでご覧いただくと、除雪車の威力がよくわかると思います。






 23日からは大雪が予想されています。ひょとすると、年内にもう1回、雪下ろしをすることになるかもしれません。
 

何としても工事を完工させる

 16〜20日の雪ですっかり雪に埋もれた栄村ですが、とくに道路関係で「どうしても完了しなければならない」という工事があり、今日21日も懸命な作業が続けられました。
 1つはスキー場への道です。
 スキー場手前の山崩れの箇所は工事が完了したようです(下写真)。

 青倉のお宮のあたりの村道は、法面の工事は完了し、あとは舗装のみとなっていましたが、この間の雪でストップ。明日22日からはまた雪が降るという予報のため、「今日は夜10時まで作業を続けて、今日中に舗装を終える」とのこと。夜間作業用の照明も現場に持ち込まれていました。

 道路前方、電柱の脇に夜間作業用の照明器(白い傘が被せてある)が見えます。



 2つは、前号でも報告した横倉集落に入る道です。
 国道117から入ってすぐに右折したところは20日、雪の中で仮舗装がされました。
 そして、横倉の集落に入っていく道は下の写真のとおり、道路の姿がはっきり見えるようになり、完工目前にきているようです。





 3つは、道路でありませんが、青倉公民館です。雪の中の様子を前号で紹介しましたが、今日の夕刻近くに行くと、屋根の一部が貼られ、作業員の人は「23日から雪が来るから明日中に屋根はやってしまう」と話しておられました。


写真奥の方、屋根が貼られいるのが見えます。
建物の2階床部分などに溜まった雪は明日、スノーダンプで排雪するとのことです。
 
 16〜20日にこんなに降るとは誰もが思っていませんでした。作業予定がかなり狂ってしまいましたが、作業員の方々の頑張りに期待したいと思います。


トマトの国がリニューアル・オープン


 地震、そして中条川土石流の影響で長らく営業を休止していた中条温泉「トマトの国」が19日、リニューアル・オープンしました。
 当日は「感謝いっぱい バイキング無料」ということもあり、約300名の人たちが訪れ、大変な賑わいになりました。何枚か、写真を紹介します。
 
  
テープカット      

      
挨拶する支配人の広瀬春美さん









 あまりにたくさんの人が訪れ、料理が間に合わないなどの不手際もあったようです。振興公社が栄村の観光の柱となれるよう、反省すべきはしっかり反省し、震災復興の過程で大きく飛躍してもらたいというのは村民の願いだと思います。
 

スキー場オープンへ

 「トマトの国」のつぎはスキー場です。オープンは23日。
 ここだけは雪がたくさん降って大喜びといえるでしょう。ゲレンデは十分に雪が積もり、いつでもOK!です。
 聞いたところによると、白馬や志賀高原はそんなに雪が多くないとのこと。暮らしの上では困った雪ですが、これを大いに活かしてスキー場の盛況を実現したいものです。



森林組合事務所が移転

 地震の後、白鳥の仮事務所で営業をしてきた栄村森林組合。中条の蕎麦工場跡を借り受け、新事務所として整備、19日から新事務所での営業を開始しました。場所は「トマトの国」に向かう道路の左脇。なかなかいい場所です。
 2階の事務所は広々としていて、新事業に取り組む森林組合にふさわしいものです。




 
森林組合新事務所前からの眺め


栄村点描


スキー場から苗場山方向を望む(21日午後)


小滝の観音様(写真中央の赤い屋根)