2月4日から実験的な形で除雪ボランティアを受け入れ始め、No.123(2月13日付)で受付要項も公表しました(要項はこちら「
除雪ボランティアのお申し出について」)。
そういう中で、2月25、26日の両日、群馬県労働者福祉協議会という団体50名のボランティアを受け入れました。19〜24日の好天で雪もかなり減ってきていた中でのことでしたので、「50名もの人にどこで作業していただこうか?」、随分と苦労しましたが、結果としてはかなりいい成果を出せたのではないかと思います。
25日は午前1時間半、午後1時間ほど、青倉お宮の鳥居、仮設公民館、あんぼの家、個人宅1軒の4ヶ所で作業していただきました。
こちらの写真はあんぼの家での除雪作業の様子です。
あんぼの家は1階が完全に埋まっている状態でしたが、15人ほどの人たちが入り、家の周りを掘って、上の写真のようにかなり綺麗にしていただきました。
あんぼの家の煙筒から出る薪ストーブの煙 また、この日は、あんぼの家の修復作業に携わって下さっている大工さん2名も参加して下さり、2月5日に屋根の2mちかくの雪が落ちたときに損傷した薪ストーブの煙突も修復していただけました。
●人力の素晴らしさ まだまだ実験的な段階ですが、この間の経験をとおして、いくつか重要なことが浮かび上がってきたように思います。
第1は、人の力の凄さ、素晴らしさということです。
「地上の積雪+屋根から落下の雪」で家の周りが2階まで埋まるほどになると、相当に強力なロータリーで雪を飛ばすか、重機で雪を押し出す以外にないように思われます。しかし、2桁もの人数が集まると、その雪を掘り、排雪することもできます。
高橋彦芳さんが地震被害をめぐって、
昔のように、2世代、3世代と人数も多ければ、「家も田も傷んだ。みんなでひとつ、元気出してやるこっつぉ」と言えた。しかしその元気がなくなった。老人2人きりだ、あるいは1人きりだとかでは、そういう元気が出ない。そういうところに地震が来てしまった。
と話しておられます(1月25日の青倉老人クラブ新年会にて)。
このお話と同じで、たくさんの人がいれば、「雪、なにするものぞ」という勇気と力がわき出てくるようです。
● 素人にできることもある 第2に、雪に慣れていない素人にもできることがあるということです。
これまで除雪ボランティア受入に消極的だった最大の理由は除雪作業が危険を伴うということです。
危険が大であることは間違いありません。
しかし同時に、積雪の状況や作業内容を十分に検討すれば、雪国暮らしに慣れていない人でも可能な作業があります。
屋根には雪が残っていない状況で家周りを除雪 逆に、そんなに難しい作業ではないが、高齢化で作業ができないために、家周りに雪がたまり、家の中が物理的に暗くなるばかりか、気持ちも暗くなっているケースがかなりあります。
プロである雪害対策救助員の活動、休日には除雪作業ができるむらの若い人の作業とうまく組み合わせれば、「素人」も貴重な戦力になるのです。
中越などで取り組まれている「雪掘り訓練」まで行なうことができれば、さらに大きな力にしていくことができるでしょう。
●受入、需要調査などの体制整備が急務 以上の2点をふまえたうえで、ボランティア受入の体制、ボランティア派遣を求める家を調査・把握する体制などの整備が必要だということです。
ボランティアに来た人を事務所で受け付けて、派遣先を指示すれば、それで事足りるというものではありません。スタッフが現場に付き添い、作業を指導するとともに、事故を防ぐ措置などに最新の注意をはらうことが必要です。25、26日の大量受入が可能だったのは青倉区の役員さんなどが協力して下さったからです。
そして、受入組織が村内を廻り、各家の積雪状況などを自分の目で確認し、むらの人たちと会話し、支援を必要としている人は誰かを把握していることが必要です。
また、むらの雪の状況に関する情報を不断に発信し、ボランティア登録して下さった人たちと頻繁に連絡をとりあい、村に来ていただく日程の調整などの作業も相当に大変です。
作業を終え、帰途につく支援の人たち 村の状況の十分な把握もせずに、「来てください。受け入れます」などと言うのは無責任もいいところです。
今冬はヤマを越えたと思いますが、来冬にむけて、栄村でも除雪ボランティア受入の体制を本格的に構築していく必要があると思います。このことは行政においても課題として意識していただきたいことです。
● 交流−村外村民の拡大の新しいパターンとして もう1つ、重要な視点があると思います。
むらと都市住民の交流を拡大する機会として冬の雪を活用することです。
除雪ボランティアは、実際の除雪作業で支援していただくという意義だけでなく、「豪雪のむら・栄村」を体験していただき、「雪国のくらし」への理解を深めていただき、年間を通していろんな機会にむらを訪れて下さる〈村外村民〉を増やしていくことにつながるという意義があります。
大久保集落で雪の壁の雪庇落としを体験(13日) 栄村の震災からの復興の課題として、多くの村民の方々が〈交流〉、〈観光〉を挙げておられます。雪の季節の交流をどのように実現していくのか。スキー場の赤字をどう解消していくのか。スキーのことだけを考えていては、打開の途は見つからないように思います。