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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.153 (通算第187号) 6月11日

  • -
  • 2012.06.11 Monday

 休養についてのお知らせ

 いつも「栄村復興への歩み」をお読みいただき、有難うございます。
 今日は残念なことをお知らせしなければなりません。
 先週末、医師からドクター・ストップをかけられました。「過労が激しく、しばらく休養しなさい」とのことです。「休めと言われても」という思いがありましたが、自覚症状があって医師の診断を受けたという経緯でしたので、医師の指導に従うことにしました。
 約3週間、6月いっぱい程度、仕事を休むことにします。
 その間、基本的には、これまで通りに村で暮らし、田んぼの世話などをしながら、体を休めようと考えています。むらの皆さまには、これまで通りにお顔を合わせる機会が多々あると思いますが、これまでのように「取材」に廻るのではなく、むらの景色等を眺めたり、のんびりお茶のみをさせていただく目的で、むらの中を散策する中でお会いするということになります。
 私が休んでいる間、みなさまに早くお知らせする方がいいことがある場合は、渡邉さんや山内君が出来事の写真での紹介などをさせていただくことになるかと思います。
 みなさまには、ご心配とご迷惑をおかけしますが、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

 今日は、以下、すでにお約束があった方々とここ数日の間、お会いしたときの写真などを少しご紹介しておきます。

大久保のタケノコ狩り

  昨10日、大久保集落のタケノコ狩りが大久保公民館で行われ、法政大学の学生さんがたくさん参加されました。
 法政大学の学生さんは現代福祉学部の図司先生のゼミの学生さんたちです。昨年8月の大久保のお祭りに参加されたことがありますが、今年はもっと深く大久保集落との交流を深める計画でおられます。タケノコ狩りには、今年の交流の始まりのご挨拶という意味で参加されました。
 前日に村入りされた学生さんたちは午前中のタケノコの皮むきから参加され、また、タケノコ狩り会の後は、公民館の近くでバーベキューをされていた「中央」(大久保、野田沢)の消防団の人たちと夕刻近くまで交流されたそうです。
 提供された写真を何枚か、紹介します。


皮の剥き方をおばあちゃんに教わる男子学生


阿部伸治さんの音頭で乾杯


阿部マスミさんが避難先から大久保に戻られ、タケノコ狩り会で集落のみなさんにご紹介がありました。

交流の田植え

 9、10日の両日、東京・駒場の木村さん、山口さん、横浜の内山さんが青倉に来られ、計4枚の田んぼの田植えを手植えでされました。
 木村さん、山口さんは2009年から、私たちが「木村・山口田んぼ」と呼んでいる西山田の田んぼで田植え、草取り、稲刈りなどをされていますが、昨年は震災復旧工事待ちで作付けができませんでした。2年ぶりの田植えです。
 また、内山さんは信州大学で学ばれたことから信州の栄村の力になりたいとお考えになり、今冬の除雪ボランティアをきっかけとして青倉との交流を始められました。今回は奥さま、妹さん、妹さんのお友だちの4人で来られ、初めての田植えを体験されたものです。奥さまは農村のご出身だそうですが、内山さんご自身はまったくの初体験。でも、除雪の時と同じく、じつに手際よく、作業されていたそうです。


「あんぼの家」横の田んぼの代掻きを島田益夫さんがやってくださいました(9日朝)。


初田植えにチャレンジの内山さん


大人8人でやると、4枚の田んぼの手での田植えもいっきに進みました。
 なお、9日夜、木村さん、山口さんは青倉公民館に宿泊させていただきました。

『新・秋山記行』の村内での入手可能場所

 前号で白水智さんらの本、『新・秋山記行』を紹介しましたが、その後、白水さんからご連絡があり、村内2ヶ所で購入が可能であることがわかりました。
 秋山では『とねんぼ』で、また、秋山以外では森の旅館『吉楽』さんで取り扱っていただけるとのことです。是非、お買い求めいただけますよう、ご案内申し上げます。
 

ちっちゃな田んぼ


 青倉の巨大な雪崩防止柵の裏側にちっちゃな田んぼが数枚あります。島田勉さんがやっておられる田んぼです。今年もすでに田植えが終わっています。

冒頭に記したとおり、しばらくお休みしますが、今後ともよろしくお願いいたします。

栄村復興への歩みNo.152 (通算第186号) 6月7日


 集落の姿が変わる

 一昨日(5日)、1本の電話をいただきました。「おらほの家の解体が始まった。隆子(りゅうこ)さんの家も間もなく解体される。頼之さんのところはすでに解体された。一度、野田沢に来てください」という内容で、野田沢の宮川利彦さんからのものです。
 貝廻坂を上り下りすることは最近もよくあるのですが、春になって以降、野田沢の集落そのものをお訪ねすることがありませんでした。そこで、「よし、明日は朝一番で野田沢に行こう」と決めました。
 6日朝、訪れてみると、利彦さんの家がもう半分以上、解体されていました。
 それにしても、上の写真に見える柱など、じつに立派なお家だったことがよくわかります。
 利彦さんご夫婦はいま、敷地内に新しく建てられた2階建ての作業小屋に住まれています。息子さんご一家は森に家を借りてお住まいだそうで、以前に利彦さん宅を訪れた時には必ず聞こえたお孫さんたちの賑やかな声は聞こえませんでした。でも、今年中には新築をされて、またお孫さんらとご一緒の暮らしを取り戻されることと思います。
 私が訪れた時は利彦さんが公民館長として役場に出勤される間際で慌(あわ)ただしくされているところだったのですが、奥さんがウドの煮たものなどを出して下さいました。たとえ家屋は解体されても、むららしい暮らしは変わっておられないのです。
 春を迎えて、いくつもの集落で新たに解体される家があり、また、新築の家が完成した姿を見せるところもあります。集落の姿が震災によって大きく変わりつつあるのです。古民家を保全しようとして、叶(かな)わなかったケースもあります。
 でも、思うのです。集落の姿というものは、そこに居住する人びとの暮らしの営みが生み出し、育てていくものです。春の山菜食文化が示すように、むらの人たちがむららしい暮らしを営み続けるかぎり、栄村は「にほんの里」と呼ばれるにふさわしい姿を保ち続けていくのだと思います。
 いま、日本の社会の中で、むらの価値が見直され、再評価されつつあります。
 むらの暮らし、姿を不断に発信し、栄村を訪れる人、そして栄村にIターンする人、Uターンする人を増やしていきたいものです。


白水智さんらの本が出版されました

 2日夜、旅館「吉楽」で歴史研究者の白水智さんとそのお仲間にお会いしました。
 みなさんご存じのように、昨春以来、壊れた土蔵などから貴重な民具や文書などを救出し、保全する活動をなさっています。
 その白水さんから1冊の本を頂戴しました。『新・秋山記行』という本で、2006年度から5年間にわたって主に秋山郷を舞台に行われた共同研究の成果がまとめられたものです。
 調査活動の一日を終えて夕食をとる白水さんたち

 『秋山記行』はいうまでもなく、江戸時代に鈴木牧之(ぼくし)が著(あらわ)したものですが、それに因(ちな)んで付けられたタイトルなのですね。

 この共同研究では、毎年3月に小赤沢(こあかさわ)の「とねんぼ」や役場ホールで報告会が開催されましたので、研究成果を直接にお聞きになった村民も多いと思いますが、研究成果が1冊の本に凝縮された今回の本は村民のみなさん、そして栄村に関心を寄せられるみなさんにとって必読の書だと思います。
 最近は出版事情が非常に悪く、出版にこぎつけるまで、白水さんはたいへんご苦労なさったようです。出版元は高志書院という小さな出版社で、多くの書店に並ぶというわけにはいかないとのことです。長野県内では長野市の平安堂と松本市のジュンク堂書店の2店のみ。
 是非、お読みいただきたいのですが、入手が困難という方は本レポートの最終頁に記載の電話またはメールにご連絡下されば、手配をさせていただきます。価格は「2500円+税」です。


3月12日地震当日の被災状況証言の聞き取りを進めています

 先月末から、昨年3月12日の地震被災直後の状況について村民のみなさんからの聞き取り調査を行っています。
 今後の防災対策の見直しを含む復興計画づくりの基礎資料を得ることが目的です。
 お聞きしている主な内容は、
イ. 地震が発生したとき、どこで寝ていたか、どんな感じだったか
ロ. 最初の揺れが収まった後、どのように行動したか
ハ. 集落あるいは常会全体はどのように行動したか
ニ. 自分では避難できないお年寄りの救出はどのように行われたか
ホ. 避難所へはどのようにして移動したか

などです。
 是非、聞き取り調査にご協力ください。
 みなさんのお宅に伺ってお話を聞かせていただく他、手紙や電話で体験談をお知らせいただくのも歓迎です。連絡先は、080−2029−0236か、横倉仮設住宅I-4の松尾真宛です。
 よろしくお願いします。
 参考までに渡邉加奈子さんが青倉集落で聞き取り内容をメモされたものを以下に紹介します。

<Hさん聞き取り>(6月4日午前10時から)

発生時
・ 2階で寝ていた。「どしん」という音がして目が覚めた。
・ 余震が長く揺れて、箪笥が転びそうだったので、よけたら別の箪笥で
  頭をぶった(たんこぶができていたのに気付いたのは数日後)。
・ 階段は壁土まみれ、半分ははずれたようになっていた。
・ この家にはもう住めないと思った。

外での様子
・ 外に出ると、車庫が潰れて、道の半分を塞いでいた。
  →3,4日後にTさんにより撤去。
・ 長男が自宅の車庫から車を出し、その中にMさん、Kさん、Hさん、
  Jさん夫妻、Kmさんと一緒にいた。夫はウロウロと
 じっとしていなくて、集落の中を見て歩いていた。

避難するまで
・ 「避難しろ」という放送は聞こえなかった気がする。
・ 「役場に避難しろ」というのは口頭で聞いたが、車の中が
  安心ということ、「行きたくない」と年寄りが言うのもあり、
  行かなかった。
・ そのうちに栄大橋も通行止めとなり、Tさんが道を開けるまで
  とどまっていた。
・ Aさん、Tさんの奥さんがよく頑張ってくれていた。炊き出しで
 ご飯を炊いたり、餅を持ってきてくれた。しかし、
 びっくりしすぎて、せっかくもらったけれど食が進まなかった
 (役場に持って行ってから食べた)。
・ 役場へは着の身着のまま。危ないから家にも入れなかった。
  財布もなし。

避難
・ 役場につくと、地下にいたが、その後、ホールに移動した。
・ 一日目は、おいなりさん1個だった。「これが毎日続くのか」と
  切なかった。

 「思い出したくない」という方もおられるかと思いますが、今でないと記録できなくなりますし、復興を進めるうえで是非とも必要なものですので、是非、ご協力くださいますよう、お願いいたします。

山菜を食す

 山菜採りはもうヤマを越えたという場所もあるようですが、No.149での「ゼンマイ」の話に続いて、山菜のことを少し書きます。むらの人たちにとっては当たり前の話でしょうが、主に村外の方々へのご紹介だと考えて、お付き合いください。


 アケビの新芽

 No.149でアケビの花、新芽の写真を紹介しました。今回はその新芽を食卓に出したものの写真です。
 先に書いたように2日夕、旅館「吉楽」に白水さんをお訪ねした時に撮影しました。食事されていた別のグループの人たちに「復興への歩みNo.149」の写真をお見せして、「この写真に写っている新芽が、いま、お食べになっているものですよ」と紹介すると、「へぇー、これですか」とたいそう感心していただきました。


 コゴミを味わうための手間
 もう今春の盛りの時期は過ぎてしまいましたが、山菜料理に欠かせないものが「コゴミ」ですね。「ふるさと酒場さかえむら」でも大好評です。
 私(松尾)は栄村に移り住んで初めて「コゴミ」を知りました。移住して2年目の春には何人もの人が「コゴミを採ってきたよ」と言って、届けてくださいました。いただいたコゴミを自分で洗い、ごみなどを除いてさっと湯がき、いただいたものですが、お店などで多くの人たちにご提供するとなると、このごみの取り除きをはじめとして、下準備にはとても手間がかかるものです。
 先日、「吉楽」さんで大女将がコゴミを扱っておられる様子を撮影する機会がありました。とても鮮やかな手さばきで、感心したものです。「ふるさと酒場」でコゴミをお食べになった方々はとくにご注目ください。

コゴミの下処理(5月12日撮影)

  タケノコ
 タケノコ(ネマガリダケ)はいまが盛りですね。「次の日曜日はタケノコ汁の会だ」という集落もあることと思います。
 タケノコといえばタケノコ汁がいちばんの定番ですが、焼いたものもじつに美味しい。味噌を少し塗って焼くと、とても香ばしい。大女将が味噌を塗っているところと、焼き上がったものの写真です。



 

春の花

 今春、イワカガミの花を見る機会はたくさんあったのですが、イワウチワの花を見ることがなかなかできませんでした。5月24日に志久見街道を歩いた時は、すでに花が落ちた後の葉しか見られませんでした。
 ところが、5日午後、貝立山方面に出かけた時、咲き始めたばかりのイワウチワを見ることができました。ご覧ください。
 つぼみの様子も撮影しました。


(イワウチワの撮影は渡邉加奈子さんです)

 また、イワウチワを見た近くで、雪融け直後の湿地で開花したばかりの水芭蕉を見ることもできました。

 
 集落の中ではもう残雪を見ることもありませんが、青倉の田んぼに水を運ぶ貝立水路のかけ口付近に行くと、まだまだ地面の多くは雪に覆われています。しかも、ブナは芽吹いていて、その緑色が残雪の白色と対照的。私がとても好きな、そして自慢の栄村の景色の一つです。

(5日午後、渡邉加奈子さん撮影)

 一方、すでに田植えもどんどん進む里や棚田の近くでは、タニウツギがいたるところで咲き乱れています。天地と野口を結ぶ県道ではカーブを曲がるたびに、タニウツギの花が目に飛び込んできます。その1コマをご覧ください。

 

 タニウツギは、谷間に多く見られ、また枝葉がウツギに似ていることから「このように名づけられたそうですが、植物の分類としては「ウツギ」が属するユキノシタ科に属するのではなく、「スイカズラ科」に分類されるそうです。また、開花期が栄村のように田植えの時期と重なる地域では「タウエバナ」あるいは「サオトメバナ」と呼ばれることがあるそうですが、みなさんの集落ではどのように呼んでいますか? 「タニウツギ」以外の呼び名をご存知でしたら、是非、お教えください。

 もう1つ、青倉の北向(きたむき)の畦端で見つけたのですが、初めて見るものでした、何の花か、ご存じの方、おられるでしょうか。