松尾まことの議員活動報告第21号(11月28日付)
- 議員活動報告
- 2017.11.30 Thursday
◎ 笹原〜長瀬間の県道土砂崩れ・全面通行止めと、議員・議会の動き
台風21号(10月23日に村に最も接近)による大雨で県道秋山郷森宮野原(停)線の笹原〜長瀬間で土砂崩れが発生し、同線が全面通行止めになっていることは周知のとおりです。
私はこれまで「栄村復興への歩み」No.319(11月3日付)、No.320(11月18日付)等で被害状況と、復旧にむけての県・村の対応等について報じてきました。そのために、10月25日、11月2日等に災害現場を訪れています。これらの行動は、「栄村復興への歩み」編集・発行人というジャーナリストとしての行動であると同時に、自らが村議会議員であるという自覚をもっての行動でもありました。
■ 村民(先輩議員)からの厳しいご指摘
しかし、11月5日(日曜日)にある村民の方とお話した時、「こういう災害の時、議会はすぐに行動を起こさなければいけない」という叱責をいただきました。30年ほど以前の議会の動きというものも教えていただきました。
私はこのご指摘を厳しく受けとめました。
私自身、6年前の地震の際、「議員・議会の動きが見えない」という批判意識を多くの村民の人たちと共有していました。その議員という立場に私自身がたった今、どう動いたらよいか。いろいろと考えました。
道路などの災害に直接に対応するのは役場産業建設課、そして、議会の常任委員会は役場の課に対応する形で所掌分担しています。産業建設課に対応するのは産業社会常任委員会。私は5月からその委員長です。
そこで、私は5日午後、産社副委員長の斉藤康夫議員と連絡・会談し、対応策を検討しました。私が現場で見てきたこと、斉藤氏の知るところについて情報交換し、「ひとまず、村の対処方針を把握するために村長に面会を求めよう」という結論に達しました。 すぐに私が雪坪の村長宅を訪ねて、翌6日午後1時に村長室で面会することの了承を得ました。
「栄村復興への歩み」No.320の3〜4頁に書いた、災害後の村長・役場の動きはこの時に産建課長から示されたペーパーを基礎にしています。
これらのことは他の産業社会常任委員会議員に電話でお伝えしました。
■ 11月16日の議会全員協議会で議論
11月16日午前、議会全員協議会が開催されました。〈村長提出〉の全協の後に〈議長提出〉の全協(議員のみで会議)となりましたが、当初議題は観光施設に関する特別委員会の運営方法の問題のみ。その問題の協議の後、笹原〜長瀬間の災害・通行止め問題について私が全協の場で議論するように提案し、議員間での議論になりました。
6日の村長との面会を含めて経過を私から報告し、複数の議員から意見が出ました。1つの具体的な問題としては、「迂回路の案内看板が不足で、村外から北野天満温泉を訪れた人が帰路で道に迷う。村の手で案内看板を増設すべきだ」という提案があり、閉会後、正副議長で村に申し入れをすることになりました。
昨年4月の補選で議員になって以来1年半余、率直に言って、議員だけの全協の場で議論をどのように創り出していくことができるのか、取っ掛かりがなかなか見つからない状態で今日まで来てしまいました。しかし、今回の災害をめぐる11月16日全協での議論は非常にささやかなものですが、「議会での議員間の議論の創出」という点で1つの突破口になったのではないかと感じています。
議会の重要な役割の1つは行政をしっかりチェックすることですが、しかし議会の役割はそれに尽きるものではなく、村民の声を受けとめながら、議員間の議論を活発にし、村の暮らしをよくする政策の創造などを進めていくことです。
この原稿を書いた後、28日夜には本件災害に関する県の説明会に出席し、さらに12月5日からの12月定例会で本件への対応策についてさらに議論することになっています。議会の活性化へ、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
◎ 観光レクリェーション施設に関する特別委員会、正副委員長を決定
11月16日の全協(議長提出)で、先の9月定例会で設置を決めた「観光レクリエーション施設管理運営に関する調査研究特別委員会」の本格始動にむけて、正副委員長を選出しました。委員長は相澤博文氏、副委員長は松尾です。相澤氏は本特別委員会設置の提案者、松尾は観光を所管する産業社会常任委員長ということで、全員一致で推薦・決定されました。
今後、定例会の開催時、さらに議会閉会期間も含めて、1〜2年間、議会の立場から観光等に関わる施設について検討・議論していきます。その際、いちばん大事な視点は、観光の振興もさることながら、〈住民の福祉の向上〉にこそあると認識して調査研究していきたいと考えます。
早速、相澤委員長が、条例で「栄村観光レクリエーション施設」と定められている施設の運営状況等に関する資料提供の依頼状を商工観光課に対して出しました。
12月5日からの定例会で特別委員会を開催し、具体的な議論に踏み出します。
◎ 社協への補助金の増額 ―― 11月16日の全協(村長提出)
11月16日開催の議会全員協議会(村長提出)は、「社会福祉協議会運営費補助及び指定管理料の増額について」が協議事項でした。
12月定例会に村が提出する補正予算の編成にあたって、議会との協議が必要と村長が判断し、全協(村長提出)の開催を求めたものです。
補正予算に関わることですので、12月定例会での補正予算の審議をふまえて詳しいことをお伝えしますが、ひとまず、次の点を報告しておきます。
第1に、通所介護(デイサービス)事業が今年の春から社協への委託になりましたが、利用実績は着実に増加しています。事業が村民に浸透してきたためか、とくに秋以降、利用件数が増えています。
第2に、社協の現在の財政事情です。
通所介護事業の運営資金を保障する核は介護保険からの介護報酬です。しかし、介護保険から事業者に報酬が支払われるのは制度上、サービス提供の3か月後になります。その間、サービス業務従事者の人件費等を事業者(この場合は栄村社協)が自己資金で賄わなければなりません。栄村社協の場合、この自己資金があまりありません。今春以降、過年度の繰越金1,500万円を取り崩す形で対処してきましたが、この繰越金1,500万円を取り崩してしまうと、何かあった時の資金面での対応力がなくなります。このため、社協側から村に3,000万円の借入の申し入れがあったということです。
第3に、上記の点への村の対応方針です。
村長が協議を求めた案は、社協運営費への補助3,000万円、指定管理料の増額960万円というもの。
協議で最も議論になったのは、「指定管理料」というものを年度途中で増額することの是非です。最初に問題提起したのは阿部伸治議員。それをうけて、私も発言しましたが、「指定管理料」というものの本来の性格は、高齢者総合福祉センターの建物の管理に要する費用を委託者の村が支払うというもの。したがって、社協が村からの委託を受けて実施する事業に関わる経費の増額と絡めて「指定管理料」を年度途中に増額するのは好ましくありません。
議員からのこうした意見に対して、村長、担当課長共に理解された模様で、12月定例会には、社協の事業運営に必要な資金を補助金の増額で賄うことを基本とする補正予算案が提出されるものと期待しています。
なお、介護保険制度は仕組みが難しい上に、毎年のように見直しが行われ、来年度にむけては国が「生活援助」の介護サービスの報酬引き下げなど、利用者・事業者を共に不安にするような案を検討しています。また、通所介護サービスの村直営から社協委託への転換が短期間のうちに実施されたため、必要経費の算出や予算の組み方についてよく分からない点が多々あると私は思っています。そこで、現在進行形の事業の実施に必要な補正予算は承認しつつ、担当部局(健康支援課)や社協からお話を聞き、議員・議会が介護のシステム・財政についてしっかり理解・把握するよう、近々に勉強会を開催する方向で調整を行っています。私たち議員が学んだことは村民のみなさんにもお伝えしていきます。
◎ ふるさと納税の新しい活用法について
―― 10月28日の新聞記事に注目して
先日、スクラップすべき新聞記事を整理していて、少し前のものになりますが、10月28日の信毎の記事に注目しました。その記事を次頁に掲載・紹介します。
記事をお読みいただければ、内容はだいたいお分かりいただけるかと思います。
今年の前半は、ふるさと納税での「返礼品競争」がクローズアップされ、当時の高市総務相は「ふるさと納税」制度そのものにもかなり否定的な姿勢を示していました。ところが、新たに総務相に就任した野田聖子氏は「ふるさと納税」制度に積極的な姿勢を示しています。そういう中で出てきたのが前頁の記事です。総務省のHP(ホームページ)を検索したところ、A4判3枚で、この記事よりもさらに詳しく制度を説明しています。
■ 「ふるさと納税」制度についての私のもともとの考え
私は、「ふるさと納税」制度について、もともとは疑問を抱いているところもあります。そもそも、「ふるさと納税」制度が制度としていつまで続くものか、不安があるからです。恒久性のないものへの村の財政の依存度を高めてしまった場合、一時(いっとき)は村の財政が豊かになっても、将来に財政基盤が揺らぎかねません。村外のさまざまな方々に村を応援していただく取っ掛かりとして「ふるさと納税」制度を活用するとしても、そういう支援者と村の直接の結びつきを開拓・強化していかなければ、と思います。
また、現在、栄村が「ふるさと納税」を基本的に「農業支援目的寄付」に特化させていることにも疑問を抱いています。たしかに、栄村の小規模農業・米作を支援するための財源の確保は、国の交付金・補助金の現行制度の中では、難しい。「ふるさと納税」を「農業支援目的」に特化させ、返礼品とする米の一定価格での購入によって農家を支援するというのは1つの知恵だと思います。
しかし、農業支援の分野においても、また、農業以外の分野において、もう少し工夫ができないものかという思いは、私のみならず多くの村民が抱いておられる気持ちだと思います。議会での議論の中でもそういう意見は出ています。
■ 新しい措置の積極的活用を考えたい
そういう中で、先に紹介した記事に出会ったわけです。私はこれを積極的に活用すべきだと思います。具体案はこれから練りますが、議員間での議論も呼びかけていきたいと考えています。
今後、この「議員活動報告」等で提案していきますので、みなさんのご意見もお聞かせください。
(本号は6頁版にさせていただきました)